1. 企業情報
モダリスは、独自のゲノム編集プラットフォーム技術「CRISPR-GNDM」を用いて、遺伝子疾患治療薬の研究開発に取り組む日本の創薬ベンチャーです。DNAを切断しないエピゲノム編集(遺伝子発現を制御する技術)に強みを持っています。主な事業拠点は米国にもあります。既存の治療法では対応が難しい重篤な遺伝性疾患の患者さんに対し、新たな治療選択肢を提供することを目指しています。製薬企業との共同研究や財団との戦略的提携も推進しており、協業を通じて開発を加速させる戦略をとっています。現在、収益はほぼ研究開発活動に関連するものであり、医薬品の販売による収益はまだありません。
2. 業界のポジションと市場シェア
モダリスは「医薬品」セクターに属し、特に遺伝子治療薬の開発に特化したバイオベンチャーとして位置付けられます。遺伝子治療の分野は、未だ発展途上であり、各社が独自の技術を競い合っています。モダリスの強みは、DNAを切断せずに遺伝子発現を制御する独自のエピゲノム編集技術「CRISPR-GNDM」です。この技術は、従来のゲノム編集に比べてオフターゲット効果(誤った遺伝子の編集)のリスクが低い可能性があり、安全性と治療効果の両立が期待されます。
一方で、創薬ベンチャー特有の課題として、巨額の研究開発費が必要であること、臨床試験の成功確率が低いこと、上市までの期間が長いことなどが挙げられます。遺伝子治療市場は今後大きな成長が期待されるものの、競合も激化しており、新たな技術や企業が参入してくる可能性があります。市場シェアに関する具体的なデータは現状では不明ですが、同社はまだ製品上市に至っていない研究開発段階にあり、市場シェアは現時点では形成されていません。
3. 経営戦略と重点分野
モダリスの経営戦略は、独自の「CRISPR-GNDM®プラットフォーム」を基盤としたエピゲノム編集治療薬の研究開発を継続し、パイプラインの価値最大化を目指すことにあります。具体的な重点分野は以下の通りです。
* MDL-101 (先天性筋ジストロフィー1a型): GLP毒性試験およびGMP治験薬製造の準備を進めており、治験許可申請(IND申請)に向けた準備を加速しています。MYO-AAVのライセンス供与契約も締結し、開発を強化しています。
* MDL-201 (デュシェンヌ型筋ジストロフィー): 病態モデルマウス試験で良好な結果を得ており、効率的な開発を目指しています。
* MDL-103 (顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー): XPRIZE財団およびSolve FSHD財団からの助成金を獲得し、開発を進めています。
これら主要パイプラインの開発推進に加え、研究開発体制の適正化と効率化によるコスト低減も図り、事業基盤の安定化を目指しています。多額の資金を要する事業ですが、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識している旨を表明しています。
4. 事業モデルの持続可能性
モダリスの事業モデルは、バイオベンチャー特有の「研究開発先行型」であり、現時点では医薬品の販売による収益がほとんどありません。収益の源泉は、共同研究契約に基づく一時金や共同研究費、提携先からの支援金など、将来の成功報酬やロイヤリティを期待する形となっています。
市場ニーズの変化への適応力としては、同社がターゲットとする「重篤な遺伝性疾患」は根本的な治療法が少なく、高いアンメットメディカルニーズが存在します。遺伝子治療は、病気の原因遺伝子に直接アプローチする革新的な治療法として注目されており、今後も市場の拡大が見込まれています。この点において、市場ニーズは安定的に高いと言えます。
しかし、持続可能性の鍵は、主要パイプラインの臨床開発が成功し、製品化・販売に至るかどうかにかかっています。研究開発が長期化したり、臨床試験で期待通りの結果が出なかった場合には、資金調達の必要性が増し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。現状、自己資本比率は高いものの、営業キャッシュフローは継続的にマイナスであり、今後の資金調達動向が注目されます。
5. 技術革新と主力製品
モダリスの技術革新の中心にあるのは、独自の「CRISPR-GNDM技術」です。これはゲノム編集技術の一種で、従来のCRISPR/Cas9システムのようにDNAを切断することなく、特定の遺伝子の発現を制御(ON/OFFするスイッチを調節)するエピゲノム編集を可能にする点に独自性があります。DNAの切断を伴わないため、オフターゲット効果や細胞毒性のリスクを低減できる可能性があります。
