稲畑産業(8098)企業分析レポート
※本資料は公開情報に基づく客観的な情報整理であり、投資勧誘や投資助言を行うものではありません。不明点はスキップしています。
1. 企業情報
- 概要:化学専門商社大手。主力は情報電子(ディスプレイ・半導体向け材料/装置)と合成樹脂。化学品、生活産業(ライフサイエンス・食品・木材・住宅資材等)も展開。アジアを中心にグローバル展開。住友化学系だが稲畑オーナー色も。
- 取り扱い領域:
- 情報電子:偏光板・配向膜・カラーレジスト、バックライト・OLED材料、ドライバIC、半導体製造装置、マスクブランクス、先端半導体基板材料、パワー半導体ウェハ等
- 化学品:樹脂原料・添加剤、触媒、溶剤、機能性樹脂、シリコーン/シラン、製紙用薬剤、インフラ向け無機材、塗料・インキ・接着剤 等
- 生活産業:ライフサイエンス、食品・水産、住宅・住設、木材輸入・販売 等
- 合成樹脂:汎用・高機能樹脂、コンパウンド、フィルム、成形品、物流・金融ソリューション 等
- 事業構成(参考):情報電子32%、化学品14%、生活産業6%、合成樹脂48%(連結、2025.3期)/海外売上比率59%
- 規模:従業員 4,677人、本社:東京都中央区
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:化学専門商社の上位。エレクトロニクス材料と樹脂の両輪で、素材〜装置までの広いバリューチェーンに関与。
- 競争優位性:
- エレクトロニクス領域の深いサプライヤー・顧客ネットワークと技術支援機能
- アジア広域での販売・調達網、装置と材料の組み合わせ提案力
- 一部自社開発(LED封止用樹脂、高屈折樹脂等)による付加価値
- 課題:
- 商社型ビジネスの構造的な低マージン
- 半導体・ディスプレイ等の市況循環、顧客投資計画(大型装置の有無)依存
- 為替・原材料価格変動、貿易政策(関税等)・中国動向の影響
3. 経営戦略と重点分野
- 方針(公開情報からの整理):
- 高付加価値領域(半導体/FPD/OLED、先端基板材料、パワー半導体)への比率拡大
- 合成樹脂でのコンパウンド・機能材強化、顧客近接のサプライ体制
- グローバル(アジア中心)での販売・調達最適化
- ポートフォリオ運用(M&A・出資、選択と集中)と資本効率の維持
- 直近期のトピック:
- 2026/3期1Q:合成樹脂セグメントでノバセル株式会社の株式取得(のれん3,198百万円)による連結範囲拡大
- 自己株式取得:当1Qに713千株取得(期末自己株式1,044千株)
- 業績予想:2025/5/9公表の通期予想を維持(売上高8.7兆円、営業利益255億円、親会社純利益195億円)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:在庫回転・与信管理を伴う商社収益+一部製造(樹脂コンパウンド・機能材等)とソリューション収益のミックス。
- 持続性の観点:
- 分散ポートフォリオ(情報電子/樹脂/化学品/生活産業)、海外比率59%で地理・顧客分散
- 市況影響は受けやすいが、高付加価値領域の比率を上げる取り組みで収益安定化を志向
- 流動比率2.07倍、Net Debt/EBITDA約0.6倍など財務耐性は良好な水準(数値は下記参照)
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性:LED/OLED向け封止材、高屈折率樹脂、放熱樹脂など自社開発品を保有。先端半導体基板材料・パワー半導体向け素材の供給も強化。
- 主力・収益牽引:
- 合成樹脂(売上比率約48%):汎用〜高機能樹脂、コンパウンド、フィルム
- 情報電子(同約32%):FPD/半導体材料・装置、OLED関連、電子デバイス
- 2026/3期1Qセグメント動向:
- 合成樹脂:売上+3.5%、セグメント利益ほぼ横ばい
- 情報電子:前年の大型装置剥落で減収・減益
- 化学品:増収・増益、生活産業:増益(新規連結寄与)
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価3,555円、EPS(会社予想)360.24円、BPS 3,856.54円
- 指標比較:
- PER:9.87倍(業界平均12.1倍)
- PBR:0.92倍(業界平均1.0倍)
- 配当利回り:3.60%(年間128円、会社予想)/配当性向:約34.35%
