熊谷組（1861）企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場する熊谷組（証券コード:1861）について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成します。
1. 企業情報
熊谷組は1898年創業の総合建設準大手企業です。主に「土木事業」と「建築事業」の2つの分野で事業を展開しています。土木事業では、トンネル、道路、橋梁、ダム、鉄道などの大規模インフラ建設において高い実績を持っています。建築事業では、オフィスビル、マンション、商業施設、ホテルなどに加えて、工場や医療・社会福祉施設まで幅広い建築物の建設を手掛けています。また、子会社によるアスファルト合材の製造や舗装、建物のリノベーション、ICT（情報通信技術）を活用した土木工事業務なども行っています。住友林業が筆頭株主であることも特徴の一つです。直近の連結事業構成比（2025年3月期）は、建築が約54%、土木が約21%、子会社・その他が約25%です。
2. 業界のポジションと市場シェア
熊谷組は「総合建設準大手」に位置づけられており、ゼネコン業界において中堅上位クラスの存在感を示しています。特に、「大型土木・超高層ビル建築」においては豊富な実績と技術力を有しており、これが競争優位性となっています。
建設業界全体としては、インフラ更新需要や国土強靭化計画による公共投資、都市開発や再開発案件など、一定の需要が見込まれる一方で、資材価格の高騰や人手不足といった課題に直面しています。熊谷組もこれらの業界全体の課題の影響を受ける可能性があります。具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、多くの競合が存在する中で、特殊な大型案件における実績が強みと考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
中期経営計画については、全体としては計画通りに進捗しているとされています。特に建築事業は、大型案件の獲得により計画を上回る進捗を見せています。
主な経営戦略および重点分野は以下の通りです。
* 土木事業: インフラ更新需要や国土強靭化計画への対応を強化しています。これは、老朽化した社会インフラの整備や災害対策へのニーズの高まりに応えるものです。
* 建築事業: 都市開発や再開発案件の獲得、および建築物の大型化への対応に注力しています。都市部での再開発需要や、大規模プロジェクトへの対応力を高めることで、競争力を維持・向上させる方針です。
<h3>4. 事業モデルの持続可能性</h3>
熊谷組の事業モデルは、公共投資に支えられる土木事業と、民間設備投資や都市開発に連動する建築事業という、安定した基盤の上に成り立っています。
土木事業は、インフラの老朽化による更新需要や、災害に強い国づくりを目指す国土強靭化計画が推進されており、今後も安定的なニーズが期待されます。建築事業は、都市部の再開発や、物流施設、データセンターなどの民間投資動向に影響を受けますが、多様な建設実績が市場ニーズへの適応力を示しています。
一方で、建設業界特有の課題である資材価格の変動や、技能労働者の減少、賃金上昇は、収益性を圧迫する要因となる可能性があります。これらの課題に対して、生産性向上やコスト管理の強化が持続可能性のカギとなります。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報からは、具体的な技術革新の動向や独自性についての詳細な記述は見当たりません。ただし、事業内容に「ICT土木工学」の記載があり、情報技術を活用した建設プロセスの効率化を目指していることが示唆されます。
収益を牽引している主な事業は、連結事業構成比から建築事業（約54%）と土木事業（約21%）であり、これら建設工事自体が主力製品・サービスと言えます。
6. 株価の評価
現在の株価は4695.0円です。
各種指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 13.07倍
* PBR（実績）: 1.14倍
* EPS（会社予想）: 358.75円
* BPS（実績）: 4,103.59円
これらを基に現在の株価を評価すると:
* PER: 4695円 ÷ 358.75円 = 13.08倍。業界平均PERが14.0倍であるため、熊谷組のPERは業界平均と比較してやや低い水準にあります。
* PBR: 4695円 ÷ 4103.59円 = 1.14倍。業界平均PBRが1.1倍であるため、熊谷組のPBRは業界平均とほぼ同水準にあります。
これらの指標から見ると、現在の株価は業績予想に対して業界平均と比較して割安感があるとも、妥当な水準とも解釈できます。
7. テクニカル分析
直近の株価推移を見ると、現在の株価4695.0円は、年初来高値4,870円に比較的近い水準にあります。52週高値も同額の4870円です。
過去10日間の株価は、4590円から4765円の範囲で推移しており、大きな下落は見られず、高値圏で底堅く推移している様子です。
また、50日移動平均線（4386.20円）と200日移動平均線（4061.38円）をともに上回っており、株価は中期・長期的に上昇トレンドにあることを示唆しています。
年初来安値は3,595円、52週安値は3,315円であり、現在の株価は安値圏から大きく上昇した位置にあります。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書と最新の四半期財務指標を基に分析します。
