近鉄グループホールディングス(9041)企業分析レポート
株価:2,910円(2025/08/12終値)
市場:東証プライム/33業種: 陸運業/17業種: 運輸・物流
時価総額:5,548億円
1. 企業情報
- 事業概要
- 関西・中京圏を中心に国内最大の営業キロを誇る私鉄を核に、バス・タクシー等の運輸、不動産(販売・賃貸・再開発)、国際物流(航空・海運フォワーディング、3PL等)、流通(百貨店・駅ナカ・小売)、ホテル・レジャー(Miyako Hotels & Resorts、リゾート)など多角展開。
- 連結事業構成(2025/3期):運輸12%、不動産8%、国際物流46%、流通12%、ホテル・レジャー20%、その他2%(括弧内は利益寄与の目安:運輸16、不動産8、国際物流2、流通3、ホテル・レジャー4、その他5)。
- 歴史:1910年創業。2015年に持株会社体制へ移行。大阪市天王寺区に本社。
- 直近イベント
- 2026年3月期1Q決算発表:2025/08/08
- 権利落ち(予定):2025/09/29
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 私鉄として国内最長の路線網。大阪・奈良・三重・名古屋エリアを貫く広域ネットワークと、駅・不動産・商業・ホテルまで一体運営できるスケールは業界最大級。
- 国際物流(KWEを中心とするグローバル・フォワーディング)が売上面で最大セグメント。
- 競争優位性
- 広域鉄道ネットワークと駅周辺不動産・商業・ホテルの垂直統合による集客循環(トラフィック×沿線価値向上×商流)。
- インバウンド需要の取り込み余地(ホテル・百貨店・駅ナカ・観光輸送)。
- 課題
- 国際物流は外部環境(運賃・需給・為替)の影響が大きく、売上比重に比して利益貢献が相対的に小さい構造。
- 設備集約・負債多めの財務構造(自己資本比率22.0%、D/E約201%)と、金利上昇・エネルギー価格・為替などの外部変動への感応度。
3. 経営戦略と重点分野
- 1Q決算で示された重点
- 運輸:大阪・関西万博関連の旅客増、名阪特急の増発、インバウンド需要の取り込みで増収増益(売上+5.7%、利益+11.1%)。
- 不動産:マンション販売進捗で増収増益(売上+8.0%、利益+4.6%)。
- 流通:万博オフィシャルストア好調、駅ナカ人流回復で増収増益。
- ホテル・レジャー:インバウンド堅調で増収増益。
- 国際物流:欧州低迷やシステム障害で減収・大幅減益。
- 組織再編:人材派遣を「その他」へ区分変更。
- 通期見通し(据え置き)
- 営業収益1兆8,800億円(前期比+7.9%)、営業利益880億円(+4.3%)、経常利益780億円(-4.3%)、純利益480億円(+2.7%)、EPS 252.40円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 鉄道・不動産・商業・ホテルを結節する沿線総合モデルで安定性を確保しつつ、国際物流がトップラインを押し上げる構図。
- 変化対応力
- インバウンド・大型イベント(大阪・関西万博)を機動的に取り込む施策(増発、店舗・ホテル運営強化)。
- 一方、国際物流はグローバル景気・運賃サイクルの影響を受けやすく、収益の振れに留意が必要。
- 財務面
- 自己資本比率22.0%と設備産業として一般的な水準ながら、総債務1.23兆円、支払利息増加など金利感応度に注意。
5. 技術革新と主力製品・サービス
- 技術・運営
- 鉄道:名阪特急の増発など運行ダイヤ・サービス改善を継続。
- 物流:国際フォワーディング・3PLを基盤にIT/システムの強化(1Qはシステム障害影響が示唆)。
- 収益牽引
- 売上面では国際物流が最大。利益面は運輸の貢献が相対的に大きい。ホテル・レジャー、流通はインバウンド恩恵が持続。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(連結、会社予想・実績)
- PER:11.53倍(業界平均13.9倍)
- PBR:1.02倍(業界平均1.0倍)
- EPS(会社予想):252.41円
- BPS(実績):2,863.16円
- 配当利回り(予想):2.06%(年60円)
- 参考EV/EBITDA(LTMベースの概算):約9.3倍
- 試算根拠:EV ≒ 時価総額5,548億円 +(有利子負債1.23兆円−現金2,214億円)=約1.56兆円、EBITDA約1,684億円
- コメント
- 収益バリュエーションは同業平均PER比でやや低位、PBRは概ね帳簿価値近傍。配当は予想ベースで約2.1%。
