日本農薬(4997)企業分析レポート
株価:1,030円(2025-09-03終値)
市場区分:プライム/業種:化学(Agricultural Inputs)
時価総額:846.7億円 海外売上比率:約70%(2025.3期)
1. 企業情報
- 概要
- 1926年創業の農薬専業メーカー。殺菌剤・殺虫剤・除草剤を中核に、家庭園芸・緑化・シロアリ用途なども展開。医薬品・動物薬、試験分析、物流、造園等の周辺事業も保有。
- ADEKAの連結子会社。海外はブラジル・インド・欧州・北米などで販売網を拡大。
- スマート農業領域(害虫・雑草診断アプリ等)やオープンイノベーション(理研との天然物由来化合物の生産技術開発)に注力。
- 事業構成(連結、2025.3期)
- 農薬:約95%(営業利益率の柱)
- 農薬以外の化学品:約4%
- その他:約2%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内「農薬大手」の一角。自社開発品比率が高く、原体・製剤の両輪で事業展開。
- 海外比率が高く(約70%)、中南米・インド・欧州・北米などでの拡販が進展。
- 競争環境
- グローバルではBayer、Syngenta、BASF、UPLなどメガプレーヤーが存在。国内では住友化学、日産化学、クミアイ化学工業、ニッソー(日本曹達)等との競合が一般的。
- 優位性・課題(一般論ベース)
- 優位性:自社開発化合物の比率とグローバルでの登録・販売体制、デジタル(診断アプリ等)との連携。
- 課題:各国の登録・規制対応コスト、為替・天候・作況の影響、価格競争・ジェネリック浸透、リーガル・コンプライアンス対応。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/中期方針
- 中計「Growing Global for Sustainability(GGS)」を掲げ、グローバル成長と持続可能性の両立を志向。
- 重点分野(短信・開示より)
- 地域拡大:ブラジル、インド、中南米、欧州、北米での拡販強化。
- 製品・技術:自社開発化合物の投入継続、理研との連携による天然物由来高付加価値化合物の事業化に向けた特許出願。
- デジタル/スマート農業:害虫・雑草診断アプリ等の事業化・連携強化。
- 事業ポートフォリオ:農薬を中核に、医薬・動物薬、分析・物流等の周辺事業も収益補完。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源は農薬(原体・製剤)の販売。作物別・地域別に分散し、海外比率が高い点はリスク分散要素。
- 農薬は登録・再評価等の規制ハードルが高い一方、参入障壁やライフサイクル長期化の面もある。
- 市場ニーズ変化への適応:スマート農業や環境対応(低薬量・選択性等)への研究開発、外部連携(理研)で対応を図る。
- リスク要因
- 規制強化、為替、天候・作況、原材料価格、地政学、裁判・係争(ブラジル子会社に関する損害賠償訴訟控訴中)等。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 自社創製化合物の比率が高い点が特徴。オープンイノベーションで天然物由来の高付加価値化合物生産技術の開発を進展(特許出願)。
- 収益牽引製品・動向(短信言及)
- 国内:水稲向け製品が好調、果樹向け等も伸長。
- 北米:除草剤「ピラフルフェンエチル」などが貢献。
- 中南米・欧州・インド:販売増で増収。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価1,030円、会社計画EPS(2026.3期)=63.89円、BPS(直近)=1,004.21円
- 予想PER:約16.1倍(=1,030/63.89)[会社開示PER 16.17倍と整合的]
- PBR:約1.03倍(=1,030/1,004.21)
- 予想配当利回り:約2.43%(=25円/1,030円)[会社予想2.42%と整合的]
- 業界平均との比較(参考)
- 業界平均PER:20.4倍 → 同社は平均比で低位水準。
- 業界平均PBR:1.1倍 → 同社は概ね近辺。
- 参考計算(感応度)
- 業界平均PER(20.4倍)をEPS63.89円に適用すると理論株価約1,300円相当(あくまで数式上の比較)。
7. テクニカル分析(短期)
- トレンド
- 直近終値:1,030円。50日線約908円、200日線約793円を上回る上昇トレンド。
