2327 日鉄ソリューションズ(NSSOL)分析レポート
株価: 3,537円(2025-08-15終値)/市場: 東証プライム
1. 企業情報
- 概要: 日本製鉄グループのSIer。企業向けのシステム企画・設計・開発・運用保守、ITインフラ構築、データセンター・クラウド、アウトソーシングまで総合的に提供。製造業(とりわけ鉄鋼)に強み。旧社名は日本鋼管系・日本製鉄情報通信システムから2001年に現社名へ。
- 顧客業種: 製造、流通・小売、運輸、金融、通信、官公庁など。親会社(日本製鉄)向け売上比率は約20%。
- 事業セグメント: 単一の「情報サービス事業」だが、売上内訳の目安はビジネスソリューション約74%、コンサル&デジタルサービス約26%(2025.3)。
- 人員: 8,647人。
- 配当方針: 配当性向目安50%。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: 国内大手SIの一角。NRI、TIS、SCSK、NTTデータ等と競合。製造業×IT(OT連携)とITインフラ・データセンターで実装力に強み。
- 競争優位
- 親会社を含む製造業での業務知見と長期関係、現場最適化(生産・販売管理、ERP等)の実績。
- データセンターとクラウド運用(CloudHarbor等)を自社提供可能。
- 課題
- 親会社依存(約20%)と製造業景気に連動する受注変動リスク。
- SI全般の人材獲得難・人件費上昇、プロジェクト採算管理。
- ハイパースケーラーや外資コンサルとの競争激化。
3. 経営戦略と重点分野
- 中長期ビジョン/中計
- 「NSSOL 2030ビジョン」実現へ、「2025-2027中期経営計画」を推進。
- 4つの変革:①事業収益モデル、②顧客アプローチ、③技術獲得・適用、④社内業務・マネジメント。
- 重点テーマ:SI Transformation(TAM型=継続伴走・運用起点のモデル)拡大、AIの提供と社内適用、プラットフォーム「Nestorium」運用。
- ソリューション拡充
- 製造向け新生産管理「PPMP」、クラウド「CloudHarbor」、デジタルツイン「Geminant」など。
- 外部・グローバル
- インフォコムの子会社化(2025/7/1取得)を実施。領域拡大・顧客基盤強化を志向。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 受託開発に加え、クラウド・運用保守・マネージドサービス(TAM型)を拡大し、継続収益の比率を高める方針。
- 需要環境: 国内DX需要は堅調との認識。製造業のモダナイゼーション、クラウド移行、データ利活用、AI適用が追い風。
- 適応力・リスク
- 自社DC×クラウド運用、業務パッケージ、AI適用などでニーズ変化に対応。
- 一方で、価格競争、人材コスト、クラウド内製化の進展、DCの電力コスト・投資負担などの管理が必要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性: 製造業のOT/IT融合、デジタルツイン、クラウド運用基盤、AIの業務実装に注力。
- 主力・収益牽引領域
- 製造・流通プラットフォーマー向けのシステム構築・運用。
- クラウド・データセンター関連(CloudHarbor、Nestorium)。
- 製造向けパッケージ(PPMP)、デジタルツイン(Geminant)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提データ
- 株価: 3,537円、時価総額: 約6,474億円
- 会社予想EPS: 159.59円、BPS: 1,416.31円
- PER(予想): 22.17倍、PBR: 2.50倍
- 業界平均: PER 23.2倍、PBR 2.3倍
- 相対評価
- PER比較: 同社22.17倍 vs 業界23.2倍 → おおむね小幅ディスカウント(約-4~5%)。
- PBR比較: 同社2.50倍 vs 業界2.3倍 → 小幅プレミアム(約+9%)。
- 参考計算
- 業界平均PER適用の理論株価(単純試算)= 159.59円 × 23.2倍 ≈ 3,703円(現株価比 +約4.7%)。
- 業界平均PBR適用の理論株価(単純試算)= 1,416.31円 × 2.3倍 ≈ 3,257円(現株価比 -約8.0%)。
- EV/EBITDA(概算)= EV約5,068億円(6,474 – 現金1,686 + 負債279 億円)÷ EBITDA約522億円 ≈ 9.7倍。
- 補足: 現金等は1株当たり約922円(株価の約26%相当)、ネットキャッシュ基調。
7. テクニカル分析
- トレンド位置
- 50日移動平均: 3,878円、200日移動平均: 3,931円 → 現在は両移動平均線を下回る局面。
