NTN(6472)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、NTN(証券コード:6472)の企業分析レポートをお届けします。
1. 企業情報
NTNは、ベアリング(軸受)、等速ジョイント、精密機器などを製造・販売する大手メーカーです。ベアリング業界では大手3社の一角を占め、特に自動車向けの等速ジョイントでは世界シェア2位、ハブベアリングでは世界トップシェアを持つグローバル企業です。国内外の自動車、鉄道、風力発電、建設・鉱山機械、農業機械、医療機器など幅広い産業に製品を提供しています。本社は大阪にあり、1934年に設立されました。従業員数は約2.2万人、平均年収は約724万円です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、機械セクターに属します。
2. 業界のポジションと市場シェア
NTNは、ベアリング大手3社の一角として、世界的に高いブランド認知度と技術力を有しています。特に等速ジョイントとハブベアリングにおいては、世界トップクラスの市場シェアを確保しており、これが同社の競争優位性の一つとなっています。等速ジョイントは自動車の駆動系に不可欠な部品であり、高い技術と品質が求められます。
一方で、事業構造として自動車向け売上比率が高い(CVJアクスルが全体の約59%)ため、自動車産業の動向や、世界的な景気変動、為替変動、原材料価格の高騰などが業績に与える影響は大きいと考えられます。直近では需要の弱含みが課題として認識されています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は2024年4月から開始した新中期経営計画「DRIVE NTN100 Final」を推進しています。この計画では「事業構造の変革(Transformation)の加速」を掲げ、再生完了を目指しています。具体的な施策として、生産再編を中心とした事業構造改革を推進するとともに、「SQCCD(安全・品質・法令遵守・コスト&キャッシュ・納期&開発)」の強化による収益力の向上に注力しています。
4. 事業モデルの持続可能性
NTNの事業モデルは、軸受他事業とCVJアクスル事業の二本柱であり、特に自動車関連市場での強みが特徴です。海外売上高比率が74%と高く、グローバルな需要を取り込む体制が構築されています。世界的な自動車産業の電動化(EV化)やCASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)の進展は、同社の事業機会となる一方で、既存の内燃機関車向け部品の需要減少といったリスクもはらんでいます。同社はセンサー関連製品や電動モーター・アクチュエーターなどの開発にも言及しており、市場ニーズの変化への適応を進めていると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
NTNの主力製品は、各種ベアリング、等速ジョイント、ハブベアリングです。これらの製品は、自動車や産業機械の高性能化、省エネ化に貢献する基幹部品です。精緻な加工技術と材料技術に基づいた高耐久・高効率な製品開発が進められていると推測されます。また、電動機やセンサー関連製品、複合材料製品、状態監視システムなど、次世代の産業ニーズに対応する技術開発にも取り組んでいることがうかがえます。
6. 株価の評価
現在の株価は326.1円です。
– EPS(1株あたり利益):(連)-11.33円(会社予想)
– EPSがマイナスのため、PER(株価収益率)は算出できません。
– BPS(1株あたり純資産):(連)435.92円(実績)
– PBR(株価純資産倍率):(連)0.75倍(実績)
同業界の平均PBRが1.4倍であることを考慮すると、現在のPBR 0.75倍は業界平均を下回っており、純資産に対して株価が割安な水準にあると言えるでしょう。BPSに基づいて評価した場合、業界平均PBRを用いた理論株価は、435.92円 × 1.4倍 = 約610.28円となります。現在の株価はこの理論株価を下回っています。ただし、EPSがマイナスである点は、収益面での評価を難しくしています。
7. テクニカル分析
直近の株価は326.1円です。
– 年初来高値:337.6円
– 年初来安値:192円
現在の株価は、年初来高値(337.6円)に近い水準で推移しており、年初来安値(192円)からは大きく上昇しています。
– 50日移動平均線:253.55円
– 200日移動平均線:240.41円
現在の株価は50日移動平均線および200日移動平均線を大きく上回っており、特に直近10日間の株価推移では上昇傾向が確認できます。本日の出来高も8,443,100株と多く、投資家の関心が高まっている様子がうかがえます。現在の株価水準は、短期的には高値圏にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上高:2022年3月期から2024年3月期にかけては増加傾向にありましたが、2025年3月期(予想)では825,587百万円と前年比で微減の見込みです。2026年3月期第1四半期も前年同期比で5.6%減の199,039百万円となりました。
