1. 企業情報
ティムスは2005年2月17日に設立された東京農工大学発の創薬型バイオベンチャー企業です。主要な事業内容は医薬品開発であり、特に黒カビ由来のスタキボトリスミクロスポラトリプレニルフェノール(SMTP)コンジェナーを基盤とした新薬の研究開発に取り組んでいます。急性期脳梗塞治療薬候補であるTMS-007が中核パイプラインであり、現在は中国のCORXEL社と提携し、グローバル臨床試験を進めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ティムスは東京証券取引所グロース市場に上場する医薬品セクターの企業であり、創薬型バイオベンチャーとして位置づけられます。同社は黒カビ由来のユニークな化合物を用いた新薬開発を進めており、特に急性期脳梗塞治療薬候補であるTMS-007は、既存薬であるt-PAと比較して安全性や投与可能時間の面で優位性を示す可能性が示唆されています。しかし、現時点では製品化された製品がなく、市場シェアを定量的に評価する段階にはありません。開発中のパイプラインの成功が、将来の市場での競争優位性を確立する鍵となります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中核パイプラインであるTMS-007(急性期脳梗塞治療薬候補)、TMS-008(急性腎障害・がん悪液質等)、JX09(高血圧)などの臨床開発を最優先課題としています。特にTMS-007はCORXEL社主導のグローバル第II/III相試験(ORION)が進行中であり、日本でも治験計画届出が提出されています。パイプラインの拡充も重点分野であり、社内でのAI・天然物スクリーニングによる創薬研究と、社外からの有望な研究シーズ導入を並行して実施する戦略を掲げています。業績予想については、マイルストーン収入やロイヤリティ収入に大きく依存するため、現時点では合理的な算定が困難として開示していません。
4. 事業モデルの持続可能性
ティムスの事業モデルは、新薬候補の研究開発を推進し、その成果を製薬会社等に導出(ライセンスアウト)することで、マイルストーン収入や上市後のロイヤリティ収入を得るという創薬型バイオベンチャー特有のものです。現段階では売上高がなく、多額の研究開発費を先行投資するフェーズにあります。収益化の鍵は、各パイプラインの臨床試験の成功と、承認・販売に至るまでのプロセスにあります。現金の残高は高水準であり、自己資本比率も非常に高く、現時点での財務安全性は確保されているように見受けられます。新株予約権の行使による増資で資金調達も行われています。
5. 技術革新と主力製品
ティムスの技術基盤は、黒カビ由来の天然物から見出された「SMTP」と呼ばれる化合物群にあります。これは、プロトロンボリティック活性(血栓溶解促進作用)と抗炎症・抗酸化作用を併せ持っています。
主力製品候補は以下の通りです。
* TMS-007(JX10): 急性期脳梗塞治療薬候補。CORXEL社との提携によりグローバル第II/III相試験が進行中。
* TMS-008: 急性腎障害やがん悪液質などの炎症性合併症を対象とするsEH阻害剤。第I相臨床試験を完了しています。
* JX09: 高血圧を対象とする経口アルドステロン合成阻害剤。
* TMS-009: 前臨床段階の製品候補。
* TMS-010: 脊髄損傷候補。
これらのパイプラインに加えて、AIや天然物スクリーニングを活用した新規創薬研究も進め、継続的な技術革新を目指しています。
6. 株価の評価
ティムスの株価は161.0円です。
* PBR(実績): (単)2.36倍
* BPS(実績): (単)68.23円
現在の株価161.0円は、一株当たり純資産(BPS)68.23円の約2.36倍で取引されていることになります。これは、将来の新薬開発成功による成長期待が株価に織り込まれている可能性を示唆します。
* PER(会社予想)/EPS(会社予想): 会社予想EPSはハイフン、過去12ヶ月のEPSがマイナス16.38円と赤字であるため、PER(株価収益率)は算出できません。創薬ベンチャーは開発段階で利益が出ていないことが多く、PBRや将来性で評価される傾向があります。
7. テクニカル分析
現在の株価161.0円は、
* 年初来高値: 314円
* 年初来安値: 120円
のレンジ内で取引されています。
* 50日移動平均: 162.40円
* 200日移動平均: 182.56円
