1. 企業情報
株式会社やまびこは、主に小型屋外作業機械、農業用管理機械、一般産業用機械の製造・販売を手掛けるメーカーです。主な製品として、チェンソーや刈払機といった林業・造園業向けの機械、防除機などの農業用機械、発電機や溶接機などの産業用機械を提供しています。Kioritz、Shindaiwa、ECHOといったブランド名で、森林や農場、建設現場、公園、一般家庭など幅広い顧客に製品を供給しています。2008年に共立と新ダイワ工業が統合して設立され、屋外作業機械では国内トップ、米州市場でも上位のポジションを確立しています。従業員数は3,037名、平均年収は791万円です(2025年8月時点)。
2. 業界のポジションと市場シェア
やまびこは、農林業機械分野で国内首位、特に小型屋外作業機械メーカーとしては国内トップ、米州市場でも上位に位置しています。売上高の約74%を小型屋外作業機械が占めており、利益貢献度も約9割を超える主要事業としています。海外売上比率も約74%と高く、グローバルに事業を展開しています。
競争優位性としては、長年の実績とブランド力、特に北米や欧州における販売網が挙げられます。また、ロボット芝刈機といった新製品の開発・拡販にも注力しています。
課題としては、海外売上比率が高いことから為替変動の影響を受けやすいこと、原材料・物流コストの変動リスク、および米国の関税政策など地政学的な要因が事業に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、主要事業である小型屋外作業機械(OPE)においては、プロモーション活動の強化とロボット芝刈機などの新製品拡販を通じて市場シェアの拡大を目指しています。農業用管理機械は、国内の米価上昇による購買意欲の回復に対応した販売推進を重点課題としています。一般産業用機械については、米国の関税政策への対応や価格競争力の強化、コスト削減、供給網の最適化に取り組んでいます。また、原材料価格や為替変動、物流コストといった外部要因に対応するため、米国内での生産移管の加速や原価低減活動、パートナー企業との連携によるサプライチェーンの最適化を推進しています。
4. 事業モデルの持続可能性
やまびこの事業モデルは、多様な機械製品を提供する多角的なポートフォリオを持ちつつも、特に「小型屋外作業機械」が収益の大部分を占めています。これにより、このセグメントの市場動向が会社全体の業績に大きく影響します。海外売上比率が約74%と高く、特に米州が主要市場であるため、地域ごとの需要変動や為替レート(米ドルやユーロ)の動向が収益に与える影響は大きいです。
市場ニーズの変化に対しては、欧州でのロボット芝刈機販売伸長など、技術革新を取り入れ新製品を投入することで対応しています。また、国内農業の需要回復にも対応し、特定の市場ニーズに応える製品展開も行っています。一方で、米国の関税政策や穀物価格の変動、原材料・物流コストの動向など、外部環境の変化への適応力が持続可能性を左右する重要な要素となります。
5. 技術革新と主力製品
やまびこはKioritz、Shindaiwa、ECHOといったブランドのもと、幅広い製品を手掛けています。技術開発の動向としては、利便性や環境性能に優れた製品開発に注力していると推察され、決算短信には欧州での新型ロボット芝刈機の販売伸長が具体例として挙げられています。
収益を牽引している主力製品は、チェンソー、刈払機、芝刈機などの「小型屋外作業機械」です。このセグメントは連結売上高の約74%を占め、セグメント利益においても全体の約9割以上を占めるなど、事業の中核を担っています。特に北米市場でのホームセンター向け販売や、欧州でのロボット芝刈機が好調であることが収益に寄与しています。
6. 株価の評価
現在の株価2,350.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 7.70倍
* EPS(会社予想): 305.17円
* PBR(実績): 0.89倍
* BPS(実績): 2,641.72円
業界平均と比較すると以下のようになります。
* 業界平均PER: 16.6倍
* 業界平均PBR: 1.4倍
これらのデータに基づき算出した理論株価は以下の通りです。
* PER基準の理論株価: 16.6倍 × 305.17円 = 約5,066円
* PBR基準の理論株価: 1.4倍 × 2,641.72円 = 約3,698円
現在の株価2,350.0円は、PER、PBRともに業界平均と比較して低い水準にあります。このことから、現在の株価は割安な水準にあると評価することができます。
7. テクニカル分析
現在の株価は2,350.0円です。
* 年初来高値は2,808円、年初来安値は1,785円であり、現在の株価は年初来のレンジの中央やや高めの水準に位置しています。
* 直近10日間の株価推移を見ると、概ね2200円台から2300円台で推移しており、直近3日間は上昇傾向にあります(2315円→2330円→2350円)。
* 50日移動平均線(2,176.72円)を上回っており、短期的な上昇トレンドを示唆しています。
* 200日移動平均線(2,333.46円)とほぼ同水準であり、長期的なトレンドの分岐点に近いと見ることができます。
全体として、株価は直近で上昇を見せており、年初来高値に向けて推移する可能性がありますが、200日移動平均線が上値抵抗線となる可能性も考慮されます。
8. 財務諸表分析
過去数年間の連結損益計算書を見ると、以下の傾向が見られます。
