サンケン電気(証券コード: 6707)企業分析レポート
株価: 8,683円(2025-08-08終値) / 市場: 東証プライム / 業種: 電気機器(半導体)
1. 企業情報
- 概要:
- パワー半導体・アナログICの開発・製造・販売。主力は自動車向け(車載PMIC、モータドライバ、電源向けディスクリート/MOSFET/IGBT)。家電・産機向けも展開。
- 連結事業構成(売上比率の目安): パワーモジュール45%、パワーデバイス40%、センサー等15%。海外売上比率約73%(2025/3期)。
- 2024年に米Allegro MicroSystemsの一部株式売却・持分法化、Polar Semiconductorへの出資方針変更により、従来連結対象だった収益が外れ売上が大幅減少。
- 会社基礎:
- 設立: 1946年 / 本社: 埼玉県新座市 / 従業員: 3,312人
- 代表者: 代表取締役社長CEO 高橋 広
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- 国内のパワー半導体大手の一角。車載・白物家電・産機への量産供給実績と長期の取引関係を持つ。
- 競合: グローバルではInfineon、STMicro、onsemi、Texas Instruments等、国内ではローム、三菱電機、富士電機、東芝デバイス等。
- 競争優位性と課題:
- 優位性: 車載向けの品質・信頼性要件に対応した設計・後工程の量産対応力、電源/モータ制御でのアナログ・パワー融合技術。
- 課題:
- 2025/3期は構造変化(Allegroの持分化、事業再編)で売上規模が縮小、営業赤字。
- 技術転換(Si→SiC/GaN)への投資・製品化スピード、価格交渉・原価低減の徹底が必要。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/戦略(2024年中期経営計画の方針):
- 最優先課題を「収益性改善」と位置づけ、新製品売上比率の引上げ、適正売価の獲得、原価改善を推進。
- CxO体制導入、DX・ESGの推進。
- 具体施策:
- ポートフォリオ再編: スイッチング電源製品事業からの撤退、後工程の生産再編(希望退職等の実施)。
- コーポレートアクション: Allegro株の一部売却・持分法化、Polar Semiconductorへの投資スキーム見直し。
- 技術強化: GaNエピタキシャル技術を有するパウデックを2025/4/1に取得(2025/10/1吸収合併予定)。GaNパワーデバイスでの競争力強化を狙う。
- 業績見通し(会社計画・2026/3期):
- 売上高 892億円、営業利益 4億円、経常損失 12億円、最終損失 44億円(為替想定: 1ドル=145円)。
- 一時費用(再編費用等)発生を見込む。2027/3期以降の収益性改善を目標とする方針。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- 車載は設計採用~量産までのリードタイムが長く、量産期は継続性が高い一方、景気後退や在庫調整の影響は受ける。
- 適応力:
- 事業撤退・生産再編などの構造改革で損益分岐点の引下げを図る方針。
- 次世代パワー(GaN中心、SiC動向にも留意)への布石。新製品比率引上げでミックス改善を狙う。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発:
- パワー半導体(MOSFET/IGBT)、アナログ電源IC、モータドライバに注力。GaNエピ成長技術を内製化方向で強化(パウデック買収)。
- 主力・収益源:
- 車載向けPMIC/モータドライバ、電源用ディスクリート/モジュール。産機・家電向けの電源/モータ制御ICも貢献。
6. 株価の評価
- バリュエーション指標(参考):
- 時価総額: 約2,179億円
- BPS(実績・連結): 6,371.74円 → PBR約1.36倍(業界平均PBR 1.6倍)
- 会社予想EPS(連): -190.16円 → 予想PERの算出は不可(赤字見通し)
- TTM EPSは一時的要因で大幅プラス(投資有価証券売却益等の影響)。恒常収益力を表しにくく、PERの参考性は限定的。
- 参考P/S(TTM): 売上/株 約5,060.92円 → P/S約1.7倍
- 位置付け:
- PBRは業界平均を下回る一方、業績は再編中で、今期会社計画は最終赤字見込み。一時益を除いた収益力の回復度合いが評価の焦点。
7. テクニカル分析
- トレンド:
- 50日移動平均: 約8,248円、200日: 約6,845円。株価は両線上で上昇トレンド基調。
