日本ゼオン(4205)企業分析レポート

株価:1,690円(2025-09-03終値)/市場:東証プライム/業種:化学(素材・化学)

1. 企業情報

  • 概要:合成ゴム(エラストマー)と高機能材料を主力とする化学メーカー。自動車(タイヤ・機能部材)、医療、電子・エネルギー分野向けに事業展開。海外売上比率63%(2025.3)。
  • セグメント構成(売上比率/括弧内は利益寄与の示唆):
    • エラストマー素材:55%(自動車・産業用途、NBR/HNBR等の耐油性特殊ゴム、合成ラテックス等)
    • 高機能材料:29%(COP等の高機能樹脂、電池材料、電子材料、トナー等)
    • その他:16%(RIM配合液、塗料など)
  • 会社情報:1950年設立/本社・東京都千代田区/従業員4,493人
  • 代表者:豊嶋 哲也
  • 直近イベント(予定):
    • 権利落ち(中間配):2025-09-29
    • 決算発表(予):2025-10-28

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:古河系の合成ゴム大手。耐油性特殊ゴム(NBR/HNBRなど)に強み。タイヤ向けや粘着・手袋用途の合成ラテックス、高機能樹脂(COP)や電池材料など用途分散が進む。
  • 競争優位性(定性的):
    • 特殊ゴムの配合・品質ノウハウと安定供給体制
    • 高機能樹脂(光学・医療)や電池材料など、価格競争に陥りにくいニッチ領域の製品群
    • 海外売上比率が高く、需給・為替の影響を受ける一方で市場アクセスは広い
  • 課題:
    • 自動車・タイヤ循環の影響、原料市況・為替の変動
    • 合成ラテックスなど一部用途の需給緩み
    • 高機能領域の継続的な技術優位の維持と投資回収

3. 経営戦略と重点分野

  • 中計「STAGE30」(2021–2030)の第3フェーズ(2025–2028)を推進
    • 高機能材料の生産能力拡大・最適化
    • エラストマーは低収益品から高収益品へのシフト、選択と集中
    • コスト削減・生産革新(ZΣ運動)
  • 2026年3月期の見通し(2025/7/30修正):
    • 通期予想:売上高 4,150億円(前年比 -1.3%)、営業利益 305億円(+4.0%)、純利益 280億円(+6.9%)、EPS 143.98円
    • 投資有価証券の一部売却による特別利益 約109億円を織り込み
  • 会計方針変更:減価償却を定率法→定額法(当1Qから、営業利益+2.58億円程度の押上げ効果)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:エラストマー(景気・原料・為替の影響大)+高機能材料(光学・医療・電池・電子向けで中長期成長期待)によるポートフォリオ。
  • 適応力:
    • 高機能材料の比率・収益性が上昇し、事業ポートフォリオの安定性が改善方向
    • 原料・為替変動や需給調整に対して、価格改定・固定費削減・製品ミックス改善で対応
  • 財務の耐久性:自己資本比率 70.4%(当1Q末、前期末66.9%)、流動比率 2.16倍、実質ネットキャッシュ(現金 328.7億円、総有利子負債 279.6億円)と保守的なレバレッジ(D/E約7.85%)

5. 技術革新と主力製品

  • 技術領域:
    • 特殊ゴム(NBR/HNBR等)や合成ラテックスの配合・プロセス技術
    • 高機能樹脂(COP:光学・医療用途)、電子・エネルギー材料(電池材料、CNT関連)など
  • 収益牽引(当1Qの示唆):
    • 高機能材料事業のセグメント利益が7,388百万円と高収益(エラストマー 4,227百万円)
    • 電池材料は中国の補助金効果で需要堅調、電子材料・トナーも回復傾向
    • エラストマーは自動車需要の弱さや定期検査の影響、ただし価格改定・固定費削減で改善余地

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 現在値:1,690円
  • 予想EPS:141.99円 → 予想PER 約11.9倍(提供値と一致)
  • 実績BPS:1,805.93円 → PBR 約0.94倍
  • 参考比較:業界平均 PER 20.4倍、PBR 1.1倍
  • 益回り(参考):約8.4%(=1/PER)
  • EV/EBITDA(概算):EV ≒ 時価総額3,637億円 − ネットキャッシュ約49億円 ≒ 3,588億円、TTM EBITDA 約525億円 → 約6.8倍
  • 留意点:2026年3月期予想には投資有価証券売却益(特別利益)が含まれるため、PER等の比較は一過性要因の影響に注意

