1333 マルハニチロ 企業分析レポート
本資料は公開情報をもとに作成した情報提供であり、投資助言ではありません。数値は特記なき限り連結ベース、円建てです。
1. 企業情報
- 概要:水産最大手。漁業・養殖(クロマグロ等)から一次加工、食材流通(商社機能、冷蔵倉庫ネットワーク)、加工食品(冷食・缶詰・魚肉ソーセージ・ペットフード)、ファインケミカル(DHA、ヘパリン等)まで川上〜川下を一気通貫で展開。国内外に強固な物流・販売網を保有。
- 事業構成(2025/3期の目安)
- 食材流通:約58%(営業利益率目安:約2%)
- 水産資源:約23%(同:約1%)
- 加工食品:約16%(同:約7%)
- その他:約2%(同:約13%)
- 基本データ:プライム市場上場、従業員12,454人、本社=東京都江東区豊洲。創業1880年。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内水産・水産商事領域で最大規模の一角。原料調達力、グローバル展開、国内外のコールドチェーン網が強み。
- 競争優位性
- 調達〜製販〜流通のバリューチェーン内製化により、原料価格や為替変動への耐性を相対的に確保。
- 欧州・北米における販売網と製造拠点(スケソウダラ、カニ、カニカマ等)を活用した収益機会。
- 課題
- 水産資源・飼料・物流コスト・関税・為替など外部環境の変動影響が大きい。
- コモディティ性の高い商材比率が高く、構造的に利益率が低位になりやすい。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期方針:「バリューサイクル」「グローカル戦略」を軸に、構造改革と成長投資を継続。
- 構造改革:不採算事業の見直し、操業効率改善、政策保有株式の縮減。
- 成長投資:欧州・北米での事業拡大(持分比率引上げ・M&A等)、ペットフード強化、微細藻類由来DHAなどファインケミカルの推進。
- ブランド/組織変革:2026年3月に新CI「Umios」導入、本社移転・パッケージ改定などを段階的に実施(26/3期〜28/3期で関連費用累計約100億円、投資含め約150億円想定)。
- 2026/3期の通期計画修正(2025/8/5発表)
- 売上高 1兆800億円(据え置き)
- 営業利益 300億円(+30億円上方修正)
- 経常利益 290億円(+30億円上方修正)
- 親会社純利益 175億円(据え置き)
- 参考EPS 347.44円
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:原料調達から加工・商流・小売向け供給まで一貫展開し、数量×薄利多売とブランド・機能性付加価値(冷食・ペットフード・ファインケミカル)で利益を積み上げるモデル。
- 適応力
- 価格改定、商品ミックス改善、海外生産拠点のコスト削減等でコスト上昇を吸収。
- 地域・魚種・販売先の分散で相場・需給変動リスクを平準化。
- リスク:魚価・飼料・人件費・物流・関税・為替に対する感応度は高く、資金繰り・在庫運転の管理重要性が高い。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 冷凍・保存・加工技術、養殖技術、トレーサビリティ。
- 微細藻類由来DHAなどファインケミカル領域での研究開発。
- 収益牽引領域(直近)
- 北米ユニット:スケソウダラ相場回復、カニ・カニカマ好調、生産コスト削減。
- ペットフード:タイ拠点の北米向けが好調、国内価格改定の浸透。
- 欧州の水産商事:販路拡大と収益性改善。
- 代表商材:冷凍食品、缶詰、魚肉ソーセージ、ペットフード、DHA・ヘパリン等。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 3,469円、時価総額 約1,754.6億円、予想EPS 347.40円、実績BPS 4,496.74円
- 指標
- 予想PER:約10.0倍(業界平均 9.9倍と同水準)
- 実績PBR:約0.77倍(業界平均 0.9倍を下回る)
- 予想配当利回り:3.17%(1株配当 110円)
- 予想配当性向:約31.7%(=110円/347.4円)
- ROE(実績):10.65%
- 参考EV/EBITDA(概算)
- 有利子負債 約2,998億円、現金同等物 約489億円 → ネット有利子負債 約2,509億円
- EV ≒ 約4,264億円、TTM EBITDA 約651億円 → EV/EBITDA ≒ 約6.5倍
