1. 企業情報
- 企業名:日本電子(JEOL Ltd., 証券コード 6951)
- 概要:電子顕微鏡(TEM・SEM)を中核とする理科学・計測機器、半導体向けを中心とした産業機器(電子ビーム描画装置等)、臨床検査向けの医用機器(生化学自動分析装置等)をグローバルに展開。電子顕微鏡分野で世界上位、ニコンと連携。
- 事業構成(売上構成比):理科学・計測機器 63%、産業機器 29%、医用機器 8%(海外売上比率 71%)
- 本社:東京都昭島市、設立:1949年、従業員:約3,600人
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:電子顕微鏡で世界首位クラス。計測・分析機器ではNMR、質量分析、XRF等の高性能領域に強み。半導体分野では電子ビーム描画(シングル/スポット/マルチビーム)で存在感。医用機器では生化学分析装置を展開。
- 競合:電子顕微鏡(Thermo Fisher/FEI、日立ハイテク等)、分析機器(ブルカー等)、半導体マスク描画(NuFlare等)。定量的なシェアは開示情報なし。
- 競争優位性:電子光学・真空・計測を統合した基盤技術、研究機関~半導体・ライフサイエンスまでの広い顧客基盤、サービス体制。課題:半導体設備投資の循環影響、為替感応度(海外売上高比率が高い)、最先端ノード向け需要の回復タイミング。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画:「Evolving Growth 2.0 – A New Horizon-(2025–2029)」を推進
- 成長領域の深耕:最先端半導体向け電子ビームソリューション、ライフサイエンス・医療分野の拡大
- 収益基盤の強化:サービス・保守、消耗品ビジネスの強化、グローバル供給体制の最適化
- 技術投資:電子光学・計測・自動化/AI活用による製品性能・操作性の高度化
- アライアンス:ニコン等との連携活用
- 2026年3月期1Qは、産業機器・医用機器が伸長。通期予想は据え置き(売上高 1兆810億円、営業利益 240億円を見込む見通し、会社計画)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:装置販売+据付・保守サービス・部品/消耗品が継続収益を形成。大型装置は案件集中・期ズレがあり季節性(4Q偏重)の注記あり。
- 需要変動への適応:製品ポートフォリオが研究・産業・医療に分散。半導体循環の影響は受ける一方、医用・サービス収益が一部緩和。
- 財務余力:ネットキャッシュ体質(現金等 407.6億円、借入 61.7億円)、自己資本比率 61.4%と財務健全性が高い。
5. 技術革新と主力製品
- 主力:TEM/SEM、NMR、質量分析、XRF、電子ビーム描画(シングル/スポット/マルチビーム)、生化学自動分析装置、イオンビーム応用装置、電子ビーム金属AM(3Dプリンタ)など。
- 技術動向:高分解能化、測定自動化・AI解析、クリーン・低ダメージ加工、ライフサイエンスとの融合(クライオ電顕等)。1Qは産業機器(特にシングル/スポットビーム装置)が好調、マルチビームは顧客投資回復が限定的。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 4,905円、EPS(会社予想)351.97円、BPS 2,687.52円
- PER(会社予想):約13.9倍(提供値と一致)
- PBR(実績):約1.83倍
- 配当利回り(会社予想):約2.16%(年間106円)
- EV/EBITDA(概算):約5.1倍
- 時価総額 2,527億円、ネットキャッシュ約346億円、EBITDA 約426億円ベース
- 参考比較(同業平均との単純比較)
- 業界平均PER 24.2倍 ⇒ 同倍率を当社EPSに適用すると約8,500円相当
- 業界平均PBR 1.6倍 ⇒ 同倍率を当社BPSに適用すると約4,300円相当
- 上記は単純計算であり、事業構成・収益変動・成長率差等により解釈は異なる。
7. テクニカル分析
- トレンド指標:株価 4,905円は
- 50日移動平均線 4,468円を上回る
- 200日移動平均線 4,834円をやや上回る
