以下に農業総合研究所（証券コード:3541）の企業分析レポートをまとめました。
1. 企業情報
株式会社農業総合研究所は、全国の生産者や農産物直売所と提携し、野菜や果物の直売所事業を主軸としています。主要な事業は「農家の直売所事業」と「産直事業（旧産直卸事業）」の二本柱です。「農家の直売所事業」では、生産者が農産物を集荷場で登録し、スーパーなどの小売店で販売する流通プラットフォームを提供しています。一方、「産直事業」では、生産者から直接農産物を買い取り、付加価値をつけて販売しています。2007年に設立され、和歌山県に本社を置いています。東証グロース市場に上場しており、食料品関連の流通を担う企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、生産者が価格決定権を持つ独自の「農家の直売所」モデルを展開しており、生産者の収益向上と小売店への新鮮な農産物供給の両面を支援しています。全国の生産者や直売所とのネットワーク、さらにはハウス食品グループ本社やNTTアグリテクノロジーなど、大手企業との提携も行っています。これにより、新たな農産物流通の創造を目指し、業界内で独自の地位を築いています。
業界の課題としては、天候不順による青果相場の変動や、エネルギーコスト上昇による消費者購買意欲への影響などが挙げられます。また、農業経営体の変化（個人経営体の減少と法人経営体の増加）にも適応していくことが求められます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「新しい農産物流通の創造」をビジョンとして掲げています。中期経営計画においては、既存取引先との関係維持・拡大、集荷場の統廃合を通じた営業活動の効率化、品目バランスを考慮した買取委託の増加、および利益率向上施策に取り組んでいます。また、産直事業においては、生産者からの直接買い取りを強化し、付加価値を可視化するブランディング卸の推進、ニーズに対応した供給体制の強化、そして「産直委託モデル」の展開に注力しています。NTTアグリテクノロジーとの資本業務提携やドラッグストアへの販路拡大なども進めており、事業基盤の強化を図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
「農家の直売所事業」は生産者からの手数料収入、「産直事業」は農産物の仕入れ・加工・販売による収益を主な収益源としています。消費者の新鮮で安全な農産物へのニーズに応えつつ、農業従事者の高齢化や後継者不足といった課題に対し、生産者の販路確保と収益安定化を支援するモデルは、持続可能な農業の発展に貢献する可能性があります。青果相場の変動やコスト増に対しては、販売単価の向上や適量納品といった利益率向上施策で対応を図っています。多様な流通チャネル（スーパー、ドラッグストアなど）の開拓も、市場ニーズの変化への適応力を高める要因と考えられます。
5. 技術革新と主力製品
具体的な独自技術に関する詳細な記述は少ないものの、「流通プラットフォームの提供」という事業形態は、ITを活用した効率的な受発注・物流システムの構築を示唆している可能性があります。収益を牽引しているのは「農家の直売所事業」であり、2025年8月期 第3四半期においては売上高が約42億円、セグメント利益は約5.9億円と、産直事業と比較して大きな収益貢献を果たしています。「産直事業」も売上高約21億円、セグメント利益約0.36億円と成長を見せており、主要事業を補完する役割を担っています。
6. 株価の評価
現在の株価は566.0円です。
* 1株当たり利益（EPS・会社予想）は6.21円です。
* PER（株価収益率・会社予想）は90.98倍です。
* 1株当たり純資産（BPS・実績）は48.29円です。
* PBR（株価純資産倍率・実績）は11.70倍です。
PER90.98倍、PBR11.70倍という水準は、今後の成長に対する市場の期待が株価に大きく織り込まれていることを示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価566.0円は、年初来安値240円から大きく上昇しています。年初来高値は644円で、現在の株価はそれと比較するとやや下回る水準です。直近10日間の株価推移を見ると、512円から566円へと上昇傾向にあります。50日移動平均線（453.58円）および200日移動平均線（339.08円）を大きく上回って推移しており、上昇トレンドにあると見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上: 売上高は過去数年で着実に増加しており、2025年8月期第3四半期累計では6,250,747千円と前年同期比18.1%増を達成しています。通期では8,000百万円の売上高を予想しており、堅調な成長が続いています。
- 利益: 営業利益、経常利益、純利益は過去数年間で改善傾向にあります。2023年8月期には黒字転換し、2024年8月期（過去12ヶ月）には営業利益93,630千円、純利益108,759千円を計上しています。2025年8月期第3四半期累計では、営業利益140,197千円（前年同期比152.8%増）、四半期純利益90,003千円（同84.4%増）と大幅な増益を達成しており、利益率向上施策が奏功していることがうかがえます。通期予想も増益を見込んでいます。
- キャッシュフロー: 過去12ヶ月の営業キャッシュフローは-212百万円、レバレッジドフリーキャッシュフローは-228.5百万円とマイナスとなっています。ただし、当第3四半期累計期間に関するキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な状況把握には、通期でのキャッシュフロー計算書の確認が望まれます。
- ROE: 自己資本利益率（ROE・実績）は11.05%です。
- ROA: 総資産利益率（ROA・過去12か月）は0.21%です。
- 自己資本比率: 2025年8月期第3四半期末の自己資本比率は39.2%と、安定的な水準を維持しています。
9. 株主還元と配当方針
現在のところ、会社予想としての配当利回りや1株配当額は提示されていません。2024年8月期の年間配当合計も0.00円です。2025年8月期の配当予測についても未定とされています。一方で、2025年1月には自己株式（236,900株）の取得を実施しており、自社株買いによる株主還元は行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は年初来の安値から大きく上昇し、現在のところ強い上昇モメンタムを示しています。直近の好決算が株価上昇の主な要因と考えられます。NTTアグリテクノロジーやハウス食品といった大手企業との提携による事業拡大への期待、および独自の流通モデルの成長性も投資家の関心を引きつけている可能性があります。一方で、青果相場の変動やコスト上昇といった外部要因、および現在の高いPER・PBR水準は、今後の業績や市場環境の変化による株価変動リスクとなり得るため、これらの要因に注目が集まる可能性があります。信用買残は増加傾向にありますが、信用倍率は1.30倍であり、極端な需給の偏りとは見られません。
11. 総評
農業総合研究所は、独自の「農家の直売所事業」を核に、生産者と小売店をつなぐ流通プラットフォームを提供しています。過去数年間で売上高は着実に伸び、特に直近の2025年8月期第3四半期においては、利益面で大幅な改善と高い成長率を達成しており、事業の収益性が向上していることがうかがえます。NTTアグリテクノロジーなどとの連携や販路拡大は、今後の成長戦略の具体策として注目されます。
株価は、これらの好業績や将来の成長期待を織り込み、年初来安値から大きく上昇し、高いPERやPBRで評価されています。株主還元は現時点では配当実績はありませんが、自社株買いを実施しています。
今後の事業展開や農産物市場の動向、そして利益率の維持・向上に向けた具体的な施策の進捗が、引き続き注目されるポイントです。
企業情報
| 銘柄コード | 3541 |
| 企業名 | 農業総合研究所 |
| URL | http://www.nousouken.co.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。