イリソ電子工業(6908)企業分析レポート
株価:2,811円(2025-08-08終値)
市場区分:プライム(電気機器)
時価総額:687.6億円
1. 企業情報
- 概要:コネクタ専業。車載用(モビリティ)が柱で、デジタル家電(コンシューマー)、産業機器(インダストリアル)向けも展開。カスタム製品比率が高い。海外売上比率84%(2026/3期1Q末時点の開示ベース)。
- 主な製品群:ボードtoボード、FPC/FFC、ワイヤーハーネス、ソケット、ピンヘッダ、I/O、カードエッジ、ESDプロテクタチップ等。ADASセンサー、パワートレイン(xEV含む)、インフォテインメント向けの車載用途や、家電・産機向けのコネクタを供給。
- 事業構成(連結、2025/3期):モビリティ86%、コンシューマー8%、インダストリアル6%。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内コネクタ大手の一角。車載分野への特化とカスタム対応力を強みとしており、設計段階から関与する“設計取り込み”(デザインイン)により取引の粘着性が高い傾向。
- 競争環境:自動車向けは高信頼性・耐環境性・品質保証体制が求められ、参入障壁は相対的に高い。他方、価格競争や顧客の原価低減要求、モデルサイクル変動への対応が課題。
- 海外展開:アジアを中心に欧州・北米にも供給基盤。地域分散と顧客分散によるリスク低減が進む一方、為替や貿易政策の影響を受けやすい。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性(開示情報より要約)
- モビリティ分野の深化:ADAS、インフォテインメント、高速伝送対応コネクタ、xEV向けパワートレインで需要を取り込む。
- コンシューマー・インダストリアルの回復/拡大:ゲーム機、FA機器、エネルギーマネジメント分野を機会領域として認識。
- 生産・品質体制の強化:ERP立上げ関連費用の反動減を経て、コスト/オペレーションの安定化を推進。
- 2026/3期見通し(会社計画)
- 通期:売上高5,500億円、営業利益55億円、当期純利益39億円を見込む(前期比増益計画)。
- 自己株式取得:2025/10/31期限、上限200万株の自己株買い(EPS等の資本効率改善効果を想定、業績予想に反映)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:カスタム・設計取り込み型の比率が高く、量産移行後の継続供給で収益を積み上げるモデル。車載は製品ライフが比較的長く、品質要求が高い一方、認定取得までのリードタイムは長い。
- 構造的な需要:xEV化・ADAS高度化・車内高速通信の進展はコネクタ点数や高機能化ニーズを押し上げる要素。
- 変化対応力:高速伝送・耐熱/耐振動等の要件対応やグローバル供給体制が鍵。為替・原材料・貿易政策の変動に対しては価格転嫁・生産分散・調達多元化が継続課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の方向性:高速伝送対応、車載環境での信頼性確保、小型・高密度実装、電源・信号双方の安定接続など。
- 主力領域:モビリティ(インフォテインメント、ADAS、xEVパワートレイン)、家電・産業機器。足元ではインフォテインメント向け高速伝送BtoBコネクタ、xEV向けパワートレイン分野が牽引。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 予想PER:15.39倍(業界平均24.2倍)
- 実績PBR:0.89倍(業界平均1.6倍)
- 予想EPS:182.64円
- 実績BPS:3,172.57円
- 配当(会社予想):1株110円(予想配当利回り3.91%)
- 予想配当性向(試算):110円 / 182.64円 ≈ 約60.2%
- EV/EBITDA(概算):EV ≈ 687.6億 + 有利子負債120.8億 − 現金243.7億 ≈ 564.7億円、EBITDA(LTM)約135億円 → EV/EBITDA ≈ 約4.2倍
- コメント:指標面ではPER・PBRとも業界平均を下回る水準。BPS対比の株価は約0.89倍。配当は会社計画ベースで利回り約3.9%、性向約60%と想定。なお一部データに「Forward Dividend 220円」の表記があるが、会社予想は110円(期末一括)であり、本分析は会社予想に基づく。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:株価2,811円は50日移動平均2,751円、200日移動平均2,678円を上回る推移。
