科研製薬(4521)企業分析レポート
株価:3,805円(2025-08-29終値)
市場区分:東証プライム/医薬品
時価総額:1,679億円
1. 企業情報
- 概要:皮膚科・整形外科領域に強みを持つ中堅製薬。主力は関節機能改善剤「アルツ」や爪白癬治療薬「クレナフィン」。そのほか創傷治癒剤「フィブラスト」、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」、腰椎椎間板ヘルニア治療「ヘルニコア」、歯周組織再生材「リグロス」、術後癒着防止材「セプラフィルム」等を展開。
- 事業構成:薬業97%/不動産3%(売上構成)。海外売上比率28%(2025.3期)。
- その他:農薬(ポリオキシン等)、家畜向け飼料添加物なども取り扱い。文京グリーンコートの賃貸等の不動産収入もあり。
- 研究開発・提携:Alumis社とTYK2阻害薬ESK-001(皮膚科領域、日本)の開発・製造・販売で提携。KalVista社の遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬「セベトラルスタット」日本導入、Aadi社「FYARRO」など導入案件を拡充。
開発パイプライン(抜粋)
– フェーズIII:KAR(頭ジラミ)、KP-001(難治性血管奇形)、Seladelpar(原発性胆汁性胆管炎)
– フェーズI:KP-483(固形腫瘍)、NM26-2198(アトピー性皮膚炎)、KP-910(末梢性神経障害性疼痛)、Tildacerfont(先天性副腎過形成)
– そのほか:KMW-1(痂皮除去)など
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内中堅で、皮膚科・整形外科など専門領域に特化。上市済み製品に加え、導入品・ライセンスによるパイプライン補強を進めるモデル。
- 競争優位性:
- ニッチ領域(皮膚科・整形外科)でのブランド力とMR基盤
- 高い財務安全性(自己資本比率80%超、ネットキャッシュ)
- 不動産収益・農薬など非連動の収益源がある点
- 課題:
- 薬価改定の継続、長期収載品の収益性低下
- 主力品の特許満了影響(例:クレナフィン)と後発品競争
- 一時金・ライセンス収入の変動による業績モラトリウム
- 市場シェア:個別製品の詳細シェアは非開示。ニッチ領域で一定のプレゼンスがある一方、メガファーマとの競合は存在。
3. 経営戦略と重点分野
- 長期経営計画2031:皮膚科・整形外科を中心に画期的新薬の創出・提供、グローバル展開を加速。
- 2025年4月見直しの要点:
- 研究開発投資の強化(導入・提携を含むR&D拡大)
- 財務規律の維持(強固なバランスシートを活用)
- 株主還元の強化(配当・自己株買いの機動的活用)
- 具体策:
- 国内外での導入戦略(例:TYK2、HAE、FYARROなど)
- 重点領域での適応拡大・ライフサイクルマネジメント
- 海外売上の拡大(原薬・農薬等の外需取り込み)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:長期収載品・導入品の販売に加え、ライセンス契約や原薬供給、農薬、不動産でポートフォリオを分散。
- 変化対応:
- 特許満了・薬価改定に対し、導入品・新薬パイプラインで補完
- 研究開発費先行(短期的な利益圧迫)と中長期還元のバランスを追求
- リスク・留意点:治験・承認・薬価算定の不確実性、為替、導入契約の進捗による収益変動。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・開発動向:
- 免疫・炎症(TYK2阻害)、希少疾患(HAE、先天性副腎過形成)、消化器・皮膚領域などに広がるパイプライン
- 歯周再生、関節内注射など、国内での臨床現場浸透度の高い製品群
- 収益牽引:
- 既存主力(アルツ、クレナフィン、フィブラスト等)に加え、エクロック、リグロスなどが寄与
- 不動産事業は規模小ながら高採算で安定的
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価:3,805円
- 会社予想EPS(連):89.37円 → 予想PER:約42.6倍(提示値と一致)
- 直近12カ月EPS:365.42円 → 実績PER:約10.4倍
- BPS(連):3,894.02円 → PBR:約0.98倍
- 配当:年間予想190円 → 予想配当利回り:約4.99%
- 予想配当性向(会社予想EPSベース):約213%
- 実績配当性向(直近12カ月EPSベース):約52%
- 業界平均との比較:PER(業界平均27.8倍)、PBR(同1.4倍)
- 予想PERは業界平均を上回る一方、PBRは下回る水準
