オンコセラピー・サイエンス (4564) 企業分析レポート

個人投資家の皆様へ
本レポートでは、オンコセラピー・サイエンス(証券コード: 4564)の企業情報、事業内容、財務状況、株価動向などを多角的に分析し、情報を提供いたします。本レポートは情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

1. 企業情報

オンコセラピー・サイエンスは、2001年に設立された東京大学医科学研究所発の創薬ベンチャー企業です。主にがん領域における医薬品(低分子薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬)の研究開発と、がんプレシジョン医療関連事業(がん遺伝子の解析、リキッドバイオプシー、免疫解析など)を手掛けています。大手製薬会社との開発提携も行っています。
事業内容は、医薬品の研究開発等が連結事業の大部分を占めており、がんプレシジョン医療関連事業も展開しています(2025年3月期計画では医薬品研究開発等が0%、がんプレシジョン医療が100%)。

2. 業界のポジションと市場シェア

オンコセラピー・サイエンスは、がん領域に特化した創薬ベンチャーとして、新しい治療法や診断法の開発を目指しています。特に、MELK阻害剤「OTS167」やTOPK阻害剤「OTS964」といった低分子化合物、複数のがんペプチドワクチン、抗体医薬「OTSA101」など、 متنوعなモダリティのパイプラインを保有しています。また、がんプレシジョン医療分野では、全ゲノム/エクソーム解析、ネオアンチゲン解析、リキッドバイオプシーなどのサービスを提供し、米国病理医協会(CAP)認定を取得するなど、その質を高めています。
競争優位性としては、特定の分子標的に対する研究開発の実績や、大学発ベンチャーとしての学術的基盤が挙げられます。がんプレシジョン医療事業においては、ゲノム解析技術や臨床検査の質が強みとなります。しかし、創薬ベンチャーの事業特性として、成功確率の低い研究開発が先行し、その費用が収益を圧迫する点が課題です。具体的な市場シェアに関するデータは提供されていません。

3. 経営戦略と重点分野

会社の経営戦略としては、主に以下の点に注力していると見られます。
* がんプレシジョン医療関連事業(CPM社)への経営資源集中:収益基盤の安定化を図るため、全ゲノム解析やネオアンチゲン解析などの高付加価値サービスの提供を強化し、保険適用を目指す新規がん遺伝子パネル開発にも注力しています。
* 医薬品研究開発セグメントの早期ライセンスアウト:開発計画を資金状況に応じて柔軟に実行し、早期の収益化を目指して、パイプラインの導出を模索しています。
* 適時の資金調達:長期間の研究開発に必要な資金を確保するため、新株式の発行や新株予約権の行使などによる資金調達を継続して実施しています。

4. 事業モデルの持続可能性

現在のオンコセラピー・サイエンスの収益モデルは、長期的な医薬品ライセンス収入を目標としつつ、現状はがんプレシジョン医療関連事業からの収益が主軸となっています。
がんプレシジョン医療市場は拡大傾向にあり、リキッドバイオプシーや全ゲノム解析などの需要増加が同社の事業にとって追い風となる可能性があります。既存の診断技術に加え、獣医分野への応用など新市場の開拓も検討されています。
しかし、医薬品の研究開発は多額の費用と長い期間を要し、成功確率も低いという特性を持っています。そのため、現在のところ継続的な営業損失が発生しており、キャッシュフローもマイナスとなる状況です。会社自身も「継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在する」と開示しています。資金調達によって事業継続を支えていますが、開発の進捗や収益化が遅れる場合は持続性に影響を与える可能性があります。

5. 技術革新と主力製品

オンコセラピー・サイエンスは、がん治療薬の研究開発において複数の技術とパイプラインを持っています。
* 低分子化合物
* OTS167(MELK阻害剤):急性骨髄性白血病において第I/II相臨床試験、乳がんにおいて第I相臨床試験が進行中。
* OTS964(TOPK阻害剤):非臨床段階。
* がんペプチドワクチン
* S-588410(食道がん第III相は主要評価項目で有意差得られず、塩野義にライセンスアウト)、S-488210(頭頸部がん第I/II相)、S-588210(固形腫瘍第I相)、OTSGC-A24(胃がん第I相)など。
* 抗体医薬
* OTSA101(滑膜肉腫第I相)、抗アミロイドベータペプチド抗体(アルツハイマー病第I相完了)。

現在の収益は主に「がんプレシジョン医療関連事業」が牽引しており、CPM社を通じた全ゲノム/エクソーム解析、ネオアンチゲン解析、リキッドバイオプシーなどのサービスが主力製品となっています。医薬品の開発パイプラインは将来の収益源となることが期待されていますが、現時点では研究開発段階にあります。

6. 株価の評価

現在の株価は29.0円です。
同社のEPS(1株当たり利益)およびPER(株価収益率)は、継続的な損失計上のため「—」と表示されており、利益に基づく株価評価はできません。
PBR(株価純資産倍率)は(連)8.76倍、BPS(1株当たり純資産)は(連)3.31円です。
計算上、株価29.0円をBPS3.31円で割ると約8.76倍となり、提供データと一致します。
PBRが8倍台と高い水準にあることは、将来の創薬成功や事業成長への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。研究開発型バイオベンチャーとしては、将来の成功期待が先行して評価される傾向が見られます。

