株式会社レンゴー(3941)の企業分析レポートを以下の通りまとめました。
1. 企業情報
レンゴー株式会社は、1909年に創業し、1920年に設立された大阪に本社を置く企業です。主な事業内容は板紙・紙加工関連製品、軟包装関連製品、重包装関連製品の製造販売です。原紙から段ボール箱まで一貫生産しているのが特徴です。また、樹脂系の包装材も手掛けています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、パルプ・紙セクターに分類され、素材・化学業界に属しています。現在の代表者は川本 洋祐氏です。従業員数は25,011人で、平均年齢は41.9歳、平均年収は7,790千円です。
連結事業の構成比は以下の通りです(2025年3月期データに基づく2026年3月期第1四半期の情報を含むと推測されます)。
* 板紙・紙加工関連:52%
* 軟包装関連:18%
* 重包装関連:5%
* 海外関連:21%
* その他:4%
2. 業界のポジションと市場シェア
レンゴーは、日本の板紙・段ボール業界において最大手であり、板紙専業では首位、製紙業界全体では3位のポジションを確立しています。原紙から段ボール箱までを一貫生産する体制は、品質管理やコスト競争力において強みであると言えます。また、柔軟な素材である軟包装材や重包装材、工業樹脂製品など、多様な包装ニーズに対応できる製品ラインナップも有しています。
競争優位性としては、長年の歴史と培われた技術力、全国に広がる生産・販売ネットワーク、そして製品を多角化している点が挙げられます。一方で、板紙・段ボール事業においては、原材料価格(パルプ・古紙など)やエネルギーコスト、物流費の高騰が収益を圧迫する要因となる可能性があります。また、海外事業においては、欧州自動車産業の景気悪化が重量物段ボールの採算を悪化させるなど、各地域の経済状況が業績に影響を与える課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信では中期経営計画に関する直接的な記述は見られませんが、直近の取り組みから以下の点が経営戦略の方向性として推察されます。
* 事業ポートフォリオの強化と多角化: 2026年3月期第1四半期において、三井化学東セロ株式会社の株式を取得し連結子会社化したことにより、「軟包装関連事業」を強化している点が挙げられます。これは、今後の成長が見込まれる軟包装市場でのプレゼンス向上を目指す具体的な施策と考えられます。
* 収益構造の安定化: 製品価格改定を進めることで売上高の増加に寄与していますが、同時に固定費や物流費の上昇に対応し、利益率を確保していくことが課題となっています。
4. 事業モデルの持続可能性
レンゴーの事業モデルは、生活必需品から産業資材まで多岐にわたる分野で必須となる包装材を供給することで、安定した需要基盤を有しています。
* 強み:
* 一貫生産体制: 原材料調達から製品製造までを一貫して行うことで、品質管理の徹底とコスト効率の向上を実現しています。
* 幅広い製品ラインナップ: 段ボールだけでなく、軟包装、重包装、包装機械、機能性材料など多様な製品を提供することで、特定の産業分野の変動リスクを分散しています。
* 市場ニーズへの適応: Eコマース向けの包装システムや機能性・装飾性段ボールの開発など、市場の変化に対応した製品開発を行っています。
* 課題と適応力:
* 原材料価格・エネルギー価格の変動: これらは製造コストに直結するため、価格転嫁能力や効率化が重要となります。
* 物流費の高騰: 国内外での物流コストの上昇は、収益性を圧迫する要因であり、物流網の最適化や効率化が求められます。
* 海外事業のリスク: 各地域の経済状況や為替変動が海外事業の収益に影響を与える可能性があります。
三井化学東セロの連結子会社化は、成長分野への投資を通じて、事業モデルの多様化と持続可能性を高める動きと捉えられます。
5. 技術革新と主力製品
レンゴーは、包装の総合メーカーとして、幅広い製品と技術を提供しています。
* 主力製品・サービス:
* 板紙・段ボール製品: 段ボール原紙、板紙、チップボール、スマートディスプレイパッケージング、機能性・装飾性段ボール製品、Eコマース包装サポートシステムなど。
* 軟包装製品: フィルム包装、ラベル、セロハン、保存包装製品。特に、三井化学東セロの連結子会社化により、この分野の製品力強化が期待されます。
* 重包装製品: フレキシブルコンテナ、重包装ポリエチレン、クラフト紙袋、重量物段ボール。
* 包装機械: Eコマース包装システム、各種製函機、シーリングマシン、インクジェットプリンターなど、包装工程の自動化・効率化を支援する機械を提供しています。
* その他: 機能性材料、シーリング材料、不織布製品など。
* 技術開発の動向:
* 具体的な技術開発の中身に関する詳細な情報はありませんが、上記に挙げた多様な製品群の提供は、長年にわたる技術蓄積と研究開発の成果と考えられます。
* 環境意識の高まりを受け、リサイクル可能な素材や環境負荷の低い製品の開発も重要なテーマであると推測されます。
6. 株価の評価
現在の株価887.3円に対し、主要な株価指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 9.16倍
* PBR(実績): 0.48倍
* EPS(会社予想): 96.83円
* BPS(実績): 1,843.27円
* 配当利回り(会社予想): 3.38%
業界平均PER 9.5倍、業界平均PBR 0.5倍と比較すると、レンゴーのPERは業界平均とほぼ同水準であり、PBRは業界平均よりもやや低い水準にあります。これは、実績ベースの企業価値(BPS)に対して株価が比較的低く評価されている可能性を示唆しています。配当利回りは3%を超えており、安定した株主還元が行われている点は評価できる要素です。
7. テクニカル分析
直近の株価推移と各種移動平均線からテクニカル状況を判断します。
* 現在の株価: 887.3円
* 年初来高値: 922円
* 年初来安値: 673円
* 50日移動平均線: 820.13円
* 200日移動平均線: 821.60円
