1. 企業情報
ＳＢＩインシュアランスグループは、金融大手ＳＢＩホールディングスの傘下にある保険事業の持株会社です。主な事業として、損害保険、生命保険、そして少額短期保険の3つの分野を展開しており、多岐にわたる保険商品を顧客に提供しています。2025年3月時点での連結事業構成比率は、損害保険が34%、生命保険が37%、少額短期保険が29%となっています。本社は東京都港区に位置し、2016年12月に設立され、東京証券取引所グロース市場に上場しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、保険業セクターに属しており、SBIグループのブランド力と幅広い販売チャネルを背景に事業を展開しています。提供された情報からは具体的な市場シェアの数値は不明ですが、損害保険、生命保険、少額短期保険という多様な事業ポートフォリオを持つことで、幅広い顧客層のニーズに対応していると考えられます。AI活用やDX推進といった技術導入への言及があり、競争環境における差別化を図る姿勢が見られます。
3. 経営戦略と重点分野
経営戦略としては、各事業セグメントにおけるデジタル技術の活用と顧客利便性の向上が重点分野として掲げられています。損害保険事業ではAI画像解析を用いた保険金自動支払いサービスの導入、生命保険事業ではDX推進による顧客利便性向上（「かんたん住宅ローン」への対応）、少額短期保険事業では保険契約管理システムと家賃債務保証サービスの連携、顧客とのコミュニケーション強化が挙げられています。中期経営計画に関する具体的な内容は提供されていませんが、2026年3月期の連結業績予想が据え置かれていることから、これらの戦略が継続される方針が示唆されます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、損害保険、生命保険、少額短期保険という複数の保険商品提供を基盤としています。収益は主に保険料収入から成り立っています。デジタル技術を活用したサービスの提供や顧客利便性の向上に注力していることから、インターネットを通じた保険販売や手続きの需要が高まる市場ニーズへの適応を図っていると考えられます。親会社であるSBIホールディングスとの連携も事業の安定性に寄与する可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
技術革新の動向としては、AI画像解析によるAI損害保険金自動支払いサービスや、DX推進による保険手続きの効率化・利便性向上が挙げられます。デジタル技術を活用することで、顧客体験の向上と業務効率化を両立させようとしている様子が伺えます。収益を牽引しているのは、バランスの取れた各保険事業セグメントであり、特に生命保険事業の経常収益割合は最も高くなっています。
6. 株価の評価
現在株価1,471.0円に対し、提供された財務データに基づく評価は以下の通りです。
– 過去12か月の実績に基づくEPS（Diluted EPS）は80.91円であり、これに基づくPER（株価収益率）は約18.18倍です。
– 直近のブックバリューパーシェア（BPS）は1,781.96円であり、これに基づくPBR（株価純資産倍率）は約0.83倍です。
– 業界平均PERが20.5倍、業界平均PBRが1.3倍と比較すると、同社のPERは業界平均より低く、PBRは業界平均よりも低い水準にあります。
7. テクニカル分析
株価は現在1,471.0円で取引されており、52週間の株価レンジは871.00円から1,498.00円です。現在の株価は52週高値である1,498.00円に近い水準で推移しており、50日移動平均線（1,340.00円）および200日移動平均線（1,132.83円）を上回っています。これは、過去1年間の株価が上昇傾向にあることを示しています。52週間の株価変化率は63.60%であり、S&P 500の同時期の変化率18.63%を上回るパフォーマンスを見せています。直近の出来高は60,200株となっています。
8. 財務諸表分析
損益計算書（年度別比較）によると、過去数年にわたり売上高（Total Revenue）は着実に増加傾向にあります。
– 2022年3月期 87,002百万円
– 2023年3月期 93,743百万円
– 2024年3月期 107,144百万円
– 2025年3月期 116,883百万円
純利益（Net Income Common Stockholders）も同様に増加傾向が確認できます。
– 2022年3月期 891百万円
– 2023年3月期 1,240百万円
– 2024年3月期 1,450百万円
– 2025年3月期 1,988百万円
自己資本利益率（ROE）は過去12か月で31.21%、総資産利益率（ROA）は過去12か月で3.12%と、高い水準を示しており、自己資本や総資産を効率的に活用して収益を上げている状況が伺えます。直近四半期の自己資本比率は20.2%です。キャッシュフロー計算書は第1四半期の決算短信には記載がありませんでした。
9. 株主還元と配当方針
同社の株主還元については、配当政策が行われています。2025年3月期の期末配当は23.00円でしたが、2026年3月期の期末配当予想は40.00円と、増配傾向を示しています。この予想配当額に基づくと、フォワード配当利回りは5.49%となります。配当性向は28.71%と示されており、利益の範囲内で配当を支払う方針と見られます。自社株買いに関する具体的な情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は1,441円から1,498円の範囲で推移しており、堅調な動きが見られます。52週間の株価変化率が63.60%と市場平均を大きく上回っていることから、強い上昇モメンタムが観察されます。平均出来高（3ヶ月: 43.34千株、10日: 51.52千株）に対して、本日の出来高は60.20千株であり、投資家の関心は引き続き高い可能性があります。信用取引において、信用買残が452,300株と多く、信用売残が0株であることから、需給は買い方に偏っている状況です。
11. 総評
ＳＢＩインシュアランスグループは、SBIグループの一員として、損害保険、生命保険、少額短期保険の多角的な事業を展開し、安定した収益基盤を構築しています。過去数年間、売上高・純利益ともに着実に成長を継続しており、特に自己資本利益率（ROE）は高い水準を維持し、資本効率の良い経営が行われている点が注目されます。株価評価の面では、PERおよびPBRが業界平均を下回っており、提供されたデータからは相対的な割安感がある可能性を示唆しています。株主還元に関しても、増配傾向にあり、配当利回りも高い水準であるため、株主への還元意欲が高いことが伺えます。株価は52週高値圏で推移しており、テクニカル的には上昇モメンタムが強い状況にありますが、この点は投資検討において留意すべき点となりえます。
企業情報
| 銘柄コード | 7326 |
| 企業名 | SBIインシュアランスグループ |
| URL | https://www.sbiig.co.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 金融（除く銀行） – 保険業 |
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