第一カッター興業(1716)企業分析レポート

東京証券取引所スタンダード市場に上場する第一カッター興業(証券コード:1716)について、個人投資家の皆様向けに企業分析を行います。

1. 企業情報

第一カッター興業は、1967年に設立された建設業・土木工事業を主軸とする企業です。事業の柱は、工業用ダイヤモンドや高圧の水(ウォータージェット)を用いて、舗装路面やコンクリート構造物を切断したり穴を開けたりする「切断・穿孔(せんこう)工事」です。この工事が売上全体の約96%を占める主力事業となっています。その他に、マンションやオフィスビルなどの給排水設備の保守点検や清掃を行う「ビルメンテナンス事業」、使用済みのコンクリート構造物などを再利用・再生する「リユース・リサイクル事業」も手掛けています。特に、老朽化した社会インフラの補修や更新工事に強みを持つ企業として知られています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は、コンクリート構造物の切断・穿孔工事において、工業用ダイヤモンドやウォータージェットといった特殊な技術を強みとしています。これらの技術は騒音や振動を抑え、精密な作業が可能であるため、都市部や既存構造物近接での工事において競争優位性を持つと考えられます。
市場動向としては、日本の建設業界全体で、建設資材やエネルギー価格の高騰による収益圧迫、そして受注環境の厳しさが指摘されています。しかし、一方で高度成長期に整備された道路、橋梁、ダムといった社会インフラの老朽化が進んでおり、その維持・補修・更新工事の需要は中長期的に安定していると見られます。同社はこうした需要を取り込むことで、今後の事業展開を図る方針です。

3. 経営戦略と重点分野

同社は、中長期的な成長戦略として以下の分野に注力しています。
* 技術力増進のための研究開発投資: 特殊な切断・穿孔技術をさらに進化させるための研究開発を続けています。
* 効率化推進のためのシステム構築: 業務の効率化を図るためのシステム投資を行っています。
* 人員確保・人材育成のための投資: 専門技術を持つ人材の確保と育成に力を入れています。

セグメント別では、主力の「切断・穿孔工事事業」において、特に西日本エリアでの事業拡大、高速道路・橋梁補修工事、電力関連工事などへの営業力・施工力強化を推進しています。「ビルメンテナンス事業」では、首都圏を中心に大手デベロッパーの新規案件開拓に努め、高層集合住宅を中心とした営業強化を図っています。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の主力である切断・穿孔工事は、老朽化するインフラの補修・更新需要に支えられており、中長期的な市場ニーズが存在します。同社が持つ特殊技術は、環境への配慮や作業の効率性から、今後も需要が見込まれるでしょう。
ただし、売上高が一部の大型工事に依存する可能性があり、高速道路リニューアル工事の受注減少が直近の売上減少に影響を与えたように、案件の進捗や大型プロジェクトのサイクルによって業績が変動するリスクも考えられます。ビルメンテナンス事業は安定的な収益源となる可能性を秘めており、成長が見込まれる分野です。

5. 技術革新と主力製品

第一カッター興業の主要な技術は、工業用ダイヤモンドを用いたコンクリート切断・穿孔技術と、高圧の水を噴射するウォータージェット工法です。これらの技術は、従来の工法に比べて低騒音・低振動で、環境負荷が少なく、かつ精密な施工を可能にします。鉄道関連のエンジニアリングサービスも提供しており、特殊な工事ニーズに応える独自性が技術的な優位性となっています。
収益を牽引しているのは、連結売上高の96%を占める「切断・穿孔工事」です。この事業では、道路や橋の補修、ダム関連工事、建物の解体・耐震工事など、社会インフラの維持・更新に関わる多様な工事を手がけています。

6. 株価の評価

現在の株価1,311.0円は、以下の指標と比較できます。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 114.68円と現在の株価に基づくと、PERは約11.43倍です。業界平均PERが11.3倍であると比較すると、ほぼ同程度の水準に位置していると言えます。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 1,709.54円と現在の株価に基づくと、PBRは約0.77倍です。業界平均PBRが0.7倍であると比較すると、やや高い水準ですが、1倍を下回っており、純資産価値から見ると割安と評価される水準です。

