NTT(日本電信電話)の企業分析レポートを以下の通りご報告します。
1. 企業情報
NTT(日本電信電話株式会社)は、日本国内外で総合的な電気通信事業を展開する国内通信事業最大手の持株会社です。主要なグループ会社を通じて、個人から法人まで幅広い顧客にサービスを提供しています。
主な事業内容:
- 総合ICT事業: 携帯電話サービス(NTTドコモが主力)、国内外の通信サービス、ソリューション提供、システム開発などが含まれます。
- 地域通信事業: 都道府県内における通信サービスおよび関連サービスを提供しています。固定電話や光回線において高いシェアを占めています。
- グローバル・ソリューション事業: コンサルティング、システム・ソフトウェア開発、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンターなど、海外市場でのICTソリューションを提供します。
- その他: 不動産、エネルギー関連事業なども手掛けています。
2025年3月期の連結事業構成は、総合ICT事業が43%、グローバル・ソリューション事業が32%、地域通信事業が17%となっており、ICTおよびグローバル事業が大きな割合を占めていることがわかります。
2. 業界のポジションと市場シェア
NTTは長年にわたり日本の通信インフラを支えてきた国内通信事業の最大手です。地域通信分野では独占的な地位を誇り、携帯電話サービス(ドコモ)や光回線サービスでも高い市場シェアを維持しています。この強固な国内基盤は、安定した収益源となっています。
一方で、国内通信市場の飽和や競争激化、料金引き下げ圧力などの課題に直面しています。これに対応するため、グローバル・ソリューション事業の強化や、ICT(情報通信技術)分野の拡大を通じて、事業領域の多角化を進めています。政府が主要株主(財務大臣が約32%保有)であることから、公共インフラとしての役割も大きく、事業の安定性につながっています。
3. 経営戦略と重点分野
NTTグループは、既存の強固な通信インフラ事業を基盤としつつ、成長分野への戦略的な投資を進めています。
具体的な戦略・重点分野:
- グローバル展開の強化: 海外開拓・提携に注力しており、グローバル・ソリューション事業セグメントが示す通り、海外市場での収益拡大を目指しています。
- ICTソリューションの推進: 通信網の提供にとどまらず、企業向けのシステム開発、クラウドサービス、データセンター事業など、ICTソリューションの提供を強化しています。
- 他産業との連携: 決算短信に記載されている「NTT DC REITの上場及びデータセンター資産保有会社株式の売却(NTTデータグループ)」や「住信SBIネット銀行株式に対する公開買付け(NTTドコモ)」といった動きは、事業ポートフォリオの最適化や異業種連携を通じた新たな収益機会の創出を目指す経営戦略の一環であると考えられます。
- 高付加価値化へのシフト: 低価格競争から脱却し、5G、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想などの次世代技術を活用した高付加価値サービスへの転換を図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
NTTの事業モデルは、強固な国内通信インフラと安定した顧客基盤に支えられており、高い持続可能性を有しています。しかし、国内市場の成熟化や少子高齢化、競争環境の変化といった課題の中で、成長を持続させるためには、以下の点が重要になります。
* 非通信分野・グローバル事業の拡大: ICTソリューションやデータセンターなど、デジタル化の進展に伴う市場ニーズに対応することで、新たな収益源を確保し、事業ポートフォリオの多様化を進める必要があります。
* 社会インフラとしての役割: 通信は現代社会に不可欠なインフラであり、災害時の安定供給やセキュリティ強化など、公共性の高いサービス提供を継続する責任があります。これが事業の安定性に繋がっています。
5. 技術革新と主力製品
NTTグループは、通信技術の研究開発に積極的に取り組んでいます。特に、光電融合技術を基盤としたIOWN構想は、電力効率の向上や超高速・大容量通信の実現を目指すものであり、将来の競争優位性を確保するための重要な技術開発と位置付けられています。
収益を牽引する主力製品・サービス:
- モバイル通信サービス: NTTドコモが提供する携帯電話サービスは国内で圧倒的なシェアを誇り、主要な収益源となっています。5Gネットワークの展開も進めています。
- 光回線サービス: 家庭向けブロードバンドサービス「フレッツ光」などで高いシェアを持ち、固定通信事業の収益を支えています。
- ICTソリューション: 法人顧客向けに提供されるシステムインテグレーション、クラウドサービス、データセンターサービスなどは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要を取り込み、成長を牽引しています。
6. 株価の評価
現在の株価は160.0円です。各種指標を用いて評価します。
* PER(株価収益率): 会社予想PERは12.73倍です。これは、情報・通信業の業界平均PER 23.2倍と比較して低い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績PBRは1.41倍です。これも、情報・通信業の業界平均PBR 2.3倍と比較して低い水準です。
これらの指標を業界平均に当てはめて試算すると、以下のようになります。
* EPS(会社予想)12.57円 × 業界平均PER 23.2倍 = 約291.6円
* BPS(実績)113.67円 × 業界平均PBR 2.3倍 = 約261.4円
現在の株価160.0円は、業界平均と比較した場合、PERおよびPBRの両面で割安感のある水準と捉えることができます。
