個人投資家の皆様へ
1. 企業情報
株式会社レスターは、2009年に設立されたエレクトロニクス総合商社です。主に日本国内外でエレクトロニクス関連のトレーディング事業を展開しています。事業の中心は、半導体や電子部品の提供で、これに加えてLSIの設計・開発、受託信頼性試験サービスも手掛けています。また、映像・音響・通信・計測分野におけるエンジニアリングサービスの設計・建設・保守、太陽光発電を通じた再生可能エネルギー事業の運営・管理も行っています。決済端末の提供や電力コンサルティングサービス、さらには電子部品やモジュールなどの受託製造サービスも提供しており、多角的な事業展開が特徴です。2019年にはUKCHDとバイテックHDが統合し、2021年にはPALTEKを買収するなど、M&Aにより事業規模と領域を拡大してきました。2024年1月には商号をRestar Holdings CorporationからRestar Corporationに変更しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
レスターは、複数のM&Aを通じて事業領域を広げたエレクトロニクス総合商社として、業界内で確固たる地位を築いています。連結事業は「デバイス」(売上構成比約90%)が中心であり、半導体・電子部品流通において主要な役割を担っています。その他に「システム」(約8%)、「IT&SIer」(約2%)といった事業も展開しており、多様な顧客ニーズに対応しています。半導体市場全体は回復傾向にあるものの、EV(電気自動車)向けや産業機器向けの市場は、インフレや地政学的リスクの影響から低迷していると認識されており、同社のデバイス事業もこれらの市場動向の影響を受ける可能性があります。特定の市場シェアに関する数値データはありませんが、複数の企業統合により事業基盤を強化し、広範な製品・サービスを取り扱うことで競争力を維持していると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
レスターは「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」となることを経営ビジョンに掲げています。このビジョンのもと、情報と技術を通じて持続可能な発展を実現することを目指しています。
2025年5月に中期経営計画を見直し、従来の事業構造から「デバイスBU」「システムBU」「IT&SIerBU」の4つのビジネスユニット(BU)体制を確立しました。この新体制を通じて、事業のさらなる拡大と収益力の向上を目指しています。特にIT&SIerBU(PCIグループ)とのシナジー創出を推進し、精密機器・産業機器分野での案件獲得に注力するなど、高付加価値ビジネスへのシフトも図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
レスターの事業モデルは、多岐にわたるエレクトロニクス製品の流通を担う商社機能と、エンジニアリングサービス、再生可能エネルギー、ITソリューションといったサービス、製造機能によって構成されています。半導体や電子部品の流通は経済全体の景気変動や、個別の製品サイクルに大きく左右される特性がありますが、同社はM&Aによる多角化を進めることで、特定市場への依存リスクを分散しています。例えば、再生可能エネルギー分野やIT&SIer事業の強化は、市場ニーズの変化への適応力と収益源の多様化に寄与する可能性があります。しかし、売上高の大部分をデバイス事業が占めていることから、半導体市場やそれに影響される最終製品市場の動向が、引き続き同社の業績に大きな影響を与えると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社は、特定の画期的な技術開発を行っているというよりも、LSI設計・開発、電子部品の受託製造(EMS)、各種設備導入・保守といった技術サービスを通じて顧客ニーズに応え、主力事業であるデバイス事業の付加価値を高めていると考えられます。
主力製品・サービスは、売上高の9割を占める「デバイス」事業における各種半導体・電子部品です。これに加え、映像・音響・通信・計測分野のシステムソリューション、電力ソリューション、最近ではIT&SIer事業によるソフトウェア開発や産業用PC、半導体設計などのサービスが収益を牽引しています。これらの事業を通じて、エレクトロニクスのサプライチェーンにおいて不可欠な役割を担っています。
6. 株価の評価
レスターの株価の評価指標は以下の通りです。
* 現在の株価: 2,609.0円
* EPS(会社予想): 266.73円
* BPS(実績): 2,998.46円
* PER(会社予想): 9.78倍
* PBR(実績): 0.87倍
これらの数値と業界平均値を比較すると、以下の特徴が見られます。
* PER(9.78倍)は業界平均PER(12.1倍)と比較して低い水準にあります。
* PBR(0.87倍)は業界平均PBR(1.0倍)と比較して低い水準にあります。
これらの指標は、現在の株価が業界平均と比較して割安な水準にある可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価は2,609.0円です。
* 年初来高値:2,796円(2025年8月7日)、年初来安値:1,842円。
* 52週高値:2,982円、52週安値:1,842円。
* 50日移動平均線:2,570.72円、200日移動平均線:2,445.31円。