- 52週高値:1,042円付近に接近。年初来高値も1,042円。52週安値は576円(年初来安値データ631円あり)。
- モメンタム
- 10日出来高平均:約10.6万株に対し、本日出来高約15.98万株と増加。
- 直近10日で上値トライ(9/1-9/3で反発)。信用倍率4.10倍、信用買残は前週比減少(調整進行の一面)。
- 位置づけ
- 短期的には高値圏に近い水準。移動平均線との乖離は拡大。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結、百万円)
- 売上高:2022/3 80,110 → 2023/3 102,090 → 2024/3 103,033 → 2025/3 99,966
- 営業利益:5,762 → 8,739 → 7,438 → 8,576
- 親会社株主帰属純利益:4,405 → 4,488 → 4,777 → 2,356
- 収益性
- 2025/3期の粗利率:約33.3%(33,221/99,966)、営業利益率:約8.6%(8,576/99,966)、純利益率:約2.4%(2,356/99,966)。
- 2026/3期1Q(4-6月):売上2,713億円、営業利益354億円で営業利益率約13.1%。前年同期比で大幅増収増益。
- 成長・変動要因
- 2025/3期は営業段階は堅調だが、営業外(デリバティブ評価損等)や税負担の影響で純利益が縮小。
- 2026/3期1Qは国内外の販売増が寄与し改善。
- 効率性・安全性
- 自己資本比率:50.8%(前期末)→ 1Q時点53.5%。
- ROE:実績(連):3.03%/直近12カ月ベース指標:6.30%(出所差に留意)。
- ROA(直近12カ月):5.19%(参考値)。
- 流動比率:約2.44倍。総有利子負債:約294億円、現金等:約199億円。
- キャッシュフロー
- 四半期CFは未開示(1Q)。期末現金水準や運転資本の動向に留意。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期:年間22円(中間10円、期末12円)
- 2026/3期(会社予想):年間25円(中間12円、期末13円)
- 予想配当性向(単純計算):約39%(=25/63.89)。参考指標ではトレーリング配当性向73.2%の表示もあり(算出基礎期間の違いに留意)。
- 自社株
- 自己株式比率:約3.9%(期末ベース)。新規の自己株買いは開示情報では未確認。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+61.9%(参考指標)。主要指数比で相対的に強含み。
- 需給
- インサイダー(親会社含む)保有:約52%と高く、浮動株は約3,322万株。流動性は平均出来高17.4万株(3カ月平均)。
- 関心材料(価格影響要因)
- 1Qの増収増益、通期見通し(売上1,090億円、EPS 63.89円)の進捗。
- 為替、作況・天候、各国の登録・規制動向、原材料価格。
- ブラジル子会社係争・デリバティブ評価損の帰趨。
- スマート農業アプリや理研連携等の新規取り組みの実用化・収益化進展。
11. 総評
- 事業面では、農薬を中核に海外比率の高さと自社開発品の拡販が成長ドライバー。2026/3期1Qは国内外ともに販売が伸び、収益性が改善。
- 財務面では、前期は営業外要因等で純利益が一時的に低下したが、自己資本比率50%台、流動比率約2.4倍と財務基盤は安定的。1Qでは自己資本比率も改善。
- バリュエーションは予想PER約16倍、PBR約1.03倍で、業界平均PER(20.4倍)比では抑制的な水準。配当利回りは約2.4%。
- 株価は移動平均線を上回る上昇トレンドで高値圏に接近。短期的な値動きは出来高増加とともに活発化。
- 注視点として、為替・天候・規制・係争案件(ブラジル)・デリバティブ評価差の影響、ならびに中計(GGS)における研究開発・デジタル領域の事業化進捗が挙げられる。
本資料は公開情報の整理・計算に基づく情報提供であり、投資勧誘や特定の投資判断を推奨するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 4997 |
| 企業名 | 日本農薬 |
| URL | http://www.nichino.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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