7. テクニカル分析

直近の株価推移(10日間)を見ると、27円から33円のレンジで取引されています。現在の株価29円は、本日高値31円、安値29円となっています。
年初来高値は35円、年初来安値は21円であり、52週高値は42円、52週安値は21円です。
現在の株価29円は、年初来安値や52週安値からは上昇していますが、年初来高値や52週高値からは乖離しています。
50日移動平均線が28.54円、200日移動平均線が26.20円となっており、現在の株価は両移動平均線を上回っています。これは中長期的に上昇トレンドにある可能性を示唆しています。
本日の株価は前日終値(32円)から下落しており、直近の高値圏からはやや調整した位置にありますが、過去の安値圏からは離れており、移動平均線の上で推移していることから、現在の株価が明確に高値圏か安値圏かを判断することは難しい状況です。

8. 財務諸表分析

  • 売上収益 (Total Revenue):過去数年間は10億円前後で推移していましたが、直近12ヶ月実績では7.5億円程度、2025年3月期には6.1億円と減少傾向にありました。しかし、2026年3月期第1四半期決算では、前年同四半期比で2倍の201百万円と、がんプレシジョン医療関連事業の売上が増加しています。
  • 利益:医薬品の研究開発における多額の先行投資により、一貫して営業利益、経常利益、純利益ともに大幅な赤字を計上しています。過去12ヶ月の純損失は-815百万円です。これはバイオベンチャー特有の事業モデルであり、将来の収益化に向けた投資段階にあることを示しています。
  • キャッシュフロー:2026年3月期第1四半期のキャッシュフロー計算書は開示されていませんが、決算短信には営業活動によるキャッシュフローはマイナスである旨の記載があります。ただし、当期中に第三者割当増資および新株予約権の行使による払込みがあり、現金及び預金は増加(394百万円増の1,228百万円)しており、資金調達によって手元流動性を確保しています。
  • 収益性指標:ROE(実績)は-173.77%、ROA(過去12か月)は-36.28%と、いずれもマイナスであり、収益性の低さを示しています。これは赤字が継続しているためです。
  • 安全性指標:自己資本比率は(連)57.1%(2025年3月期末)から直近四半期で65.8%へと改善しています。資金調達の効果により純資産が増加し、財務の健全性は短期的に保たれていると言えます。流動比率も4.06倍と高く、短期的な支払い能力は十分にあります。

全体として、オンコセラピー・サイエンスは、売上確保と研究開発投資を両立させながら、継続的な資金調達によって事業を維持している、典型的な研究開発型バイオベンチャーの財務状況にあると言えます。

9. 株主還元と配当方針

オンコセラピー・サイエンスは、現在配当を実施していません。配当利回り、1株当たり配当、配当性向のいずれも0.00%です。
これまでの情報から自社株買いなどの株主還元策に関する具体的な発表は見当たりません。
慢性的な赤字が継続している状況と、研究開発に多額の資金を要する事業モデルであることから、現在のところ株主還元よりも事業の継続と成長に向けた研究開発投資、及び財務基盤の強化を優先する方針であると考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は直近10日間で27円〜33円のレンジ内で推移しており、本日は前日比で下落しているものの、50日および200日移動平均線を上回って推移しています。これは、ある程度の上昇トレンドが維持されていることを示唆します。
出来高は直近10日間で平均1,231万株(10日平均)と高く、投資家の関心は引き続き高いと見られます。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回っており(信用倍率6.83倍)、需給は緩い状態です。しかし、信用売残も前週比で大幅に増加しており、短期的な売り圧力と買い戻し圧力の拮抗が見られます。
株価に影響を与える主な要因としては、以下の点が挙げられます。
* 主要パイプライン(OTS167、OTSA101など)の臨床試験結果や進捗に関する発表
* 大手製薬会社との新たな提携やライセンスアウト契約の締結
* がんプレシジョン医療関連事業の収益拡大や新規サービスの市場投入
* 継続企業の前提に関する不確実性の解消、または悪化の報道
* 新株予約権の行使や第三者割当増資などの資金調達に関する情報

創薬ベンチャー特有のニュースフローによって株価が大きく変動する可能性があるため、市場の動向と企業発表には注意が必要です。

11. 総評

オンコセラピー・サイエンスは、がん領域の医薬品研究開発とがんプレシジョン医療を二つの柱とするバイオベンチャーです。東京大学医科学研究所発という強固な学術基盤と、複数のパイプラインが臨床段階に進展している点は評価されます。また、がんプレシジョン医療関連事業は売上を伸ばしており、同社の現在の収益基盤となっています。
しかし、医薬品の研究開発には多額の費用と長期の時間が必要であり、現時点では慢性的な赤字が続き、営業キャッシュフローもマイナスです。会社自身も「継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在する」と開示しており、今後の資金調達の成否やパイプラインの成功が事業継続の鍵となります。財務面では、資金調達により自己資本比率が改善し、短期的な流動性は保たれていますが、株主還元は現時点では行われていません。
株価は、現在の財務状況よりも将来の成長への期待が先行してPBRが高い水準で推移していると考えられます。研究開発の進捗、提携、がんプレシジョン医療事業の拡大、そして資金調達に関するニュースフローが株価に大きな影響を与えるため、これらの動向を注視することが重要です。投資を検討される際には、創薬ベンチャー特有のハイリスク・ハイリターンな特性を理解し、長期的な視点と多角的な情報収集が求められます。


企業情報

銘柄コード 4564
企業名 オンコセラピー・サイエンス
URL http://www.oncotherapy.co.jp/
市場区分 グロース市場
業種 医薬品 – 医薬品

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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