東洋水産(2875)企業分析レポート
本資料は公開データを基に作成した企業分析であり、投資助言を目的とするものではありません。数値は原則として提出データ・決算短信・市況データの範囲で整理しています。相互に差異のある項目は注記します。
1. 企業情報
- 概要
- 戦後の水産事業から出発し、現在は「即席麺」「冷凍・チルド」「加工食品」「冷蔵(保管)」を展開する総合食品メーカー。主力ブランドは北米・メキシコで高いシェアを持つ「Maruchan」。
- 海外即席麺が連結売上の中核(連結事業構成の目安:海外即席麺約45%、国内即席麺約20%、低温食品約12%、水産約6%、加工約4%、冷蔵約5%、その他約7%)。
- 事業セグメント:水産食品、海外即席麺、国内即席麺、低温(冷凍・チルド)食品、加工食品、冷蔵、その他(弁当・惣菜)。
- 上場区分・業種
- 東証プライム、17業種=食品、33業種=食料品、セクター=Consumer Defensive
- 従業員
- 4,696人、平均年齢41.3歳、平均年収698万円
- 本社
- 東京都港区港南2-13-40
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内即席麺は業界2位クラス。米国・メキシコの即席麺では圧倒的首位クラスの地位。
- 競争優位性
- 北米・メキシコでの強固なブランド(Maruchan)と規模の経済、広域サプライチェーン。
- 需要の安定性(即席麺・ベーシック食品)とディフェンシブな特性、低β(5年β=0.05)。
- 課題
- 原材料(小麦油脂等)・物流コストの変動、為替(円安/米ドル)感応度。
- 水産事業の不漁リスク、食品安全・品質保証やESG対応の継続強化。
- 国内は成熟市場で価格競争・新商品開発サイクルの加速が必要。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(短信・開示より)
- 価格改定、販売促進、新商品投入で収益性と売上拡大の両立。
- 海外即席麺の成長持続(北米・メキシコでの需要取り込みと供給能力・物流最適化)。
- 低温・加工・冷蔵など周辺事業の収益改善(容量・歩留まり改善、コスト最適化)。
- 2026年3月期(会社計画)
- 通期見通し据え置き:売上高5,450億円(前年比+6.4%)、営業利益760億円(-0.7%)、経常利益840億円(+1.4%)、純利益620億円(+2.9%)。
- 重点施策(四半期概況)
- セグメント別に価格改定、新商品、販促を組み合わせたミックス改善。
- 会計方針(在外子会社の換算方法)を変更・遡及適用し、実態に沿った業績管理へ。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 主軸は即席麺(特に北米・メキシコ)からのキャッシュ創出。国内・低温・加工・冷蔵で安定性と補完性を確保。
- 強靭性・適応力
- 価格改定・商品ミックス・現地生産でコスト上昇に対応。地理的分散により需要・為替の分散効果。
- リスク
- 原材料・物流費の上振れ、為替、通商政策、水産資源動向。継続的な調達・在庫・為替ヘッジ管理が必要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 大量生産・品質管理・物流最適化に強み。北米・メキシコの広域供給網とブランド資産。
- 主力
- 海外:「Maruchan」各種(袋麺、カップ、Bowl、焼そば等)。
- 国内:カップ麺・袋麺、チルド麺、冷凍・惣菜等のラインアップ。
- 直近動向
- 各事業で価格・販促・新商品により収益性改善を継続。Q1は海外即席麺がドルベース増収も円換算で減収、利益は前年同期比で減少。
6. 株価の評価(2025/8/25終値ベース 10,190円)
- 予想EPS(連結):622.32円 → 予想PER:約16.4倍(提示値16.37倍と整合)
- 業界平均PER:19.5倍 → 相対的には業界平均を下回る水準。
- 実績BPS:4,808.69円 → PBR:約2.12倍(提示値と整合)
- 業界平均PBR:1.3倍 → ROE水準(実績13.33%)を反映したプレミアム。
- 配当
- 過去配当:200円/株(利回り約1.96%)、配当性向:約31.9%。
- 先行き:市場データに240円予想(利回り約2.33%)の記載がある一方、決算短信では「年間120円」記載があり情報に齟齬。最新IRでの確認が必要。
- 簡易EV/EBITDA
- 時価総額約1.13兆円、現金2,471億円、借入33億円 → EV約8,861億円。
- EBITDA(LTM):約1,008億円(別データでは約906億円) → EV/EBITDA約8.8~9.8倍(データ差に留意)。
7. テクニカル分析
- 位置関係
- 終値10,190円は50日移動平均9,582円および200日移動平均9,640円を上回る上方乖離。
- 52週高値:11,085円(年初来高値10,845円)に対して約6~8%下方。
