荏原実業(6328)企業分析レポート

東京証券取引所プライム市場に上場する荏原実業(証券コード: 6328)について、企業情報、財務状況、株価動向などを中心に分析を行います。

1. 企業情報

荏原実業株式会社は、環境関連製品の製造・販売、水処理施設の設計・施工、ポンプ・空調機器等の商社販売を主要な事業とする企業です。創業時はポンプ・空調などの機器卸からスタートし、現在は上下水処理施設から空調設備まで、環境関連事業へと幅広く展開しています。自社で研究開発を行いながらも、生産は外部委託を活用する「ファブレス型」のビジネスモデルを採用している点が特徴です。事業は「メーカー事業」「エンジニアリング事業」「商社事業」の3つのセグメントで構成されています。

2. 業界のポジションと市場シェア

荏原実業は、日本の環境装置機械業界に属しており、特に水インフラ設備の更新・整備や防災関連施設に強みを持っています。この業界は、公共投資や環境規制強化などを背景に安定的な需要が見込まれます。同社は、自社製品の製造・販売だけでなく、施設の設計・施工まで一貫して手掛けるエンジニアリング能力を持つことで、顧客への総合的なソリューション提供を可能にしています。特定の市場シェアに関する数値データは提供されていませんが、公共性の高いインフラ分野での需要の堅調さが、同社の安定的な事業基盤を支えていると考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

同社は中期経営計画「EJ2027」を掲げ、今後の成長を牽引する重点分野として「防災・減災」「蓄電池」「水産」の3つを特定しています。これは、老朽化する社会インフラへの対応、再生可能エネルギーの普及、食料の安定供給といった社会的なニーズに対応するものであり、事業成長と社会貢献の両立を目指す戦略です。

4. 事業モデルの持続可能性

荏原実業の事業は、環境問題、インフラ老朽化、エネルギー問題、食料問題といった現代社会の重要な課題に直接的に関連しています。上下水処理や防災・減災は社会生活に不可欠なインフラであり、その需要は継続的です。また、蓄電池や水産分野への進出は、新たな市場ニーズへの適応と成長機会の追求を示しており、事業モデルの高い持続可能性を示唆しています。ファブレス型経営は、資産を抑制しつつ、変化の速い市場への柔軟な対応を可能にするため、持続的な成長を支える基盤となると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

具体的な技術革新に関する詳細な情報提供は限定的ですが、オゾン関連装置、脱臭装置、省エネブロワー、感染症予防製品、海水電解殺菌装置など、環境負荷低減や衛生管理に貢献する多様な製品群を有しています。収益を牽引しているのは、上下水処理施設や雨水排水施設などの大規模プロジェクトを担うエンジニアリング事業です。また、家庭用エネルギー貯蔵システムや蓄電池の企画・製造・販売にも乗り出すなど、環境とエネルギー分野における技術開発の幅を広げている姿勢が見られます。

6. 株価の評価

  • PER(株価収益率):
    • 現在の株価4,170.0円、会社予想EPS 276.10円(2025年12月期通期予想)に基づくと、PERは約15.10倍となります。
    • 業界平均PER(16.6倍)と比較すると、荏原実業のPERはやや低い水準にあります。
  • PBR(株価純資産倍率):
    • 現在の株価4,170.0円、実績BPS 2,115.79円に基づくと、PBRは約1.97倍となります。
    • 業界平均PBR(1.4倍)と比較すると、荏原実業のPBRはやや高い水準にあります。

PERとPBRの評価は、投資家の視点や市場環境によって解釈が異なりますが、PERでは割安感、PBRでは割高感が示唆される状況です。

7. テクニカル分析

直近の株価推移を見ると、8月初旬の3,845円から一時4,320円まで上昇した後、現在値4,170円へとやや調整しています。しかし、現在の株価は50日移動平均線(3,734.00円)および200日移動平均線(3,821.53円)をともに上回っており、中期的な上昇トレンドが続いていると判断できます。年初来高値が4,515円であることから、現在の株価は高値圏とは言えないものの、直近の推移の中では比較的高い水準に位置しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間、堅調な成長を続けています。2021年の32,485百万円から2024年12月期実績の37,503百万円へ増加し、直近12か月では39,620百万円と継続的な拡大を見せています。特に2025年12月期第2四半期は前年同期比11.1%増と高い伸びを記録しています。
  • 利益:
    • 営業利益は2021年から2022年にかけて一時的に減少しましたが、2023年には4,025百万円、2024年12月期実績では4,252百万円と回復し、成長傾向にあります。2025年12月期第2四半期の営業利益は前年同期比34.3%増と大幅な増益となっており、収益性が改善している状況です。
    • 親会社株主に帰属する純利益も同様に増加傾向で、2025年12月期第2四半期の中間純利益は前年同期比34.1%増の2,478百万円でした。
  • キャッシュフロー:
    • 営業活動によるキャッシュ・フローは過去12か月ではマイナスですが(-835百万円)、2025年12月期第2四半期の中間期では45億90百万円の獲得となっており、直近で大幅な改善が見られます。
    • 現金及び現金同等物は180億44百万円と潤沢であり、財務基盤の安定性を示しています。
  • 収益性: ROE(自己資本利益率)は実績14.19%、過去12か月15.67%と、資本を効率的に活用して利益を生み出している良好な水準です。ROA(総資産利益率)も過去12か月で7.31%と比較的高い水準を維持しています。
  • 財務安全性: 自己資本比率は実績で54.6%、2025年12月期第2四半期では57.9%と非常に高く、財務の健全性は優れていると評価できます。総負債も990百万円と少なく、借入依存度が低い健全な財務状況です。

9. 株主還元と配当方針

会社予想の年間配当金は120.00円であり、内訳として普通配当100円と創業80周年記念配当20円が含まれています。現在の株価(4,170円)に基づく配当利回りは約2.88%です。これは過去の配当利回りを上回る水準であり、積極的な株主還元姿勢がうかがえます。配当性向は30.67%であり、利益成長と連動した安定的な配当が期待できる水準です。自社株買いに関する具体的な情報提供はありませんでした。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は直近で上昇基調にあり、50日・200日移動平均線を上回って推移しています。これは中期的な強いモメンタムを示唆しています。出来高も一時的に増加する場面が見られ、投資家の関心が継続していることが伺えます。株価に影響を与える要因としては、水インフラ整備や防災・減災関連の公共投資の動向、中期経営計画における重点分野の進捗状況、および四半期ごとの業績発表などが挙げられます。

11. 総評

荏原実業は、環境関連事業と水処理事業を基盤に持つ堅実な企業です。国内の安定的なインフラ需要に支えられながら、中期経営計画で掲げた「防災・減災」「蓄電池」「水産」といった社会的ニーズの高い分野への注力により、持続的な成長を目指しています。
財務面では、売上高・利益ともに着実に成長しており、特に最新の四半期決算では大幅な増益を達成しました。自己資本比率が高く、有利子負債が少ないなど、非常に健全な財務体質を維持しており、ROEも高水準で資本効率性も優れています。
株価は中期的に上昇トレンドにあり、投資家の関心も継続していると見られます。株価評価はPERで業界平均を下回る一方、PBRでは上回るという状況で、市場の評価が分かれる可能性があります。安定的な配当方針も株主還元への意識の高さを示しており、配当利回りも魅力の一つとなりえます。
総合的に見て、荏原実業は堅実な事業基盤と財務体質を持ちつつ、成長テーマを持った企業であると言えます。今後の重点分野における具体的な進捗と、継続的な業績の動向が注目されます。


企業情報

銘柄コード 6328
企業名 荏原実業
URL http://www.ejk.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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