1. 企業情報
ユシロは、東京都大田区に本社を置く1944年設立の化学メーカーです。事業のほとんどを占めるのは、自動車や航空機などの部品製造時に使用される「金属加工油剤」で、この分野においては国内で最大手かつ首位の企業です。特に日系自動車メーカーとの強固な関係を築いており、海外展開(海外売上比率65%)も日系企業が主な顧客となっています。その他、ビルメンテナンス用の化学製品(クレンリネス関連事業)も手掛けています。
2025年4月には、社名を「ユシロ化学工業株式会社」から「株式会社ユシロ」に変更しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ユシロは金属加工油剤の分野で国内首位の地位を確立しており、日系自動車メーカーからの受注において圧倒的な強みを持っています。グローバルな事業展開により、海外からの収益も全体の約65%を占めるなど、強固な市場ポジションを築いています。
一方、主要顧客である自動車産業における電動化(EV化)の進展は、従来の金属加工油剤の需要構造に変化をもたらす可能性があり、これが今後の事業における課題となることが考えられます。同社も決算短信で「EV化進展に伴う需要減の影響」に言及しています。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信によると、ユシロは中期経営計画「EXPLORER PLUS」の2年目として、以下のような施策と重点分野を推進しています。
* EV化・ESG志向を見据えた新製品の拡販: 自動車市場の変化に対応し、環境負荷の低い製品や新しい技術に基づいた製品開発に注力しています。
* 非自動車分野の拡大: 航空機分野の強化や、ヒカリアクション、自己修復性素材といった新商材の事業化を通じて、事業ポートフォリオの多様化を図っています。
* IT基盤強化・DX推進、人材育成・組織体制整備: 事業基盤の強化と効率化、持続的な成長を支えるための人材投資を行っています。
これらの戦略は、主要事業の市場環境変化に対応し、新たな成長ドライバーを創出することを目的としていると推察されます。
4. 事業モデルの持続可能性
ユシロの収益モデルは、金属加工油剤の製造販売が中心であり、主要顧客は日系自動車メーカーです。この事業は、同社の長年の技術力と顧客基盤に支えられていますが、自動車産業のEVシフトは、金属加工プロセスや油剤の種類に変化をもたらす可能性があります。
同社は中期経営計画において、EV化・ESG志向に対応した新製品の開発や非自動車分野への拡大を掲げており、市場ニーズの変化への適応力を高めるための取り組みを進めています。また、海外売上比率が65%と高く、地域分散が効いている点も事業の安定性に寄与していると考えられます。クレンリネス関連事業も事業の多角化に貢献しています。
5. 技術革新と主力製品
ユシロの主力製品は、自動車部品などに使われる「切削油剤」をはじめとする金属加工油剤です。これらの製品は、金属加工の効率性向上や品質保持に不可欠なものです。
技術革新の動向としては、EV化やESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から、環境負荷の低い製品や高機能な新素材の開発に注力しています。具体的には、中期経営計画に記載されている「ヒカリアクション」や「自己修復性素材」といった新商材の事業化が、今後の収益を牽引する可能性のある技術開発として注目されます。
6. 株価の評価
現在の株価は2,301.0円です。
各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 7.12倍
* PBR(実績): 0.72倍
* EPS(会社予想): 323.10円
* BPS(実績): 3,208.94円
* 業界平均PER: 12.1倍
* 業界平均PBR: 0.7倍
現在の株価は、会社予想EPSに基づくとPER約7.12倍、実績BPSに基づくとPBR約0.72倍となります。業界平均PER(12.1倍)と比較すると割安感があり、業界平均PBR(0.7倍)とはほぼ同水準からやや割安な水準にあります。PBRが1倍を下回っていることから、純資産価値と比較して株価に割安感がある可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価 (2,301.0円) は、年初来高値 (2,305円) および52週高値 (2,305.00円) に非常に近い水準にあります。直近10日間の株価推移を見ると、8月8日の2,194円から8月22日の2,301円まで概ね上昇傾向にあります。