これらの指標から見ると、現在の株価は純資産に対しては割安感があり、利益水準では業界平均並みの評価を受けていると考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価1,311.0円は、年初来高値1,508円、年初来安値1,240円の中間やや安値圏に位置しています。
直近10日間の株価推移を見ると、2025年2月下旬から3月上旬にかけて1,400円前後の水準で推移していましたが、その後やや値下がりし、直近では1,300円台前半での取引となっています。
50日移動平均線が1,314.80円、200日移動平均線が1,372.27円であることと比較すると、現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線のいずれをも下回っており、短期的には下降トレンドにあることを示唆しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益の動向:
    • 2024年6月期(連結)の売上高は20,228百万円(前期比3.3%減)、営業利益は1,647百万円(前期比32.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,327百万円(前期比32.7%減)と、前年と比較して減収減益となりました。これは主に高速道路リニューアル工事の受注減少や原価経費の増加が影響しています。
    • しかしながら、ビルメンテナンス事業は売上高が18.9%増、セグメント利益が124.8%増と大きく成長しており、新たな収益柱として期待されます。
  • 収益性・効率性:
    • 売上高営業利益率は8.1%(前期11.7%)と低下しましたが、営業利益自体は継続して計上しています。
    • ROE(実績)は7.10%であり、投資家資本を効率的に活用できているか注視が必要です。
    • ROA(過去12か月)は4.67%です。
  • 財務安全性:
    • 自己資本比率は86.4%と非常に高く、財務基盤は強固であり、安定性が高いと言えます。
    • 現預金も9.93B(99.3億円)と潤沢であり、有利子負債は330M(3.3億円)と少なく、財務健全性は非常に高い水準です。
    • 流動比率(Current Ratio)も6.53と高く、短期的な支払い能力にも懸念はありません。
  • キャッシュフロー:
    • 営業活動によるキャッシュ・フローは1,699百万円のプラスであり、本業で着実に現金を稼ぎ出しています。
    • 投資活動によるキャッシュ・フローは△2,437百万円とマイナスであり、設備投資などを積極的に行っていることが伺えます。
    • 財務活動によるキャッシュ・フローは△515百万円とマイナスであり、借入金の返済や配当支払いなどが行われたと考えられます。

9. 株主還元と配当方針

同社は株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当: 2024年6月期の実績配当は40.00円、2025年6月期の予想配当も40.00円とされています。現在の株価(1,311.0円)に基づく配当利回り(会社予想)は3.05%であり、これは市場平均と比較しても比較的高水準です。
* 配当性向: Payout Ratioは21.82%であり、利益に対する配当の割合は健全な水準です。
* 自社株買い: 株主構成に「自社(自己株口)」があり、過去に自社株買いが実施されている可能性があります。

安定的な配当を継続し、株主への利益還元を重視していることが伺えます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

現在の株価は、直近の株価履歴や移動平均線から見ると、年初来安値に近い水準で推移しており、下降の勢いが見られます。
出来高は直近で18,800株と比較的小規模であり、活発な売買が行われている訳ではないようです。
信用取引においては、信用買残が641,500株に対し、信用売残が11,400株であり、信用倍率は56.27倍と高い水準です。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てしている投資家が多いことを示しますが、一方で買い残の多さは将来の売り圧力となる可能性も含んでいます。
直近の業績が減益であったことや、市場全体の動向、建設資材価格の高騰といった外部要因が株価に影響を与えている可能性が考えられます。

11. 総評

第一カッター興業は、特殊な切断・穿孔技術を強みとし、老朽化する社会インフラの補修・更新需要を背景に事業を展開している企業です。非常に高い自己資本比率と潤沢な現預金に裏付けられた強固な財務基盤を持つ一方で、直近の業績は主力事業の受注減少により減収減益となりました。しかし、ビルメンテナンス事業の成長は明るい兆しであり、中長期的な経営戦略として技術開発や人材育成に投資を続けている点は評価できます。
株価はPBRが1倍を下回っており純資産価値に対して割安感がある一方、PERは業界平均と同程度です。直近の株価は下降トレンドにあり、年初来安値に近い水準で推移しています。安定した配当を継続しており、配当利回りは比較的高水準です。
今後の注目点としては、建設資材価格の高騰による原価への影響、及び主要な工事案件の受注状況とそれに伴う業績の回復・成長が挙げられます。


企業情報

銘柄コード 1716
企業名 第一カッター興業
URL http://www.daiichi-cutter.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 建設業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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