第一三共(4568)企業分析レポート
株価: 3,658円(2025-08-15終値)/ 市場区分: プライム / 業種: 医薬品
1. 企業情報
- 概要: 国内大手製薬。循環器・感染症領域に強みを持ちつつ、がん領域で抗体薬物複合体(ADC)のグローバル展開を加速。アストラゼネカと提携し、エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)をはじめとするDXd-ADC群を拡大。
- 主な製品:
- がん: エンハーツ(HER2陽性/低発現乳がん等)、ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)、タズベリク、ヴァンフリタ等
- 循環器・代謝: リクシアナ(エドキサバン)、高脂血症薬Nilemdo/Nustendi など
- その他: インジェクタファー/ヴェノファー(鉄欠乏性貧血)、タリージェ(神経障害性疼痛)、骨領域(プラリア/ランマーク)等
- ワクチン: COVID-19、インフルエンザ等
- 事業構成: 医療用医薬品95%、ヘルスケア5%(海外売上比率69%)
- 従業員: 19,765人、本社: 東京都中央区
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: 日本発のグローバル製薬メーカー。特にADC技術(DXdペイロードとリンカー技術)で存在感が大きい。
- 競争優位性:
- エンハーツを中核とするADCパイプラインの広がり(適応拡大が進展)
- アストラゼネカとの国際展開体制(共同開発・プロフィットシェア)
- 循環器・代謝系の長期処方品により売上基盤を補強
- 課題:
- 提携品のプロフィットシェア拡大に伴う利益配分の変動
- 米欧中の承認・保険償還、為替の影響
- 既存品の競合激化・一部領域での減収(例: 米鉄剤)
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/戦略:
- 5DXd ADCの価値最大化と、標準治療(SOC)を変革する次世代品群(Next Wave)の創製
- グローバル臨床開発の加速、主要市場での適応拡大・普及
- 中期計画(2021–2025年度):
- 収益成長に応じた増配と機動的な自己株式取得で株主還元を強化
- 自己株式取得枠: 上限2,000億円または8,000万株
- 2026年3月期(会社計画): 売上収益2兆円、コア営業利益3,500億円、EPS約160.7円
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 自社販売(日本/欧州/米国)+提携によるプロフィットシェア/ロイヤルティの組合せ。がん領域の大型品と循環器・代謝のベースが補完。
- 適応力:
- ADC中核の研究開発投資を継続(R&Dは増加傾向)
- 製品ミックス改善により原価率低下(直近期でコア営業利益率改善)
- 地域分散(海外比率69%)で単一市場リスクを低減
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発: DXd-ADCプラットフォームを軸に、複数の固形がん領域で適応拡大を推進。第3相試験・承認申請が相次ぐ。
- 収益牽引:
- エンハーツの欧米・中国での伸長が全社増収の主因
- ダトロウェイの寄与開始
- 日本ではリクシアナ、タリージェ等が伸長
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価: 3,658円
- 予想EPS: 161.52円 → 予想PER約22.7倍(会社データ: 22.67倍)
- 実績BPS: 852.84円 → PBR約4.29倍
- 参考比較(業界平均):
- PER: 業界平均27.8倍に対し、同社約22.7倍(相対的に低位)
- PBR: 業界平均1.4倍に対し、同社約4.29倍(知財・成長期待を織り込む水準)
- 参考指標:
- 益利回り(概算): 約4.4%(=EPS/株価)
- EV/EBITDA(概算): 約16倍(時価総額6.94兆円、純有利子負債控除、EBITDA約0.41兆円前後の前提)
- PSR(概算): 約3.6倍(売上約1.9兆円)
- コメント: 成長期待(ADC)と財務効率(ROE約17–18%)を反映した水準。業界平均との相対比較で指標特性が異なる点に留意。
7. テクニカル分析
- 目先の位置:
- 50日移動平均: 3,474.8円 → 現在値は約5%上
- 200日移動平均: 3,838.0円 → 現在値は約5%下
- 52週レンジ: 高値4,564円 / 安値3,036円の中間帯(安値比+約20%、高値比-約20%)
- 直近10日: 3,550–3,680円のレンジ推移。出来高は直近平均(10日平均約574万株)比で本日約236万株と低め。
- 評価: 中期の下向き200日線の下に位置しつつ、50日線上でのもみ合い。
8. 財務諸表分析
- 成長(売上・利益: IFRS, 連結)
- 売上収益: 1.04兆円(2022/3)→ 1.28兆円(2023/3)→ 1.60兆円(2024/3)→ 1.89兆円(過去12か月)
- 営業利益: 730億円 → 1,206億円 → 2,116億円 → 3,319億円(過去12か月)
- 親会社株主帰属利益: 669億円 → 1,092億円 → 2,007億円 → 2,958億円(過去12か月)
- 収益性:
- 営業利益率(過去12か月): 約20.4%
- 純利益率(過去12か月): 約15.4%
- ROE: 実績17.86%、ROA: 約6.1%
- 安全性・流動性:
- 自己資本比率: 47.0%、D/E(総負債/資本)控えめ、Net D/Eも低水準(総有利子負債約2,012億円、現金等約5,743億円)
- 流動比率: 2.31倍
- キャッシュフロー:
- 営業CF(過去12か月): 約1,273億円、レバードFCF約1,019億円
- トレンド要因:
- 製品構成改善による原価率低下、ADC関連の販売・R&D増で販管費・研究開発費は増加
9. 株主還元と配当方針
- 配当方針: 収益成長に応じた増配と機動的な自己株式取得
- 配当:
- 2025年3月期: 年間60円
- 2026年3月期会社予想: 年間78円(中間39円・期末39円)
- 予想配当利回り: 約2.13%(78円/3,658円)
- 予想配当性向の概算: 約48%(=78円/予想EPS161.5円)
- 自己株式:
- 取得枠: 上限2,000億円または8,000万株の設定
- 自己株式保有比率: 約2.05%
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:
- 52週変化率: 約-40%(データ上の指標)
- ベータ(5年): 0.26(市場連動性は低め)
- 需給・関心:
- 信用買残: 約304万株、信用売残: 約23万株、信用倍率約13.2倍(買い長)
- 信用残は前週比で買い・売りとも減少(やや整理)
- 流通株比率は高く、機関投資家保有約52%
- イベント:
- 権利落ち日(予定): 2025-09-29
- 決算発表予定: 2025-10-30
11. 総評
- 事業環境: ADCを中心にオンコロジーでの拡大が継続。適応拡大・地理的広がりが売上増に寄与。一方、為替・提携条件・一部既存品の減収が利益配分とボラティリティ要因。
- 財務面: 売上・利益ともに年次で増加し、ROE・利益率は医薬品大手として良好な水準。バランスシートは健全、CFもプラス。
- バリュエーション: 予想PERは業界平均を下回る一方、PBRは平均を上回る構成。成長性・無形資産価値・収益性の組み合わせを反映。
- テクニカル: 50日線上・200日線下でのレンジ推移。出来高は直近やや低下。52週レンジの中位域。
- 留意点: R&D進捗・承認/償還・為替の影響、提携に伴うプロフィットシェアの変動が業績・指標に影響。
注記:
– 本レポートは公開情報に基づく客観的な整理であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。
– 数値は概算を含み、会社開示・市場データに基づく。最新の決算資料・IR開示の確認を推奨します。
企業情報
銘柄コード | 4568 |
企業名 | 第一三共 |
URL | http://www.daiichisankyo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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