丸一鋼管(5463)企業分析レポート(個人投資家向け)
注記:本資料は公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資勧誘や特定銘柄の推奨を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
1. 企業情報
- 概要
- 独立系の溶接鋼管で国内首位。建設・機械・農業向けが主力で、北米・アジアに積極展開。
- 鋼管、表面処理鋼板、ポール(Maruichi Pole)などを製造・販売。用途は足場材、構造柱、自動車部品、温室フレーム、ガス・水道管、電線管、照明・信号用ポール等。
- 連結事業構成(2025/3期):鋼管82%、表面処理鋼板15%、他3%。海外売上比率46%。
- 1947年設立。大阪市中央区に本社。
- 直近の体制
- 決算短信記載の代表者:代表取締役会長兼CEO 鈴木 博之(参考:基本情報の代表者名と差異あり)
- 上場区分など
- 東証プライム、33業種区分:鉄鋼、17業種:鉄鋼・非鉄
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 溶接鋼管の国内首位。建設関連で強み。海外(北米・アジア)にも生産・販売拠点を持つ。
- 競争優位性
- 製品・用途の分散(建設/機械/農業/インフラ)、地域分散(国内/北米/アジア)。
- 高い自己資本比率(81%前後)、実質無借金に近い財務基盤、豊富な手元流動性。
- ポール製品(Maruichi Pole)、ステンレス精密細管などの付加価値領域。
- 課題
- 市況性(HRC等の鋼材価格)とスプレッドに業績が左右される。
- 中国/米国の需要・貿易政策(関税・AD規制)による影響。ベトナム子会社の対米販売がADで影響。
- 半導体関連(BA管)の需要変動、自動車向けの地域別需要不透明感。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画(第7次中計・2年目)
- 設備投資による収益基盤強化:次世代造管機、名古屋工場更新、隣接地取得によるステンレス溶接管工場・大型プレス工場の準備等。
- 海外は北米での数量拡大・関税対応、アジアでは生産性向上、新ライン稼働・増設で競争力強化。
- 重点分野
- 国内:中小建築・農業向けの基盤事業を維持しつつ、高付加価値品(ステンレス、ポール等)を強化。
- 北米:数量増を利益に繋げる価格政策(スプレッド管理)、新拠点の立ち上げ損益ミニマイズ。
- アジア:ベトナムの対米依存低減、多角化。インド・フィリピンの拡大を取り込む。
- ガバナンス/資本政策
- 自己株式取得の継続(2026/3期1Qに約100万株、約33億円を実施)、株式分割(1→3、効力発生日予定:2025/10/1)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 原材料(HRC等)と販売価格のスプレッド管理が基本。用途・地域の分散で景気循環の平準化を志向。
- ポール、ステンレス精密管などの付加価値製品でマージン底上げ。
- 適応力
- 地域分散(国内/北米/アジア)と製品ミックスで市況変動に対応。
- 高い流動性(現金等1,047億円、流動比率4.62倍)と低い有利子負債(D/E約1.4%)により投資と需給変動に耐性。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・製品
- 溶接鋼管の造管技術更新(次世代造管機導入計画)。腐食対策の表面処理鋼板。
- Maruichi Pole(照明・信号・標識・ETC門型等)、ステンレス精密細管(BA管)など。
- 足元の収益牽引
- 国内建設・農業向け鋼管、北米の数量、アジア(インド・フィリピン)の増勢。
- ベトナム(SUNSCO)の対米表面処理鋼板はAD影響で減。
6. 株価の評価(2025/8/26終値 3,793円)
- 指標(連結ベース)
- 予想EPS:305.83円 → 予想PER ≒ 12.4倍(提供値と一致)
- 直近12カ月EPS:約338円 → トレーリングPER ≒ 11.2倍
- BPS:4,406.11円 → PBR ≒ 0.86倍(提供値と一致)
- 予想1株配当:134.5円 → 予想配当利回り ≒ 3.55%
- 参考:業界平均 PER 8.0倍、PBR 0.6倍(丸一は平均より高い倍率水準)
- EV/EBITDA(参考計算)
- 時価総額約3,186億円、現金等約1,047億円、有利子負債約48億円 → ネットキャッシュ約999億円
- EV ≒ 3,186億円 − 999億円 ≒ 2,187億円
- LTM EBITDA ≒ 289.5億円 → EV/EBITDA ≒ 7.6倍
- 株式分割の影響(予定:1→3、2025/10/1)
