三井金属鉱業(5706)企業分析レポート
株価: 8,461円(2025-08-15終値)
市場区分: プライム(内国株式)
時価総額: 約4,858億円
1. 企業情報
- 概要
- 非鉄大手。機能材料(銅箔、触媒、半導体・電子材料)、金属(亜鉛・鉛・銅などの製錬・リサイクル)、モビリティ(自動車用ドアラッチ等)、その他(ダイカスト、粉末冶金、伸銅品、プラントエンジ等)を展開。
- 銅箔で世界首位級。半導体関連材料・電子材料に強み。自動車部品は組織再編で収益性の改善に取り組み中。
- 事業セグメント(売上構成・海外比率)
- 連結事業構成(売上比率/営業利益率の目安): 機能材料21%(16%)、金属36%(15%)、モビリティ29%(7%)、その他14%(2%)
- 海外売上比率: 53%(2025.3期)
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
- 銅箔(特にキャリア付極薄銅箔や高周波基板向け電解銅箔)で世界首位級の供給力と技術力。
- 触媒、スパッタリングターゲット、電子セラミックスなど、半導体・電子部材の高機能ニッチで厚みのある製品群。
- 非鉄製錬・資源リサイクルでの長年の運営ノウハウ。
- 主な課題
- 金属相場・為替の変動影響(在庫評価含む)が大きいセグメントを抱えるため、業績変動性が高くなりやすい。
- 排ガス浄化触媒はEV普及で中長期的な需要構造の変化に直面。
- 自動車部品の収益性改善(赤字解消)の継続課題。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画「25中計」
- 経済的価値と社会的価値の両立、事業ポートフォリオの動的管理を推進。
- 成長投資の重点: 高機能銅箔、半導体プロセス材料、電子部材、電池材料、資源リサイクル・環境対応。
- 構造対応: 自動車部品の収益性改善、資源価格・為替変動への耐性強化(在庫・調達の最適化等)。
- セグメント戦略(Q1 FY2026短信より概況)
- 機能材料: 銅箔の販売増で売上伸長。為替差損益影響等で利益は減少。
- 金属: 貴金属相場は追い風だが、海外鉱石条件悪化・円高在庫影響で大幅減益。
- 自動車部品: 売上は増加も損失継続。構造改革・コスト最適化を継続。
- その他: 子会社株式譲渡等で売上減、損失計上。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源の多様化(機能材料/金属/モビリティ/その他)でポートフォリオ分散。
- 相場影響の大きい「金属」に加え、構造的成長が見込まれる「高機能材料」を拡大して変動耐性を高める方針。
- EV化・デジタル化・高周波化(5G/AIサーバー周辺)に伴う高機能銅箔・半導体材料需要は中長期テーマ。
- 一方で、排ガス触媒の長期縮小リスク、自動車部品の収益改善進捗、為替・資源価格の外部要因が持続性の注視点。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- キャリア付極薄銅箔や高周波対応銅箔など高機能銅箔の開発・量産技術。
- スパッタリングターゲット、電子用セラミックス、光学結晶・シンチレータ等の先端素材群。
- 触媒技術、電池材料(Ni/Mn/水素吸蔵合金等)、資源リサイクル工程の最適化技術。
- 収益牽引領域
- 近時は高機能銅箔が販売増でけん引。半導体・高周波基板向け需要が下支え。
- 金属は相場・為替の影響が大きく、四半期ごとに変動。自動車部品は立て直し段階。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 会社予想ベース
- 予想EPS: 297.30円、株価: 8,461円 → 予想PER 約28.5倍(提示値: 28.46倍)
- 実績BPS: 5,570.78円 → PBR 約1.52倍(提示値と一致)
- トレーリング参考
- 過去12か月EPS(実績): 約1,131円 → トレーリングPER 約7.5倍
- 直近四半期で特別要因(関係会社株式関連の引当計上等)により今期通期は利益水準を下方見通し。
- 相対評価の参考
- 業界平均PER: 80.4、業界平均PBR: 0.8
- PBRは業界平均を上回る水準(1.52倍)。高機能材料比率や収益性の違いに留意。
- PERは業界平均より大幅に低いが、平均値の歪み(赤字企業含む等)に注意。
- 参考試算
- BPS基準で業界平均PBR(0.8)を当てはめる単純比較: 約4,457円相当
- 予想PERでの位置: 28.5倍(利益予想が大きく落ち込む前提)
(注)上記は機械的比較であり、事業構成・成長性・一時要因の有無が異なる点に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 52週高値: 8,483円(当日更新)、52週安値: 3,255円