現在の株価887.3円は、年初来高値922円に迫る水準であり、比較的高い位置にあると言えます。しかし、年初来安値からは大きく上昇しています。50日移動平均線、200日移動平均線をともに上回って推移しており、中長期的な上昇トレンドを示唆しています。直近10日間の株価は、一時900円台に乗せる動きも見られましたが、その後は880円台で推移しており、堅調な動きが見られます。出来高は概ね安定していますが、株価が大きく動いた日には増加する傾向にあります。
8. 財務諸表分析
直近の決算短信(2026年3月期 第1四半期連結)と過去12ヶ月の財務指標から、状況を評価します。
* 売上高:
* 2026年3月期 第1四半期の売上高は249,399百万円で、前年同期比2.0%増と増収を達成しました。
* 過去12ヶ月の売上高は998.13B円です。
* 利益:
* 営業利益は10,375百万円(前年同期比14.4%減)、経常利益は10,483百万円(同20.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,002百万円(同57.1%減)と、増収ながらも減益となりました。
* 減益の主な要因は、板紙・紙加工関連事業における固定費・物流費の上昇、および海外関連事業における欧州自動車産業の景気悪化による営業損失が挙げられます。
* ただし、この四半期には三井化学東セロの連結子会社化に伴い、5,448百万円の「負ののれん発生益」を特別利益として計上しており、これは純利益の下支え要因となりました。
* 過去12ヶ月の純利益は20.98B円です。Profit Margin は2.10%、Operating Margin は4.16%です。
* キャッシュフロー: 決算短信ではキャッシュフロー計算書の作成は行われていません。
* 資産・負債・自己資本:
* 総資産は1,236,085百万円、純資産は493,719百万円です。
* 自己資本比率は37.0%で、前連結会計年度末から0.3ポイントの微減となりましたが、一定の財務健全性は維持しています。
* 総負債は455.46B円、総負債対自己資本比率 (Total Debt/Equity) は92.25%です。
* 流動比率 (Current Ratio) は1.16です。
* 収益性・効率性指標:
* ROE(実績)は6.52%、ROA(実績)は1.81%です。過去12ヶ月のROEは4.68%、ROAは1.81%です。
* これらの指標は、増収に対して利益率が圧迫されている現状を反映していると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
レンゴーは、安定した株主還元を目指していると考えられます。
* 配当実績と予想:
* 2025年3月期の年間配当は15.00円でした。
* 2026年3月期の年間配当は30.00円を予定しており、配当予想は増配となる見込みです。
* 現在の株価に基づく配当利回り(会社予想)は3.38%と比較的高水準です。
* 配当性向:
* 過去12ヶ月のPayout Ratioは25.65%と比較的低い水準にあります。
* 会社予想のEPS 96.83円と1株配当30円を基に計算すると、配当性向は約30.98%となり、業績に応じて適切な水準で配当を支払う方針と見られます。
* 自社株買い: 提供された情報に直近の自社株買いに関する発表や計画は明記されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
レンゴーの株価は、直近で堅調な動きを見せています。
* 株価モメンタム: 年初来安値から上昇し、現在は年初来高値に近づく水準で推移しており、中長期的なトレンドは上昇傾向にあると考えられます。50日および200日移動平均線を上回っていることも、その傾向を支持しています。
* 出来高: 直近10日間の出来高は概ね70万~180万株程度で推移しており、一定の取引流動性があります。特に8月5日には335万株を超える出来高が見られました。
* 信用取引: 信用買残が1,604,700株に対し、信用売残は177,100株と、買残が売残を大きく上回っています(信用倍率9.06倍)。ただし、直近一週間で信用買残・売残ともに減少しており、短期的な需給バランスは変動している可能性があります。
* 株価への影響要因:
* 決算発表: 直近の第1四半期は減益決算でしたが、通期業績予想は増益を見込んでおり、今後の見通しが注目されます。
* 原材料価格・物流費: これらのコスト変動は利益に直接影響するため、今後の動向が継続して注目されます。
* 海外景気: 特に欧州の自動車産業など、海外事業の展開地域の経済状況も株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
レンゴーは、日本の板紙・段ボール業界の最大手として、強固な事業基盤と一貫生産体制を持つ安定した企業です。軟包装関連事業の強化など、事業ポートフォリオの多様化を進めることで、持続的な成長を目指しています。
直近の2026年3月期第1四半期決算では、増収を達成したものの、原材料価格や物流費の高騰、海外事業の不調により減益となりました。しかし、通期業績予想では売上高、各利益、そして1株当たり純利益のいずれも前期比で増加を見込んでいます。
株価は年初来高値に近づく水準で推移しており、テクニカル的には上昇トレンドを示唆しています。PERは業界平均とほぼ同水準、PBRは業界平均よりも低い水準にあり、実績ベースの企業価値から見て割安感が指摘される可能性があります。配当利回りは3%を超えており、株主還元にも力を入れていることが示されています。
今後の注目点としては、国内外の景気動向、特に海外事業の回復、そして原材料価格や物流コストの安定化、価格転嫁の進捗とそれが通期業績予想にどのように影響するか、また、軟包装事業の成長戦略の具体化が挙げられるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 3941 |
企業名 | レンゴー |
URL | http://www.rengo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – パルプ・紙 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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