UBE(4208)企業分析レポート

株価:2,366.5円(2025-08-22終値)/市場:東証プライム/業種:化学(素材・化学)

1. 企業情報

  • 概要:化学(機能品・樹脂・化成品)と機械を中心に展開する総合化学メーカー。2022年度にセメント事業を持分法適用会社(UBE三菱セメント)へ移管し、スペシャリティ比率を高めている。
  • 主な事業(2026年3月期から6セグメントに再編)
    • 機能品:ポリイミド、分離膜、セラミックス、電池用セパレータ等
    • 高機能ウレタン:ウレタンシステムズ(2025/4 LANXESS系事業を取得)
    • 医薬:創薬ロイヤリティ、CDMO/受託
    • 樹脂・化成品:ナイロンポリマー、カプロラクタム、工業薬品、エラストマー等
    • 機械:射出成形機、ダイカストマシン、産機
    • その他:電力等
  • 連結事業構成の目安(売上比率/営業利益率):機能品10%(18%)、樹脂・化成品56%(1%)、機械18%(9%)、他16%(5%)/海外売上比率54%(2025.3期)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 位置付け:ナイロン原料(カプロラクタム)・ナイロン樹脂で国内有力。機能材料(ポリイミド、分離膜、セパレータ)や成形機・ダイカスト機で存在感。
  • 競争環境:
    • ベーシック化学:アジア(特に中国)能力増強の影響を受けやすく、価格サイクルが大きい。
    • スペシャリティ:ポリイミド、分離膜等は技術参入障壁が比較的高いが、需要サイクル(スマホ、半導体、EV等)に連動。
    • 機械:国内外の成形機・ダイカスト機メーカー(例:JSW、シバウラ、ニッセイ、東洋機械、海外勢)との競争。
  • 優位性・課題
    • 優位性:C1ケミカルなど上流から下流までのチェーン、ポリイミドや分離膜等の高付加価値素材、機械の据付・アフターサービス。
    • 課題:ベーシック化学の収益変動、原燃料・為替の影響、M&A後の統合(高機能ウレタン)の早期収益化。

3. 経営戦略と重点分野

  • 方針:スペシャリティ化学の拡大とベーシック事業の再構築。C1ケミカルチェーン強化、PCD/PUD等の高機能コーティング分野の拡大。
  • 構造転換:セメント事業の持分移行でポートフォリオを軽量化。機能品・医薬・機械など非連続的な成長分野を重点化。
  • M&A:2025/4にLANXESSのウレタンシステムズ事業を取得(取得対価約807億円、のれん暫定約387億円)。短期的には統合コスト・のれん計上、長期的には高機能ウレタン事業のプレゼンス強化を狙う。
  • 会社計画(2026年3月期予想・変更なし)
    • 売上高 4,900億円、営業利益 250億円、純利益 275億円(EPS 283.15円)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:ベーシック(ナイロン/カプロラクタム等)の景気・価格連動に加え、スペシャリティ(ポリイミド、分離膜、セパレータ、医薬ロイヤリティ)と機械サービスで安定性を補完。
  • 変化対応力:セメント切り離し、M&Aによる高機能領域の拡充でポートフォリオの変動幅を縮小する方向。のれん・統合の確実な進捗が鍵。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術の独自性:高耐熱ポリイミド(電子部材・FPC基材等)、ガス/水処理向け分離膜、リチウムイオン電池セパレータ、セラミックスなど高機能素材群。
  • 収益牽引:
    • 樹脂・化成品:売上の柱。2026年1Qはナイロン・カプロラクタム低調も、エラストマーが堅調。
    • 機能品:セパレータは増収、他(ポリイミド、分離膜、セラミックス)は1Q減収。
    • 機械:成形機が堅調。
    • 高機能ウレタン:取得後の寄与は今後本格化(1QはB/Sのみ連結)。

6. 株価の評価(バリュエーションの比較)

  • 株価 2,366.5円
  • 予想EPS 283.15円 → 予想PER 8.36倍(業界平均PER 20.4倍と比べ相対的に低位)
  • 実績BPS 4,045.05円 → PBR 0.59倍(業界平均PBR 1.1倍と比べ低位)
  • 予想配当 110円 → 予想配当利回り 4.65%
    • 予想ベースの配当性向目安:約38.8%(110円 / EPS 283.15円)。一方、開示のトレーリング配当性向は52.67%(算出基準差異に留意)。
  • EV/EBITDA(概算・過去12か月):EV ≒ 時価総額2,513億円 + 純有利子負債2,690億円 ≒ 約5,203億円、EBITDA 442億円 → 約11.8倍(正規化EBITDA 520億円前後を用いると約10倍)
  • P/S(概算・LTM):約0.52倍(時価総額 / 売上高)

