T.S.I (7362) 企業分析レポート
個人投資家向けに、株式会社T.S.I(証券コード:7362)の企業分析レポートを以下の通り作成しました。
1. 企業情報
株式会社T.S.Iは、2010年に設立された京都を拠点とする企業です。主に高齢者向けの介護サービス事業を展開しており、サービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の運営や、訪問介護・訪問看護サービスを提供しています。また、子会社を通じて建設事業や不動産事業も手掛けており、2024年12月期における連結事業では介護事業が売上高の88%、不動産事業が12%を占めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は京都・滋賀地域を中心に介護サービスを提供しており、地域密着型の事業展開が特徴です。高齢化が進行する日本社会において、介護サービスの需要は今後も高い水準で推移することが見込まれます。
業界全体としては、高齢化に伴う需要の増加が見込まれる一方で、人材確保が大きな課題となっています。訪問介護事業所の倒産増加やホームヘルパーの求人倍率上昇など、厳しい採用環境が課題として挙げられます。同社も人材確保を重点施策の一つとしています。市場シェアに関する具体的なデータは提供されていませんが、グロース市場上場企業として、成長戦略の実行による事業規模拡大が期待されます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中期的施策として以下の点を掲げています。
* 訪問看護拠点の拡大: 2023年に開始した訪問看護事業について、2025年にはさらに2事業所の拡大を予定しています。
* 収益源の多角化: 不動産事業も手掛けることで、介護事業以外の収益基盤の強化を目指しています。
* 自社システムの導入: 2025年度の本格運用を目指し、業務効率化やサービス品質向上を図る計画です。
* 人材確保・定着対策: 処遇改善加算の取得、ベースアップ、管理職の処遇見直し、紹介手当拡充、自社採用強化、特定技能外国人の受け入れ推進(2025年4月からの訪問介護への受け入れ解禁に対応)などを図っています。
新規施設の開設により増収を目指す一方で、それに伴う初期投資や減益リスクも考慮した経営が求められます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、高齢化社会の進展という社会的なニーズを背景とした介護サービスが主力です。サービス付き高齢者向け住宅の運営と訪問介護・看護サービスを組み合わせることで、多様なニーズに応える体制を構築しています。新規施設の開設による事業拡大戦略は、売上高の増加に貢献しています。
しかし、介護業界は人材確保や介護報酬改定といった外部環境の変化に大きく影響を受けるため、これらの変化に柔軟に対応できるかが持続可能性の鍵となります。特に、人材不足が深刻化する中で、採用や定着に向けた対策が事業運営において重要と考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社は「サービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の運営」と「訪問介護・看護サービス」を主力事業としています。
技術革新に関しては、具体的な製品開発や新技術導入に関する情報は限定的ですが、業務効率化やサービス品質向上のために「自社システム」の導入を2025年度に本格運用する計画が示されています。これは、デジタル技術を活用して、サービス提供の効率化や質の向上を図る取り組みと考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価は833.0円です。各種指標を用いて評価します。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 83.74円に基づくと、PERは約9.95倍です。業界平均PERが25.7倍と比較すると、相対的に低い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 868.71円に基づくと、PBRは約0.96倍です。業界平均PBRが2.5倍と比較すると、1倍を下回る水準で、純資産価値から見て割安感が示唆される可能性があります。
企業業績予想に基づくPERは業界平均を下回っており、PBRも1倍を下回る水準です。これは、市場が同社の成長性や収益性に対して慎重な評価をしている、または現状の利益水準から考えるとこの水準が妥当であると見ている可能性が考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価833円は、直近の株価推移で見ると比較的安定していますが、過去1年間の動きを見ると変動が見られます。
* 52週高値: 1,543.00円
* 52週安値: 670.00円
* 年初来高値: 950円
* 年初来安値: 670円
* 現在の株価: 833円
現在の株価は52週高値から大きく下落した水準にあり、年初来高値からも下落しています。52週安値670円に比べれば高いものの、依然として高値圏からは離れた位置にあります。
* 50日移動平均: 829.70円
* 200日移動平均: 843.21円
現在の株価(833円)は50日移動平均線をわずかに上回っていますが、200日移動平均線は下回っています。これは、短期的な上向きの勢いはやや感じられるものの、中長期的な下落トレンドの中にいる可能性を示唆しています。過去1年間で株価が約30.99%下落していることも、中長期的な下落傾向を裏付ける可能性があります。