* 売上高:
* 2022年3月期 425,216百万円
* 2023年3月期 403,502百万円
* 2024年3月期 443,193百万円
* 2025年3月期 498,581百万円（過去12か月と同じ）
* 売上高は2023年3月期に一時減少したものの、その後は増加傾向にあり、2025年3月期には約5000億円に迫る水準まで伸長しています。
* 直近の2026年3月期第1四半期の売上高は80,245百万円で、前年同期比3.8%増と堅調です。
* 利益:
* 営業利益:
* 2022年3月期 22,743百万円
* 2023年3月期 11,483百万円
* 2024年3月期 12,651百万円
* 2025年3月期 14,299百万円
* 営業利益は2022年3月期をピークに減少しましたが、その後は回復傾向にあります。
* 直近の2026年3月期第1四半期の営業利益は2,017百万円で、前年同期比45.2%減と大幅な減益となっています。これは売上総利益の減少や販売費及び一般管理費の増加が要因として挙げられています。
* 親会社株主に帰属する純利益:
* 2022年3月期 15,850百万円
* 2023年3月期 7,973百万円
* 2024年3月期 8,316百万円
* 2025年3月期 9,354百万円
* 純利益も営業利益と同様の推移を示しています。
* 直近の2026年3月期第1四半期の純利益は1,160百万円で、前年同期比84.1%減と大幅な減益となっています。これは、たな卸資産評価損の計上などが影響したと説明されています。
* 収益性と効率性:
* ROE（実績）: 5.17% (2025年3月期)
* ROA（過去12か月）: 2.26%
* 自己資本比率（実績）: 39.3% (2025年3月期末)
* 直近の2025年6月30日時点の自己資本比率は37.1%です。一般的に建設業における自己資本比率としては妥当な水準と考えられます。
* キャッシュフロー:
* 営業活動によるキャッシュフローは4,220百万円（2026年3月期第1四半期）とプラスで資金を生み出しています。
* 投資活動によるキャッシュフローは△39,337百万円と、大幅なマイナスですが、これは設備投資など先行投資が行われていることを示唆します。
* 負債:
* Total Debt（直近四半期）: 58.74B円
* Total Debt/Equity（直近四半期）: 33.34%
* 総負債比率は健全な水準であり、財務安全性は確保されていると考えられます。
総じて、売上高は堅調に推移しているものの、直近四半期では利益面で一時的な減益が見られます。通期業績予想は据え置かれているため、今後の挽回が注目されます。
9. 株主還元と配当方針
熊谷組の株主還元については、配当を中心に行われています。
* 配当利回り（会社予想）: 3.41%
* 1株配当（会社予想）: 160.00円
* 配当性向（実績）: 59.71%
直近の決算短信では、2026年3月期の期末配当予想が130円と示されています。もし年間配当が130円の場合、EPS358.75円に対する配当性向は約36.2%となります。
株主構成を見ると、住友林業が21.63%を保有する筆頭株主であり、機関投資家も多数保有しています。自社株買いなどの追加の株主還元策に関する具体的な情報提供はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
熊谷組の株価は、ここ1年間で52週変化率が37.30%と、S&P500の15.01%を大きく上回る上昇を見せており、強いモメンタムがあります。
直近10日間の株価は、高値圏で推移しつつも、比較的安定した値動きを見せています。
信用取引を見ると、信用買残が103,900株（前週比+23,700株）と増加しており、信用倍率は7.75倍です。信用買いが増加していることから、投資家の関心は一定程度高まっていると考えられます。
株式分割が2025年9月29日に4:1で行われる予定です。これは単元あたりの投資金額を低下させ、個人投資家にとっての買いやすさを向上させる効果が期待できます。
11. 総評
熊谷組は、大型土木・超高層ビル建築に強みを持つ総合建設準大手の企業です。インフラ更新や都市開発といった市場ニーズに対応しており、事業基盤は比較的安定しています。
売上高は堅調に推移しているものの、直近の四半期決算では、資材価格の高騰や費用増加、在庫評価損等の影響により、大きく利益を落としました。しかし、会社は通期業績予想を据え置いており、今後の挽回を見込んでいる状況です。
株価は年初来高値に近く、過去1年間で比較的強い上昇モメンタムを示しています。PERは業界平均より低く、PBRは業界平均と同水準であり、株価評価としては妥当もしくはやや割安と見ることができます。
財務基盤については、自己資本比率や負債比率から見て、健全性が確保されていると考えられます。配当も予想ベースでは安定して実施される見込みです。
今後の注目点としては、直近の利益の落ち込みを通期でどのように挽回していくのか、また建設業界全体が抱える資材価格高騰や人手不足といった課題に対し、企業がどのような対応策を講じていくかが挙げられます。
企業情報
| 銘柄コード | 1861 |
| 企業名 | 熊谷組 |
| URL | http://www.kumagaigumi.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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