サカタインクス(4633)企業分析レポート

株価:2,293円(2025-09-11終値基準)/市場区分:東証プライム/業種:化学(スペシャリティケミカル)
本レポートは公開情報に基づく客観的な整理であり、投資勧誘を目的とするものではありません。

1. 企業情報

  • 概要
    • 1896年創業、大阪本社の印刷インキ大手。グラビア・フレキソ・オフセット・新聞・インクジェット・トナー等のインキ製品、機材・消耗品、顔料分散液や機能性コーティングなどを展開。
    • 世界3位の印刷インキメーカー。新聞・包装用に強み。抗菌ニスなど非インキ事業(機能性材料)も育成中。海外売上比率が高い(73%)。
    • 海外は北米・南米・アジアで先行。国内はDICと効率化で提携。
  • 事業・地域構成(目安)
    • 印刷インキ・機材(日本)約21%
    • 印刷インキ(アジア)約24%
    • 印刷インキ(米州)約35%
    • 印刷インキ(欧州)約8%
    • 機能性材料約8%、その他約4%
  • 直近のポイント
    • 2025年上期は米州の販売好調と買収子会社寄与で増収増益。為替や原材料価格は安定方向。
    • 連結子会社の追加、自己株式の取得を実施。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • 世界3位の印刷インキメーカー。主要競合はDIC、東洋インキSCホールディングス、欧州勢(Siegwerk、Flint Group等)。
  • 競争優位性
    • 包装(パッケージ)・メタル缶向けインキに強み。グローバルに製販体制を持ち、米州・アジアでの需要取り込み。
    • 環境配慮型(ボタニカルインキ、低VOC、水性・UV/EB等)やインクジェットなどの技術ポートフォリオ。
  • 課題
    • 新聞・出版向けの構造的縮小。原材料コストと為替の変動、各国政策(関税等)の影響。欧州の需要回復の鈍さ。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン/計画
    • 長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」、中期計画「中期経営計画2026(CCC-II)」の推進フェーズ。
  • 重点施策
    • 米州・アジアでのパッケージ用インキ拡販、グローバルアカウント向け製品の強化。
    • 環境配慮型製品(ボタニカルインキ等)の拡充、デジタル印刷材料(インクジェット、トナー等)の育成。
    • 地域横断の購買・生産・物流の効率化(国内はDICと効率化連携)。
    • ポートフォリオ最適化(一部投資有価証券の売却、M&A効果の取り込み)。
  • 2025年通期見通し(会社計画:据え置き)
    • 売上高 2,680億円、営業利益 155億円、純利益 108億円、EPS予想 217.67円。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • 包装・メタル缶など景気と人口動態に比較的連動する需要に支えられ、消耗材ビジネスとしてストック性あり。
  • 環境変化への適応
    • 出版・新聞の縮小を、包装・デジタル・機能性材料で補完。水性化・低溶剤化・循環型素材対応など規制対応技術を保有。
  • リスク耐性
    • 地域分散が進んでおり為替影響は受ける一方、需要分散で景気変動の平準化が期待される体制。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発
    • グラビア/フレキソの高機能化、UV/EB、水性化、インクジェット顔料分散・高発色・高速乾燥技術など。
    • 機能性コーティング(抗菌・保護・偽造防止等)やカラーフィルター用顔料分散液。
  • 収益ドライバー
    • 米州・アジアのパッケージ用インキ、メタル缶インキが牽引。デジタル印刷材料は売上増も、上期は利益面で伸び悩み。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提:株価 2,293円
  • 予想PER(会社予想EPS 218.12円):約 10.52倍(提供値)
  • TTM PER(TTM EPS 200.53円):約 11.4倍
  • PBR(BPS 2,201.95円):約 1.04倍(提供値)
  • EV/EBITDA(概算)
    • 時価総額 1,242.7億円、純有利子負債 ≒ 383.9億−166.3億=217.6億円
    • EV ≒ 1,460億円、EBITDA 195.7億円 → EV/EBITDA ≒ 7.5倍
  • 業界平均比較(参考)
    • 業界平均PER 20.4倍、PBR 1.1倍
    • 当社はPER・PBRともに業界平均と比較して低位の水準に位置(算術比較)。