現在の株価は、年初来高値からは約7%下落しており、高値圏からはやや離れている状況です。しかし、年初来安値からは大きく上昇しています。また、50日移動平均線、200日移動平均線を依然として上回っている状態です。直近10日間の株価推移を見ると、8月7日の高値2,796円から本日(8月14日)の2,609円まで下落傾向にあります。現在の株価は、全体としては年初来の高値と安値の中間よりやや高い位置にあり、直近では調整局面にあると見ることができます。
売上高・利益の推移
- 売上高: 過去数年間で一貫して増加傾向にあります。(2022年3月期: 3,995億9,000万円 → 2023年3月期: 4,871億2,900万円 → 2024年3月期: 5,124億8,400万円 → 過去12か月/2025年3月期: 5,610億100万円)。
- 営業利益: 2022年3月期の75億8,800万円から、2023年3月期に144億2,300万円、2024年3月期に159億3,100万円と順調に増加していましたが、過去12か月では141億7,400万円とやや減少しています。
- 純利益: 2022年3月期から2024年3月期まで、59億5,700万円から70億400万円と比較的安定した推移を示していましたが、過去12か月では74億7,300万円と増加傾向にあります。
直近第1四半期(2026年3月期 第1四半期)の状況
売上高は1,335億2,900万円と前年同期比で1.4%減と微減にとどまりましたが、営業利益は16億4,100万円(前年同期比64.5%減)、経常利益は4億9,000万円(前年同期比86.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億4,800万円(前年同期比88.4%減)と大幅な減益となりました。これは、主要事業であるデバイスBUにおける車載向け需要の減速、産業機器分野の低調、EMS事業での特定の生産終息、為替変動、およびエコソリューション事業の競争激化が主な要因と説明されています。
収益性と安全性
- ROE(実績): 8.79% (過去12か月: 6.02%)。
- 自己資本比率(実績): 27.7% (直近四半期: 27.6%)。
自己資本比率は比較的安定していますが、商社としては特段高い水準ではありません。収益性を示すROEは、過去12か月では低下傾向にあります。
キャッシュフロー分析
直近の決算短信ではキャッシュフロー計算書の詳細は提供されていません。
9. 株主還元と配当方針
レスターは安定的な株主還元姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 4.79%
* 1株配当(会社予想): 125.00円
* 配当性向: 46.90%
会社予想の配当利回りは高水準であり、配当性向も約5割と株主への還元意欲が見られます。2025年3月期の期末配当は60.00円でしたが、2026年3月期は年間で125.00円(中間60.00円、期末65.00円)を予想しており、増配の傾向が見られます。
主要株主には自社(自己株口)が6.5%保有しており、自社株買いによる株主還元も選択肢に含まれている可能性があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、高値圏からやや下落する傾向が見られます。出来高は61,600株と比較的小規模ですが、比較的安定した推移です。
信用取引の状況を見ると、信用買残が62,500株に対し、信用売残が15,200株と、信用買いが優勢(信用倍率4.11倍)となっています。信用買い残が増加傾向にあることは、需給面で今後の株価の上値が重くなる可能性を示唆することもあります。
株価に影響を与える要因としては、主要事業であるデバイス事業が受ける半導体市場全体の動向に加え、特にEVや産業機器分野での需要動向が挙げられます。また、為替変動が業績に与える影響や、M&Aによる事業拡大とシナジー創出の進捗も投資家の関心を集める可能性があります。直近の第1四半期決算が大幅な減益となったことが、短期的な株価の調整要因となっている可能性も考えられます。
11. 総評
レスターは、M&Aを通じて事業領域を拡大し続けるエレクトロニクス総合商社です。半導体・電子部品を中核としながら、システムソリューション、IT&SIer、再生可能エネルギーといった多角的な事業展開を進め、持続可能性の確保と収益源の多様化を目指しています。
財務面では、売上高は増加基調にある一方で、直近の2026年3月期第1四半期決算では、特定の市場の低迷や為替変動、競争激化を背景に大幅な減益を計上しました。しかし、会社は通期の業績予想を据え置いており、今後の回復を見込んでいる可能性があります。PER、PBRといった株価指標は業界平均と比較して割安な水準にあります。
株主還元については、高水準の配当利回りと積極的な配当性向を示しており、株主への還元意欲が高いと評価できます。株価は直近で高値からの調整局面にあるものの、長期的な移動平均線は上回っており、大きく崩れている状況ではありません。
半導体市場の一部不透明感や特定の最終製品市場の低迷が課題となる一方、同社の中期経営計画で掲げられた新規事業分野におけるシナジー創出や、エレクトロニクス総合商社としての情報プラットフォーマー戦略の進捗が、今後の業績と株価を左右する重要な要素となるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 3156 |
企業名 | レスター |
URL | https://www.restargp.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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