- 位置づけ:52週高値 6,095円・安値 3,810円のレンジ中位~やや上寄り。
- 直近10日:4,635円 → 4,905円と上昇基調。出来高は3か月平均(約25.6万株)に概ね近い。
- 信用需給:信用倍率 10.75倍、買い残増・売り残減。短期の需給影響には留意。
8. 財務諸表分析
- 成長推移(連結)
- 売上高:1,384億円(2022/3)→ 1,627億円(2023/3)→ 1,743億円(2024/3)→ 約1,967億円(直近12か月)
- 営業利益:141億円 → 242億円 → 275億円 → 355億円(データ差異に留意)
- 3年CAGR(2022→直近LTM):売上約+12%、営業利益は増加傾向
- 収益性
- 粗利率(LTM参考):約47%
- 営業利益率:四半期(1Q)ベース約14.4%(会社短信)/LTM指標14.4%(提供指標)
- 当期純利益率(LTM参考):約9~10%
- 効率性・資本性
- ROE(実績):14.26%
- ROA(過去12か月):10.38%
- 自己資本比率:61.4%
- 流動比率:2.35倍
- ネットキャッシュ:約346億円(現金等 407.6億円 − 有利子負債 61.7億円)
- 四半期実績(2026年3月期1Q、前年同期比)
- 売上 +10.4%、営業利益 +42.1%、純利益 +19.9%
- 特別利益(投資有価証券売却益 9.71億円)を計上、為替差損も発生
- セグメント(1Q)
- 理科学・計測機器:売上2,136億円(-5.4%)、セグメント損益は赤字
- 産業機器:売上1,446億円(+36.5%)、セグメント利益 71.8億円
- 医用機器:売上433億円(+35.8%)、セグメント利益 6.9億円
- 合算後、全社費用調整で営業利益 57.9億円
(単位はいずれも百万円換算の読み替え)
– 留意点:売上・利益は第4四半期偏重の傾向あり。通期は前期比で減収・減益見通し(会社計画)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間106円(予想)、配当利回り約2.16%
- 配当性向:概ね29〜30%(指標値:29%)
- 自己株式:期末自己株式数 380,826株(1Q開示)。自社株買いの定量的計画は開示ベースでは不明。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:-11.45%(参考:S&P500 +18.47%)
- 直近の変動:50日線・200日線を上回る水準に浮上。1週間での戻りが見られる一方、信用買い残の積み上がりが観測。
- イベント
- 権利落ち日:2025/9/29(予定)
- 決算発表:2025/11/6(予定)
- 業績ドライバー:半導体向け装置の受注動向、為替、医用機器の安定需要、サービス収益の積み上がり等。
11. 総評
- 事業面:電子顕微鏡・電子ビーム技術を核とする計測・産業・医用の3本柱。半導体投資循環の影響はあるが、製品ポートフォリオとサービス収益が安定化に寄与。
- 業績面:中長期では売上・利益の伸長が続いた一方、会社計画は足元サイクルを反映し慎重(通期は減収・減益見通し)。1Qは産業機器・医用機器が牽引。
- 財務面:高い自己資本比率とネットキャッシュで投資・研究開発の余力あり。ROEは14%台。
- バリュエーション:PERは業界平均比で低位、PBRは平均並~やや上。EV/EBITDAは約5倍台。事業構成・成長率・サイクルの違いに留意した解釈が必要。
- テクニカル:株価は移動平均線上で推移し、短期モメンタムは改善。信用需給の動向やイベント(配当・決算)の影響に注意。
注記
– 本資料は提供データに基づく客観的整理であり、投資助言を目的とするものではありません。
– 数値は百万円/億円等の換算を含み概算を含む場合があります。最新の有価証券報告書・決算資料等での確認を推奨します。
企業情報
銘柄コード | 6951 |
企業名 | 日本電子 |
URL | http://www.jeol.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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