- 52週レンジ:2,254円〜3,040円の中上位帯。直近高値(年初来3,030円)からは約7%下。
- 直近の値動き:8/1の2,953円を高値に反落基調で、8/5に出来高増(45.3万株)を伴う下落後、2,800円前後での保ち合い。
- ボラティリティ:5年β0.26と低位。10日平均出来高は3カ月平均を上回り、短期的な売買関心はやや上向き。
8. 財務諸表分析
- 売上高推移:43,863(2022/3)→ 52,903(2023/3)→ 55,271(2024/3)→ 56,332百万円(2025/3、過去12カ月同値)。中期的に増収。
- 利益推移:
- 営業利益:6,941 → 5,937 → 5,307百万円(2025/3)。2023年にピーク後、直近はやや下押し。
- 当期純利益:3,913 → 5,541 → 5,593 → 2,662百万円(2025/3)。2025/3期はERP関連費用等の一過性項目(特別損失等)の影響(Total Unusual Items △22.96億円)。
- マージン:
- 粗利率:約31.8%(2025/3)
- 営業利益率:過去12カ月ベースで約7.06%(参考指標)
- 純利益率:過去12カ月で約4.75%
- 効率性:ROE 3.63%(実績)、ROA 3.99%(LTM)。2026/3期は増益計画により改善余地。
- 財務安全性:
- 自己資本比率:77.3%
- 現金同等物:243.7億円、有利子負債:120.8億円(ネットキャッシュ基調)
- 流動比率:3.01倍
- 設備投資・減価償却:減価償却費約71.2億円(2025/3)、EBITDA約135億円(LTM)と、キャッシュ創出力は安定。
- 2026/3期1Q(前年同期比):売上+21.0%、営業利益+462.0%、純利益+37.4%。前期の一過性費用の反動や需要回復を確認。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2025/3期100円 → 2026/3期会社予想110円(期末一括)。予想利回り約3.91%。
- 配当性向(会社予想EPS前提):約60%。
- 自社株買い:上限200万株(期日2025/10/31)。既存の自己株式は約311万株。総還元の強化により、1株価値指標(EPS/BPS)へのポジティブ効果が想定される(業績予想に反映済)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期は高値圏からの調整局面。中期は200日線上での推移が続く。
- 信用動向:信用買残6.29万株(前週比▲1.89万)、信用倍率4.59倍。買い残の減少と売り残の増加(+1.4千)により、短期的には需給整理の動き。
- 関心材料:
- 需要面:インフォテインメント・xEV・FA/エネルギーマネジメント向けの需要回復。
- マクロ・政策:米国の関税政策、為替、原材料価格。
- 会社イベント:次回決算は適時開示スケジュールに依存(前回は2025/8/4に1Q発表)。配当の権利落ちは2026/3/30予定。
11. 総評
- 事業面:車載向けに強みを持つコネクタ専業で、xEV化・ADAS高度化・車内高速伝送といった構造的テーマに合致。コンシューマー・産機も回復傾向。
- 業績面:2025/3期は一過性費用で純利益が落ち込んだが、2026/3期は増益計画。1Qは増収増益で進捗を確認。
- 財務面:高い自己資本比率とネットキャッシュで財務健全性は高い。キャッシュ創出力も安定。
- バリュエーション:PER・PBRは業界平均を下回る水準。EV/EBITDAは4倍台。配当は利回り約3.9%、性向約60%(会社予想ベース)。
- 株価・需給:中期は長期移動平均線上で安定、短期は調整と需給整理。出来高は直近やや増加。
- 留意点:米関税政策、為替、原材料価格など外部要因の変動、車載市場のサイクル、価格転嫁の進捗が業績に影響。
本資料は公開情報に基づく企業分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。記載の数値は会社開示および提示データに基づきますが、一部に相違が見られる指標(配当データ等)があるため、投資判断に際しては最新の公式開示をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 6908 |
企業名 | イリソ電子工業 |
URL | http://www.iriso.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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