1. 企業情報
- 企業名:日本コークス工業(Nippon Coke & Engineering Company, Limited、証券コード:3315)
- 概要:製鉄向けの高炉用コークスを主力とし、石炭・石油コークス等の燃料販売、資源リサイクル、粉体化工機などの総合エンジニアリング、物流・不動産を展開。前身は三井鉱山。日本製鉄・住友商事との関係が強い。
- 事業構成(売上構成比、2025年3月期):コークス59%、燃料・資源リサイクル28%、総合エンジニアリング9%、その他4%
- 直近トピック:2024年12月の北九州事業所火災の影響から復旧・安全対策を継続。新鋭炉(2A・1A)の安定稼働を進捗。R&DではCCVD技術による炭素材開発にNEDO助成あり。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の大手コークスメーカーの一角。主要顧客は国内高炉一貫製鉄向けが中心。業界は寡占色が強く、上流の原料炭価格(原料炭・石油コークス)と製鉄業の稼働に影響を受けやすい。
- 競争優位性:長年の操業ノウハウと大手鉄鋼・商社との取引関係、新鋭炉の導入、リサイクル・エンジニアリング等の補完事業による分散。
- 課題:原材料価格の変動と価格転嫁のタイムラグ、設備トラブル・安全対応コスト、人手不足・資材高、脱炭素動向による中長期のコークス需要不確実性。市場シェアの公表はなし(不明)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(短信要旨)
- 安全最優先:化成工程のガス管二重化、教育・仕様見直し等で再発防止。
- 生産安定化:新鋭炉を軸に月間約10万トンの安定生産を目標化。老朽設備は全面復旧から選別修繕へ方針転換しコスト最適化。
- 収益回復:原材料・副産物調達の平準化と製造原価低減の浸透。
- 事業基盤強化:CCVD等の炭素材R&D、リサイクル・エンジニアリング事業の拡充。
- 中期施策(示唆)
- 安全・品質投資の継続、設備ポートフォリオの見直し
- 収益多角化(資源リサイクル、装置・粉体技術の深耕)
- 財務健全性の改善(詳細数値目標は資料内記載限定)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:コークス販売が中核。原料炭価格・鋼材需要に連動しやすく、景気・市況の影響が大きい。副次的に副産物やリサイクル・装置売上で補完。
- 適応力:新鋭炉による操業安定と原価低減、老朽設備の選別運用、リサイクル・エンジニアリングの拡大でボラティリティ緩和を志向。
- 構造的リスク:脱炭素に伴う高炉→電炉シフト可能性、環境規制強化。中長期は需要の質的変化に備えた新材料・リサイクル領域の育成が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 主力:製鉄用コークス、石炭・石油コークス販売、粉体化工機・化学装置、資源リサイクルサービス。
- 技術・独自性:新鋭炉の稼働改善、粉体・燃焼・熱管理などのエンジニアリング知見。CCVD技術による炭素材の研究開発(NEDO助成)を推進。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 102円、EPS(会社予想)0.69円、BPS(実績)139.19円、時価総額 約305億円
- PER(予想):約147.8倍(= 102 / 0.69)。提供指標146.38倍と近似(算定基準差・丸め差)。
- PBR(実績):約0.73倍(= 102 / 139.19)。提供指標0.73倍と一致。
- 業界平均との比較:業界平均PER 8.0倍、PBR 0.9倍。現状、PERは業界平均比で高水準、PBRは平均を下回る水準。
- EV/EBITDA参考:EV ≈ 時価総額305億 +(有利子負債599.8億−現金54.3億)≈ 850億円。TTM EBITDAはマイナスで倍率算出は参考性に限界。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:株価102円は50日移動平均90.86円、200日移動平均89.93円を上回る。中期的な上方推移が確認できる。
- 価格レンジ:52週高値107円・安値69円、年初来高値105円。現値は高値圏に近い水準(高値から約5%内外)。
