日本冶金工業(5480)企業分析レポート
注記
– 本資料は公開データに基づく客観的な整理であり、投資助言ではありません。
– 数値は原資料・提供データの範囲で記載。乖離が見られる場合は最新開示やIRでご確認ください。
1. 企業情報
- 概要:日本冶金工業は、ステンレス鋼板および加工品を主力とする専業メーカー。ニッケル精錬から圧延までの一貫体制を強みとし、高耐食・高耐熱などの高機能材(高ニッケル系合金、軟磁性・非磁性合金、純ニッケル、粒界腐食対策材、原子力向け中性子吸収材など)に注力。用途は半導体・精密電子、エネルギー(LNG・水素・O&G)、自動車、海洋構造物、製造装置など。
- 事業セグメント:単一(ステンレス鋼板および加工品)。連結売上の海外比率約28%(2025年3月期)。
- 上場区分:東証プライム/鉄鋼セクター
- 本社:東京都中央区
- 従業員:2,095名、平均年齢43.7歳、平均年収719万円
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- 国内のステンレス専業大手の一角。一般材(汎用品)に加え、高ニッケル系の高機能材に強み。
- 一貫生産体制により、品質・納期・コスト管理を統合できる点が差別化要素。
- 競争環境(定性的):
- 国内:ステンレス・特殊鋼大手群(例:NSSC系、特殊鋼メーカー各社)との競合。一般材は東アジアからの流入圧力が課題。
- 海外:欧州系(例:Outokumpu等)、アジア大手(中国系など)との価格・品質競争。高機能材は認証・品質要求が高く参入障壁が相対的に高い領域。
- 課題:
- ニッケル等原料市況の変動、為替、在庫評価影響。
- 半導体・再エネ・水素など成長分野の需要立ち上がりタイミングの遅延。
- 一般材領域での海外供給過剰による価格圧力。
(市場シェアの公表データは未確認のため記載省略)
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(短信・開示より抽出):
- 高機能材の拡販を重点化。インド現地法人の設立を含むグローバル販路の強化(インド・中東向け)。
- 一般材は国内需要確保とロールマージン(加工賃マージン)の適正維持。
- 重点施策(2026年3月期 第1四半期の示唆):
- 製品ミックスの高付加価値化(高機能材比率の維持・拡大)。
- 需給環境・原料変動に応じた価格政策(ロールマージン確保)。
- 高機能材の用途拡大(O&G、LNG、再エネ・水素、精密・半導体関連など)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:ステンレス・高機能合金の製造販売。高機能材は単価・マージンが相対的に高く、品質認証・顧客承認が参入障壁。
- 変化適応力:
- 原料市況変動への対応として価格転嫁・ロールマージン管理を重視。
- 地域分散(海外売上約28%)と用途分散(エネルギー・電子・産機等)で循環変動の緩和を志向。
- リスク:
- ニッケルなど原料価格、為替、在庫評価の損益ブレ。
- 一般材への海外供給流入リスク。需要サイクル(半導体、再エネ案件)遅延。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・製品:
- 高耐食・高耐熱のニッケル系合金、軟磁性・非磁性合金、純ニッケル材、粒界腐食対策ステンレス、中性子吸収材など。
- 高機能材は単価が高く、品質安定性や特殊用途での要件適合が価値源泉。
- 収益ドライバー:
- 第1四半期の販売量(単体):高機能材 9千トン(単価1,581円/kg)、一般材 35千トン(単価540円/kg)。数量は一般材が多いが、売上・利益は高機能材の寄与が相対的に大きい構造。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 4,380円、時価総額 678.8億円、BPS 6,948円、EPS(会社予想)644.64円、EPS(直近12か月)約819.5円
- 指標比較:
- PER(会社予想):約6.79倍(業界平均約8.0倍)
- PER(過去12か月):約5.35倍
- PBR:0.63倍(業界平均約0.6倍)
- EV/EBITDA(過去12か月概算):約6.0倍
- PSR(時価総額/売上):約0.39倍
- 参考比較(単純計算)
- 業界平均PER 8.0× 会社予想EPS 644.64円 ⇒ 参考株価水準約5,157円
- 業界平均PBR 0.6× BPS 6,948円 ⇒ 参考株価水準約4,169円
(注)単純比較であり、成長性・収益変動・財務リスク・製品ミックス等は考慮外。
7. テクニカル分析
- トレンド:
- 直近株価は4,300円台後半で推移。50日移動平均4,102円、200日移動平均4,033円の上に位置。