- 直近10日
- 8/14の急落後に反発し、8/20の大商い(出来高79万株)で10,000円台回復、以降10,000円台を維持。
- 短期は上昇モメンタムが優位。50日線は200日線に接近中で、トレンド転換(デッド/ゴールデンクロス)局面の観察が必要。
- 水平ライン
- 直近サポート:10,000円近辺。
- 直近レジスタンス:10,845円(年初来高値域)、次いで11,085円(52週高)。
8. 財務諸表分析
- 成長と収益性(連結・年度)
- 売上高:3,615億円(2022/3)→ 4,358億円(2023/3)→ 4,890億円(2024/3)→ 5,076億円(過去12か月)。
- 営業利益:297億円(2022/3)→ 403億円 → 667億円 → 755億円(LTM)。
- 営業利益率:8.2%(2022/3)→ 9.3% → 13.6% → 14.9%(LTM)へ改善。
- 親会社純利益:224億円 → 331億円 → 556億円 → 629億円(LTM)。
- 直近期(2026年3月期Q1)
- 売上1,258億円(+0.8%)、営業利益183億円(-7.6%)、純利益153億円(-11.4%)。
- 要因:米国の物価・為替影響、水産不漁。海外即席麺はドルベース増収も円換算で減収、利益減。
- 効率性・安全性
- ROE:12.46%(LTM、実績13.33%も提示)、ROA:7.76%。
- 自己資本比率:約80.9%、流動比率4.96、実質無借金(総現金2,471億円>総借入33億円)。
- セグメントトピックス(Q1)
- 海外即席麺:売上△4.7%(円換算)、利益△11.2%。
- 国内即席麺:売上+6.4%、利益+0.5%。
- 低温:売上+5.4%、利益+8.7%。
- 水産:売上△2.3%、利益+63.3%(回復傾向)。
- 加工:売上+5.5%、利益は赤字転(▲3.92億円)。
- 冷蔵:売上+9.1%、利益+36.7%。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 直近実績:200円(利回り約1.96%)。配当性向31.9%。
- 先行き:市場データ上は240円予想の記載がある一方で、決算短信は年間120円とされており情報に不一致。最新の会社発表での確認が必要。
- 自社株
- 自己株式約10.1%(1,120万株程度)を保有。過去に自社株取得を行ってきた蓄積がうかがえるが、今期の新規実施有無は本データ範囲で未確認。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 50日・200日線を上回る推移、年初来高値圏に接近。短期は上昇の勢いが優位。
- 需給
- 信用買残66,700株(前週比+13,300)、信用倍率2.54倍。買い残の積み上がりが進行。
- 3か月平均出来高約40.1万株、直近10日平均約38.6万株。8/20に出来高急増。
- 投資家属性
- 機関保有約35.9%、インサイダー約10.2%。β0.05と低リスク特性。
11. 総評
- 事業面
- 海外即席麺を核に、国内・低温・冷蔵等を組み合わせた分散ポートフォリオ。需要の安定性とブランド資産に強みがある一方、為替・原材料・物流コスト、そして水産資源の影響を受けやすい。
- 業績面
- 中期では売上・利益とも改善、LTMで高い営業利益率を確保。2026年3月期Q1は為替・物価など外部環境で減益、通期は会社計画据え置き。
- 財務面
- 高自己資本比率と実質無借金の強固なバランスシート。潤沢な現金水準がボラティリティ吸収に寄与。
- バリュエーション
- 予想PERは業界平均を下回り、PBRは平均を上回る(ROEを織り込む形)。EV/EBITDAは概ね9倍前後。配当は実績200円・性向約32%だが、先行きの配当水準にデータ差異があるため最新IR確認が前提。
- 市場テクニカル
- 株価は移動平均線を上回り、年初来高値圏を意識。短期モメンタムは良好だが、高値帯での上値抵抗や為替・コスト動向のニュースフローに注意が必要。
注記
– 発行株式数・自己株式・配当(年間額)等でソース間に差異があります(例:会社予想配当120円 vs 市場データ200~240円)。重要イベント(Ex-Dividend 2025/9/29予定 等)含め、実際の投資判断には最新の会社IR・適時開示でご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 2875 |
企業名 | 東洋水産 |
URL | http://www.maruchan.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 食料品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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