6584 三櫻工業 分析レポート(プライム)
株価: 772円(2025-08-18 終値)
時価総額: 285.8億円
1. 企業情報
- 概要
- 自動車向けチューブ・集合配管(クラスター)を中核とする独立系サプライヤー。金属(ろう付・溶接鋼管)と樹脂(単層・多層・コルゲート)双方の配管に強みを持ち、表面処理(PA/PC/PVdFコーティング)やクイックコネクタなど周辺技術も展開。
- 主な製品群:燃料系(フィラーネック、ベーパーリターン、ORVR、タンク内チューブ等)、ブレーキ・ブレーキブースタ系、パワートレイン(インジェクションレール、高圧FIR、インテークパイプ、クーラーパイプ)、環境・安全(EGRパイプ、シートベルト部品 等)。
- グローバルに製造拠点を保有。1939年創業、本社は東京都(登記住所: 茨城県古河市工場)。
- 事業構成(2025年3月期 連結)
- 自動車部品 98%、電器部品 1%、設備他 1%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内の自動車配管で約4割のシェア。独立系で複数OEMと取引し、顧客分散が進む。主要株主に本田技研工業、スズキ、神鋼商事など。
- 競争優位性
- 金属・樹脂配管の一貫技術、表面処理やクイックコネクタまで含む製品幅、グローバル供給網。
- 既存ICE/HEV向けの燃料・ブレーキ・熱マネ系での実装実績。
- 課題
- EV化の進展に伴う燃料系需要の構造的縮小リスク。地域需要の差(北南米はICE/HEV中心、中国で日系向け苦戦)。原材料・エネルギーコストの高止まり。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・キーワード
- 「サンオー・ラストマン・スタンディング戦略」:自動車配管市場でグローバルシェアNo.1の確立を志向。
- 施策・重点分野
- 地産地消の強化:メキシコWinkelmann Powertrain Méxicoの全持分取得。米国市場向けを見据えたメキシコでのフューエルインジェクション(FI)事業の地位確立と技術革新を狙う。
- 地域別方針の最適化:北南米での安定稼働継続、日本の新規立上、欧州の需要鈍化・中国の減速に対する収益性管理。
- コストコントロールと稼働率改善(Q1で営業利益増)。
- 業績予想(据え置き:2026/3期 会社計画)
- 売上高 1,470億円、営業利益 55億円、経常利益 40億円、純利益 18億円、EPS 50.29円
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- OEM向け量産部品供給によるスケール型。金属/樹脂配管や接続部品の複合提供でスイッチングコストを形成。
- 市場変化への適応
- HEV/PHEVが主流の北米では燃料・ブレーキ・熱マネ系の需要が残存。EV化で燃料系縮小の一方、ブレーキ配管や熱マネ配管の需要は継続余地。
- 中国での日系向け需要減が示唆。地域ポートフォリオと顧客ミックスの再設計が論点。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 金属・樹脂の複材対応、耐腐食・耐薬品のコーティング、軽量化・耐圧・曲げ加工など配管専業のプロセス技術。
- クイックコネクタや高圧インジェクションレールなど接続・噴射系の精密部品。
- 収益牽引
- 燃料・ブレーキ・パワートレイン配管群。北南米のHEV/ICE比率の高さが当面の需要を下支え。
- メキシコでのFI事業強化は米州収益の安定化要因。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 主要指標(現値 772円)
- 予想PER(会社予想EPS 50.27円): 約15.3倍(提示値 15.32倍)
- 実績PBR(BPS 1,203.14円): 約0.64倍(提示値一致)
- 配当利回り(会社予想28円): 約3.6%(提示値 3.64%)
- 参考:TTM EPS 20.59円 ⇒ TTM PER 約37.5倍
- 業界平均との比較
- 業界平均PER 13.3倍に対し、同社は高い水準。
- 業界平均PBR 0.8倍に対し、同社は低い水準。
- 参考計算
