東邦亜鉛(5707)企業分析レポート
株価:656円(2025-09-08終値)/市場:東証プライム
時価総額:89.1億円/発行株式数:13,585,521株
1. 企業情報
- 概要:1937年設立の非鉄金属メーカー。亜鉛・鉛・銀などの製錬を主軸に、環境・リサイクル、電子部材・機能材料、金属リサイクルを展開。豪州の資源事業(鉱山)は売却・撤退済み。鉛・銀の製錬で国内大手、鉛はシェア首位とされる。
- 主な製品・サービス:
- 製錬:電気亜鉛、亜鉛ダイカスト合金、電気鉛・鉛合金、電気銀・ビスマス、硫酸など
- 電子部材・機能材料:電解鉄(MAIRON/ATOMIRON)、Fe-Al-Si系粉末コア、アモルファス粉末、各種めっき(Au/Ag/Ni/Sn)
- 環境・リサイクル:酸化亜鉛(タイヤ原料等)、亜鉛系リサイクル
- 連結事業構成(2025.3):製錬83%、環境・リサイクル5%、資源5%、電子部材・機能材料4%、その他3%(括弧内の利益率目安:製錬2%、環リ26%、資源7%、電子10%、その他5%)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の鉛・銀製錬大手。亜鉛は自社製錬の再編を経て金属リサイクル事業に集約。
- 競争優位性(示唆):
- 鉛でのシェア優位、貴金属回収・販売ノウハウ、電子材料(電解鉄・粉末コア)などニッチ高付加価値領域のラインアップ。
- 課題:
- 金属市況(亜鉛・鉛・貴金属)と為替の変動影響が大きい。
- 買鉱条件の悪化や在庫評価のブレが収益性を左右。
- バランスシートの厚みが薄く(自己資本比率1桁台)、負債依存度が高い。
- 市場シェアの定量値:—(開示データなし)
3. 経営戦略と重点分野
- 方針:2024年12月公表の事業再生計画を推進。資源事業から撤退、亜鉛製錬を再編し、基盤・成長事業へ資源配分。
- 資本政策:2025年3月にA種優先株・B種劣後株を発行し資金確保。2025年7月に無償減資で資本構成を見直し(純資産総額は不変)。
- 重点施策:
- 鉛製品の生産回復、貴金属・希少金属の回収・販売強化
- 価格条件の適正化(値上げ・販路見直し)、補助部門費の削減
- 金属リサイクル体制の整備(亜鉛製錬再編後の残務処理の早期収束)
- 中期レンジ:今後5年間を再生期間と位置付け、収益基盤の再構築を優先。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:製錬・回収事業はLME相場・為替・TC/RC(買鉱条件)に大きく連動。電子材料や電解鉄などは景気・自動車/産業機器の需要動向の影響。
- 適応力:
- 事業ポートフォリオの再編(資源撤退、リサイクル強化)により市況依存度を相対的に低減する取り組み。
- 在庫評価・為替の影響を受けやすく、財務クッションの強化が重要課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発:Fe-Al-Si系粉末コア、アモルファス粉末、電解鉄(MAIRON/ATOMIRON)など独自性のある素材群を保有。車載・OA・産業機器向けの用途開発が収益多角化に寄与。
- 主力収益源:短期的には製錬(鉛・銀・金)が売上の大半。環境・リサイクルは高い利益率が期待される構造。金・銀相場の上昇は一定の増益要因。
6. 株価の評価(バリュエーションの比較)
- 株価:656円
- 会社予想EPS:101.57円 → 予想PER=約6.46倍(提供値と一致)
- 実績BPS:655.70円 → PBR=約1.00倍
- 業界平均(参考):PER 80.4倍、PBR 0.8倍
- 指標比較:予想PERは業界平均より大幅に低位、PBRは業界平均を上回る水準。
- 参考指標(過去12か月ベースのデータより)
- 现金・預金:102.2億円、総有利子負債:733.4億円 → ネット有利子負債:約631.2億円
- EV(概算)=時価総額89.1億+ネット有利子負債631.2億 ≒ 約720億円
- EBITDA(過去12か月):約38.2億円 → EV/EBITDA ≒ 約18.9倍(再編費用や特殊要因を含む期間である点に留意)
- 備考:直近12か月のEPSはマイナス(-101.19円)で、PERは通期予想ベースの参考値。
7. テクニカル分析
- 短期トレンド:直近10営業日は705円→656円へ調整基調。出来高はスパイク(8/26)後に縮小。
- 移動平均:50日線約698円>株価656円、200日線約634円<株価 → 中期では上回り、短期では下回る位置。