- 50日移動平均: 約5,560円、200日移動平均: 約4,726円 → いずれも大きく上回る上昇トレンド。
- 価格位置
- 終値8,461円は年初来・52週の高値圏。
- 出来高・信用動向
- 当日出来高約200万株は3カ月平均(約66万株)の約3倍でブレイクアウトの出来高増。
- 信用倍率0.61倍(売残>買残)。ショートの買い戻し需給が価格変動に与える影響に留意。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、年度推移)
- 売上高: 2022/6333億 → 2023/6519億 → 2024/6467億 → TTM/約7123億円
- 営業利益: 2022/607億 → 2023/125億 → 2024/317億 → TTM/747億円
- 親会社株主純利益: 2022/521億 → 2023/85億 → 2024/260億 → TTM/647億円
- コメント: 2023期に大幅減益後、TTMでは回復。ただし2026年3月期1Qは特別要因計上で純損失、通期予想は減益見通し。
- 収益性
- 2024期営業利益率 約4.9%、2023期 約1.9%、2022期 約9.6%、TTM 約10.5%(計算値)
- 参考指標: ROE(実績)21.2%、ROA(過去12か月)5.98%、営業利益率(過去12か月)6.76%(出所により差異あり)
- 財務安全性・流動性
- 自己資本比率 50.4%(実績)、D/E(総負債/自己資本)約46%、流動比率 1.92
- 現金等:約405億円、総有利子負債:約1,506億円 → ネットデット約1,100億円
- コメント: 財務基盤は中立〜堅実な水準。
- キャッシュフロー・投資
- EBITDA(TTM)約1,165億円(損益計算書ベース)/別指標95.6億円(データ出所差異あり)
- 設備投資・フリーCF詳細は開示なし(短信ではCF計算書非掲載)。
(注)TTM値・指標には出所間の差異があるため、会社開示(短信・有価証券報告書)での最新値確認が必要。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025年3月期実績: 年間180円(中間90円+期末90円)
- 2026年3月期会社予想: 年間195円(期末95円)
- 予想配当利回り: 約2.30%(株価8,461円)
- 配当性向
- トレーリング実績ベース: 約14.6%(165円/TTM EPS約1,131円)
- 会社予想EPS(297.3円)に対する想定配当性向: 約65.6%(195円/297.3円)
- コメント: 今期は利益予想の減少により、配当性向が上昇する見込み。
- 自社株買い等
- 自己株式比率 約0.35%。現時点で大規模な自己株買いの記載はなし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の値動き
- 8月に入り6,600円台から急伸し、直近で8,400円台に到達。ボラティリティ・出来高ともに上昇。
- 変動要因の例
- 半導体関連需要(高機能銅箔)の市場期待、非鉄相場・為替動向の変化、通期見通し修正への織り込み。
- 信用売り越し(倍率0.61倍)に伴う需給要因。
- イベント
- 権利落ち予定日(予想): 2025-09-29(Ex-Dividend)
- 決算スケジュールは適宜会社開示を要確認。
11. 総評
- まとめ
- 高機能銅箔・半導体関連材料という成長ドライバを有しつつ、非鉄製錬・為替・在庫など外部要因の影響を受けやすい構造。自動車部品の収益改善も引き続き注目点。
- トレーリングでは収益回復が確認できる一方、今期は特別要因計上等により会社予想EPSが大きく低下見通し。これに伴い予想PERは上昇、予想配当性向も高まる想定。
- 株価は52週高値圏で、出来高増を伴う強いモメンタムを示す。信用売り越しの需給も価格形成に影響しうる。
- バリュエーションは、PBRが業界平均を上回り、PERは予想/実績でギャップが大きい。事業構成(高機能材料の比率)や一時要因の有無を踏まえ、会社開示の更新を確認しながら評価する必要がある。
(ご留意)本資料は公開情報に基づく企業分析であり、特定銘柄の投資勧誘・助言を目的とするものではありません。最新の決算資料・適時開示等で数値・前提の更新をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 5706 |
企業名 | 三井金属鉱業 |
URL | https://www.mitsui-kinzoku.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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