- 52週レンジ: 高値4,408円、安値3,259円。現株価は安値寄り(安値比 +約8.5%、高値比 -約19.8%)。
- 直近の値動き・出来高
- 直近10日、3,500~3,600円台での保ち合い傾向。
- 10日平均出来高(約55.2万株)が3カ月平均(約33.6万株)を上回り、短期的な売買関心はやや高め。
- 需給
- 信用倍率: 9.21倍(買い残優位)。前週比で買い残・売り残ともに減少。
8. 財務諸表分析
- 成長(年度、IFRS連結)
- 売上: 2,703億円(2022)→ 2,916億円(2023)→ 3,106億円(2024)→ 3,383億円(2025)と増収基調(22→25のCAGR約7~8%)。
- 営業利益: 298億円(2022)→ 317億円(2023)→ 350億円(2024)→ 385億円(2025)。
- 親会社株主帰属純利益: 205億円(2022)→ 220億円(2023)→ 242億円(2024)→ 270億円(2025)。
- 収益性
- 粗利率: 約24.2%(2025)← 約23.1%(2024)で改善。
- 営業利益率: 約11.4%(2025、単純計算)/LTMオペマージン10.27%。
- 純利益率: 約8.0%(2025)。
- ROE: 10.86%、ROA: 6.59%(LTM)。
- 安全性・流動性
- 自己資本比率: 62.0%(前期末)→ 第1四半期末 親会社持分比率67.9%。
- 流動比率: 3.51、D/E(総負債/資本): 約10.4%と保守的。
- 現金同等物: 約1,619億円(2026/1Q末)、総有利子負債: 約279億円(直近)。
- キャッシュフロー
- 営業CF(LTM): 約5.5億円(小幅)。2026/1Qは税支払増等で営業CFマイナス。ワーキングキャピタルの影響が大きい期。
- 直近四半期(2026/1Q)
- 売上収益 +7.6% YoYの増収、営業利益 -3.7% YoYの減益。DX・クラウド好調も、先行投資や賞与引当の反動等が影響。
- 通期見通し(売上3,570億円、営業利益437億円、EPS159.59円)は据え置き。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025年3月期実績: 年74円。
- 2026年3月期予想: 年80円(配当利回り約2.26%、配当性向目安50%)。
- 過去5年平均配当利回り: 約1.74% → 現在はこれを上回る水準。
- 自社株買い
- 自己株式保有はごく小規模(約2.8万株)。大規模な自己株買いの開示は確認情報なし。
- 株主構成
- 日本製鉄が約63%保有。インサイダー等合計で約66%保有、フロートは限定的。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落率: 約-0.17%(データ定義に依存)。移動平均線の下で推移し、戻り局面に課題。
- 関心・イベント
- 出来高は直近で増加傾向(10日平均 > 3カ月平均)。
- 直近イベント: 権利落ち日 2025-09-29予定、決算発表 2025-10-30予定。
- 影響要因
- DX投資の継続、クラウド関連需要、AI適用の進展。
- 人件費・採算、親会社・製造業の設備投資動向、地政学・マクロ不確実性。
11. 総評
- 業績は中期的に増収増益基調。製造業に強い実装力と、DC・クラウド運用、パッケージ・デジタルツイン等のソリューションで需要を取り込む方針。TAM型(継続伴走)で収益の持続性向上を目指す。
- 財務はネットキャッシュ・高流動比率で健全。LTM営業CFはワーキングキャピタル影響で弱い面があり、平準化推移の確認がポイント。
- バリュエーションはPERで業界平均比ややディスカウント、PBRでは小幅プレミアム。EV/EBITDAは概ね10倍前後。配当は配当性向50%目安で安定的。
- テクニカルは50・200日線の下で、レンジ下限寄りの推移。出来高は直近で増加。需給は信用買い優位。
- 注視点: 先行投資の採算化、インフォコム連結後のシナジー顕在化、クラウド/DCの稼働・コスト、製造業のIT投資サイクル、人材コストと単価是正、マクロ・地政学リスク。
注記: 本資料は公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。記載の数値計算は概算を含み、将来の業績や株価を保証するものではありません。
企業情報
銘柄コード | 2327 |
企業名 | 日鉄ソリューションズ |
URL | https://www.nssol.nipponsteel.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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