- 10日間の値動きは4,265円→4,380円方向で徐々に切り上げ。出来高は直近10日平均約84.9千株、当日10万株とやや増加。
- 位置づけ:
- 年初来高値4,540円、52週高値4,730円。現在値4,380円は高値圏に近い中段上部。
- 抵抗帯:4,400〜4,540円、上抜け後は4,730円が上位抵抗。支持帯:4,300円近辺、次いで4,100円(50日線)。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、推移)
- 売上高:1,489億円(2022)→1,993億円(2023)→1,803億円(2024)→1,721億円(過去12か月)
- 営業利益:140億円→293億円→200億円→170億円
- 親会社株主に帰属する純利益:85億円→197億円→136億円→116億円
- マージン(過去12か月):粗利率約17.8%、営業利益率約9.9%、純利益率約6.7%
- 2026年3月期1Qは売上▲15.9% YoY、営業利益▲33.2% YoY。販売数量減・在庫評価の影響。
- 収益性・効率:
- ROE(実績):12.46%、ROA(過去12か月):約4.37%
- 総資産回転率は前年同期比低下(短信試算)。
- 財政状態(2025/6/30):
- 自己資本比率約44.5%、流動比率約144%、D/E(Debt/Equity)約80%(Total Debt/Equity)
- 現金約95億円、有利子負債約769億円、ネットデット約674億円
- インタレスト・カバレッジ(過去12か月、概算):EBIT 168億円 / 利息 7.2億円 ≈ 23倍
- キャッシュフロー:
- 四半期CFは未作成(短信注記)。減価償却費は増加基調(1Q:16億円)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当(会社予想):
- 年間220円(中間110円・期末110円)予想。予想配当利回り約5.02%(株価4,380円基準)
- 配当性向:
- 過去実績ベース:約24%(200円/株・LTM EPS 約819円)
- 会社予想EPSベースの単純試算:約34%(220円/644.6円)
- 自社株:
- 自己株式比率は約9〜10%台(期末自己株1,658,258株の開示あり)。自己株取得・保有は資本政策上の柔軟性を示唆。
- 今後のイベント:
- 権利落ち日(予定):2025年9月29日
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:
- 50日・200日移動平均を上回り、短期は緩やかな上昇基調。年初来高値圏が近く上値の節目が意識されやすい局面。
- 需給・信用動向:
- 信用買残21.85万株、信用倍率2.32倍。前週比で買い残・売り残とも増加。短期の売買参加がやや増加。
- ボラティリティ・相関:
- Beta(5年)0.98と市場連動性は中程度。52週の騰落は+1.39%のレンジ推移。
11. 総評
- 事業面:高機能材への集中と一貫生産体制が強み。一般材の市況影響を受けやすい一方、高付加価値製品のミックス拡大で収益安定化を志向。需要サイクル(半導体・再エネ・水素)と原料市況・在庫評価が短期収益を左右。
- 収益・財務:2023年をピークに調整局面。LTMの利益率は堅調域を維持し、財務は自己資本比率約44%・流動比率約144%で安定。金利負担は限定的。
- バリュエーション:PERは業界平均比で低位、PBRは0.6倍台。配当利回りは5%台で、予想ベース配当性向は30%前後。単純比較では割安・割高の判断は控えるが、利益水準(EPS)の前提や原料・需給の変動性に留意が必要。
- テクニカル:中期トレンドは上向き。4,400〜4,540円に抵抗帯、4,300円・4,100円近辺に支持帯の意識。
- 留意点:ニッケル価格・為替、東アジアからの一般材流入、プロジェクト需要の時期、在庫評価の振れ、地政学の不確実性など。会社は高機能材拡販(インド・中東含む)とロールマージン確保で対応を進めている。
参考データ
– 株価:4,380円(2025-08-22終値)
– 年初来高値/安値:4,540円/3,300円、52週高値/安値:4,730円/3,300円
– 次回決算期イベント:2026年3月期第2四半期以降(日時は会社予定に従う)
– 権利落ち日(予定):2025-09-29
本レポートは提供データに基づくため、最新の決算短信・有価証券報告書・IR資料等での確認を推奨します。
企業情報
銘柄コード | 5480 |
企業名 | 日本冶金工業 |
URL | http://www.nyk.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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