現在の株価は50日移動平均および200日移動平均を下回っており、中長期的にはやや下降トレンドの兆候が見られます。直近10日間の株価推移も153円から164円の範囲で推移しており、大きな方向感は見られず、横ばいからやや下落基調です。現在の水準は年初来安値に近いゾーンに位置しています。
8. 財務諸表分析
ティムスは創薬ベンチャーの特性上、過去数年にわたり売上高がほとんどなく、研究開発費が主な支出となっています。
* 連結売上高: 過去数年は0千円(2022年2月期に一過性の売上あり)。
* 営業利益・経常利益・純利益: 継続して赤字が続いています(直近第1四半期も営業損失△274,015千円、四半期純損失△286,326千円)。
* ROE(実績): (単)-21.16%
* ROA(過去12か月): -18.32%
利益が赤字であるため、ROEやROAもマイナスとなっています。
一方、財務の安全性は高い水準にあります。
* 自己資本比率(実績): (単)92.1% (直近四半期末は95.3%) と非常に高く、負債が少ない構造です。
* 現金及び預金(直近四半期): 3,180,118千円と潤沢であり、新株予約権の行使による増資がこれに貢献しています。
* 流動比率(直近四半期): 26.11倍と非常に高く、短期的な支払い能力は問題ありません。
9. 株主還元と配当方針
ティムスは現在、配当を実施していません。
* 配当利回り(会社予想): 0.00%
* 1株配当(会社予想): 0.00円
* 配当性向: 0.00%
これは、新薬開発という高リスク・高リターンの事業フェーズにあるため、得られた資金や調達した資金を研究開発やパイプライン拡充に再投資し、将来の企業価値向上を目指す方針であると推察されます。自社株買いなどの株主還元策についても、現在のところ実施の言及はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週変化率: -21.08%であり、S&P 500の同時期の変化率+18.47%と比較すると、市場全体に対して相対的に株価は下落しています。
- 平均出来高(3ヶ月): 524.68k株
- 平均出来高(10日): 320.78k株
直近の取引量は3ヶ月平均に比べて減少傾向にあります。
* 信用買残: 3,680,000株と買い残が比較的多く、信用倍率は0.00倍(信用売残が0のため)となっています。
* 株主構成: 大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合やMSCOカスタマーセキュリティーズなど、機関投資家やファンドが上位株主に名を連ねています。
株価への影響を与える主要因は、新薬候補の臨床試験の進捗状況、提携契約の動向、そして規制当局による承認の見通しといった、事業の本質的なマイルストーンに関するニュースが挙げられます。
11. 総評
ティムスは、急性期脳梗塞治療薬候補TMS-007をはじめとするユニークなパイプラインを持つ創薬型バイオベンチャーです。現在は多額の研究開発費を先行投資する段階にあり、売上や利益は計上されていません。しかし、新株予約権行使による資金調達などで現金を確保しており、自己資本比率が高いなど財務安全性は高い水準にあります。
株価は年初来高値から下落傾向にあり、中長期的移動平均線も下回るなど、現在は下落トレンドにあるように見受けられます。PERによる評価は不能であり、PBRは将来の成長期待を反映していると考えられます。株主還元は現時点では行っておらず、事業への再投資を優先する方針です。
今後の注目点は、中核パイプラインであるTMS-007のグローバル臨床試験の進捗と結果、その他のパイプラインの開発段階移行、そして新たな提携や導出契約の発表に集約されます。これらの進展が、今後の株価に大きな影響を与える可能性があります。創薬ベンチャーへの投資は高いリターンを期待できる一方で、臨床試験の失敗リスクや承認不確実性といった高いリスクを伴うことを理解しておく必要があります。
企業情報
銘柄コード | 4891 |
企業名 | ティムス |
URL | https://www.tms-japan.co.jp/ |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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