(注)LTMに一過性損失(特別要因)が含まれ、予想値との比較解釈に差が出ます。

7. テクニカル分析

  • トレンド:直近10営業日で終値は2,283円 → 2,366.5円へ緩やかに上昇。
  • 位置:株価は50日移動平均 2,286.9円、200日移動平均 2,261.7円を上回る。年初来高値 2,425円に接近、52週高値 2,760円は下回る。
  • 出来高:10日平均 64.3万株が3カ月平均 52.5万株を上回り、売買はやや活発。
  • ボラティリティ:5年β 0.29(市場連動性は相対的に低い)。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益(連結、百万円)
    • 売上高:2022/3 655,265 → 2023/3 494,738 → 2024/3 468,237 → 過去12か月 486,802
    • 営業利益:2022/3 44,038 → 2023/3 16,210 → 2024/3 22,456 → LTM 18,045
    • 親会社純利益:2022/3 24,500 → 2023/3 △7,034 → 2024/3 28,981 → LTM △4,816(LTMは一過性損失▲338億円計上の影響)
  • 収益性
    • 営業利益率(LTM)約3.7%(注:別データのLTM営業利益率 2.82%もあり、集計範囲差に留意)
    • 純利益率(LTM)△1.1%
    • ROE(実績)△1.20%、ROA(LTM)1.33%
  • キャッシュフロー(LTM)
    • 営業CF +550億円、レバードFCF △130億円(投資・M&Aに伴う支出増)
  • 財政状態(2025/6/30)
    • 現金等 424億円、有利子負債 3,114億円、ネットD/E 75.95%、自己資本比率 46.4%(前期末45.6%)
    • 流動比率 1.58
    • のれん 410億円(暫定、主に高機能ウレタン取得)
  • 2026年3月期1Q(百万円)
    • 売上 100,459(前年同期△12.9%)、営業利益 2,955(+1.5%)
    • セグメント利益率(概算):機能品約14.9%、機械約7.3%、樹脂・化成品約2.4% 等

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:年間110円(中間55円・期末55円)を継続予想。予想利回り 4.65%。
  • 自己株式:発行済株式の約8.55%を保有(9,079,804株)。自社株買い・消却の方針詳細は未確認。
  • 直近の権利落ち予定:2025-09-29(予定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム:短期は緩やかな上昇基調、年初来高値圏に接近。
  • 信用動向:信用買残 35.2万株(前週比▲3.7万)、信用倍率 12.14倍。買い長だが残高はやや減少。
  • 投資家構成:機関投資家保有比率 約37.6%、インサイダー保有 約0.9%。
  • 価格影響要因
    • マクロ:為替(円安/円高)、原燃料価格、世界景気・中国需給(カプロラクタム/ナイロン)
    • 会社固有:高機能ウレタン事業の統合進捗・のれん評価、機能品需要(半導体・電子部材・EV)、成形機受注、医薬ロイヤリティ動向

11. 総評

  • ポートフォリオ転換(セメント移管、ウレタンM&A)でスペシャリティ志向を強化する一方、ベーシック化学の市況・為替・原材料の影響は引き続き残る構造。
  • 2026年3月期は通期計画(営業利益+38.5%)を維持。1Qは減収ながら営業利益は前年並み、為替差損や金利負担で経常・純利益は減少。
  • バリュエーションは、予想PER・PBRとも業界平均と比べ相対的に低位、配当利回りは会社予想で4%台半ば。LTMには一過性損失が含まれ、予想ベースと実績の乖離に留意が必要。
  • 財務は自己資本比率46%台と一定の安定性があるが、M&Aに伴うのれん増加・投資CFの拡大、金利負担の増加が注目点。
  • 株価は移動平均線上にあり年初来高値に接近。出来高も直近は増加傾向。今後は高機能ウレタンの決算取り込み時期・統合効果、機能品の需要回復度合い、為替・原材料動向が焦点。

(注)本資料は提供データに基づく客観的整理であり、投資判断を目的とした助言ではありません。数値は百万円表示等が混在しており、LTM/予想/実績の指標は算定基準差にご留意ください。


企業情報

銘柄コード 4208
企業名 UBE
URL https://www.ube.co.jp/ube/jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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