東邦亜鉛(5707)企業分析レポート
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1. 企業情報
東邦亜鉛株式会社は、1937年設立の非鉄金属メーカーです。亜鉛や鉛の製錬が主要事業であり、特に鉛では国内で高いシェアを誇ります。その他、環境・リサイクル事業(酸化亜鉛の製造販売など)や電子部材・機能材料事業(電子部品、電解鉄など)も展開しています。近年では、豪州鉱山からの撤退や亜鉛製錬事業の再編(金属リサイクル事業への移行)を進めるなど、事業構造の変革と経営再建に取り組んでいます。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は亜鉛・鉛の製錬大手として知られ、特に鉛においては国内シェア首位の地位を占めています。これは、非鉄金属製錬事業における長年の経験と技術力が競争優位性であると考えられます。一方で、資源事業から撤退し、亜鉛製錬を再編する方針は、今後の事業構成と競争環境に影響を与える可能性があります。決算短信には具体的な市場シェアの数値や競合他社との比較に関する詳細な記載はありませんでした。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、2024年12月に公表した事業再生計画に基づき、経営再建を最優先課題としています。この計画では、亜鉛製錬の再編と資源事業からの撤退を柱としています。2025年3月には第三者割当増資を実施して資金を確保しており、今後5年間を事業再生期間と位置付けています。
具体的な施策としては、基盤・成長事業への経営資源の再配分を通じて収益力向上を目指しており、鉛製品の生産回復、貴金属・希少金属の回収および販売強化、製品の値上げや販路拡大、補助部門費用削減などが挙げられています。第1四半期では、事業再編に伴う費用が先行計上される形となっています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の主力である製錬事業は、亜鉛、鉛、金、銀などの金属相場および為替レートの変動に収益性が大きく左右される事業モデルです。事業再生計画では、資源事業から撤退し、より安定的な収益構造への転換を目指しています。環境・リサイクルや電子部材・機能材料といった多角化事業は、新たな収益源としての役割が期待されます。特に電子部材では車載向け需要の回復が見られます。
ただし、非鉄スラグ製品に関する土壌汚染基準超過の可能性が指摘されており、将来的に回収・撤去費用が発生する偶発債務のリスクが存在します。また、財務基盤が脆弱化しており、「継続企業の前提に重要な疑義」が発生している状況ですが、会社側は資金確保により不確実性は低いと判断しています。
5. 技術革新と主力製品
具体的な技術革新に関する詳細な記述は多くありませんが、電子部品や電解鉄など、特定の分野で独自の製品を開発・供給しています。例えば、MAIRONやATOMIRONといった電解鉄、自動車用電子機器やOA機器に利用されるFe-Al-Si系粉末コア材などがあります。収益を牽引しているのは依然として製錬事業ですが、第1四半期は製錬事業が経常損失を計上する中、環境・リサイクル事業や電子部材・機能材料事業は利益を計上しており、これらの事業の強化が今後の収益安定化に寄与する可能性があります。
6. 株価の評価
- 株価: 656.0円
- EPS(会社予想): 101.57円
- PER(会社予想): 6.46倍
- BPS(実績): 655.70円
- PBR(実績): 1.00倍
- 業界平均PER: 80.4倍
- 業界平均PBR: 0.8倍
同社のPER(会社予想)は6.46倍と、業界平均(80.4倍)と比較して低い水準にあります。PBR(実績)は1.00倍であり、業界平均(0.8倍)よりはやや高いものの、自己資本比率が低い状況を考慮すると、PBRの評価には慎重な見方が必要です。EPSは会社予想であり、事業再生計画の進捗によって変動する可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価656.0円は、年初来高値793円、年初来安値432円の範囲内で推移しています。52週高値1,140円と比較すると大きく下落しています。
直近の株価は705円から647円まで下落した後、656円と若干戻しています。50日移動平均線(698.06円)を下回っている一方、200日移動平均線(634.32円)は上回っています。短期的な上値は重い可能性がありますが、長期的な支持線は維持されていると見ることができます。市場全体の過去1年間の動き(S&P 500が18.47%上昇)と比較すると、同社株価は-27.38%と大きく劣後しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年3月期から2024年3月期にかけて変動があり、2024年3月期は減少しました。2025年3月期(過去12ヶ月)の売上高も前年比で減少傾向にあり、2026年3月期第1四半期も前年同期比で23.0%の減少となりました。これは、資源事業からの撤退や事業再編の影響が大きいと考えられます。
- 利益: 2024年3月期には大幅な営業赤字および純損失を計上しました。これは主に豪州鉱山の撤退に伴う特別損失によるものです。2025年3月期(過去12ヶ月)は営業利益が黒字に回復しましたが、純利益は依然として赤字です。2026年3月期第1四半期も営業・経常・純利益すべて赤字ですが、通期では黒字転換の予想です。
- ROE(過去12か月): -84.49%と大きくマイナスであり、自己資本の効率的な活用が課題です。
- ROA(過去12か月): 0.92%と低い水準にあります。
- 自己資本比率: 9.4%(直近四半期)と低い水準であり、財務健全性、特に中長期的な安定性に課題が残ります。
- Total Debt/Equity: 823.64%と非常に高水準であり、負債依存度の高さを示しています。
- 流動性: 現預金は確保されており、流動比率も3.51と高いため、短期的な流動性は心配ない状況です。
9. 株主還元と配当方針
同社は、2026年3月期の配当予想を0.00円(無配)としています。過去数期の赤字計上や事業再生計画の推進を考慮すると、当面は株主還元よりも財務体質の改善と事業再生を優先する方針であると考えられます。配当利回りは0.00%であり、配当性向も0.00%となっています。自社株買いに関する情報は開示されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下落傾向にありましたが、本日若干の反発を見せています。52週高値から大きく下落しており、市場全体の勢いには乗り切れていない状況です。出来高は日によって変動が大きいものの、一定の取引量は見られます。信用買残が信用売残よりも多く、信用倍率は3.74倍と高い水準にあります。主要株主には投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅦ号が名を連ねており、同社の経営再建に対する関与の深さが伺えます。今後の事業再生の進捗や財務状況の改善が、投資家関心を再び高める要因となるでしょう。
11. 総評
東邦亜鉛は、その主力事業である鉛製錬において国内トップシェアを誇る非鉄金属企業です。しかし、近年は豪州鉱山撤退や亜鉛製錬の再編といった大規模な事業構造改革に取り組んでおり、これに伴う先行費用や特別損失が財務に大きな影響を与え、大幅な赤字を計上しました。
現在は2024年12月発表の事業再生計画を推進しており、5年間を再生期間と定めて、基盤事業の強化や成長分野への経営資源の再配分を通じて収益力の回復を目指しています。財務面では、自己資本比率の低さや負債依存度の高さなど、継続企業の前提に重要な疑義が生じるほどの課題を抱えており、「継続企業の前提」に関する注記がなされていますが、会社は資金確保により不確実性は低いと判断しています。
株価は、事業再編の状況や財務の課題を反映して低水準で推移しており、当面は無配を継続する方針です。今後の株価は、事業再生計画の具体的な進捗、収益性の改善、そして財務体質の強化が実現できるかに大きく左右されると考えられます。特に、通期での黒字化目標達成、財務状況の透明性向上、および環境関連の偶発債務など潜在的なリスク要因への対応が注目されます。
企業情報
銘柄コード | 5707 |
企業名 | 東邦亜鉛 |
URL | http://www.toho-zinc.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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