岩谷産業(8088)企業分析レポート

株価: 1,589円(2025-08-13終値)/ 市場区分: プライム

1. 企業情報

  • 概要: 産業・家庭向けのガスとエネルギーを中核に、産業ガス・機械、マテリアルの3本柱で展開。LPガスで国内首位クラス。水素・ヘリウムなどの特殊ガス、ガス供給設備、溶接・FA機器、機能性フィルム、レアアース、バイオマス燃料、樹脂・ステンレス等まで幅広く扱う総合商社機能を持つ。1930年創業、本社は大阪。
  • 事業構成(連結、売上構成比・セグメント利益率の参考):
    • 総合エネルギー: 43%(営業利益率目安5%)
    • 産業ガス・機械: 31%(6%)
    • マテリアル: 23%(6%)
    • その他: 4%(6%)
  • 海外展開: アジア、北米、豪州など。海外売上比率16%(2025.3)。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:
    • LPガス: 国内首位グループとしての供給網・顧客基盤、保安・設置・機器販売までの垂直統合が強み。
    • 産業ガス: 空気分離ガスに加え、ヘリウム・水素など特殊ガスに展開。水素ステーション運営など水素インフラで国内有数のプレゼンス。
    • マテリアル: レアアース、機能性フィルム、バイオマス燃料等の分野で原材料から用途開発までをカバー。
  • 競争環境と課題:
    • エネルギー: LPガスは電化・省エネ進展で需要構造が長期的に変化。原料・為替の変動リスクが利益を左右。
    • 産業ガス: ヘリウムなど特殊ガスは国際市況の影響が大きく、調達安定性・価格転嫁が課題。国内ではタイヨー日酸、エア・ウォーター等の大手と競合。
    • 水素: 社会実装の進捗(規制・補助、需要家の拡大)次第で収益化のスピードが左右。初期投資・運営コストの負担が課題。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略: 中計「PLAN 27」に基づき、「社会課題解決」と「持続的成長」を両立。脱炭素・水素エネルギー社会の実現に向けた事業拡大を推進。
  • 重点施策(最近のトピック):
    • 水素事業の拡大(ステーション運営、供給網整備等)。
    • LPガス事業の効率化・高付加価値化(Ene-Farm、GHP、保安・機器提案)。
    • マテリアルのポートフォリオ拡充(レアアース、バイオマス燃料、樹脂・ステンレス等)。
    • タイにおけるM&A(自動車・精密部品の金属プレス加工)で海外製造領域に進出。
    • 2025年7月に東京本社資産を譲渡、第2四半期に固定資産売却益112.96億円を特別利益計上予定。
    • 2024年3月にコスモHDを持分法適用会社化(持分損益の変動に留意)。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益特性:
    • LPガス・産業ガスはストック性・継続性が高く、機器・保安・サービスを通じた付帯収益あり。
    • 一方で、原料価格・為替・市況(特にヘリウム)が利益変動要因。
  • 適応力:
    • 水素・再生可能エネルギー、バイオマス燃料など脱炭素領域への拡張で構造変化に対応。
    • セグメント分散により単一市況への依存度を抑制。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・独自性: 水素供給・ステーション運営、空気分離・高圧ガス供給設備、安全・保安技術などで実績。特殊ガスの取り扱いと供給網に強み。
  • 主力商材・収益ドライバー:
    • 総合エネルギー: LPガス(家庭・業務・産業)、エネルギー機器(Ene-Farm、GHP等)、電力等。
    • 産業ガス・機械: 空気分離ガス、水素・ヘリウム、溶接・切断機器、FA・半導体関連装置。
    • マテリアル: 機能性フィルム、レアアース、バイオマス燃料、樹脂、ステンレス等。
  • 市況動向の影響: 1Qはヘリウム市況軟化、LPガス市況変動で収益性に逆風。一方、レアアース・バイオマス・樹脂・ステンレスは堅調。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 指標(会社予想ベース)
    • 株価: 1,589円
    • EPS(会社予想): 212.05円
    • PER: 7.49倍
    • BPS: 1,641.29円
    • PBR: 0.97倍
    • 配当: 年間47円(予想)、配当利回り約2.96%、配当性向約26.7%
  • 業界平均との比較(商社・卸売)
    • 業界平均PER: 12.1倍 → 同社PERはこれを下回る水準。
    • 業界平均PBR: 1.0倍 → 同社PBRは概ね同水準。
  • 参考計算(目安)
    • 業界平均PER12.1倍をEPS212.05円に適用した参考株価: 約2,565円
    • PBR1.0倍の参考株価: 約1,641円
    • 益回り(予想EPS/株価): 約13.4%
  • EV/EBITDA(参考)
    • 時価総額約3,722億円、純有利子負債約1,773億円(有利子負債2,072億円−現金299億円)よりEV約5,495億円。
    • EBITDA(LTM)約751億円 → EV/EBITDA約7.3倍。