- BPS 1,203.14円に対しPBR 1.0倍相当の水準は約1,203円(単純比較)。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 直近株価は年初来高値(775円)に接近・更新トライ(終値772円)。50日移動平均653.9円、200日669.8円の双方を上回る上昇局面。
- 位置づけ
- 52週高値圏。出来高は10日平均が3カ月平均を上回り、短期の関心が高い。
- 需給
- 信用買残 72.3万株(前週比+5.7万)、信用倍率 10.44倍。買い残偏重のポジションが観測される。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結、単位: 百万円)
- 売上高:115,940(2022)→137,692(2023)→156,814(2024)→159,538(過去12か月)
- 営業利益:2,182 → 1,321 → 8,053 → 4,860
- 四半期(2026/3期Q1):売上 40,263(前年比+2.9%)、営業利益 2,250(+31.4%)
- 収益性
- 営業利益率:2022 1.9% → 2023 1.0% → 2024 5.1% → 過去12か月 約3.0%
- Q1(2026/3)営業利益率:約5.6%(会社短信算出)
- ROE(実績):1.66%、ROA(過去12か月):約2.9%
- 特別要因
- 退職関連費用や税費増の影響で、過去12か月の純利益は圧縮(純利益 737百万円、EPS 20.59円)。営業面は持ち直しつつも、最終利益は一時費用の影響が残存。
- キャッシュフロー・財務
- 営業CF 過去12か月 89.6億円、レバードFCF 14.1億円と正値。
- 現金同等物 232.3億円、総有利子負債 414.2億円、自己資本比率 36.6〜37.8%。
- 金利負担は純支払超(ネット利息 -5.53億円)。D/E(総負債/資本)水準はやや高めで、金利環境と運転資金の管理が論点。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期 年間28円、2026/3期(会社予想)年間28円(中間14円・期末14円想定)。
- 予想利回り 約3.6%。5年平均利回り 2.97%。
- 配当性向
- TTM EPS基準:約136%(28円/20.59円)。
- 会社予想EPS基準:約56%(28円/50.29円)。
- 自社株関連
- 自己株式比率 約1.93%。自社株買いの新規開示は確認情報なし(提供データ内)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日で690円台→770円台へ上昇。8/12に出来高膨らみ、その後も高水準維持。
- 10日平均出来高が3カ月平均を上回り、短期的な関心は高い。
- 信用買い増加と高倍率(10.44倍)が需給の一方向性を示唆。外部要因(原材料・エネルギー・関税・地政学)へのニュース感応度にも留意。
11. 総評
- 事業面
- 国内高シェアと配管専業の加工・表面処理技術、グローバル供給網を基盤に、ICE/HEV寄りの地域(北南米・日本)で堅調。中国・欧州の需要鈍化が収益のブレーキ。
- メキシコでのFI事業強化は米州注力の具体策。Q1は増収・営業増益で改善傾向が見られる一方、最終利益は一時費用・税費の影響を受けやすい。
- 財務・指標
- 売上は回復トレンド、営業利益は持ち直しからの再調整局面。営業CFは安定的、レバードFCFは正。負債水準と金利負担のモニタリングが必要。
- バリュエーションは、予想PERが業界平均を上回り、PBRは平均を下回る水準。配当は予想ベースで利回り約3.6%、性向はTTMと予想で乖離がある。
- マーケット
- 株価は52週高値圏で短期モメンタムが強い。信用買い残が増加し、需給の変動に影響しやすい構造。イベントとしては決算発表(8月上旬実施済み)と配当権利関連(権利落ち 2025/9/29)に注意。
注記
– 本資料は提供データに基づく客観的整理です。投資判断を目的とした助言は行いません。指標は定義や期間差により数値が異なる場合があります。
企業情報
銘柄コード | 6584 |
企業名 | 三櫻工業 |
URL | http://www.sanoh.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。