1. 企業情報
ジーエヌアイグループは、東京証券取引所グロース市場に上場するバイオベンチャー企業です。主に医薬品の研究開発、製造、販売を手掛ける「医薬品事業」と、医療機器の製造販売を行う「医療機器事業」を展開しています。特に、中国と米国に研究開発拠点を持ち、国際的な事業展開を進めています。主力製品は特発性肺線維症治療薬「アイスーリュイ(Etuary)」で、遺伝子解析分野への取り組みも見られます。2024年12月期の連結事業比率では、医薬品事業が78%、医療機器事業が22%を占めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ジーエヌアイグループは、バイオ医薬品業界に位置しており、特に中国市場における特発性肺線維症治療薬「アイスーリュイ」で高いシェアを占めています。この主力製品は、同社の主要な収益源となっています。また、肺線維症の後続薬開発や、米国での人工骨を含む医療機器事業への進出も図られており、事業領域の拡大を進めています。
バイオ創薬ベンチャーとして、革新的な医薬品の開発力が競争優位性となりますが、新薬開発には長い時間と多額の投資が必要であり、臨床試験の成否が事業に大きな影響を与えるという特有の課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
ジーエヌアイグループは、創薬パイプラインの拡充とグローバル展開を経営戦略の柱としています。医薬品事業においては、主力薬「アイスーリュイ」の適応拡大や、後続薬の開発を推進しています。具体的には、ニンテダニブの販売開始、CIP(免疫関連肺炎)の適応拡大に向けた臨床試験申請、アダプティブ・デザイン第2/3相臨床試験の開始などが予定されています。また、F351(B型肝炎起因の肝線維症治療薬候補)の第3相臨床試験完了や、MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)起因の肝線維症の第2相臨床試験開始も計画されています。
さらに、Cullgen Inc.との戦略的提携により、新たな作用機序を持つ医薬品(TRK分解剤、悪性血液腫瘍治療薬など)の開発も進めています。
医療機器事業では、Berkeley Biologics LLCやBerkeley Advanced Biomaterials LLCとの連携を通じて、皮膚や骨由来の再生医療関連製品の開発・販売を推進しており、大口受注を獲得するなど事業拡大を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
ジーエヌアイグループの事業モデルは、新薬開発を中心としたバイオ創薬に深く依存しています。このモデルは、成功すれば高い収益性が期待できる一方で、開発リスクが高いという特性を持っています。
主力製品である中国での「アイスーリュイ」が高シェアを維持していることは、安定的なキャッシュフローの基盤となりますが、新たな収益源を確保するためには、現在進行中のパイプラインの成功が不可欠です。医療機器事業も展開することで、事業ポートフォリオの多角化を図り、リスクの分散に努めています。
市場ニーズの変化への適応力としては、肝線維症や肺線維症などのアンメットメディカルニーズが高い領域に注力しており、今後の開発進展が期待されます。しかし、臨床試験の進捗や承認の有無が事業の持続性に大きく影響する点は認識しておく必要があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、創薬ベンチャーとして高い技術開発力を有しており、複数の革新的な医薬品候補を開発しています。
主力製品・開発パイプライン:
- Etuary(アイスーリュイ): 特発性肺線維症治療薬。中国での高シェアを維持し、結合組織病関連間質性肺疾患(第III相臨床試験)、放射線肺臓炎(第III相臨床試験パイロットスタディ)、糖尿病性腎症の治療薬としても臨床試験が進められています。
- F351: 肝線維症治療薬。B型肝炎起因の肝線維症に対する治療薬候補として第III相臨床試験が完了しており、MASH起因の肝線維症に対する第2相臨床試験も開始予定です。
- F573: 急性慢性肝不全治療薬。第II相臨床試験が進められています。
- Tamibarotene: 急性前骨髄球性白血病治療薬。
- AVALONBO PAG MALEATE TABLET(アバトロンボパグマレイン酸塩錠): 血小板増加症治療薬として中国で販売開始。
- Cullgen Inc.との提携: 新しい創薬プラットフォーム技術を活用し、TRK分解剤(CG001419)の第1/2相臨床試験を中国で開始し、悪性血液腫瘍治療薬(CG009301)もIND承認を受けています。
医療機器事業:
皮膚由来製品「Accelloderm」や骨由来製品「D-fiber」など、再生医療関連の製品開発も手掛けています。
6. 株価の評価
現在の株価2968.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 12.35倍 (株価2968.0円 ÷ 予想EPS240.28円)
* PBR(実績): 4.37倍 (株価2968.0円 ÷ 実績BPS679.05円)
2025年12月期第1四半期の決算では親会社所有者に帰属する四半期利益が△530百万円、1株当たり四半期利益が△10.57円と赤字となっていますが、会社全体としては2025年12月期で連結業績として売上収益28,733百万円、親会社株主に帰属する当期利益12,058百万円、1株当たり当期利益240.42円の予想を出しています。この通期予想EPSに基づくと、PERは12.35倍となり、一般的なグロース企業やバイオ企業と比較して妥当な水準か、あるいは成長性を考慮すると割安と判断される可能性もあります。PBRは4.37倍と高めであり、これは今後の成長期待を織り込んでいると解釈できます。
7. テクニカル分析
