日本農薬 (4997) 企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場する日本農薬株式会社(証券コード: 4997)について、個人投資家向けに分析レポートを作成しました。
1. 企業情報
日本農薬は1926年設立の歴史ある企業で、農薬を主力とする化学品メーカーです。主な事業は、殺菌剤、殺虫剤、除草剤といった農薬の製造・販売で、国内だけでなく国際的にも事業を展開しています。その他の事業として、家庭園芸用品、シロアリ駆除剤、医薬品、動物用医薬品なども手掛けています。親会社はADEKA Corporationで、同社の子会社として農薬事業を専業としています。
事業構成は、農薬事業が売上高の約95%を占め、残りを農薬以外の化学品やその他事業が占めています。海外売上高比率は約70%(2025年3月期)と高く、グローバルに展開している点が特徴です。自社開発品の比率が高いことでも知られています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は日本の農薬大手の一角を占めており、特に自社開発品の比率が高い点が強みです。ブラジル、インドをはじめとする海外市場の開拓に注力しており、グローバル展開を加速しています。これにより、特定の地域や作物に依存しない事業基盤の構築を目指していると考えられます。具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、国内外での幅広い製品展開と研究開発力が競争優位性であると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
日本農薬は中期経営計画「Growing Global for Sustainability(GGS)」を推進しています。
主な戦略的重点分野は以下の通りです。
* グローバル展開の加速: ブラジルやインドなど、成長市場での事業拡大に注力しています。
* 研究開発の強化とオープンイノベーション: 理化学研究所との連携による天然物由来原料を活用した高付加価値化合物の生産技術開発など、外部との連携を通じて技術革新を追求しています。
* スマート農業への対応: 害虫雑草診断アプリの事業化など、スマート農業連携アプリの開発・導入にも力を入れています。
* 高付加価値製品の開発: 自社開発品比率の高さは、その技術力を背景としています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、主力である農薬事業の安定性に加え、以下の要素により持続可能性を高めていると考えられます。
* 技術開発力: 自社開発品比率が高く、理化学研究所との連携など、継続的な技術革新への投資が行われています。
* グローバル展開: 海外売上高比率が高く、特定の地域への依存度を低減することで、地政学的リスクや気候変動による影響を分散しています。ブラジルやインドなど成長市場での拡大は、今後の収益源の多様化にも繋がります。
* 多角化の推進: 農薬以外の化学品(シロアリ薬剤、医薬品、動物薬)やスマート農業関連への取り組みは、新たな収益機会の創出を目指すものです。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術開発は、従来の化学合成農薬に加えて、天然物由来の化合物など、より環境に配慮した高付加価値製品の開発にも注力しています。理化学研究所とのオープンイノベーションによる天然物由来原料を活用した生産技術開発は、その一例です。
主力製品としては、国内外で展開される殺菌剤、殺虫剤、除草剤があります。特に、国内では水稲向け製品や果樹向け薬剤、北米では除草剤ピラフルフェンエチルなどの販売が好調とされています。これらの製品群が、同社の収益を牽引しています。
6. 株価の評価
現在の株価1,030.0円に基づき、各種指標を確認します。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 63.89円に基づくと、PERは16.17倍です。業界平均PERが20.4倍であるのと比較すると、現在のPERは業界平均を下回る水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 1,004.21円に基づくと、PBRは1.03倍です。業界平均PBRが1.1倍であるのと比較すると、現在のPBRは業界平均と同程度の水準にあります。
提供された情報からは、PERおよびPBRは業界平均と比較して、割安感があるか同程度であることが示唆されます。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,030.0円です。
株価の推移を見ると、年初来安値631円(52週安値576円)から着実に上昇し、本日高値1,040円は年初来高値1,042円に迫る水準です。
直近10日間の株価は、概ね970円から1,040円の範囲で推移しており、本日は大幅な上昇を見せています。
50日移動平均線907.86円、200日移動平均線793.25円と比較すると、現在の株価はこれらの移動平均線を大きく上回っており、上昇トレンドにあることが示唆されます。
売上高・利益の推移(連結)