現在、同社が収益を直接牽引している製品やサービスはありません。今後の収益を牽引すると期待される主要パイプラインは以下の通りです。
* MDL-101: 先天性筋ジストロフィー1a型を対象
* MDL-201: デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象
* MDL-103: 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーを対象
これらはまだ研究開発段階であり、臨床試験の段階に進むことで製品化への期待が高まります。
6. 株価の評価
現在の株価89.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* EPS(1株当たり利益): 過去12か月で-28.57円とマイナスであり、PER(株価収益率)は算出されていません。これは研究開発型企業によく見られる傾向で、収益が確立されていない段階ではPERでの評価は困難です。
* BPS(1株当たり純資産): 41.08円(実績)。直近四半期では41.44円。
* PBR(株価純資産倍率): (連)2.17倍。
株価89.0円、BPS 41.08円でPBRを算出すると、約2.16倍となります。これは提示されたPBR2.17倍と概ね一致しています。一般的にPBR1倍は純資産価値と株価が同等とされますが、バイオベンチャーにおいては、保有する技術や将来のパイプライン価値が株価に織り込まれるため、PBRが1倍を大きく超えることも珍しくありません。現在のPBR2.17倍は、同社の技術や将来性に対する市場の期待が一定程度織り込まれている可能性を示唆しています。ただし、利益が出ていない状況下での評価であるため、財務の安定性やキャッシュ創出力には注意が必要です。
7. テクニカル分析
モダリスの株価推移を直近10日分および年初来のデータで確認します。
* 現在の株価: 89.0円
* 年初来高値: 127円
* 年初来安値: 66円
* 52週高値: 176.00円
* 52週安値: 66.00円
* 50日移動平均: 88.28円
* 200日移動平均: 94.21円
現在の株価89.0円は、年初来安値66円よりは高い位置にありますが、年初来高値127円、52週高値176円と比較すると、安値圏に近い水準にあります。
直近10日間の株価は86円~92円の範囲で推移しており、現在の89円は直近では中程度の水準です。
50日移動平均線(88.28円)をわずかに上回っていますが、200日移動平均線(94.21円)を下回っている状況です。これは、短期的な上向きの動きが見られつつも、中長期的な株価トレンドは下向きである可能性を示唆しています。
8. 財務諸表分析
モダリスの財務状況は、研究開発型のバイオベンチャーとしての特性が強く表れています。
* 売上・収益:
* 2021年から2023年までは「Total Revenue」が極めて低水準で推移しており、2023年、2024年の実績は0となっています。これは、まだ本格的な製品販売に至っておらず、ライセンス収入等も安定していないためと考えられます。
* 2025年12月期第2四半期(中間期)の事業収益は906,324千円と計上されていますが、これはパートナーからの研究開発支援金などが含まれると推測されます。
* 利益:
* 「Operating Income」「Net Income Common Stockholders」を見ても、過去数年にわたり一貫して多額の営業損失および純損失を計上しています。これは、医薬品開発に必要な巨額の研究開発費が先行しているためです。
* 2025年12月期第2四半期も、営業損失△1,031,954千円、純損失△1,020,456千円となっています。
* ROE (自己資本利益率)・ROA (総資産利益率):
* ROE(実績):-53.96%、ROA(過去12か月):-60.63%と、いずれもマイナスの大きな数値となっています。これは、純利益が継続的にマイナスであることに起因します。
* キャッシュフロー:
* 営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月で-1.41B、2025年12月期第2四半期で△910,281千円といずれも継続的にマイナスです。研究開発費の支出が主な要因であり、事業活動自体で創出するキャッシュはまだありません。
* 財務活動によるキャッシュフローは、新株予約権の行使などによる株式発行収入で資金を調達しており、これにより現金及び現金同等物期末残高(3,261,672千円)が確保されています。
* 財務安全性:
