7912 大日本印刷(DNP)分析レポート
本資料は公開情報の整理であり、投資勧誘や推奨を目的としません。数値は連結ベース、単位は注記がない限り円。
1. 企業情報
- 概要:総合印刷大手。印刷技術(P:Printing)と情報(I:Information)を融合し、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスの3事業を展開。印刷の要素技術を応用した電子部材・機能性フィルム、包装材、情報セキュリティやBPO/XR等へ多角化。
- 主な製品・サービス例
- エレクトロニクス:有機EL向けメタルマスク、光学フィルム、フォトマスク、リードフレーム、ガラスコア基板 など
- ライフ&ヘルスケア:バッテリーパウチ、太陽電池封止材、透明バリアフィルム、加飾フィルム、食品・飲料向け包装
- スマートコミュニケーション:写真用資材・昇華メディア、ICカード・情報セキュリティ、デジタルマーケ/コンテンツ・XR、出版関連
- セグメント構成(売上比率・参考利益率):スマートコミュニケーション49%(利益率約5%)、ライフ&ヘルスケア34%(同約5%)、エレクトロニクス17%(同約23%)
- 海外売上比率:24%(2025.3)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内「印刷2強」の一角。従来の商業印刷は構造的縮小が続く一方、電子部材・機能材、セキュリティ/デジタル分野で付加価値領域を拡大。
- 競争優位性
- 高精度成膜・微細加工・コーティング等の要素技術群
- セキュリティ(ICカード・認証等)やBPOを含む顧客基盤
- 多角化ポートフォリオによる景気変動耐性
- 課題
- 紙媒体の構造的縮小への継続対応
- 電子部材の市況・装置投資サイクル、原材料価格・為替変動の影響管理
- 成長投資と資本効率の両立
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画(2023–2025年度)最終年度
- 成長領域強化:半導体・ディスプレイ向け機能材、モビリティ/エネルギー(バッテリーパウチ、太陽電池材)、ヘルスケア
- 収益基盤の再構築:出版・紙関連の構造対応、デジタル/セキュアサービス拡大、BPOの大型案件獲得
- 人的・知的資本とESG強化、資本効率と株主還元の両立
- 具体施策(短信等より)
- エレクトロニクスで大型コーティング装置等の投資計画
- グループ再編・子会社化による機能材領域の強化
- 社債発行(固定負債増)で成長投資と機動的な資金調達を確保
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:高付加価値の機能材・電子部材、セキュリティ/デジタルサービス、包装材の組み合わせ。エレクトロニクスの利益貢献度が高い一方、市況変動には留意。
- 適応力:紙媒体縮小を、BPO・情報セキュリティ、XR/コンテンツ、機能材へシフト。顧客産業のEV化・再エネ化、データセキュリティ需要など構造トレンドと整合。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性:微細加工、光学設計、成膜・コーティング、バリア化技術。これらを用いたメタルマスク、光学・透明バリアフィルム、フォトマスク等で高い精度要求に対応。
- 収益牽引
- エレクトロニクス:有機EL向けメタルマスク、光学フィルムが堅調
- ライフ&ヘルスケア:電池用パウチ、太陽電池封止材、車載加飾
- スマートコミュニケーション:写真用資材、IDインクリボン、BPO
6. 株価の評価(2025-09-01終値 2,490.5円)
- 時価総額:約1.31兆円
- 1株当たり指標
- 予想EPS:200.04円 → 予想PER:約12.45倍
- 過去12か月EPS:238.93円 → 実績PER目安:約10.4倍
- BPS(実績):2,534.14円 → PBR:約0.98倍
- EV/EBITDA(概算)
- 総現金:約3,550億円、総有利子負債:約2,508億円 → ネットキャッシュ約1,042億円
- EV ≒ 約1.31兆円 − 0.10兆円 ≒ 約1.20兆円
- EBITDA(LTM):約1,519億円 → EV/EBITDA ≒ 約7.9倍
- 参考ベンチマーク
- 業界平均PER:14.5倍、業界平均PBR:1.3倍
- 配当利回り(会社予想):約1.61%(年40円)
