UBE(証券コード: 4208)企業分析レポート

個人投資家の皆様へ

1. 企業情報

UBEは、化学品、機械、医薬といった多角的な事業を展開している企業グループです。特に、ナイロン樹脂やポリイミドなどの高機能化学品の製造を主力としています。2022年度には従来主要事業であったセメント事業を持分法適用関連会社であるUBE三菱セメントへ移行し、事業ポートフォリオの転換を進めています。
現在の主要事業セグメントは「機能品(ポリイミド、分離膜など)」「樹脂・化成品(ナイロンポリマー、カプロラクタムなど)」「機械(成形機、産業機械など)」「その他(医薬、電力など)」で構成されており、海外売上比率も高いグローバルな事業展開を行っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

UBEはナイロン原料において大手としての地位を築いており、化学業界の中でも幅広い素材や製品を手掛けています。多角的な事業ポートフォリオは、特定の市場変動リスクを分散する一方で、各分野における競争があります。近年の戦略として、高付加価値なスペシャリティ化学分野へのシフトを進めており、競争優位性の強化を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

UBEは、中期経営計画において「スペシャリティ化学の成長強化」と「ベーシック事業の再構築」を基本戦略として掲げています。具体的には、C1ケミカルチェーンの拡大やPCD/PUD事業の強化を推進しています。
2025年4月1日にはLANXESS Deutschland GmbHから高機能ウレタン事業(ウレタンシステムズ事業)を取得し、高機能ウレタン分野の事業基盤強化を図りました。これにより、2026年3月期からは事業セグメントを従来の4区分から6区分(機能品、高機能ウレタン、医薬、樹脂・化成品、機械、その他)に変更し、戦略的な事業運営を進めています。

4. 事業モデルの持続可能性

多角的な事業展開と高付加価値分野へのシフトは、市場ニーズの変化への適応と収益源の多様化を目指すものです。セメント事業の分離やLANXESSからのウレタン事業取得は、事業ポートフォリオを環境変化に対応させるための戦略的な動きと見られます。これらの取り組みが、将来的な収益モデルの安定化と持続的成長に寄与するかどうかが注目されます。

5. 技術革新と主力製品

UBEの主力製品には、高い性能を持つポリイミド、分離膜、セラミックスなどの機能材料や、ナイロンポリマー、カプロラクタムといった化学品があります。機械事業では、精密な成形機や各種産業機械を提供しています。今回のLANXESSからのウレタン事業取得により、高機能ウレタンに関する新たな技術と製品がポートフォリオに加わりました。また、医薬分野では創薬ロイヤリティや受託製造を通じて研究開発型の事業も展開しています。

6. 株価の評価

現在の株価は2,366.5円です。
会社予想EPS(1株当たり利益)は283.15円であり、これに基づくPER(株価収益率)は8.36倍です。
実績BPS(1株当たり純資産)は4,045.05円であり、実績PBR(株価純資産倍率)は0.59倍です。
業界平均PERが20.4倍、業界平均PBRが1.1倍であることと比較すると、UBEのPERおよびPBRは低い水準にあります。特にPBRが1倍を下回る水準は、企業の純資産価値を下回る評価で取引されていることを示唆します。ただし、過去12か月間の実績EPSがマイナスであること(-49.70円)も開示されており、会社予想PERは将来の業績回復を見込んだ評価である点に留意が必要です。

7. テクニカル分析

現在の株価2,366.5円は、年初来高値2,425円、52週高値2,760円と比較すると、それらの水準には達していません。一方、年初来安値1,788円、52週安値1,788.50円からは上昇しています。
直近10日間の株価推移を見ると、2,283円から2,383.5円の間で変動しており、現在の株価は直近のレンジ内では比較的高値に近い水準にあります。
50日移動平均線(2,286.93円)と200日移動平均線(2,261.73円)を両方とも上回って推移しており、短期そして中期的な上昇トレンドにあることが示唆されます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 2022年3月期の6,552億6,500万円をピークに、2023年3月期は4,947億3,800万円、2024年3月期は4,682億3,700万円と減少傾向にあります。2025年3月期(予想、過去12か月合計)は4,868億200万円とやや持ち直しが見込まれています。直近の2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)の売上高は1,004億5,900万円で、前年同期比12.9%の減少となりました。
  • 利益: 営業利益は2022年3月期の440億3,800万円が最も高く、その後変動が見られます。2025年3月期(予想、過去12か月合計)の営業利益は180億4,500万円と予測されています。直近の2026年3月期第1四半期の営業利益は29億5,500万円で前年同期比1.5%増とほぼ横ばいでした。しかし、為替差損の悪化や支払利息の増加により、経常利益は62億1,200万円(同△10.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は43億6,100万円(同△9.2%)と減少しました。過去の損益計算書では、特損要素(Total Unusual Items)が計上された年度で純利益がマイナスになる場合があります。
  • キャッシュフロー: 直近の2026年3月期第1四半期の営業キャッシュフローは208億7,300万円のプラスと前年同期から大幅に改善しました。一方で、投資キャッシュフローは△769億7,900万円と大幅な流出となっています。これは主にLANXESS系ウレタン事業取得に伴う子会社株式取得の支出715億3,200万円が要因です。
  • ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率): 過去12か月の実績ROEは-2.29%、ROAは1.33%です。純利益がマイナスとなっている影響でROEもマイナスとなっています。
  • 自己資本比率: 直近四半期末の自己資本比率は46.4%と、前期末の45.6%から微増しており、比較的安定した水準を維持しています。

9. 株主還元と配当方針

UBEは、安定した株主還元を目指しており、会社予想の1株配当は年間110.00円です。これは現在の株価に対して4.65%の配当利回りを示し、5年平均配当利回り4.42%と比較しても高水準です。実績に基づく配当性向は52.67%です。具体的な自社株買いの情報は提供されていませんが、発行済株式数における自己株口の保有比率が8.55%であることから、過去に自社株買いが実施されている可能性があります。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は、移動平均線の上で推移しており、上昇の勢いが見られます。短期的に投資家の関心が高まっている可能性があります。期間の平均と比較して出来高が増加している日もありました。信用取引においては、信用買残が減少傾向にありながらも信用倍率が12.14倍と買い残が売り残よりも多い状況です。
株価への影響を与える要因としては、グローバル経済の動向、化学品市況、原燃料価格や為替相場の変動、そしてLANXESSからのウレタン事業買収の成否やその後の業績寄与度などが考えられます。

11. 総評

UBEは、セメント事業の分離とスペシャリティ化学分野への重点化を進める構造転換期の企業です。LANXESSからのウレタン事業買収はその戦略の中核をなすものであり、今後の業績への寄与が注目されます。
財務基盤は自己資本比率が安定しており、中期的な経営戦略は明確です。しかし、過去の業績は市況や経済情勢の影響を受けやすく、直近の四半期では営業利益は前年並みを確保したものの、為替差損や支払利息の影響で純利益は減少しました。
株価評価の面では、PER、PBRともに業界平均を下回る水準にあり、高配当利回りも示しています。テクニカル的には短期・中期的な上昇モメンタムが見られます。
今後は、買収したウレタン事業の統合進捗とその収益貢献、各事業セグメントの市況回復、およびグローバル経済の動向が、UBEの業績と株価に大きな影響を与えると考えられます。これらの要素を総合的に考慮し、ご自身の投資方針に基づいた判断を行うことが重要です。


企業情報

銘柄コード 4208
企業名 UBE
URL https://www.ube.co.jp/ube/jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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