- 注:期間のズレ・四半期数値を含む概算。
7. テクニカル分析(短期)
- 直近10営業日終値:上昇基調(10日移動平均≈3,358円、5日移動平均≈3,394円、現値3,469円は上回る)。
- 年初来高値:3,486円を本日更新(高値圏)。
- 出来高:最近の平均を上回り増加傾向(本日21.4万株)。
- 信用需給:信用買残 19.64万株(前週比+2.1万株)、信用倍率 15.84倍で買い長。
8. 財務諸表分析
- 損益(通期推移)
- 売上高:8,667億円(2022/3)→ 1兆204億円(2023/3)→ 1兆307億円(2024/3)→ 1兆786億円(直近12か月)
- 営業利益:238億→ 296億→ 265億→ 304億円
- 親会社純利益:169億→ 186億→ 209億→ 233億円
- 伸長要因:価格改定・北米回復・ミックス改善等。営業利益は24/3期から反発。
- 収益性指標(TTM目安)
- 粗利率:約13.5%(=1,455.98/10,786.31)
- 営業利益率:約2.8%
- 当期純利益率:約2.2%
- EBITDAマージン:約6.0%
- 2026/3期 1Q(2025/4-6)
- 売上:2,636億円(前年比+2.6%)
- 営業利益:94億円(+23.1%、1Q過去最高)
- セグメント:水産資源が黒字化改善、食材流通は横ばい、加工食品は増益。
- 財政状態(1Q、前期末比)
- 総資産 7,143億円(+331億)、自己資本比率 31.7%(▲2.0pt)
- 有利子負債 2,998億円(+289億)、ネットD/E 1.1倍
- 運転資本の積み上がり(売上債権・棚卸増)とCP発行で負債が増加。
- キャッシュフロー(1Q)
- 営業CF:▲41億円(前年▲96億から改善)
- 投資CF:▲126億円(設備投資・子会社株式取得)
- 財務CF:+190億円(CP増発等)
- 現金残高:489億円
9. 株主還元と配当方針
- 会社予想配当:年間110円(予想配当利回り3.17%)
- 予想配当性向:約31.7%
- 自社株買い:開示情報では確認できず(—)
- その他:政策保有株式の縮減を継続。直近の配当方針変更の明示はなし。
- 参考イベント:次回権利落ち日 2025年9月29日(予定)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期は上昇基調で年初来高値を更新。出来高増加と信用買い残の積み上がりから投資家関心は高まりつつある局面。
- 価格ドライバー(直近)
- 1Qの営業・経常利益の上方修正(通期)による業績モメンタム。
- 北米相場(スケソウダラ等)回復、欧州商事の収益改善、ペットフード堅調。
- 為替(1Q平均 USD/JPY 152.95、EUR/JPY 160.74):外貨建て収益の円換算押上げ要因と、原料輸入コスト上昇要因が併存。
- 関税動向、物流コスト、飼料価格、魚価の変動。
11. 総評
- 事業面:国内最大級の水産・食品グループとして、調達〜加工〜流通の一貫体制と海外拠点を活かし、24/3期の調整を経て収益は回復。加工食品・北米・欧州が下支え。中計の構造改革と成長投資が1Q実績に反映。
- 財務面:売上・利益は緩やかに拡大、利益率は依然低水準だが改善傾向。有利子負債・運転資本は増加し、自己資本比率はやや低下。資金調達・在庫運転の管理が引き続き重要。
- 株価・バリュエーション:PERは業界平均並み、PBRは平均を下回る水準。配当利回りは3%台前半。短期モメンタムは良好で年初来高値圏、信用需給は買い長。
- 留意点:魚価・飼料・物流・為替・関税など外部要因への感応度が高い。企業変革費用(CI変更・移転等)は当面コスト負担となる一方、ブランド・組織基盤強化の効果は中期的に顕在化を想定。
(注)本レポートは情報の正確性に配慮していますが、将来の結果を保証するものではありません。ご不明点や追加データ(セグメント四半期推移、BS主要勘定の整理、為替感応度の定量化など)が必要であればお知らせください。
企業情報
銘柄コード | 1333 |
企業名 | マルハニチロ |
URL | http://www.maruha-nichiro.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 水産・農林業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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