ブラザー工業(6448)企業分析レポート
株価:2,555.5円(2025-08-18終値)/市場:プライム
1. 企業情報
- 概要・事業
- プリンター・複合機、ラベリング機器などの「プリンティング&ソリューションズ」が主力。産業機(工業用ミシン、マシニングセンタ等)、産業用コーディング・マーキング(Domino)、減速機・歯車(ニッセイ)、家庭用ミシン、カラオケ機器・店舗運営など多角化。
- 生産は中国等、販売は欧米中心。創業1908年、名古屋本社。
- 事業構成(参考)
- 売上構成比の目安:プリンティング等62%、マシナリー10%、ドミノ14%、ニッセイ2%、パーソナル&ホーム7%、他6%(括弧内の数値は資料上のセグメント利益率参考値)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- SOHO/中小企業向けレーザー・インクジェット機でグローバルに存在感。ラベリングやモバイルプリンターでも強み。
- 工業用ミシンは「首位級」とされる領域を保有。コンパクトなマシニングセンタ(SPEEDIO等)も堅調な評価。
- コーディング・マーキング(Domino)はグローバル主要プレイヤーの一角。
- 競争優位性と課題
- 優位性:消耗品・サービスによる継続収益、幅広い製品ライン、グローバル販路、財務の健全性。
- 課題:オフィス印刷需要の構造的縮小、為替(円高)・関税影響、欧州・中国の投資需要鈍化、販促費増による利益圧迫、産業用プリンター分野の競争激化。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針・ビジョン(公開情報ベース)
- 中期経営計画「CS B2027」に沿ってセグメント区分を見直し。事業ポートフォリオの再定義と重点資源配分、収益性・資本効率の維持向上、株主還元の安定を志向。
- 自己株式の取得・消却方針で資本効率の意識を明示(2025年5月決議)。
- 重点分野(足元の開示から読み取れる方向性)
- プリンティングは収益力維持(販促・価格戦略最適化、ラベリング等の用途拡大)。
- 産業系(マシナリー、Domino、ニッセイ)の需要回復取り込みと利益率改善。
- 為替影響・関税コストへの対応、販管費の抑制・選択と集中。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- プリンター・コーディング機器はハード+消耗品・サービスの継続収益型。ミシン・機械は更新投資・設備投資サイクルに連動。
- 適応力
- 多角化により特定市場の低迷を緩和。地域・通貨分散も効く一方、円高局面では利益押し下げ要因。オフィス印刷の構造変化には、ラベリング・産業印字やSOHO向け、ソリューション強化で対応。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- レーザー/インクジェット、熱転写、ラベル・モバイルプリンティング等の要素技術。Dominoの産業用印字(CIJ/TIJ/レーザー等)や、コンパクト高能率の工作機、産業用ミシンのメカトロ技術。
- 収益ドライバー
- プリンティング&ソリューションズ(売上・利益の柱)、Dominoの消耗品販売、マシナリーの工作機・工業用ミシン。ニッセイの減速機・歯車は利益率改善が寄与。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標(現在値ベース)
- 株価:2,555.5円
- 予想EPS:215.58円 → 予想PER:約11.9倍(会社公表11.85倍)
- 実績BPS:2,699.89円 → PBR:約0.95倍
- 配当:年間100円 → 予想利回り:約3.91%
- 相対比較
- 業界平均PER:24.2倍、PBR:1.6倍に対し、同社は両指標で下回る水準。
- 補足
- 純現金基調(総現金1,456億円、総有利子負債約6億円、D/E 0.09%)。EVは時価総額から多額の現金を差し引くと相対的に低位に見えやすい点がある。
7. テクニカル分析
- トレンド位置
- 50日移動平均:2,496.69円、200日移動平均:2,599.66円。
- 現在値は50日線の上、200日線の下に位置し、短期は上向き、長期はやや下回りのレンジ圏。
- レンジ内ポジション
- 52週高安:3,124円/2,188円。現在値はレンジ下限から約4割程度の位置(中位〜やや下寄り)。
- 足元の値動き
- 直近10日は2,48x〜2,61x円での推移が中心で、出来高は本日61.9万株(3カ月平均約77.8万株)とやや低め。短期はもみ合い傾向。
8. 財務諸表分析
- 成長・収益性(連結)
- 売上高:710,938億円(2022/3)→ 815,269億円(2023/3)→ 822,930億円(2024/3)→ 876,558億円(2025/3・過去12か月)
- 営業利益:85,502→55,378→49,792→69,888百万円と回復傾向(OPM過去12か月:約7.5%)。
- 親会社株主帰属純利益:61,030→39,082→31,645→54,778百万円。純利益率:約6.3%。
- 直近期(2026/3 1Q)
- 売上収益:▲0.8%、営業利益:▲26.8%、EPS:▲29.0%。為替(円高)や販促費増、欧州・中国の軟調が影響。一方、マシナリーは回復基調。
- 効率性・安全性
- ROE(実績):8.06%、ROA(LTM):4.80%。
- 自己資本比率:74.1%、流動比率:3.37倍。総有利子負債は極小で実質無借金。
- キャッシュフロー
- 営業CF:748億円、レバードFCF:366億円(過去12か月)。キャッシュ創出力は安定。
- セグメント概況(2026/3 1Q)
- プリンティング:為替・販促費で減益。
- インダストリアル・プリンティング:Domino消耗品は堅調、も装置は競争激化・為替で減収減益。
- マシナリー:産業機器の回復で増収増益。工業用ミシンは関税・為替で弱含み。
- ニッセイ:価格対応で利益改善。
- パーソナル&ホーム、ネットワーク&コンテンツ:販促費増や比較影響で減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 実績・予想:年間100円(中間50円・期末50円)。予想利回り約3.9〜4.0%、配当性向:約47%(データベース値)。
- 自社株買い
- 2025年5月9日取締役会で自己株式取得を決議。取得株は消却方針と開示。資本効率の意識がうかがえる。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週変化率:▲6.09%(同期間のS&P500 +15.01%データ参照)。ベータ0.38と低ボラティリティ特性。
- 直近はレンジ内での推移。50日線上・200日線下で方向感は限定的。
- 投資家動向
- 機関投資家保有比率:約50.3%。信用倍率1.18倍で片寄りは大きくない。信用買残・売残ともに前週比増加で短期の売買関心は継続。
- 予定イベント
- 権利落ち日:2025-09-29
- 決算発表予定:2025-11-06
11. 総評
- 事業の要点
- プリンティングと産業系の二本柱。消耗品収入を伴う継続性と多角化により、環境変動耐性を一定程度確保。
- 収益動向
- 2025/3期は増収・利益回復。2026/3期1Qは為替・販促費・地域要因で減益スタート。通期見通しは据え置き(売上8,750億円、営業利益730億円等の会社計画)。
- 財務・還元
- 財務健全性は高く、実質無借金・高流動性。配当は安定的で、自社株取得・消却方針を併用。
- バリュエーションと株価位置
- 予想PER・PBRはいずれも業界平均を下回る水準。株価は50日線上・200日線下のレンジ中位圏で推移。
- リスクと注視点
- 為替(円高局面)、関税・地政学、欧州・中国の需要動向、販促費負担、オフィス印刷の構造変化。マシナリーの回復継続、Dominoの消耗品安定、価格政策と費用コントロールの進捗が注目ポイント。
注記:本資料は提供データに基づく客観的な情報整理であり、投資判断を助言・勧誘するものではありません。最新の開示資料・IR情報の確認を推奨します。
企業情報
銘柄コード | 6448 |
企業名 | ブラザー工業 |
URL | http://www.brother.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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