日本化学工業(4092)企業分析レポート

株価:2,582円(2025-08-08終値)
市場:東証プライム/化学

1. 企業情報

  • 概要
    • 1893年創業の無機薬品大手。クロム塩・リン化合物・シリカ・リチウム化合物などの無機化学品に強み。
    • 機能品では、電子セラミック材料(MLCC向けチタン酸バリウム)、回路材料、高純度電子材料、ホスフィン誘導体、農薬原体、電池材料、難燃剤などを展開。
    • 東南アジア等へ輸出も実施。賃貸事業やその他(環境測定等)を含む。
  • セグメント(2026年3月期 1Q)
    • 売上高:化学品 47.3億円(43.7%)、機能品 58.7億円(53.6%)、賃貸 2.34億円(2.1%)、その他 0.6億円(0.5%)、合計 109.5億円
    • セグメント利益:化学品 3.91億円、機能品 5.77億円、賃貸 1.39億円、その他 △0.05億円(営業利益計 11.10億円)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • 国内でクロム製品・リン製品に高いシェアを持つとされ、無機薬品の安定供給と高純度対応に強み。
    • 電子部材(MLCC材料、高純度電子材料)や電池材料など、成長領域にも展開。
  • 競争優位性
    • 無機から機能性材料までの幅広い製品群、長年のプロセス技術・高純度化ノウハウ、顧客対応力(用途別の要件適合)。
  • 課題
    • 原材料市況の変動と販売価格転嫁のタイムラグ(1Qはこの影響で利益率低下)。
    • 電池材料など資源価格動向の影響、エレクトロニクス市況の変動。
    • 環境規制(特にクロム化学品領域)への対応コスト。

3. 経営戦略と重点分野

  • 会社が掲げる重点施策(公表資料要旨)
    • サステナビリティ経営の推進
    • 事業拡大と体質強化
    • グローバル化の推進
    • 新たな価値の創造
  • 重点分野(示唆)
    • 電子セラミック材料(車載・通信向け)、半導体向け高純度電子材料、海外向け触媒・量子ドット関連などを伸長分野として強化。
    • 無機の基盤事業(クロム・シリカ・リン)での安定収益確保と体質強化。
  • 中期経営計画
    • 具体的KPI等の詳細開示は本文中に記載なし。通期見通しは売上405億円、営業利益32億円、当期純利益26億円(会社公表値)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • 基盤の無機化学品でボリュームを確保しつつ、機能品(高付加価値)で利益率を押し上げるポートフォリオ。
    • 賃貸事業が安定的収益に寄与。
  • 適応力
    • 市況・原価変動に対し、価格転嫁のタイムラグが短期収益を左右。中期的には契約・在庫運用・配合改良等で吸収余地。
    • 市況循環の影響を受けやすい電子材料・電池材料は、用途分散(車載、通信、半導体等)でボラティリティ緩和を図る。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・独自性
    • 無機化学(クロム・リン・シリカ)での高純度化・粒径制御・不純物管理などのコア技術。
    • 電子セラミック材(MLCC向けチタン酸バリウム)の粉体設計、半導体向け高純度材料、ホスフィン誘導体など、精密・高純度領域に展開。
  • 収益牽引領域(1Qの状況)
    • 伸長:海外向け触媒・量子ドット向け、車載・通信向け電子セラミック材、半導体向け高純度電子材料。
    • 低調:電池材料(資源価格下落)、回路材料(接着剤向け)。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 足元指標(会社予想・実績に基づく)
    • PER:約8.68倍(株価2,582円/EPS 297.63円)
    • PBR:約0.48倍(株価2,582円/BPS 5,380.11円)
    • 予想配当利回り:約4.65%(年120円)
    • 予想配当性向(概算):約40.3%(120円/EPS 297.63円)
    • PSR(LTMベース):約0.58倍(株価2,582円/1株当たり売上4,486.7円)
    • EV/EBITDA(概算):約4.9倍
    • 時価総額 約230億円、純有利子負債 約75億円(総借入150.8億円−現金76.2億円)、EV 約305億円、EBITDA 約62.5億円
  • 業界平均との比較
    • 業界平均PER:20.4倍、PBR:1.1倍
    • 同社はPER・PBRともに業界平均と比較して低い水準。