- 売買動向:直近10日で出来高が増加した日(8/28〜9/2)を含み、短期の値動きが活発化。信用倍率4.48倍で買い残が優勢(買残・売残ともに前週比増加)。短期需給の影響を受けやすい構図。
8. 財務諸表分析
- 収益・コスト
- 売上高推移:2022/3 1,247億円 → 2023/3 1,741億円 → 2024/3 1,352億円 → 直近12か月 990億円(縮小傾向)
- 粗利益:直近12か月はマイナス(-21億円)。原料高・操業効率低下等の影響。
- 営業利益:2024/3 +44億円 → 直近12か月 -86億円。2026/3期1Qは-7.4億円で前年同期比悪化。
- 最終損益・収益性
- 当期純利益:2024/3 +19億円 → 直近12か月 -139億円。2026/3期1Q -11.6億円。
- 利益率:営業利益率(TTM)-3.05%、純利益率(TTM)-14.71%。
- ROE(TTM):-30.12%、ROA(TTM):-4.12%。
- 財政状態・キャッシュ
- 自己資本比率:31.8%(2025/3末)→ 30.8%(2025/6末)。
- 流動比率:0.92(短期資金繰りの余裕は限定的)。
- 有利子負債残高:約600億円、D/E(総負債/自己資本)目安:Debt/Equity 148.05%。金利費用(TTM)56億円相当、EBITDAがマイナスで金利負担が重い構図。
- セグメント(2026/3期1Q)
- コークス:売上1,582億円相当(百万円単位の合計で表記)、セグメント損失拡大。
- 燃料・資源リサイクル:売上減、黒字維持も利益縮小。
- 総合エンジニアリング:売上・利益とも増。
- その他:小幅黒字。
(注)金額単位は資料に合わせて百万円基準。TTMは提供データに基づく。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績:2025年3月期 年間0円。
- 2026年3月期 配当予想:未定(会社公表)。開示可能となり次第、開示予定。
- 自己株式:保有比率約3.75%(期末自己株式数 1,132万株)。自己株買い等の方針は開示情報からは不明。
- 参考(保有構造):日本製鉄21.71%、住友商事18.71%など、主要株主の持分が大きい。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:50日・200日線を上回り、8月下旬に出来高増を伴う上昇局面を確認。直近は101〜104円での持ち合い気味。
- 関心材料:
- 生産安定化(新鋭炉)とコスト低減の進捗
- 原料炭価格・鉄鋼需給の動向
- 安全対策・操業リスクの低減状況
- 通期業績予想(売上9,900億円、営業利益27億円、純利益2億円)の達成度
- 脱炭素・電炉シフト等の中長期テーマ
11. 総評
- 事業環境:原料高や火災影響を背景に直近12か月は赤字・粗利マイナス。2026/3期1Qも赤字継続。一方、新鋭炉の安定稼働や老朽設備の選別運用など、原価構造の是正施策が進行中。
- 財務面:自己資本比率は3割強、流動比率<1、総負債・金利負担が相対的に重い。キャッシュ創出力の回復が重要課題。
- バリュエーション:PBRは業界平均を下回る一方、EPSが小さいためPERは高倍率。EBITDAマイナスでEV系倍率の解釈には注意が必要。
- 株価・需給:株価は中期移動平均線上で推移し、52週高値圏に接近。信用買い残優勢で短期の需給要因の影響を受けやすい。
- 着眼点:通期黒字化見通しの進捗、安全・操業の安定度、原材料市況・鉄鋼稼働、リサイクル・エンジニアリングの収益寄与、財務健全性の改善状況が主要観点。
(注記)
– 本資料は提供データに基づく客観的整理であり、投資勧誘・助言を意図するものではありません。
– 配当予想は会社公表が未定のため、外部データの「フォワード6円」等は参考値であり、会社開示優先で取り扱っています。
– 数値は丸めや基準差により一部整合しない場合があります。
企業情報
銘柄コード | 3315 |
企業名 | 日本コークス工業 |
URL | http://www.n-coke.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | エネルギー資源 – 石油・石炭製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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