7. テクニカル分析
直近の株価推移を見ると、現在の株価160.0円は年初来高値161円に迫る水準です。
* 年初来安値が135円であることと比較すると、高値圏で推移していると言えます。
* 直近10日間の株価は、151円台から160円まで緩やかに上昇トレンドを示しています。
* 50日移動平均線(153.86円)および200日移動平均線(151.72円)を上回って推移しており、短期・中期的に上昇の勢いがあることを示唆しています。
* 出来高は直近で大幅に増加しており、特に2025年8月8日は2.8億株を超える取引がありました。これは市場の関心が高まっていることを示している可能性があります。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書と最新の企業財務指標を基に評価します。
* 売上高(Total Revenue): 過去数年間で増加傾向にあります。(2022年3月期 12,156,447百万円 → 2025年3月期 13,704,727百万円)。直近の2025年度第1四半期も前年同期比0.7%増の3,262,039百万円で微増収となっています。
* 営業利益(Operating Income): 2024年3月期に減少しましたが(1,937,382百万円 → 1,669,639百万円)、直近の2025年度第1四半期も前年同期比7.0%減の405,193百万円と減益傾向にあります。これは主に減価償却費の増加などが影響していると説明されています。
* 純利益(Net Income Common Stockholders): 売上高の増加傾向とは対照的に、純利益はここ数年で減少傾向にあります。(2022年3月期 1,181,083百万円 → 2025年3月期 1,000,016百万円)。
* ROE(自己資本利益率): 直近の過去12か月では10.09%で、収益性を確保しています。
* ROA(総資産利益率): 直近の過去12か月では3.61%です。
* 自己資本比率: 実績で34.0%と、一定の財務健全性を維持しています。ただし、貸借対照表の資本合計が減少傾向である点は注視が必要です。
* キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月で2.7兆円と潤沢であり、安定した事業運営を示しています。
* 総負債/自己資本比率(Total Debt/Equity): 直近四半期で137.94%と、負債が自己資本に対してやや高めの水準にあります。
全体として、売上は堅調ですが、利益は過去数年および直近四半期において減少傾向が見られます。一方で、ROEは二桁を維持し、安定したキャッシュフローを創出しており、基盤事業の強さが示されています。
9. 株主還元と配当方針
NTTは株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.31%であり、高水準の配当利回りを提供しています。
* 1株配当(会社予想): 5.30円(年間)と、2024年度の年間配当5.20円から増配予想となっています。
* 配当性向: 43.48%と、利益に対する配当の割合が健全な水準にあります。
* 過去5年間の平均配当利回りも3.27%と安定しており、長期的に安定配当を志向していると考えられます。
* 自己株式の保有(自社株口が約8.59%)がありますが、直近の具体的な自社株買いの実施については情報がありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇しており、強いモメンタムが見られます。
* 過去10日間で株価は上昇トレンドにあり、特に直近の出来高は大幅に増加しています。これは、市場の投資家からの関心が高まっていることを示唆している可能性があります。
* 信用取引状況を見ると、信用買残が縮小し、信用売残が増加傾向にあり、信用倍率は13.22倍です。これは、売り方の積み上がりが一定数存在することを示唆しています。
* 今後の主な株価影響要因としては、9月29日の配当権利落ち日や11月6日の四半期決算発表が挙げられます。特に決算発表は、企業の収益性、成長戦略の進捗が市場で評価される重要なイベントとなります。
11. 総評
NTTは、国内通信事業における強固な基盤と高い市場シェアを持つリーディングカンパニーです。携帯電話や光回線といった主要事業に加え、ICTソリューションやグローバル事業への戦略的な転換を図ることで、国内市場の成熟に対応し、持続的な成長を目指しています。
財務面では、売上高は堅調に推移しているものの、営業利益および純利益は直近で減少傾向にあります。これは、減価償却費の増加など構造的な費用増が影響している可能性があります。一方で、潤沢な営業キャッシュフローと安定したROEは、事業の収益基盤の強さを示しています。また、自己資本比率は一定水準を維持しているものの、総負債の比率に注意が必要です。
株価評価については、現在のPER、PBRともに業界平均と比較して割安感がある水準で推移しています。株価は年初来高値近辺で推移しており、直近の出来高増加と株価上昇から、市場の関心が高い状態にあると見られます。株主還元にも積極的で、安定的な配当が期待できます。
今後の焦点としては、利益構造の改善、グローバル・ソリューション事業の成長性、そしてIOWN構想などの次世代技術が具体的な収益貢献に繋がるかどうかが挙げられます。これらが改善・進展するにつれて、市場からの評価が変わる可能性もあります。
企業情報
銘柄コード | 9432 |
企業名 | NTT |
URL | https://group.ntt/jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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