福山通運(9075)企業分析レポート
株価: 3,680円(終値)/時価総額: 1,500億円/市場: 東証プライム
1. 企業情報
- 概要:
- 西日本地盤の路線トラック大手。小口雑貨(LTL: 小口混載)に強みを持ち、国内は陸・鉄道・海上・航空を組み合わせた複合輸送を展開。
- セグメント構成(2025.3 期 事業構成比・営業利益率カッコ内は目安):
- 運送 78%(小口中心、長距離・重量・長尺など)(営業利益率: 2%台)
- 貸切 9%(ブロックトレイン、ダブル連結トラック等)(8%)
- 流通加工 7%(倉庫・流通加工)(15%)
- 国際 4%(通関・国際輸送)(2%)
- その他 2%(不動産賃貸、物販、人材派遣等)(8%)
- 海外は中国、ベトナム、香港、カンボジア、マレーシア、タイなどで展開。
- 主要アセット: 車両約1.6万台、全国の物流センター・ターミナル網。
- 協業: セイノーHDと共同輸送を推進(中継輸送、幹線共同化 等)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:
- 国内LTL(路線便)で上位グループの一角。西日本を中心にB2B小口に強み。
- 同業主要プレーヤー: ヤマト、SGホールディングス(佐川)、NXホールディングス(旧日本通運)、セイノーHD等。
- 競争優位性:
- 小口混載ネットワークの厚みと、西日本域での集配密度。
- 幹線の共同化・中継輸送(トレーラー・トラクター方式)によるドライバー稼働の効率化。
- 流通加工・倉庫を含む一貫体制での付加価値提案。
- 課題:
- ドライバー人材の確保難と人件費上昇、外注費・減価償却の増加。
- 2024年以降の時間外労働規制強化に伴う輸送力制約への対応。
- LTLは価格転嫁のタイムラグが利益変動要因に。
- 市場シェア: 公表データは見当たらず(定量的比較は不明)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(短信の要約):
- 適正運賃・料金の確保(自動計測導入などで契約条件を見直し)。
- 賃金改善によるドライバー確保と定着。
- 同業他社との協業・共同輸送(中継輸送、幹線共同化)で輸送力・効率を確保。
- 中期の重点施策(開示ベースの示唆):
- 幹線・集配の生産性向上(ダブル連結トラック、専用ブロックトレインの活用)。
- 倉庫・流通加工の付加価値拡大(複合一貫輸送の強化)。
- 国際物流の伸長(通関・海空輸の組合せ)。
- ポートフォリオ改善(投資有価証券の見直し、自己株取得の機動的活用)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:
- LTLネットワークの稼働率向上と適正運賃の確保が収益性の鍵。倉庫/流通加工の利益率が補完。
- 適応力:
- 協業・中継輸送・ダブル連結等でドライバー稼働を効率化し、規制対応とコスト上昇に対処。
- 契約更改・自動計測による価格転嫁の制度化で収益変動を緩和。
- 国際・倉庫の拡大で景気変動の分散を図る。
- リスク:
- 燃料・人件費など外生コストの上振れ、需給逼迫期の輸送力制約。
5. 技術革新と主力サービス
- 技術/運用面の取り組み:
- 自動採寸・計量による適正運賃の設定・請求精度向上。
- 中継輸送(トラクター・トレーラー分離運用)で長距離ドライバー負担軽減と稼働率向上。
- ダブル連結トラック、専用ブロックトレイン等の幹線輸送多様化。
- 収益牽引領域:
- 中核は運送(LTL)。流通加工(倉庫+付加価値)と貸切が利益貢献度を高める構造。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提: 株価 3,680円
- 指標比較:
- 会社予想PER: 10.82倍(提供データの予想EPS 340.01円ベース)
- 参考: 2026/3期短信記載の通期EPS予想 352.59円を用いると約10.4倍
- 業界平均PER(運輸・物流): 13.9倍(比較すると相対的に低い水準)
- PBR: 0.49倍(BPS 7,496.06円)
- 業界平均PBR: 1.0倍
- EV/EBITDA(概算): 約8.9倍
- EV ≒ 時価総額1,500億 + 有利子負債1,168億 − 現金306億 = 約2,362億円
- EBITDA(過去12か月): 約265億円(提供指標ベース)
- 配当利回り(会社予想): 2.07%(年間76円)
- 配当性向: 約32%(提供データ)
- 所感(定量比較の事実関係):
- PER・PBRとも業界平均比で低位。ROEが低水準である点(実績ROE 3.0%)がPBR低位の背景。
7. テクニカル分析
- トレンド指標:
- 50日移動平均: 3,501円/200日移動平均: 3,559円 → 株価は両移動平均線上に位置。
- 価格レンジ:
- 直近10日: 3,445円 → 3,680円へ緩やかに上昇。
- 年初来高値: 3,870円/52週高値: 3,935円、52週安値: 3,185円
- 現在値は52週高値比約−6.5%、安値比約+15.5%のレンジ。
- 需給:
- 信用倍率 0.65倍(売り越し)/信用売残増加、買残微減。短期は上値・下値いずれにも振れやすい需給バランスの示唆。
- 出来高は10日平均約6万株、当日3.99万株とやや低調。
8. 財務諸表分析
- 収益推移(連結、百万円):
- 売上高: 291,266(2022)→ 293,358(2023)→ 287,563(2024)→ 302,495(直近12か月)
- 営業利益: 22,094 → 21,377 → 10,451 → 7,366
- 当期純利益: 16,763 → 20,791 → 7,834 → 8,748
- コメント: 売上は横ばい〜微増だが、コスト増(人件費・外注費・減価償却)の影響で利益は低下傾向。2026/3期1Qは売上+5.0%、営業利益−19.8%。
- 収益性:
- 営業利益率(過去12か月): 約2.4%(営業利益/売上)
- 過去のピーク(2022〜2023)からのマージン低下が顕著。
- キャッシュ・フロー:
- 営業CF(過去12か月): 約236.9億円と堅調。1Qも営業CFプラス(+95.8億円)。
- 投資CF: 設備投資中心でマイナス。投資有価証券の売却収入も計上。
- 財務CF: 配当・自己株取得等でネットアウトフロー(1Qの自己株取得支出 93.8億円)。
- 財務健全性:
- 自己資本比率: 57.1%(前期末)→ 55.5%(1Q末)。資本基盤は厚い水準。
- D/E(有利子負債/自己資本): 約0.42倍。
- 流動比率: 約0.98倍(1Q末)。運転資本はタイトだが安定レンジ。
- 効率・資本収益性:
- ROE(実績): 3.01%/ROA(過去12か月): 0.84% → 資本効率は抑制的。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:
- 2025/3期 実績: 年間70円
- 2026/3期 予想: 年間76円(利回り約2.07%)
- 5年平均利回り: 約1.66%(提供データ)
- 配当性向: 約32%
- 自社株買い:
- 2026/3期1Qに自己株式取得支出 93.8億円を実行。期末自己株式 397.6万株を保有(ESOP信託含む)。
- 株主構成の特徴:
- インサイダー保有比率 約36%/浮動株 約1,565万株。流動性に一定の制約がある可能性。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近動向:
- 10営業日で緩やかな戻り基調。移動平均線の上に位置し、テクニカルには中立〜やや強含みの配置。
- 需給・関心度:
- 信用売残の増加と低い信用倍率は、短期的な買戻し要因・下押し要因の両面を内包。
- 取引量は3か月平均(約7.7万株)を下回る日が多く、イベント(配当・決算)前後での出来高増加が注目点。
- イベント:
- 直近決算: 2025/8/8(1Q)
- 権利落ち日(予定): 2025/9/29
11. 総評(ファクトの整理)
- 事業面:
- 小口混載を核に、倉庫・流通加工・国際を組み合わせた一貫物流モデル。協業・中継輸送・自動計測などで人手不足・コスト増に対応。
- 収益・財務:
- 売上は堅調だがコスト上昇でマージンは低下。営業CFは安定、自己資本は厚い。ROEは低位。
- バリュエーション:
- PER・PBRとも業界平均水準より低め。BPS対比のPBRは0.5倍前後。
- マーケット視点:
- 株価は50日・200日線の上で推移し、年初来高値圏には未達。信用需給は売り越し。
- 注目ポイント:
- 適正運賃確保の進捗、幹線共同化・中継輸送の拡大によるコスト改善、倉庫・国際の伸長、自己株取得の継続スタンスなどが業績・指標に与える影響に注目。
(注)
– 本レポートは公開情報の要約・整理であり、投資勧誘・投資助言を目的とするものではありません。
– 数値は提供データに基づきます。EPS予想はデータベンダー値(340.01円)と短信値(352.59円)に差異があり、指標算出結果が前提により変動し得ます。
– 不明・非開示項目は記載を控えています。
企業情報
銘柄コード | 9075 |
企業名 | 福山通運 |
URL | http://www.fukutsu.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 運輸・物流 – 陸運業 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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