- 価格帯:年初来高値793円・年初来安値432円、52週高値1,140円。現値は52週レンジの下寄り。直近のレンジは650~670円付近。
- ボラティリティ:5年β=0.30(市場連動性は相対的に低位のデータ)。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結・年度)
- 売上高:2022/3 1,242.8億 → 2023/3 1,457.6億 → 2024/3 1,308.0億 → 2025/3 1,262.7億
- 営業利益:2022/3 105.1億 → 2023/3 40.5億 → 2024/3 -6.9億 → 2025/3 56.3億
- 親会社純利益:2022/3 79.2億 → 2023/3 7.9億 → 2024/3 -464.5億 → 2025/3 -14.6億
- コメント:2024/3に大幅損失(特別損失・一時費用)が発生。2025/3は営業段階で黒字化も純損失。再編・撤退コストの影響が継続。
- 2026年3月期 第1四半期(4-6月)
- 売上 268.7億(前年比 -23.0%)、営業損失 8.5億、経常損失 10.8億、四半期純損失 11.1億
- セグメント:製錬は小幅赤字、環境・リサイクルは黒字、電子部材・機能材料は小幅黒字、金属リサイクルは再編費用で赤字。
- 収益性・効率性(過去12か月など)
- 営業利益率:-2.77%、純利益率:-4.38%
- ROE:-22.8%(実績)/過去12か月ベースでは-84.5%のデータもあり(方式差に留意)
- ROA:0.92%(過去12か月)
- 財政状態(2025/6/30)
- 総資産 952.2億、純資産 89.0億、自己資本比率 9.4%(前期末10.2%から低下)
- 現金及び預金 102.2億、総有利子負債 733.4億 → 負債純資産比は高水準
- 流動比率 3.51倍(流動性は確保)
- キャッシュフロー:四半期CFは非作成。減価償却費(1Q)3.39億。コミットメントライン50億円を確保。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026年3月期は無配予想(0円)。直近の修正なし。
- 実績:直近トレーリングの配当は0。過去5年平均配当利回りは参考値3.82%(現在は無配)。
- 自社株買い:—(開示なし、自己株は7,766株)
- 資本政策:優先株・劣後株の発行で資本性資金を導入し、再生計画を推進。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の値動き:50日線を下回り、200日線上での推移。短期は戻り売り優勢の価格帯形成。
- 出来高:3カ月平均約26.8万株、10日平均約40.6万株(直近はやや増加傾向)。
- 信用動向:信用買残 51.2万株(前週比 +1.24万)、信用売残 13.7万株(+1.4万)、信用倍率 3.74倍。買い残優位。
- 大株主構成:アドバンテッジパートナーズ関連ファンドが合計で過半近い持分を保有(合算で約50%超)。浮動株が相対的に限られる構造。
11. 総評
- 収益構造:2024/3の大幅損失を経て、2025/3は営業黒字化も純損失。2026/3通期は当期純利益30億円の会社計画(EPS 101.57円)を維持。第1四半期は撤退・再編費用や市況・為替の逆風で赤字。
- 財務:現金水準はあるものの、有利子負債が大きく、自己資本比率は1桁台。資本性調達とコベナンツ支援で資金繰りは確保。
- バリュエーション:予想PERは業界平均比で低位、PBRはほぼ1倍。EV/EBITDAは再編影響を含む水準で解釈に注意。
- リスク・注目点:
- 金属相場(亜鉛・鉛・金・銀)と為替の変動、買鉱条件の変化
- 再編・撤退に伴う費用の収束時期、環境関連の偶発債務
- 鉛製品の生産回復と貴金属・リサイクル領域の収益化の進捗
- 近接イベント:2025-11-13に決算発表予定。進捗・費用計上の峠越え、ならびにセグメント別採算の改善度合いが確認ポイント。
注記:本資料は提供データに基づき作成しました。投資勧誘・助言ではありません。数値は単位・期間の違いにより一部整合しない場合があります。詳細は会社開示資料(決算短信、説明資料等)をご参照ください。
企業情報
銘柄コード | 5707 |
企業名 | 東邦亜鉛 |
URL | http://www.toho-zinc.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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