* 自己資本比率は、2025年6月30日時点で92.5%と非常に高水準です。これは、これまでの資本増強により自己資本を厚くしてきたことを示しており、現時点での資金繰りにおける安全性は高いと言えます。
* 流動比率(Current Ratio)も19.48と非常に高く、短期的な支払い能力に問題はないと見られます。
* 潤沢な現金(Total Cash: 3.26B)を保有しており、当面の研究開発資金は確保されていると判断されているようです。
全体として、モダリスは医薬品開発の特性上、先行投資による赤字とキャッシュアウトが続くフェーズにあります。高い自己資本比率と潤沢な現金残高により、現時点での財務安全性は維持されていますが、将来的な収益化に向けたパイプラインの進捗が継続的に重要となります。
9. 株主還元と配当方針
モダリスは、現時点では配当を実施していません。
* 配当利回り(会社予想): 0.00%
* 1株配当(会社予想): 0.00円
* 配当性向: 0.00% (利益がマイナスであるため)
これは、同社が研究開発段階にあり、得られた資金を全て将来の成長のための研究開発に再投資しているためと考えられます。バイオベンチャー企業においては、製品が上市されて安定的な収益が見込めるようになるまでは、配当を実施しないケースが一般的です。自社株買いなどの株主還元策に関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は86円から92円の間で推移しており、方向感に乏しい状況です。株価が50日移動平均線をわずかに上回り、200日移動平均線を下回っていることから、短期的な変動は見られますが、中長期的な上昇トレンドはまだ確立されていないと考えられます。
* 出来高: 直近の日次では100万株台の出来高が見られますが、過去10日間で60万株から660万株と変動が大きく、日によって投資家の関心度が変化している可能性があります。3ヶ月平均出来高が5.12M株であるのに対し、10日平均出来高が1.58M株と、直近の取引量はやや減少傾向にあります。
* 信用取引: 信用買残が12,893,600株と発行済株式数(76,933,798株)の約16.7%を占めており、買い方の積み上がりが一定程度見られます。信用倍率は小数点以下が切り捨てられているため明確な数値は不明ですが、信用売残が0株であることから、買い残が圧倒的に多く、需給に偏りがある可能性が考えられます。
株価に影響を与える要因としては、主に以下の点が挙げられます。
* パイプラインの進捗: 治験の段階進入、中間結果発表、提携締結などが、株価を大きく動かす可能性があります。特にMDL-101のIND申請の見通しや、その後の臨床試験データは重要な材料となります。
* 資金調達の状況: 多額の研究開発費を要するため、追加の資金調達(株式発行など)の可能性があり、その際には株価希薄化要因となることがあります。
* 競争環境の変化: 遺伝子治療分野の進展や競合他社の動向も株価に影響を与える可能性があります。
* 市場全体の動向: グロース市場全体やバイオセクターのセンチメントも株価に影響を与えます。
11. 総評
モダリスは、革新的なCRISPR-GNDM技術を核に、重篤な遺伝性疾患治療薬の研究開発を進めるバイオベンチャーです。現在は、MDL-101、MDL-201、MDL-103といった主要パイプラインの開発に注力しており、将来の製品上市を目指しています。
財務面では、製品が未上市であるため収益は限定的で、巨額の研究開発費により営業損失が継続しています。しかし、過去の資本増強により自己資本比率は高く、潤沢な現預金を保有しているため、現時点での財務安全性は高い水準にあります。配当は行っておらず、得られた資金はすべて研究開発に再投資する方針です。
株価は年初来高値からは下落しており、中長期的な移動平均線も下回る水準にあります。バイオベンチャーの特性上、株価はパイプラインの進捗や研究成果といった情報に敏感に反応する傾向があります。信用買い残が一定数積み上がっており、今後の需給状況も注目されます。
全体として、モダリスは将来的な成長への期待が大きい反面、まだ製品上市に至っておらず、研究開発の進捗や資金状況が今後の企業価値を大きく左右する段階にあると言えます。
企業情報
銘柄コード | 4883 |
企業名 | モダリス |
URL | https://www.modalistx.com/jp/ |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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