1. 企業情報
- 企業名: 株式会社安川電機
- 設立: 1915年7月
- 本社所在地: 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1
- 従業員数: 12,833人
- 事業内容: 安川電機は、世界トップクラスのサーボモーター、インバーター、産業用ロボットのメーカーです。主な事業は以下の4つに分かれます。
- モーションコントロール（ACサーボモータ・コントローラ、インバータなど）
- ロボット（溶接・搬送・組立・医療・半導体搬送など多用途）
- システムエンジニアリング（鉄鋼プラント・社会インフラ向け制御システム）
- その他（物流サービスなど）
世界72%の売上を海外であげており、グローバル展開が進んでいます。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: サーボモーター・インバーターで世界首位。産業用ロボットも累積出荷台数で世界有数。競合はファナック、三菱電機、ABB、KUKAなど。
- 競争優位性: 独自制御技術や高い信頼性、グローバルな販売・サポート網が強み。i³-Mechatronicsなどのデジタルソリューションも差別化要素。
- 課題: 半導体や自動車など主要顧客業界の市況変動に業績が左右されやすい。中国市場の動向や為替リスクも影響大。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域とし、メカトロニクス技術による社会課題解決を目指す。
- 中期経営計画「Realize 25」:
- 2023年度～2025年度
- 営業利益の最大化を最重要指標とし、成長領域（半導体・自動車・一般産業）へのリソース集中
- i³-Mechatronics等のソリューション拡大
- カーボンニュートラル対応や省エネ技術開発
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 産業機械・工場自動化の需要を背景に、設備投資サイクルの波を受けつつも、グローバル分散によりリスク分散。
- 市場変化への適応力: 半導体・自動車以外にも、医療、食品、物流など多様な産業へ展開。デジタル化・省人化ニーズの高まりに対応。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向:
- i³-Mechatronics（AI・IoTを活用した工場最適化ソリューション）
- 省エネ・高効率モーター、インバーター
- 協働ロボット、半導体搬送ロボットなど先端分野
- 主力製品・サービス: サーボモーター、インバーター、産業用ロボット（溶接・搬送・組立・医療・半導体搬送用など）
6. 株価の評価
- 株価: 3,192円（2025/7/3終値）
- PER（予想）: 17.8倍（業界平均24.2倍より低い）
- PBR（実績）: 1.92倍（業界平均1.6倍よりやや高い）
- EPS（予想）: 179.3円
- BPS（実績）: 1,662.6円
- 配当利回り（予想）: 2.13%
- 評価: 業界平均と比較すると、PERは割安、PBRはやや高め。成長期待や資本効率を織り込んだ水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 4,740円
- 年初来安値: 2,582円
- 50日移動平均: 3,220円
- 200日移動平均: 3,897.86円
- 直近10日間の株価推移: 3,200円台前半での推移が続き、やや下落基調。
- 現在の株価位置: 年初来安値圏からは反発しているものの、年初来高値や長期移動平均線からは大きく下落した水準。
8. 財務諸表分析
- 売上高（2025/2期）: 5,376億円（前期比-6.6%）
- 営業利益: 501億円（前期比-24.3%）
- 純利益: 570億円（前期比+12.2%）
- ROE（実績）: 13.7%
- ROA（実績）: 4.3%
- 自己資本比率: 58.0%
- 営業キャッシュフロー: 565億円（前年同期比増加）
- フリーキャッシュフロー: 181億円
- 財務の傾向: 売上・営業利益は減少傾向だが、キャッシュフローや自己資本比率は安定。純利益は一時的な株式譲渡益の計上で増加。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想: 年間68円（前期64円から増配）
- 配当利回り: 2.13%（直近株価ベース）
- 配当性向: 31.1%
- 自社株買い: 自己株式保有あり（2.48%）
- 方針: 安定配当を基本としつつ、業績に応じた増配・自社株買いも実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動傾向: 直近1年で高値から大きく下落し、直近10日も3,200円前後で横ばい～やや軟調。
- 売買動向: 信用買残は減少傾向、信用倍率は3.69倍とやや買い長。
- 投資家構成: 機関投資家の保有比率が高い（65.18%）、自己株式も一定割合保有。
11. 総評
安川電機は、サーボモーター・インバーター・産業用ロボットで世界トップクラスのシェアを持つグローバル企業です。近年は半導体・自動車業界の市況変動や中国市場の影響を受けて売上・営業利益が減少していますが、キャッシュフローや財務基盤は堅調に維持されています。技術革新やi³-Mechatronicsなどの新ソリューション展開、カーボンニュートラル対応などで中長期的な成長余地もあります。株価は年初来高値から大きく下落し、PERは業界平均より低く、PBRはやや高めの水準です。配当も増配傾向で株主還元姿勢が見られます。今後は主要顧客業界の回復や新規分野への展開、為替・地政学的リスクへの対応が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6506 |
| 企業名 | 安川電機 |
| URL | http://www.yaskawa.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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