7. テクニカル分析

  • トレンド指標:
    • 50日移動平均: 1,540.93円
    • 200日移動平均: 1,607.06円
    • 現在値は50日線上、200日線下。中期は保ち合い〜戻り試しの局面。
  • 価格レンジ:
    • 年初来高値: 1,846円、年初来安値: 1,166円
    • 現在値は高値比約-14%、安値比約+36%。
  • モメンタム・需給:
    • 直近10日: 1,540〜1,645円のレンジで推移。直近は1,561円から反発して1,589円で引け。
    • 出来高: 当日135.7万株と3カ月平均(約71.7万株)を上回る。短期的な関心上昇が示唆。
    • 信用動向: 信用倍率14.72倍、買残は前週比減少(-42.1千株)、売残はやや増加。短期は買い長の需給。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益(連結)
    • 売上高(億円換算): 2022/3 69,039 → 2023/3 90,626 → 2024/3 84,789 → 過去12か月 88,301
    • 営業利益: 2022/3 400.8 → 2023/3 400.4 → 2024/3 506.4 → 過去12か月 462.3
    • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2022/3 299.6 → 2023/3 320.2 → 2024/3 434.7 → 過去12か月 404.5
    • 1Q(2026/3期): 売上+4.5%、営業-23.7%、純利益-53.4%(LPガス市況・ヘリウム市況・持分法損益の影響)
  • 収益性・効率性
    • 営業利益率(LTM): 3.11%
    • 純利益率(LTM): 3.93%
    • ROE: 実績10.81%(別データLTM9.45%)
    • ROA(LTM): 3.29%
  • 安全性・資本
    • 自己資本比率: 44.3%(1Q時点44.7%)
    • D/E(総有利子負債/自己資本): 約53%
    • 流動比率: 1.26倍
    • 現金同等物: 約299億円、有利子負債: 約2,072億円
  • キャッシュフロー
    • EBITDA(LTM): 約751億円(別ソースでは約967億円の表示もあり)
  • セグメント動向(2026/3期1Q)
    • 総合エネルギー: 増収・減益(卸売数量減、市況要因)
    • 産業ガス・機械: 増収・減益(ヘリウム市況軟化、機械の一部出荷減)
    • マテリアル: 増収・増益(レアアース・バイオマス・樹脂・ステンレスが牽引)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当: 年間47円(中間23.5円・期末23.5円見込み)、予想配当利回り約2.96%
  • 配当性向: 約26.7%(予想)
  • 自己株式: 発行済の約1.66%を保有(足元の自己株買い実施の有無は不明)
  • 権利落ち日: 2025-09-29(予定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落率: -23.9%(ベータ0.38、相対的に低ボラティリティ)
  • 短期モメンタム: 直近は反発基調だが、200日線(1,607円)に接近。出来高は増加。
  • 注目イベント/要因:
    • 2026/3期2Qで本社資産売却益の特別利益計上予定。
    • LPガス・ヘリウム市況、為替の動向。
    • 水素関連の政策・補助、需要家の導入状況。
    • コスモHDの持分法損益の変動。
    • 次回決算発表(2025-08-08は実施済)、説明会資料の更新。

11. 総評

  • 事業面: LPガス・産業ガスの安定基盤に加え、水素・レアアース・バイオマスなど脱炭素・先端材料分野を拡大。足元はLPガス・ヘリウム市況や持分法損益の影響で1Qは減益。
  • 財務面: 自己資本比率約45%、D/E約53%とバランスは維持。EBITDA創出力は一定水準。
  • 株価評価: 予想PER約7.5倍、PBR約0.97倍。業界平均PER(12.1倍)と比べ低い指標水準。配当利回りは約3%で、5年平均(約1.6%)を上回る。
  • テクニカル: 50日線上・200日線下の中立圏。直近は出来高増を伴う戻り局面。
  • 主要リスク/注視点: エネルギー・特殊ガス市況、為替、政策動向(水素)、持分法損益、資産売却益の一過性、設備投資回収の進捗。

注記: 本レポートは公開情報に基づく一般的な企業分析であり、投資判断を目的とした助言ではありません。データは各所で期間定義が異なる場合があり、指標間の整合には留意が必要です。


企業情報

銘柄コード 8088
企業名 岩谷産業
URL http://www.iwatani.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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By シャーロット

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