* 売上高: 2021年12月期から2024年12月期まで増加傾向(142,328百万円 → 156,159百万円 → 151,400百万円 → 164,838百万円)。直近12か月の売上高も164,838百万円と同水準です。決算短信によると、直近の四半期(2025年12月期第2四半期)も売上高は前年同期比で5.7%増と堅調に推移しています。
* 営業利益: 2022年12月期に一時減少したものの、2023年12月期に回復し、直近12か月では19,638百万円と過去最高水準を達成しています。営業利益率は直近12カ月で12.98%と良好な水準です。
* 経常利益・純利益: 直近12か月では経常利益20,984百万円、親会社株主帰属純利益15,889百万円と大きく増加しています。しかし、2025年12月期第2四半期決算では、売上高は増加したものの、前年の為替差益から今期の為替差損への転換により、経常利益は前年同期比で-14.9%、親会社株主に帰属する中間純利益は-25.3%と減少しています。これは、主に為替変動の影響によるものです。
* 収益性指標: ROE(実績)は16.29%、ROAは7.79%と、いずれも資本を効率的に活用して収益を上げていることを示しています。
* 財務安全性:自己資本比率は68.9%と高く、財務基盤は非常に安定しています。流動比率も約280%と高く、短期的な支払能力に問題はありません。有利子負債は22,820百万円に対して現金同等物が18,186百万円あり、ネット有利子負債は約4,634百万円と低水準です。
* キャッシュフロー: 営業キャッシュフローは直近12か月で8.84B円とプラスですが、2025年12月期第2四半期時点では、売上債権や棚卸資産の増加、法人税支払等により△2,046百万円とマイナスになっています。これは今後の資金繰りに注視が必要です。
9. 株主還元と配当方針
やまびこは、安定した株主還元策を実施しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.83%
* 1株配当(会社予想): 90.00円
* 配当性向(Payout Ratio): 29.17%(過去12か月ベース)
2024年12月期は年間90円(中間40円、期末50円)、2025年12月期も年間90円(中間45円、期末予想45円)を予定しており、安定した配当を継続する方針が見られます。配当性向も30%程度と比較的に低く、企業として内部留保と成長投資にも資金を回しつつ、株主への還元も行っている状況です。
また、自己株式取得も実施しており(2025年2月13日決議で400,000株取得)、自社株買いを通じて株主還元を強化する姿勢も伺えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近10日間で見て、2,200円台後半から2,300円台半ばへと上昇傾向にあります。特に直近3日間は強い上昇を見せています。
* 出来高は直近10日間で4万~12万株程度で推移しており、平均出来高(3ヶ月平均9.15万株、10日平均8.45万株)から見ると、直近はやや少ない傾向にあります。
* 信用倍率は41.16倍と高く、信用買残が信用売残を大きく上回っています。これは、株価が上昇した場合に買い方の利益確定売りが出やすいという可能性を示唆しています。
* 年初来の株価変動は-0.51%であり、S&P 500の同時期の上昇率13.05%と比較すると、市場全体の上昇からは乗り遅れている状況です。
投資家関心に影響を与える要因としては、今後の決算発表(2025年8月7日~12日頃)が挙げられます。直近の決算短信では為替差損の影響で純利益が減少しているため、今後の為替動向とそれに対する会社の対応が注目されます。米国の関税政策の動向、海外市場での新製品(ロボット芝刈機など)の販売状況も株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
やまびこは、小型屋外作業機械を中心に国内および米州で高い市場シェアを持つグローバル企業です。堅調な売上高の成長と高い営業利益率、強固な財務体質(高い自己資本比率、潤沢な現預金)は同社の強みと言えます。特に、収益性の高い小型屋外作業機械事業が業績を牽引しています。
株価は、PER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、配当利回りも魅力的な水準で、安定した株主還元を行っています。
一方で、海外売上比率が高いため為替変動リスク(特に直近では為替差損が利益を圧迫)や、米国の関税政策を含む地政学リスク、原材料・物流コストの変動など、外部環境の変化に起因する課題も抱えています。また、直近の四半期では売上債権や棚卸資産の増加により営業キャッシュフローがマイナスになっている点は今後の動向に注目が必要です。
これらの点を総合的に考慮すると、堅実な事業基盤と高い収益性、安定した株主還元策を持つ一方で、為替や国際情勢などの外部環境要因が業績に与える影響に注意を払いながら、今後の事業戦略と業績推移を注視していく必要がある企業と言えます。
企業情報
銘柄コード | 6250 |
企業名 | やまびこ |
URL | http://www.yamabiko-corp.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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