現在の株価2968.0円は、直近10日間の株価推移を見ると、3000円台からやや下落し、2900円台後半で推移しています。
* 年初来高値: 4,410円
* 年初来安値: 1,469円
現在の株価は、年初来高値と安値の中間よりやや低い水準に位置しています。
* 50日移動平均線: 3,374.08円
* 200日移動平均線: 2,996.07円
現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線のいずれも下回っており、短期および中期的なトレンドでは下降基調にあると見ることが可能です。
8. 財務諸表分析
売上と利益の推移:
- 売上収益: 過去数年(2021年~2023年)は増加傾向にあり、特に2023年には260億円超と大きく伸びました。しかし、直近の過去12か月データでは236億円に減少しています。
- 粗利益: 売上収益の傾向と同様に推移しています。
- 営業利益・税引前利益・純利益: 2023年12月期に大きく改善し、高水準の利益を計上しました。しかし、過去12か月データでは大幅に減少し、特に直近2025年12月期第1四半期では営業利益△772百万円、親会社に帰属する四半期利益△530百万円と赤字に転落しています。これは、販売活動関連費用の増加、研究開発費の増加、為替差損の増加、及び「自社株価予約取引に係る清算による差金損失」が主な要因と説明されています。
キャッシュフロー:
- 営業活動によるキャッシュ・フロー: 過去12か月間で-3.1B、また2025年12月期第1四半期も△287,784千円とマイナスが続いており、本業での現金創出力が課題となっています。
- 投資活動によるキャッシュ・フロー: 2025年12月期第1四半期は1,151,496千円とプラスになっていますが、これは投資有価証券の売却に伴うものと推測されます。
財務安全性と効率性:
- 自己資本比率: 実績で50.7%(2025年12月期第1四半期末で50.1%)と、バイオ企業としては比較的健全な水準を維持しています。
- ROE(実績): 3.13%と低い水準にあります。過去12か月では-7.04%と赤字になったことでさらに悪化しています。
- 総資産: 2025年12月期第1四半期末で680億円と、前期末から減少しています。
全体として、過去数年で売上を伸ばしてきたものの、直近では高水準の研究開発投資や偶発的な損益により、利益面では不安定さが見られます。しかし、会社は2025年12月期通期で大幅な売上収益の増加と営業利益、当期利益の黒字転換を予想しており、今後の業績回復に期待が持たれています。
9. 株主還元と配当方針
ジーエヌアイグループの配当利回り(会社予想)は0.00%、1株配当(会社予想)も0.00円です。これは、現時点では株主への配当を行っておらず、事業成長のための研究開発投資やパイプライン拡充に資金を優先的に投入している成長ステージの企業であることを示唆しています。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する明確な記載は、今回の情報からは確認できませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、小幅な変動はあるものの、大きな方向感のない推移を見せています。年初来では63.49%の上昇を示しており、これはS&P 500の同時期の上昇率(18.63%)を大きく上回っており、投資家の関心が高かった時期があったことを示唆しています。
現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線を下回っており、短期・中期的に売り圧力が優勢な状況です。
信用買い残が600万株以上と多い一方で、信用売残は145万株程度であり、信用倍率は4.15倍と買い残が優勢です。これは、将来の株価上昇を期待する投資家が多い可能性を示す一方、将来の需給悪化(信用買いの投げ売り圧力)のリスクも内包していると見ることができます。
株価への影響を与える主要な要因としては、新薬開発パイプラインの臨床試験の進捗状況と結果、各国での承認取得状況、主力製品の販売状況、および企業が発表する業績予想の達成度合いなどが挙げられます。
11. 総評
ジーエヌアイグループは、中国と米国に開発拠点を持ち、医薬品と医療機器の二つの事業セグメントを展開するバイオ創薬ベンチャー企業です。特に中国での特発性肺線維症治療薬「アイスーリュイ」で高い市場シェアを有し、安定的な収益基盤を構築しています。同時に、複数の臨床段階にあるパイプラインを持ち、肝線維症や血液腫瘍など、アンメットメディカルニーズが高い領域での新薬開発にも積極的に取り組んでいます。
財務面では、過去数年で売上が成長してきたものの、直近の2025年12月期第1四半期では、研究開発費の増加や偶発的な会計上の損失により、営業利益・純利益ともに赤字となっています。これにより、ROEはマイナスに転じ、営業キャッシュフローも流出傾向が続いています。一方、自己資本比率は比較的健全な水準を保っています。
株価は年初来で大きく上昇しましたが、直近では移動平均線を下回る水準で推移しており、調整局面にあると見られます。PERは会社発表の通期予想に基づくと12倍台と妥当な水準ですが、PBRは高めであり、今後の成長期待が織り込まれていると解釈できます。
同社は現在、利益を成長投資に充てる方針であり、配当は行っていません。今後の株価動向は、主力製品の販売動向に加え、進行中の治験結果や新規パイプラインの成功、提携戦略の進展に大きく左右されると考えられます。
企業情報
銘柄コード | 2160 |
企業名 | ジーエヌアイグループ |
URL | http://www.gnipharma.com |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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