8. 財務諸表分析
以下の指標は過去数年間の実績と直近の決算短信(2025年12月期第2四半期)に基づいています。
* 売上高:
* 2021年12月期から2024年12月期(過去12か月)にかけて、34億円台から47億円台へと順調に増加傾向にあります。
* 2025年12月期第2四半期も22億6千万円を計上し、前年同期比で3.5%増と増収を維持しています。
* この増収は、新規施設の開設や訪問看護事業の拡大が寄与していると考えられます。
* 営業利益・純利益:
* 営業利益は2022年12月期をピークに2023年、2024年と減少傾向にありました。
* 2025年12月期第2四半期では、新規開設に伴う先行投資やコスト増が影響し、営業利益は△34百万円の損失を計上しています。
* 同時に、親会社株主に帰属する中間純利益も△11百万円の損失となっています。
* 通期業績予想(売上高50.7億円、営業利益1.17億円、純利益1.27億円)は現時点では変更されていませんが、中間期時点での赤字転落は今後の利益動向に注目が必要です。
* キャッシュフロー:
* 営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月では1億6千5百万円のプラスですが、2025年12月期第2四半期では△32百万円のマイナスとなっています。
* 投資活動によるキャッシュフローは、当中間期に△663百万円と大きなマイナスで、主に有形固定資産の取得(新規施設開設など)に充てられていることが示唆されます。
* フリーキャッシュフローは過去12か月で△10.3億円と大幅なマイナスとなっており、大規模な投資が財務に影響を与えていることが分かります。
* 財務活動によるキャッシュフローは+451百万円と、長期借入れによる資金調達が行われています。
* 収益性指標:
* ROE(実績)は9.04%、過去12か月では6.62%です。
* ROA(過去12か月)は1.38%です。
* 売上は伸びているものの、利益率は低く、新規投資が収益に本格的に寄与するまでには時間を要する可能性があります。
* 安全性指標:
* 自己資本比率は(実績)27.3%、2025年6月末中間期では24.9%とやや低下しています。
* 流動比率は0.85と100%を下回っており、短期的な資金繰りには留意が必要です。
* 総負債対自己資本比率は246.48%と、負債への依存度が高い財務構造となっています。長期借入金が増加している点も注目されます。
9. 株主還元と配当方針
同社は、2025年12月期の中間配当、期末配当ともに0.00円を予想しており、現状では配当を実施していません。配当利回りも0.00%となっています。
株主還元策として具体的な自社株買いなどの情報も提供されていません。成長投資を優先する段階である可能性があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は823円から850円の範囲で推移しており、上下動はあるものの、大きな方向性を示しているとは言えません。ただし、52週変化率が-30.99%と、過去1年間で株価が大きく下落している点は、中長期的な株価の勢いが弱いことを示しています。
投資家の関心に影響を与える要因としては、以下が挙げられます。
* 業績の変動: 2025年中間期に営業損失・純損失を計上したことは、投資家の企業に対する評価に影響を与える可能性があります。通期予想を据え置いているものの、下期の挽回に向けた進捗が注目されます。
* 事業拡大と先行投資: 新規施設の開設は将来的な成長への期待を高める一方で、それに伴う多額の投資や負債増加は財務健全性への懸念材料となることがあります。
* 人材確保の課題: 介護業界全体の人材不足が続く中で、同社の戦略的な人材対策が実を結ぶかどうかが、事業の成長性と安定性に大きく影響します。
* 信用取引動向: 信用買残が87,000株あるものの、信用売残が0株であるため信用倍率は0倍と表示されています。これは信用買いが積み上がっている状況であり、需給関係が株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
株式会社T.S.Iは、高齢化社会を背景に介護サービスという安定した需要を持つ事業を展開しており、売上高は着実に成長しています。地域密着型の「アンジェス」運営や訪問介護・看護サービスを拡充していく戦略は、今後の成長ドライバーとなり得ます。
一方で、現状の財務状況を見ると、売上高の増加にもかかわらず、2025年中間期には新規施設開設に伴う先行投資やコスト増により営業損失・純損失を計上しています。これにより、財務の健全性を示す自己資本比率は低下し、多額の負債を抱え、キャッシュフローも投資活動で大きくマイナスとなっています。利益率の低さと財務レバレッジの高さは、事業リスクとして留意すべき点と考えられます。
株価はPER、PBRともに業界平均を下回っており、市場からの評価はやや慎重なものと見られます。過去1年間の株価は大きく下落しており、中長期的なモメンタムは弱い状況です。
今後の注目点としては、人材確保施策の実行状況、新規開設施設の稼働率向上と収益貢献、そして自社システム導入による効率化と収益性改善が挙げられます。通期業績予想の達成に向けた下期の挽回状況が、今後の投資家からの評価に影響を与える可能性が高いと考えられます。
企業情報
銘柄コード | 7362 |
企業名 | T.S.I |
URL | http://www.t-s-i.jp/ |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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