1. 企業情報
岡三証券グループは、1923年創業の独立系準大手証券会社です。主に個人、法人、機関投資家に対し、証券投資・資産運用サービスを提供しています。三重県を地盤としており、リテール(個人客向け)取引に強みを持っています。事業内容は、証券売買の受託、引受・募集、公開買付、資産運用コンサルティング、オンライン取引、IPO支援、IR・M&A提案、ビジネスマッチングなど多岐にわたります。傘下には証券ジャパンや投信運用会社を擁し、2022年には中核の対面証券にオンライン証券を統合するなど、事業基盤の強化・効率化を進めています。連結事業は受入手数料が61%、トレーディング損益が30%、金融収益が6%などで構成されています(2025年3月期)。
2. 業界のポジションと市場シェア
岡三証券グループは、国内の証券業界において「独立系準大手」という位置付けにあります。特定の金融機関の傘下ではないため、独立した立場から顧客サービスを提供できる点が特徴です。地理的には三重県を主要な地盤としつつ、全国展開を図っています。特に個人向けのリテールビジネスに強みを持つとされています。競争優位性としては、地域に密着した対面営業のノウハウと、独立系としての柔軟なサービス提供体制が挙げられます。一方、証券業界全体で見られる相場変動への業績の感応度や、大手証券会社との規模の差が課題となる可能性があります。具体的な市場シェアに関する数値データは提供されていません。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中期経営計画において「成長戦略に基づく経営基盤の確立」を掲げています。具体的な施策と重点分野は以下の通りです。
* 証券プラットフォーム事業の推進: 子会社の三縁証券での大規模な金融商品仲介業者転換など、事業効率化と顧客基盤拡大を目指します。
* プラットフォーム高度化: 岡三ビジネス&テクノロジー(情報処理・事務代行の子会社統合)を通じて、バックオフィス業務の効率化とシステムインフラの強化を図ります。
* 資産管理型ビジネス(ストック型収益の拡大): 岡三BANKや岡三UBSファンドラップなどを活用し、安定的な収益源となる資産管理ビジネスを強化していく方針です。
* 富裕層ビジネス・地域密着営業の強化: 中核子会社の機構改革により、収益性の高い富裕層ビジネスや強みである地域密着型の営業体制を強化します。
* 人事制度改革: 成果と責任に応じた報酬・登用の導入を進め、社員のモチベーション向上と組織活性化を図ります。
これらの戦略を通じて、事業構造の変革と収益基盤の安定化を目指していると考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
岡三証券グループの主要な収益源は、受入手数料(株式委託手数料、引受・売出手数料、投信関連等)、トレーディング損益、金融収益です。特に株式の売買に伴う委託手数料やトレーディング損益は、市場の活況・不況によって大きく変動するため、業績が相場環境に左右されやすいという証券業界特有の特性を持っています。
このような変動リスクを低減し、事業モデルの持続可能性を高めるため、同社はオンライン証券との統合による効率化や、安定的な収収益であるストック型の資産管理ビジネス(岡三BANK、岡三UBSファンドラップ等)の強化に注力しています。市場ニーズの変化、特にインターネットを通じた取引や資産形成ニーズの高まりに適応しようとする姿勢がうかがえます。
5. 技術革新と主力製品
同社は、具体的な最先端技術の名称や特許に関する情報開示は行っていません。しかし、「岡三ビジネス&テクノロジー」を通じた情報処理・事務代行機能の集約・高度化は、業務効率化とサービス基盤強化のための重要な取り組みと考えられます。
収益を牽引する主力製品・サービスとしては、個人投資家向けのリテールサービス全般、そして特に資産管理型ビジネスの強化を図る「岡三BANK」や「岡三UBSファンドラップ」が挙げられます。これらのサービスを通じて、顧客の資産形成ニーズに応え、安定的な収益確保を目指していると推察されます。
6. 株価の評価
現在の株価は678.0円です。
提供されたデータと直近12ヶ月の実績EPSおよび直近四半期のBPSに基づき評価します。
* PER(株価収益率):
* 直近12ヶ月希薄化後EPS: 57.42円
* PER = 678.0円 ÷ 57.42円 = 約11.81倍
* 業界平均PER: 13.3倍
* 現在株価のPERは業界平均と比較してやや低い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率):
* 直近四半期BPS: 1,009.72円
* PBR = 678.0円 ÷ 1,009.72円 = 約0.67倍
* 業界平均PBR: 1.0倍
* 現在株価のPBRは業界平均と比較して低い水準にあります。
これらの指標を見る限り、現在の株価は純資産や収益実績に対して、業界平均と比べて割安な水準にあると言えます。
7. テクニカル分析
現在の株価は678.0円です。
* 年初来高値: 741円
* 年初来安値: 530円
* 50日移動平均: 677.98円
* 200日移動平均: 654.40円
現在の株価は、50日移動平均線とほぼ同水準、200日移動平均線よりは上に位置しています。年初来高値741円からは約8.5%低い水準にあり、安値圏からは回復しています。直近10日間の株価推移を見ると、666円から691円のレンジで取引されており、本日やや上昇してはいるものの、現時点では明確な上昇トレンドや下降トレンドは確認されず、比較的横ばいの中で推移している状況です。
8. 財務諸表分析
損益計算書(年度別比較)
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売上高(Total Revenue):
- 2022年3月期 83,856百万円
- 2023年3月期 66,282百万円(前年比20.9%減)
- 2024年3月期 85,658百万円(前年比29.2%増)
- 2025年3月期 84,035百万円(前年比1.9%減)
- 過去12ヶ月 84,035百万円
売上高は相場環境により変動が大きく、2023年3月期に一時的に落ち込みましたが、その後回復し、直近2期は800億円台で推移しています。
* 純利益(Net Income Common Stockholders):
* 2022年3月期 10,073百万円
* 2023年3月期 529百万円(大幅減益)