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 50日移動平均:2,056円、200日移動平均:2,219円。終値2,582円は両移動平均を上回る上昇トレンド。
  • 価格レンジ
    • 年初来高値:2,668円(当日高値で到達)。52週高値:3,010円。現在値は年初来高値圏、52週高値には未達。
  • 出来高・値動き
    • 当日出来高 85万株(3カ月平均約6万株、10日平均約12万株)を大きく上回る。決算発表直後のギャップアップで一時値幅上限(2,668円)に到達。短期的なボラティリティ上昇が観測される。

8. 財務諸表分析

  • 収益・利益(連結、単位:百万円)
    • 売上高:2022/3 37,275 → 2023/3 38,075 → 2024/3 38,538 → 過去12か月 38,843
    • 営業利益:2022/3 3,921 → 2023/3 1,292 → 2024/3 2,264 → 過去12か月 3,343
    • 当期純利益:2022/3 3,735 → 2023/3 855 → 2024/3 1,590 → 過去12か月 2,559
    • 1Q(2025/4-6):売上 10,949(前年比+5.5%)、営業利益 1,110(同-34.2%)
  • 収益性
    • 粗利率 改善傾向(2024/3:7,316 → LTM:8,753)、営業利益率 LTM 約10.15%、純利益率 LTM 約6.37%
    • 1Qは原材料価格低下と販売価格転嫁のタイムラグ、前期の棚卸評価損減少効果の剥落で利益率低下
  • 効率・安全性
    • ROE:5.37%(LTM)、ROA:2.19%(LTM)
    • 自己資本比率:61.7%(1Q末)
    • 流動比率:1.58(1Q)
    • Net D/E(目安):有利子負債150.8億円、現金76.2億円、D/E約32%(1Q)
    • 利払能力(概算):EBIT 34.2億円、支払利息 1.24億円、インタレストカバレッジ約27倍
  • キャッシュフロー
    • 四半期CFの詳細開示なし(四半期CFは作成せず)。LTM EBITDA 約62.5億円。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2025年3月期:年間92円
    • 2026年3月期(会社予想):年間120円(中間60円・期末60円)
    • 予想配当性向(概算):約40.3%
    • DOE方針:2%以上、総還元性向:約4割(会社方針としての記載あり)
  • そのほか
    • 自己株式比率:2.1%(期末自己株式数 187,076株)
    • 権利落ち日:2025-09-29(予定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 決算発表後に出来高急増・ギャップアップ。短期的な上昇圧力が観測。
    • 信用取引:信用倍率 6.54倍、買残 前週比 -11.4千株/売残 +0.8千株。買い残の整理と上昇局面の組み合わせが見られる。
  • 需給・イベント
    • 流通株式(フロート)約591万株、出来高の急増は短期的なタイトな需給に影響。
    • 直近イベント:2026年3月期1Q(2025/8/7)発表。今後は配当権利関連(9/29)等が注目材料となり得る。

11. 総評

  • 基盤の無機化学(クロム・リン・シリカ)に高い競争力を持ち、機能材料(MLCC向け、半導体向け、高純度材料)での付加価値拡大を進める構図。1Qは原材料価格の下落と価格転嫁のタイムラグ、在庫評価要因の剥落により利益率が一時的に低下。
  • 財務は自己資本比率60%超、D/E約32%と安定。利払余力も高い。売上・利益は2023/3期を底に回復基調(LTMベース)。
  • バリュエーションはPER・PBRともに業界平均と比較して低い水準。配当利回りは会社予想で約4.65%、DOE 2%以上・総還元性向約4割の方針。
  • 株価は年初来高値圏、移動平均線を明確に上回り、出来高急増によるモメンタムが観測される一方、短期的な変動性には留意が必要。
  • 主要論点は、原材料市況変動に対する価格転嫁タイムラグの管理、電池材料の市況・価格動向、エレクトロニクス需要(車載・半導体・通信)の継続性、環境規制対応コストなど。

注意:本資料は公開情報に基づく一般的な企業分析であり、投資勧誘・投資助言を目的としたものではありません。数値は一部概算を含みます。最新の開示資料の確認を推奨します。


企業情報

銘柄コード 4092
企業名 日本化学工業
URL http://www.nippon-chem.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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