- 5年平均配当利回り:2.02%
(注)PERは実績/予想で水準が異なります。将来見通しには不確実性があります。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:2,282.47円、200日移動平均:2,190.96円 → 現在値は両線上方
- 年初来高値:2,498.5円(本日の高値に一致)/ 52週高値:2,785円、52週安値:1,810円
- 直近10日:2,170円台から2,260円台を経て本日2,490.5円へ。短期の上昇ピッチが加速。
- 出来高:本日約84万株(3カ月平均約114万株、10日平均約99万株)。価格上昇に対し出来高は中庸。
- 信用動向:信用買残は前週比減少、信用売残は増加、信用倍率1.64倍。
8. 財務諸表分析
- 成長と収益性
- 売上高(連結):1.34兆円(2022/3)→ 1.37兆円(2023/3)→ 1.42兆円(2024/3)→ LTM 約1.46兆円
- 営業利益:668億円 → 612億円 → 754億円 → LTM 約936億円
- 営業利益率(LTM):約6.3%
- 純利益(親会社株主帰属):971億円(2022/3)→ 857億円(2023/3)→ 1,109億円(2024/3)→ LTM 約1,107億円
- 収益性指標
- ROE(実績):9.62%、ROA(LTM):3.14%
- LTMベースのROE参考値:7.75%(算定基準の違いに留意)
- 安全性・流動性
- 自己資本比率:59.2%(実績)、2026/3期1Q短信では57.7%
- D/E(LTM):約20.8%、流動比率:約233%(短信)
- ネットキャッシュ基調、資金余力あり
- セグメント動向(2026/3期1Q)
- 売上:スマートコミュ 1,755億円、L&H 1,271億円、エレクトロニクス 635億円(合計 3,661億円、前年比+2.7%)
- 営業利益:同順に約60億円、95億円、140億円。全社営業利益 230億円(前年比+24.6%)
- 四半期純利益は前年の投資有価証券売却益反動で減少(前年比▲28.4%)
9. 株主還元と配当方針
- 配当(会社予想):年40円(中間18円・期末22円)、予想配当性向 約15.9%
- 5年平均配当利回り:2.02%(現行予想利回りはこれと比較可能)
- 自社株:自己株式保有 約13.9%。短信記載上、自己株式取得等の実施により純資産に影響。
- 今後の権利落ち日:2025年9月29日(予定)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 価格モメンタム:短期は上昇基調。50日・200日線を上回り、年初来高値圏に位置。
- ボラティリティ:5年β 0.26(市場連動性は相対的に低めの傾向)
- 需給・関心
- 信用買残減・売残増の動き(直近週)。短期の上昇局面でのヘッジ・ショートの積み上がりが一部示唆。
- 機関投資家保有比率:約38%、内部者保有約9%
11. 総評
- 事業ポートフォリオは、紙媒体の縮小を機能材・電子部材、デジタル/セキュアサービスで補完する構造。エレクトロニクスが利益面で牽引。
- 2026/3期1Qは売上・営業増益。特別利益の反動影響で純利益は減少。財務は自己資本比率・流動性とも健全で、ネットキャッシュ基調。
- バリュエーションは、予想PER約12.5倍・PBR約0.98倍。業界平均(PER14.5倍、PBR1.3倍)との比較や、EV/EBITDA約7.9倍など複数軸での位置付けが可能。
- 株価は短期的に上昇し年初来高値圏。52週高値(2,785円)にはなお距離。出来高は中庸、信用需給は買残減・売残増。
- 今後の注目点:エレクトロニクスの投資回収進捗、EV・再エネ関連需要、原材料・為替動向、紙関連の構造対応、資本政策(配当・自社株)と成長投資のバランス。
(注)将来見通しは不確実性を伴います。投資判断は各自の責任で原資料(決算短信・有価証券報告書・TDnet開示等)をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 7912 |
企業名 | 大日本印刷 |
URL | http://www.dnp.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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