- 予想配当性向(単純計算):約23.8%(60円÷EPS 252.4円)。開示のトレーリング配当性向は20.35%。
7. テクニカル分析
- トレンド・水準
- 現在値:2,910円
- 50日移動平均:2,776.7円(現値は約+4.8%上)
- 200日移動平均:3,119.1円(現値は約-6.7%下)
- 年初来高値:3,470円(現値は約-16.1%)
- 年初来安値:2,630円(現値は約+10.7%)
- 足元の値動き
- 直近10営業日で2,833.5円→2,910円と小幅上昇。一方、決算後の高出来高(本日出来高178.9万株、3カ月平均の約2倍)で短期反落。
- 中期は200日線下で推移、短期は50日線上に復帰したレンジ内の動き。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、円)
- 売上高(LTM):1兆7,417億(前期1兆6,295億)
- 営業利益(LTM):844億(前期874億)
- 親会社株主純利益(LTM):467億(前期478億、2023/3期は887億)
- 営業利益率(LTM):約5.1%
- 当期純利益率(LTM):約2.6%
- EBITDA(LTM):1,766億(前期1,641億)
- 1Q(2026/3期)
- 売上:4,276.9億(+1.8%)
- 営業利益:219.9億(+1.0%)
- 経常利益:207.3億(-6.8%)…為替差損や利息増
- 純利益:107.8億(-15.1%)
- 減価償却費:185.3億、のれん償却:8.1億
- 効率・安全性
- ROE(実績):8.79%、ROA(LTM):2.14%
- 自己資本比率:22.0%(前期末21.7%)
- 流動比率:約1.01
- 総債務:1.23兆円、ネット利払い費はマイナス(支払利息超過)
- セグメント動向(1Q)
- 利益貢献:運輸が最大、次いでホテル・レジャー、不動産、流通、その他、国際物流。
- 国際物流は外部環境要因で減益幅が大きい。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期実績:年間50円
- 2026/3期会社予想:年間60円(期末30円)
- 予想配当利回り:約2.06%(株価2,910円)
- 配当性向:トレーリング20.35%、予想ベースの単純計算で約24%
- 自社株買い等
- 決算短信・提供情報からは追加の自己株式取得方針は不明。自己株式は約49.3万株(期末)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 短期:決算後に出来高増で反落、直近は2,900円台でのもみ合い。
- 中期:200日線下での推移が続く一方、50日線は上回る。
- 需給
- 信用買残:112.97万株(前週比-14.68万株)、信用売残:12.92万株(+5.67万株)、信用倍率8.74倍。買い残の調整と売り残の増加が進行。
- 価格ドライバー(情報ベース)
- インバウンド・万博関連の需要、国際物流の市況・為替、金利動向(利払い増減)、マンション販売進捗など。
11. 総評
- 事業ポートフォリオは、沿線総合(運輸・不動産・商業・ホテル)による安定性と、国際物流の成長性を併せ持つ一方、物流は外部環境の影響を受けやすく、1Qでも減益が顕在化。
- 財務は自己資本比率22%・D/E約201%と負債活用が大きく、金利・為替・エネルギー価格の変動が損益やキャッシュフローに影響しやすい。1Qの経常・純利益減は営業外・特別要因の影響が示唆。
- バリュエーションはPERで業界平均比ややディスカウント、PBRはほぼ簿価水準。配当は増配予想で利回り約2%。短期的には決算を契機とした出来高増・反落、テクニカルは50日線上・200日線下のレンジ局面。
- 今後は、万博・インバウンドの取り込み、国際物流の収益性回復、金利上昇環境下での資本コストと投資・返済バランス、沿線再開発・不動産販売の進捗が注目点。
(注)本資料は公開情報に基づく客観的な企業分析・指標整理を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。不明点は記載を省略しています。
企業情報
銘柄コード | 9041 |
企業名 | 近鉄グループホールディングス |
URL | http://www.kintetsu-g-hd.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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