- 位置:
- 年初来高値: 9,040円、年初来安値: 5,640円。現在値8,683円は高値圏に近い水準。
- 節目:
- レジスタンス: 9,040円近辺。
- サポート: 8,250円(50日線近辺)、6,850円(200日線近辺)。
- 需給:
- 信用倍率1.21倍(買い残11.4万株・売り残9.4万株)。直近は売り残減少、やや買い優位に傾斜。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、百万円)
- 売上高: 121,619(2025/3期、前年比-48.3%)
- 営業損益: -3,788(前期 19,539の黒字)
- 経常損益: -14,276
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 50,934(投資有価証券売却等の一時要因によるプラス)
- 収益性指標
- 営業利益率: -3.1%(前期 8.3%)
- ROE(実績): 38.18%(一時益の影響)
- ROA(過去12か月): -0.74%(営業赤字や資産縮小の影響を反映)
- キャッシュフロー
- 営業CF: -97.1億円(棚卸資産増加が主因)
- 投資CF: +980.5億円(投資有価証券売却による資金回収)
- 財務CF: -478.9億円(借入金等の純減、自社株取得等)
- 期末現金同等物: 607.4億円(前期比+126.3億円)
- 財政状態
- 自己資本比率: 56.9%(前期 31.1%から改善)
- 負債/資本(D/E): 約42.7%(総有利子負債631億円、現金514億円)
- 流動比率: 2.52倍
- 過去推移(売上/営業利益)
- 2022/3: 売上 175,660 / 営業益 13,720
- 2023/3: 売上 225,387 / 営業益 26,157
- 2024/3: 売上 235,221 / 営業益 19,539
- 2025/3: 売上 121,619 / 営業損失 3,788
- 直近は連結範囲の変更と再編影響で大幅減収・営業赤字。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:
- 2024/3期: 年間15円
- 2025/3期: 年間0円(無配)
- 2026/3期(会社予想): 年間0円(無配継続予定。再編に伴う一時費用および最終赤字見通し)
- 2027/3期の復配は収益性改善の見通しに応じて検討。
- 自己株式:
- 自己株式取得を実施(上限600万株・300億円)。自己株保有比率は7.52%。
- 配当性向/利回り:
- 現状無配。5年平均利回り0.98%(参考)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:
- 直近10営業日、8,600〜8,700円台での推移が中心。50日線上でのもみ合いながら高値圏を維持。
- 52週騰落率 +37.4%。
- 出来高・関心:
- 3カ月平均出来高約14.8万株、直近10日平均約12.2万株。流動性は安定的。
- 機関投資家保有比率約63%と高め。再編と新技術(GaN)関連のニュースフローが関心材料。
11. 総評
- 2025/3期は、Allegroの持分法化・事業撤退/再編の影響で売上が大幅減少し、営業赤字。一方、投資有価証券売却益等により最終利益は大幅黒字となったため、TTMのEPS・ROEは一時的に高水準で、恒常的な収益力を示す指標としては限定的。
- 2026/3期会社見通しは最終赤字計画。スイッチング電源撤退、後工程再編、希望退職などの一時費用を織り込みつつ、損益分岐点の引下げと新製品比率拡大での収益回復を目指す。GaNエピタキシャル技術の内製化強化(パウデック買収)は中長期の競争力強化に資する施策。
- 財務面では自己資本比率が改善し流動性も確保。一方、営業CFはマイナスで、在庫是正と稼働率回復が重要。
- バリュエーションはPBR約1.36倍で業界平均PBR(1.6倍)を下回る。今後は構造改革の進捗、車載向け需要の回復ペース、GaN等の新製品展開が評価の焦点となる。
- テクニカル面では高値圏での推移。決算・再編進捗、需給(自己株買い動向や信用需給)の変化に留意。
企業情報
銘柄コード | 6707 |
企業名 | サンケン電気 |
URL | http://www.sanken-ele.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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