7. テクニカル分析

  • トレンド:株価は50日線(約1,593円)、200日線(約1,483円)を上回り、上昇トレンド継続
  • 位置:年初来高値 1,722円・52週高値圏(終値1,690円は高値近辺)
  • モメンタム:10日間は1,680–1,715円レンジでの持ち合いを伴う高値圏推移
  • ボラティリティ:5年β 0.12と相対的に低い
  • 信用需給:信用倍率 7.96倍、買残増(+14.6千株)で短期需給は買い優位の一方、上値では需給の振れに注意

8. 財務諸表分析

  • 売上高(連結):
    • 2022/3: 3,617億円 → 2023/3: 3,886億円 → 2024/3: 3,823億円 → 過去12か月: 4,206億円(伸長)
  • 利益:
    • 営業利益:44,4→27,2→20,5→29,3億円(2024/3で底打ち後、TTMで回復)
    • 当期純利益:334→106→311→262億円(特殊要因の影響あり)
    • 当1Q(2025/4–6):売上1,030億円(-2.8%)、営業利益121億円(+34.2%)、純利益75億円(-8.3%)
  • 収益性(TTMベースの概算):
    • 営業利益率 約7.0%(=29.3/420.6)
    • 純利益率 約6%台前半
    • EBITDAマージン 約12–13%
  • 効率・安全性:
    • ROE(実績)7.28%
    • 自己資本比率:66.9%(前期末)→ 70.4%(当1Q末)
    • 流動比率 2.16倍、有利子負債は現預金を下回る(ネットキャッシュ)
  • キャッシュフロー:当1QはCF計算書未作成(短信記載)。減価償却費 当1Q 39.95億円
  • セグメント(当1Q):
    • エラストマー:売上5,775億円、利益422億円(自動車・海外弱含み、原料下落・円高の影響)
    • 高機能材料:売上2,928億円、利益739億円(電池・電子・光学・医療が堅調)
    • その他:売上1,606億円、利益100億円(販管費削減が寄与)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当実績(2025/3):年間70円
  • 配当予想(2026/3):年間72円(中間36円・期末36円)/配当利回り 約4.26%
  • 配当性向(参考):約55%(提供データ)
  • 自己株式:保有比率 7.7%(当1Q末 1,835万株)
  • 自社株買いの新規方針は—(手元資料に明記なし)
  • その他:投資有価証券の売却益を通期予想に織り込み(株主還元への直接的な充当の有無は—)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価推移:52週騰落 +42.5%、出来高は3カ月平均約59万株、直近10日平均約55万株
  • 関心材料:
    • 高機能材料(電池・電子・光学・医療)の堅調推移
    • 原料市況・為替(円高)の影響、海外自動車需要の強弱
    • 特別利益(有価証券売却)の計上予定
    • 信用買い残増加による短期需給
  • 低β(0.12)により市場全体の変動に対して相対的に安定的な値動き

11. 総評(簡潔な見解の整理)

  • 事業面:エラストマーの循環影響を受けつつ、高機能材料の利益貢献が拡大。ポートフォリオの質的改善が進行。
  • 財務面:自己資本厚く、ネットキャッシュ基調で耐性あり。TTMで営業利益・EBITDAは回復傾向。
  • バリュエーション:予想PER約12倍、PBR約0.94倍。業界平均との相対比較では低位だが、通期予想には特別利益が含まれる点に留意。
  • 株価・テクニカル:50日・200日線上で高値圏の持ち合い。信用買い優位の需給は短期的な振れ要因。
  • リスク・注目点:原材料・為替、自動車向け需給、合成ラテックスの需給緩み、高機能材料の投資回収。電池・電子材料の需要動向が業績感応度大。

本資料は提供データに基づく企業分析であり、投資助言ではありません。数値は百万円等の単位を含みます。最新のIR資料・決算短信も併せてご確認ください。


企業情報

銘柄コード 4205
企業名 日本ゼオン
URL http://www.zeon.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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