- EV/EBITDA(参考・直近12カ月ベースの概算):約5.4倍
- EV ≒ 1,679億 + 有利子負債385億 – 現金554億 ≒ 1,164億円
- EBITDA ≒ 2,201億円(注:提供データに基づく概算)
注:予想値は会社計画や一時金の反動、R&D費の見通しに左右されます。
7. テクニカル分析
- トレンド:終値は3,805円。50日移動平均3,859円、200日移動平均4,150円をともに下回る推移。
- レンジ:52週高値4,901円/安値3,651円。現状は安値圏に近い水準。
- 直近10日:戻り売り基調で、出来高は3カ月平均(約12.5万株)と同水準。
- モメンタム:短期は弱含み。テクニカル上の節目は3,860~3,900円(50日線近辺)と3,650円台(年初来安値近辺)。
8. 財務諸表分析(連結)
- 損益(年度)
- 売上高:76,034(2022)→ 72,984(2023)→ 72,044(2024)→ 94,035(2025, LTM同)百万円
- 営業利益:17,067 → 8,002 → 9,517 → 21,038 百万円
- 当期純利益:9,549 → 5,440 → 8,025 → 13,945 百万円
- コメント:2025期は増収増益(ライセンス等一時要因含む可能性)。採算は改善。
- 2026年3月期1Q(2025/4-6)
- 売上高:18,867百万円(+3.4%)
- 営業利益:14百万円(前年2,750百万円)
- 親会社純利益:271百万円(前年1,754百万円)
- 主因:研究開発費の大幅増(提携一時金等で販管費増)により減益
- 収益性・効率
- ROE(実績・連):9.41%、ROA(LTM):6.52%
- 営業利益率(2025期):約22%(提供損益表ベース)
- 財政状態・流動性
- 自己資本比率:80.2%(2025期末)→ 1Q時点83.6%
- 現金及び預金:554億円、有利子負債:38.5億円 → ネットキャッシュ
- 流動比率:4.42倍
- キャッシュフロー
- 1QのCF計算書は未作成。LTMでEBITDAは約2,201億円(短信等の整合に留意)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間予想190円(期中配分:中間95円、期末95円)。
- 配当利回り:約4.99%。5年平均利回り(3.81%)を上回る水準。
- 自己株式:保有比率16.2%。2025年1Qに自己株取得・消却・処分を実施(消却180万株等)。
- 方針:長期計画の見直しで「株主還元強化」を明示。配当性向目安の数値は明示なし(提供資料ベース)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期は下向き。50日線<200日線のデッドクロス状態、年初来レンジ下限近辺。
- 信用動向:信用買残57.2千株(前週比+5.3千)、売残25.7千株(同-1.2千)、信用倍率2.23倍。
- 投資家構成:インサイダー保有17.81%、機関投資家28.97%、フロート3,267万株。
- ボラティリティ:5年β=0.05(市場連動性は相対的に低い)。
- 需給イベント:権利落ち予定日(2025/9/29)、決算(2025/11/6予定)。
11. 総評
- 事業面:皮膚科・整形外科を主軸に、導入品と自社創製品を組み合わせた事業モデル。農薬・不動産の安定収益もポートフォリオの安定化に寄与。
- 業績面:2025期は増収増益だが、2026期はR&D強化と一時金反動で減益計画。1Qは研究開発費増で大幅減益となり、会社計画(EPS約89円)と整合的。
- 財務面:高自己資本比率・ネットキャッシュで耐性は高い。自己株買い・消却も実施済み。
- バリュエーション:予想PERは業界平均を上回る一方、PBRは1倍前後。配当利回りは相対的に高め。予想配当性向は会社予想EPSベースでは高水準となるため、来期以降の利益水準・還元方針の動向が注目点。
- テクニカル:短期は軟調で下方圧力が続く局面。年初来安値圏に近く、移動平均線下での推移。
注記:本資料は提供データに基づく客観的な情報整理であり、投資判断を目的とする助言ではありません。数値は四捨五入等により差異が生じる場合があります。プレスリリース・決算短信・有価証券報告書等の一次情報で最新状況をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 4521 |
企業名 | 科研製薬 |
URL | http://www.kaken.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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