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 50日移動平均 2,172.48円、200日移動平均 1,889.81円。株価は両移動平均を上回り上昇トレンド基調。
    • 52週高値 2,324円に近接(約1.3%下)。年初来高値圏。
  • 需給・出来高
    • 3カ月平均出来高約19.2万株、直近10日平均約14.4万株。直近は売買高やや低下気味。
    • 信用倍率 8.82倍(買い残14.0万株、売り残1.59万株)。個人投資家の買い姿勢が相対的に強い構図。
  • 直近レンジ
    • 2,250〜2,310円でのもみ合い後、2,300円近辺での攻防。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益(連結)
    • 売上高:1815億円(2021)→ 2,155億円(2022)→ 2,284億円(2023)→ 2,456億円(2024)
    • 営業利益:74億円(2021)→ 41億円(2022)→ 114億円(2023)→ 132億円(2024)
    • 収益性(TTM):営業利益率 6.08%、純利益率 3.96%(改善傾向)
  • 2025年上期(累計)
    • 売上 1,263.9億円(+4.4%)、営業利益 76.5億円(+5.4%)、経常利益 86.5億円(+21.0%)、親会社純利益 62.5億円(+17.5%)
    • セグメント:米州・アジアが利益牽引。欧州は弱含み。機能性材料は売上増も採算やや鈍化。
  • 効率・資本
    • ROE:実績 8.53%、TTM 9.72%
    • ROA:TTM 3.99%
    • 総資産回転率(上期概算)0.59
  • 安全性
    • 自己資本比率 50.7%(上期 50.9%)、D/E(総)約33.2%、流動比率 190%(上期)
    • 現金同等物 166億円、総有利子負債 383.9億円。利払い負担は限定的(TTM EBIT 141億円/利息 8.1億円 → インタレストカバレッジ約17倍)。
  • キャッシュフロー
    • 営業CF(TTM)74億円、投資拡大でレバードFCFは▲21.8億円。固定資産投資とポートフォリオ見直し(投有売却等)を併行。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 会社予想:年90円(中間45円、期末45円)、予想利回り約3.92%
    • 配当性向の目安:TTMベースで約45%(提供値 44.87%)
  • 自己株式
    • 中間期に自己株式を追加取得(累計27.1万株)。期末自己株式数 482.4万株(発行済の約8〜9%保有)。
  • その他
    • 株主構成は信託銀行・機関投資家比率が高め。政策保有株の売却を進める方針が示唆。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 52週騰落率 +45.2%。低ベータ(0.31)で相対的にディフェンシブな値動き。
    • 年初来高値圏に位置し、移動平均との乖離は拡大。短期的には高値圏での推移。
  • 関心材料
    • 米州の需要動向・買収効果の持続性、原材料価格と為替(ドル/新興国通貨、特にレアル)、米国通商政策(関税)の影響。
    • 欧州需要の回復ペース、デジタル印刷材料・機能性材料の収益性改善。
    • 自己株買いの継続・政策保有株の売却進捗。
  • 予定イベント
    • 権利落ち日:2025/12/29(予定)
    • 通期決算発表スケジュールは適時開示にて確認。

11. 総評

  • 事業面
    • 包装・メタル缶向けを中心にグローバルでの需要取り込みが継続。出版・新聞向けの構造的縮小を、米州・アジア、機能性材料で補完する構図。
    • 環境対応・デジタル化への技術的適応力を有し、中期計画に沿った収益力強化が進展。
  • 財務・指標
    • 収益性は改善基調で、財務安全性は堅実。キャッシュフローは投資優先でFCFは変動。利払い耐性は十分。
    • バリュエーションは、提供ベースのPER・PBRとも業界平均と比べ低位水準。EV/EBITDAは7.5倍程度の中庸圏。
  • 株価・需給
    • 株価は年初来高値近辺で推移。低ベータながらモメンタムは良好。信用需給は買い長。
  • 注視点
    • 原材料・為替・通商政策の外部環境、欧州の需要動向、機能性材料の採算改善、M&AのPMI進捗、政策保有株の売却・資本政策の運用。

(注)上記は公開データ・会社開示に基づく計算・整理です。数値は百万円・億円等の単位丸めにより合計と一致しない場合があります。投資判断はご自身で最新の開示資料をご確認のうえ行ってください。


企業情報

銘柄コード 4633
企業名 サカタインクス
URL http://www.inx.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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