| Breakdown | 3/31/2022 | 3/31/2023 | 3/31/2024 | 過去12か月 | 2026年3月期 第1四半期 |
|---|---|---|---|---|---|
| Total Revenue | 80,110,000 | 102,090,000 | 103,033,000 | 99,966,000 | 27,133,000 |
| Operating Income | 5,762,000 | 8,739,000 | 7,438,000 | 8,576,000 | 3,542,000 |
| Net Income | 4,405,000 | 4,488,000 | 4,777,000 | 2,356,000 | 2,709,000 |
- 売上高: 2022年3月期から2024年3月期にかけて増加傾向にありましたが、過去12か月(2025年3月期実績)ではやや減少しています。しかし、2026年3月期第1四半期は前年同期比41.0%増と大幅な増収となっています。
- 営業利益: 2023年3月期に増加した後、2024年3月期は減少しました。過去12か月では回復傾向が見られ、特に2026年3月期第1四半期は前年同期の赤字から3,542百万円の黒字に転換し、大幅な利益改善を達成しています。
- 純利益: 過去数年間は安定していましたが、過去12か月で減少しています。しかし、2026年3月期第1四半期は前年同期比で大幅増益を達成しました。
その他の指標(連結)
- ROE(実績): 2024年3月期は3.03%、過去12か月では6.30%です。
- ROA(過去12か月): 5.19%です。
- 自己資本比率: 2024年3月期実績で50.8%、直近四半期で53.5%と、財務の健全性は高い水準を維持しています。
- 流動比率: 直近四半期で2.44倍と、短期的な支払い能力に問題はない水準です。
- 総負債/自己資本比率: 直近四半期で36.49%となっており、自己資本に対する負債の割合は低い水準です。
- 現金及び預金: 直近四半期で19,940百万円を保有しています。
- 有利子負債: 直近四半期で29,420百万円です。
全体として、財務基盤は強固であり、特に直近四半期の業績は売上・利益ともに大幅な改善が見られます。
9. 株主還元と配当方針
日本農薬は株主還元として配当を実施しています。
* 1株配当(会社予想): 25.00円
* 配当利回り(会社予想): 2.42%
* 配当性向: 73.19%
2025年3月期の実績配当は年間22.00円でしたが、2026年3月期は年間25.00円の配当を予想しており、増配傾向にあります。
また、株主情報に「自社(自己株口)」の記載があることから、過去に自社株買いによる株主還元も実施していることが示唆されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあります。本日(2025年9月3日)は前日終値983円から大きく上昇し、一時1,040円の高値を付けるなど、活発な取引が行われました。出来高も159,800株と、平均的な水準よりも増加しています。
この株価の動きの背景には、直近で発表された2026年3月期第1四半期決算が挙げられます。売上高が前年同期比41.0%増、営業利益が黒字転換、純利益が大幅増益を達成しており、業績の好調さが市場に好感された可能性があります。また、通期業績予想の上方修正も投資家の関心を集める要因となっています(ただし、提供資料では通期営業利益は0.9%減益予想になっていますが、純利益は112.2%増益予想です)。
信用取引では、信用買残、信用売残ともに前週比で減少しており、売り買いの需給バランスは落ち着いている状況です。
一方、ブラジルにおける訴訟関連費用(約45百万レアル+利息など)の発生可能性や、海外事業におけるデリバティブ評価損の計上といったリスク要因も存在し、今後の株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
日本農薬は、農薬事業を主力とし、高い自社開発品比率と積極的なグローバル展開を強みとする化学品メーカーです。中期経営計画「Growing Global for Sustainability」に基づき、研究開発の強化やスマート農業への対応、成長市場である海外展開に注力しており、事業の持続可能性を高める戦略を取っています。
財務基盤は自己資本比率50%超と健全であり、流動性も問題ありません。直近発表された2026年3月期第1四半期決算は、売上高・利益ともに大幅な改善を達成し、特に営業利益は前年同期の赤字から黒字転換しました。これに伴い、株価は年初来高値水準に迫る動きを見せており、投資家の関心が高まっています。会社予想PERは業界平均を下回っており、PBRは業界平均と同程度です。
株主還元についても増配予想を出しており、継続的な還元姿勢がうかがえます。一方で、ブラジルでの訴訟問題など、一部のリスク要因も存在するため、今後の動向を注視することが重要です。
企業情報
| 銘柄コード | 4997 |
| 企業名 | 日本農薬 |
| URL | http://www.nichino.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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