50日移動平均線 (2,102.08円) および200日移動平均線 (2,053.14円) を現在の株価が上回っていることから、短期および中期的に上昇トレンドにある可能性が示唆されます。現在の株価は高値圏にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年(2022年3月期から2025年3月期)で増加傾向にあり、55,512百万円(2025年3月期実績)を記録しています。直近の2026年3月期第1四半期も前年同期比1.3%増の13,434百万円です。
- 営業利益・経常利益: 営業利益も過去数年で大きく増加しており、2025年3月期には5,068百万円となっています。ただし、2026年3月期の通期予想では、前期比で営業利益が-19.1%、経常利益が-22.9%と減益を見込んでいます。これは、為替差益の消失やコスト上昇、海外市場の変動などが影響している可能性があります。
- 純利益: 過去数年で顕著に増加しており、2025年3月期は4,315百万円です。特に、2026年3月期第1四半期は、投資有価証券売却益1,160百万円の計上により、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比44.2%増の2,050百万円と大幅な増益となりました。通期予想も前期比0.8%増の4,350百万円を見込んでいます。
- 財務健全性: 自己資本比率は68.5%(実績)、直近四半期で68.7%と非常に高く、財務基盤は強固です。流動比率も約233%と高く、短期的な支払い能力にも懸念はありません。有利子負債も少なく、総資産に対する負債比率も低いです。
- 収益性: ROE(実績)は10.32%、過去12か月で11.86%と、株主資本を効率的に活用できている水準にあります。ROA(過去12か月)も5.05%であり、総資産を効果的に利用して利益を生み出していると言えます。
全体として、過去数年間で売上と利益は堅調に成長しており、非常に強固な財務体質を維持しています。ただし、今期の営業利益・経常利益は減益予想であり、外部環境の変化に起因する影響に注意が必要です。
9. 株主還元と配当方針
ユシロは、高水準の配当を実施しており、株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。
* 配当利回り(会社予想): 4.26%
* 1株配当(会社予想): 98.00円
* 配当性向(Payout Ratio): 30.83%
配当性向が比較的低い水準にあることから、持続可能な配当余力があると考えられます。また、2025年5月14日取締役会決議に基づく自己株式の取得を実施するなど、自己株式を通じた株主還元も行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇トレンドにあり、52週高値、年初来高値を更新する勢いです。特に直近10日間で株価は徐々に上昇しており、投資家の関心が高まっている可能性があります。
52週間の株価変化率は35.04%と、S&P 500の同時期の変化率15.13%を大きく上回っており、良好な株価モメンタムを示しています。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回り、信用倍率も高い状態です (23.19倍)。これは将来の売り圧力につながる可能性もありますが、現在のところ買いが優勢である状況です。
株価に影響を与える要因としては、自動車市場の構造変化(EV化)、米国の関税政策の動向、国際紛争に伴う資源価格の高止まり、物価上昇に伴う物流費・人件費などのコスト上昇が挙げられます。
11. 総評
ユシロは、金属加工油剤の国内最大手として、日系自動車メーカーを主要顧客に安定した事業基盤を持つ企業です。過去数年で売上高・利益は堅調に推移し、自己資本比率68%超という非常に強固な財務体質を維持しています。配当利回りも高水準で、株主還元にも積極的です。
中期経営計画「EXPLORER PLUS」を通じて、自動車産業のEV化という構造変化に対応するため、新製品開発や非自動車分野の拡大、DX推進など、将来の成長に向けた戦略を推進しています。
現在の株価は年初来高値圏にありますが、PERやPBRは業界平均と比較して必ずしも割高とは言えない水準です。ただし、今期の会社予想では営業利益と経常利益が減益見込みとなっており、外部環境の変化(自動車市場の動向、原材料価格、為替変動など)が業績に与える影響は引き続き注視が必要です。
総じて、安定した財務と収益基盤を持ちつつ、事業環境の変化に対応するための戦略的投資を進める企業と言えます。
企業情報
銘柄コード | 5013 |
企業名 | ユシロ |
URL | https://www.yushiro.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | エネルギー資源 – 石油・石炭製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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