* 2024年3月期 13,167百万円(大幅増益)
* 2025年3月期 11,652百万円(前年比11.6%減)
* 過去12ヶ月 11,652百万円純利益も売上高と同様に相場環境の影響を大きく受け、2023年3月期は大幅な減益となりましたが、翌期には大幅に回復しました。直近の2025年3月期は前年比で減益となっています。
主要財務指標(過去12ヶ月実績)
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ROE(自己資本当期純利益率): 4.89% (2024年3月期実績 5.73%)
自己資本に対する利益率は5%前後で推移しており、一般的な水準と比較するとやや低い傾向が見られます。
* ROA(総資産利益率): 0.83%
* 自己資本比率: 15.1% (2024年3月期実績、直近四半期 14.7%)金融機関の特性上、他の業種と比較して低い水準となる傾向があります。直近四半期でやや低下しています。
* 利益率:
* Profit Margin: 12.98%
* Operating Margin: 5.20%
2026年3月期 第1四半期決算(前年同期比)
- 営業収益: 19,145百万円(前年同期比 △9.3%)
- 純営業収益: 18,265百万円(前年同期比 △11.5%)
- 営業利益: 949百万円(前年同期比 △76.0%)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 1,717百万円(前年同期比 △48.1%)
直近の第1四半期決算では、営業収益が減少し、特に営業利益、純利益が前年同期に対して大幅な減益となりました。これは主に受入手数料とトレーディング損益の減少が影響しています。営業利益率も前年同期の18.72%から約4.96%へと大きく低下しており、収益性の悪化が見られます。
* 総資産: 1,367,631百万円 (前期末から△12,107百万円)
* 純資産: 201,274百万円 (前期末から△6,958百万円)
資産構成では、現金預金、預託金が増加した一方で、トレーディング商品、信用取引資産等が減少しました。負債では預り金が増加し、有価証券担保借入金や短期借入金が減少しています。
* キャッシュフロー: 第1四半期連結累計期間の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績: 2025年3月期の年間配当は30円でした。
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配当利回り:
- 実績配当利回り(Trailing Annual Dividend Yield): 4.45% (30円 ÷ 678.0円)
- もしForward Annual Dividend Rateの60円が実現した場合の利回り: 8.90% (60円 ÷ 678.0円)
提供データにはForward Annual Dividend Rateが60円と示されていますが、2026年3月期の配当予想は「未定」とされています。年間配当60円が継続されれば、現在の株価に対する配当利回りは非常に高い水準となります。
* 配当性向(Payout Ratio): 52.22% (Forward Dividend Rate 60円に基づく)利益に対する配当の割合は50%強と妥当な水準です。
* 自社株買いなどの株主還元策: 株主情報において、筆頭株主として自社(自己株口)が12.83%を保有しています。これは過去に自社株買いが実施されたことによるものと考えられますが、直近の具体的な自社株買いの発表については情報が提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 現在の株価は50日移動平均線と同水準にあり、200日移動平均線より上に位置していますが、直近10日間では大きな方向感はなく、概ね横ばい圏で推移しています。52週変化率は+4.66%であり、同時期のS&P 500の変化率+17.17%を下回っています。
- 投資家関心:
- 信用取引: 信用買残が249,000株、信用売残が135,300株で、信用倍率は1.84倍です。買い残が売り残を上回っており、買い方が優勢な状況です。
- 出来高: 直近10日間の平均出来高は269.65k株であり、3ヶ月平均330.99k株と比較してやや減少傾向にあります。
- 影響要因:
- 国内および世界の株式・債券市場の動向、金利・為替の変動といった相場環境は、証券会社の業績に直結するため、投資家の関心を集める主要因となります。
- 直近の第1四半期決算で営業利益・純利益が大幅減益となったことは、短期的な投資家心理に影響を与える可能性があります。
- 中期経営計画で掲げているストック型収益の拡大やプラットフォーム強化といった戦略の進捗状況も、中長期的な投資家関心に影響を与える要因と考えられます。
11. 総評
岡三証券グループは、三重地盤の独立系準大手証券会社で、リテール業務に強みを持っています。現在の株価はPBRとPERのいずれも業界平均と比較して割安な水準にあります。
業績は相場環境に大きく左右される特性がありますが、オンライン証券の統合や資産管理型ビジネスの強化を通じて、収益構造の安定化と経営基盤の強化に取り組んでいます。直近の第1四半期決算では、主要な収益源である手数料収入やトレーディング損益の減少により、前年同期比で大幅な減益となりました。これは短期的な課題となる可能性があります。
株主還元については、2025年3月期は年間30円配当の実績がありますが、提供データにはForward Annual Dividend Rateとして60円が示されており、これが実現すれば高い配当利回りが期待されます。ただし、2026年3月期の配当予想は現時点では未定です。
株価は年初来高値からは下回る水準で、移動平均線を上回って推移していますが、現状は明確なトレンドは見られません。今後の業績動向は、相場環境の変化、および同社が推進する中期経営戦略の成果による影響を受けると推測されます。
企業情報
銘柄コード | 8609 |
企業名 | 岡三証券グループ |
URL | http://www.okasan.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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