- 営業利益:2025年3月期(予想)は22,960百万円と前年比で減少見込みです。ただし、2026年3月期第1四半期では6,977百万円と前年同期比で53.9%の増益を達成しており、コスト削減や売価転嫁の効果が見られます。通期の営業利益予想は24,000百万円と増益を見込んでいます。
- 経常利益:2025年3月期(予想)は-8,593百万円と赤字転落の見込みです。しかし、2026年3月期第1四半期では4,032百万円と前年同期比83.3%の大幅増益となりました。
- 親会社株主に帰属する純利益:2025年3月期(予想)は-23,801百万円と大幅な赤字転落が見込まれています。一方で、2026年3月期第1四半期は1,190百万円と黒字転換し、前年同期比で598.1%の増益を達成しました。
- ROE(自己資本利益率):(連)-9.57%(実績)。直近12か月も-8.07%とマイナスで、収益性について課題があります。
- ROA(総資産利益率):直近12か月で1.77%。
- 自己資本比率:(連)27.2%(実績)。2026年3月期第1四半期末も27.0%と、やや低い水準で推移しています。これは財務の安全性において改善の余地があることを示唆しています。
- キャッシュフロー:過去12か月の営業キャッシュフローは63,300百万円のプラスであり、事業活動で資金を獲得できています。投資キャッシュフローはマイナスで、設備投資等が行われています。
総じて、2025年3月期は大幅な減益・赤字となる見込みですが、2026年3月期第1四半期には大幅な利益改善が見られました。通期予想では営業利益が増益見込みであるものの、純利益は赤字予想を継続しています。財務の健全性については自己資本比率が低い点が注目されます。
9. 株主還元と配当方針
NTNの年間配当実績は2025年3月期で1株あたり11.00円でした(中間5.50円、期末5.50円)。現在の株価に基づくTrailing Annual Dividend Yieldは3.47%です。Forward Annual Dividend Rateの予想も11円であり、Forward Annual Dividend Yieldは3.37%となります。これは5年平均配当利回り2.92%を上回る水準です。
配当性向は149.79%と、直近の利益水準に対して高い値となっています。これは、純利益がマイナスである2025年3月期の予想に対し、配当を維持する方針を示すものと考えられます。2026年3月期の配当予想は現時点では未定です。自社株買いなどの追加的な株主還元策については、直近の決算短信では言及されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
NTNの株価は、直近10日間で310円台後半から330円台前半への上昇傾向を示しており、本日(8月22日)は年初来高値(337.6円)に迫る水準まで上昇しました。50日移動平均線および200日移動平均線を大きく上回って推移しており、強い上昇モメンタムが見られます。
本日の出来高は844万株超と、3ヶ月平均や10日平均を大きく上回っており、投資家の関心が高まっていることを示唆しています。信用取引の信用倍率は0.94倍と信用売残がやや多い状況です。
株価に影響を与える要因としては、2026年3月期第1四半期で利益が大きく改善した点や、今後の自動車市場(特にEV関連)の動向、為替レートの変動、中期経営計画の進捗、そして係争案件の行方などが挙げられます。
11. 総評
NTNは、ベアリングおよび等速ジョイント分野で世界的に高い市場シェアと技術力を持つ企業です。2025年3月期は大幅な赤字となる見込みであるものの、2026年3月期第1四半期では売上高は減少したものの、コスト削減や売価転嫁により営業利益、経常利益、純利益が前年同期比で大幅に改善しました。これは事業構造改革の成果が出始めている兆候と考えられます。
株価は、過去1年の低水準から大きく回復し、年初来高値圏で推移しており、強い上昇モメンタムが見られます。PBRは業界平均を下回っており、純資産から見ると割安感がある一方、現在のEPSがマイナスであるため純粋なPER評価は困難です。
財務面では、自己資本比率が約27%と改善の余地があり、借入金も多いことから、今後の利益改善による財務体質の強化が期待されます。株主還元は年間11円の配当を継続していますが、足元の収益状況から見た配当性向は高水準です。
全体として、NTNは安定した主力事業とグローバルな展開力を持ちながらも、直近の業績悪化からの本格的な回復と持続的な成長に向けた事業構造改革を進めている段階にあると言えます。第1四半期の利益改善はポジティブな材料ですが、通期での黒字化と財務基盤の強化、そして中長期的な成長戦略の進捗が今後の注目点となるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 6472 |
企業名 | NTN |
URL | http://www.ntn.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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