- 参考計算(同業平均に単純準拠した場合の水準感・机上試算)
- PER12.1倍×EPS360.24円 ≈ 4,359円
- PBR1.0倍×BPS3,856.54円 ≈ 3,857円
(注:将来業績・資本政策・金利等で大きく変動し得ます)
7. テクニカル分析
- トレンド:
- 年初来高値/52週高値:3,565円(現値は高値圏)
- 50日移動平均:3,339円、200日:3,210円 → 株価は両線を上回る上昇トレンド
- モメンタム:
- 直近10日間でじり高基調、9/8に年初来高値を更新
- 出来高は当日3.6万株と3カ月平均(約10.7万株)を下回り、ブレイクの出来高は相対的に控えめ
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結)
- 過去12か月売上高:約8,378億円、営業利益:約258億円、親会社純利益:約198億円
- 2024/3期→直近12か月:売上増(約+9%)、純利益は横ばい圏
- 2026/3期1Q(4–6月):売上2,041億円(前年比-4.4%)、営業利益66億円(-3.0%)、純利益60億円(-5.1%)
- 収益性
- 粗利率:約9.4%(過去12か月)
- 営業利益率:約3.2%、純利益率:約2.4–3.0%レンジ
- ROE:9.7%、ROA:3.5%(過去12か月)
- キャッシュフロー・レバレッジ(指標ベース)
- EBITDA:約351億円、EBIT:約306億円
- 現金約596億円、総有利子負債約811億円 → ネット有利子負債約215億円
- Net Debt/EBITDA ≈ 0.6倍、金利負担(利息費用約15億円)に対するEBITカバレッジ ≈ 20倍
- 流動比率:2.07倍、自己資本比率:46–47%台、D/E(総):約0.38
- トレンド
- 2022/3期の高水準純利益(223億円)から一服後、2024/3期〜直近は回復傾向
- 直近四半期は大型装置の反動が重しも、樹脂・化学品は堅調
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026/3期予想 年間128円(中間63円・期末65円)、予想利回り約3.6%
- 配当性向:会社資料34.35%(EPSカバー約2.8倍)
- 自己株式:2026/3期1Qに713千株を取得(期末自己株式約104万株)
- 参考:5年平均配当利回り4.09%(現状は株価上昇で平均を下回る水準)
- 重要日程:権利落ち日 2025/9/29
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価は50日・200日線を上抜く上昇基調で、年初来高値を更新。信用倍率1.84倍(買い残48千株・売り残26千株)と過熱感は限定的な水準。
- 需給・イベント:
- 自己株式取得の進捗が株主還元期待を下支え
- 1Qは大型装置の反動で情報電子が減収だが、合成樹脂・化学品が補完
- 為替(円高寄り)や米関税、中国需要、EV/太陽光関連の動向が短期需給に影響
- 直近の出来高は平均を下回り、ブレイク後の追随資金は限定的(今後の出来高推移に注目余地)
11. 総評
- 稼ぐ柱は合成樹脂と情報電子。大型装置の有無で短期変動はあるものの、先端半導体・パワー半導体、OLEDなど高付加価値領域の比率を高める方針が確認できる。
- 財務は流動性・レバレッジともに健全圏。ネット有利子負債はEBITDAの約0.6倍、ROEは9%台。
- バリュエーションはPER・PBRともに業界平均比でディスカウント。株価は年初来高値圏でモメンタムは良好だが、出来高は控えめ。
- 主要リスクは為替、原材料・市況(半導体・ディスプレイ・EV/太陽光)循環、貿易政策・中国政策。通期予想は据え置きで、2Q以降の装置案件や需要動向が注目点。
参考データ(抜粋)
– 株価:3,555円/時価総額:約1,909億円
– PER:9.87倍、PBR:0.92倍、配当利回り:3.60%
– ROE:9.71%、自己資本比率:47.1%
– 52週レンジ:2,701–3,565円
– 次イベント:権利落ち 2025/9/29、決算発表(予定)2025/11/6
企業情報
銘柄コード | 8098 |
企業名 | 稲畑産業 |
URL | http://www.inabata.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。