- 分割後は理論株価が1/3、予想EPSも約1/3(会社開示目安:通期EPS約103.7円)に調整される。年間配当も分割を織り込んだ表示へ(実質同等)。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:3,610円、200日移動平均:3,462円。株価は両移動平均を上回り、上昇基調の範囲。
- 年初来高値:3,885円、安値:3,049円。現状は高値圏(高値比約−2%)。
- 需給
- 出来高:本日24.7万株(3カ月平均約15.3万株、10日平均約17.8万株)→ 直近は商い増加。
- 信用動向:信用買残 4.86万株(前週比−3,800株)、信用売残 1.95万株(+5,800株)、信用倍率 2.49倍。
- 価格帯
- 直近10日で3,650〜3,885円レンジ。短期は3,700円台に下値支持、3,850〜3,885円に上値抵抗が意識されやすい構図。
8. 財務諸表分析
- 収益(単位:百万円)
- 売上高:2022/3 224,218 → 2023/3 273,416 → 2024/3 271,310 → 過去12か月 261,649(減収基調)
- 営業利益:2022/3 36,277 → 2023/3 30,019 → 2024/3 34,812 → 過去12か月 19,068(粗利縮小・特別要因の影響)
- 親会社純利益:2022/3 27,760 → 2023/3 24,164 → 2024/3 26,113 → 過去12か月 27,033
- 2026/3期1Q(前年比):売上 −11.5%、営業 −19.2%、純利 −36.8%(投資有価証券評価損等の影響)
- 収益性
- LTM 営業利益率 ≒ 11.1%、純利益率 ≒ 9.7%(会社データ)
- ROE(実績):7.82%、ROA(LTM):3.13%
- 財政状態・流動性
- 総資産:4,103億円、自己資本比率:81.8%(前期80.9%)
- 現金等:1,047億円、有利子負債:48億円、ネットキャッシュ基調。流動比率:4.62倍。
- キャッシュフロー
- 四半期CF計算書未作成(短信注記)。減価償却費は増加傾向(1Qで18.4億円)。
- トレンド評価
- 市況・数量影響で売上/粗利が調整。会社計画では2026/3通期の営業利益は前期比増(+46.6%)を見込む一方、特別損益の反動で純利益は減少予想(−13.4%)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期実績:年間131円(中間55円、期末76円)
- 2026/3期予想:年間134.5円相当(中間67円、期末22.5円[分割後ベース、分割前換算で67.5円])
- 予想配当利回り:3.55%(本日時点株価ベース)
- 予想配当性向(目安):約44%(134.5円/予想EPS305.83円)
- 自己株式
- 2026/3期1Qに自己株買い約100.7万株(約33億円)。期末自己株式数は約776.6万株へ増加(短信記載)。
- 株式分割:1→3(基準日予定 2025/9/30、効力発生日予定 2025/10/1)
- 株主構成(抜粋)
- 監理信託(マスタートラスト、カストディ)、国内大手行、自己株、海外機関などに分散。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週変化率 +10.5%。移動平均上方で推移し、年初来高値圏でのもみ合い。
- 関心材料
- 市況(HRC)とスプレッド動向、AD/関税対応、北米数量と価格のバランス、ベトナム拠点の対米以外展開。
- 設備投資の進捗と稼働寄与、ステンレス・ポールなど高付加価値領域の伸長。
- 豊富なネットキャッシュと還元(配当・自己株買い)のバランス。
- 直近イベント
- 2026/3期1Q(8/7発表)済。次回配当権利落ち予定:2025/9/29(会社予想)。
11. 総評
- 事業・財務
- 国内首位の溶接鋼管メーカーとして、用途・地域分散と高財務健全性が特徴。LTMでは売上・利益とも調整局面だが、会社計画は通期営業増益を見込む一方、純利益は特別要因の反動で減益予想。
- バリュエーション
- PER/ PBRは業界平均比で上位水準。強固なBSによりEV/EBITDAは中位程度(参考計算)。
- マーケット
- 株価は年初来高値圏、出来高増加。信用残はやや中立的。市況(HRC)、関税/AD、北米・アジアの数量動向が短中期の焦点。
- 留意点
- 鋼材市況・為替・貿易政策の変動、半導体・自動車など需要サイクルの影響、設備投資の立上げ費用と稼働タイミングに注意。
- 株式分割に伴い、EPS・DPS・株価は見かけ上3分の1に調整されるため、比較時は分割影響を揃えること。
以上。
企業情報
銘柄コード | 5463 |
企業名 | 丸一鋼管 |
URL | http://www.maruichikokan.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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