第一稀元素化学工業(4082)企業分析レポート
株価(直近終値):695円
市場区分:東証プライム(内国株式)/業種:化学(Specialty Chemicals)
時価総額:169.6億円/発行済株式数:2,440万株
1. 企業情報
- 概要:ジルコニウム化合物・ジルコニア(ZrO2)を中核に、複合酸化物、セシウム化合物、レアアース化合物、金属硫化物などの無機化学品を研究開発・製造・販売。用途は自動車排ガス浄化触媒、酸素センサー、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、構造・歯科・電子用セラミックス、耐火物、ブレーキ、アルミろう付け材、塗料・表面処理など。
- 特徴:自動車排ガス浄化用ジルコニウム化合物で国内最大手。燃料電池向け材料の開発にも注力。倉庫・一般貨物運送も一部展開。
- 事業構成(連結、2025/3期):戦略分野15%/自動車排ガス浄化触媒分野62%/基盤分野23%。海外売上比率54%。
- 本社:大阪市中央区北浜/設立:1956年/従業員:635人。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:自動車排ガス浄化触媒・電材向けジルコニウム化合物で首位級の専業メーカー。長年の高純度化・粒径制御などの材料技術、品質安定供給に強み。
- 競争優位の源泉:
- 自動車触媒向けでの実績と顧客基盤。
- ジルコニア系材料の品種多様性(安定化ジルコニア、複合酸化物、ゾル等)と用途展開。
- 課題:
- 売上の約6割を占める自動車触媒の構造的需要変化(EVシフト)の影響を受けやすい一方、グローバルではHV増加や地域差が存在。
- 原材料(ジルコン砂など)や為替、通商環境(中国の戦略物資輸出管理等)の変動リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・重点:自社開示の「戦略分野」(半導体・エレクトロニクス、エネルギー、ヘルスケア等)を伸長し、基幹の自動車触媒・基盤分野の収益力を維持。燃料電池・酸素センサー・先進セラミックスなど高付加価値領域に注力。
- 直近四半期(2026/3期1Q)での示唆:
- 戦略分野は需要減で減収。
- 自動車触媒は数量増(HV需要)だが原料安による単価下落。
- 基盤分野は一部で価格上昇・新興国需要が寄与。
- 中期計画:明示的な数値KPIは短信に記載なし(会社予想は据え置き)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:素材・化学のB2B。自動車触媒に加え、エレクトロニクス・エネルギー・ヘルスケアなど多用途に展開。
- 持続性評価の観点:
- 自動車触媒依存度が高い点は需要構造変化の影響を受けやすい一方、HVや地域別内燃需要が当面の下支え要因。
- SOFC、歯科・構造用セラミックス、酸素センサーなど非触媒用途の拡大によるポートフォリオ分散がカギ。
- 原材料・為替のボラティリティに対しては価格転嫁や調達多元化が重要。
5. 技術革新と主力製品
- 主な製品:ジルコニア(安定化/複合酸化物)、各種ジルコニウム化合物、セシウム化合物、レアアース化合物、ゾル製品、非酸化物ジルコニウム製品、各種金属硫化物。
- 技術面:粒子設計、純度管理、相制御(立方晶/正方晶安定化)など材料プロセスの蓄積。電解溶融安定化ジルコニアなどの独自性ある品群を保有。
- 収益牽引:自動車排ガス浄化触媒向けが大宗。戦略分野(半導体・エネルギー・ヘルスケア)や基盤分野(ブレーキ、ブレージング等)が補完。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価:695円
- 会社予想EPS:6.19円 → 予想PER:約112.3倍(提供値:112.28倍)
- 実績BPS:1,549.75円 → PBR:約0.45倍(提供値:0.45倍)
- 参考(過去12か月ベース)EPS:32.67円 → 実績PER:約21.3倍
- 配当利回り(会社予想):28円/株 → 約4.03%
- 業界平均との比較:PER平均20.4倍、PBR平均1.1倍
- PBRは業界平均を下回る水準。
- 予想PERは会社計画のEPSが低位なため高く見える一方、実績PERは業界平均近傍。前提の違いに留意。
7. テクニカル分析
- 直近10営業日:691~716円のレンジ内で推移、直近終値は695円(レンジ下限寄り)。出来高は概ね2~5万株で3カ月平均(約3.3万株)並み。
- 移動平均:50日MA 679.5円、200日MA 677.5円付近。現値は両MA上で推移。
- 52週レンジ:570~853円。現値は52週高値比約-18%、安値比約+22%の中腹圏。
- 値幅制限:595~795円(当日)。年初来高値742円/安値570円。
8. 財務諸表分析
- 成長性・収益性(連結、単位:百万円)
- 売上高:35,748(2023/3)→35,220(2024/3)→33,641(過去12か月)
- 営業利益:5,391 → 2,423 → 2,283
- 当期純利益:4,020 → 1,140 → 792
- EBITDA:8,809 → 6,218 → 5,791
- 傾向:2023/3期をピークに減益基調。粗利率・営業利益率が低下し、販管費増や為替・金利負担で純利益も縮小。
- 直近期(2026/3期1Q)
- 売上 8,100(前年同期比-3.9%)、営業利益 525(同-30.7%)、経常利益 15(同-98.1%)、四半期純損失 △1。
- 要因:戦略分野の需要減、販管費増、為替差損の発生(ベトナム子会社関連)。
- 安全性・効率性
- 自己資本比率:58.6%(2025/3期末)→ 60.7%(2025/6末)。
- 流動比率:3.77(高めの流動性)。
- 総有利子負債:195.9億円、現金等:82.0億円 → ネット有利子負債約114億円。D/E(簿価):51.4%。
- ROE:1.07~2.15%(低位)。ROA:2.43%。
- コスト構造
- 減価償却費は増加傾向(2,628→2,717→3,104→3,572百万円)で固定費負担感。
- 粗利率は直近四半期で29.4%と改善の兆しも、通期は会社計画で保守的。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:前期実績26円(中間12/期末14)、今期会社予想28円(中間14/期末14)。
- 予想配当利回り:約4.03%。5年平均利回り2.66%を上回る水準。
- 配当性向:トレーリング約79.7%(26円/LTM EPS基準)。会社予想EPS(6.19円)に対しては高水準となる見込みで、今期は利益水準と比べた配当負担が重く見える点に留意。
- 自己株式:約17.1万株保有。自社株買いの新規方針は短信記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期はもみ合い、移動平均線上での保ち合い。52週では中腹圏。ベータ0.34で相対的に低ボラティリティ。
- 信用動向:信用買残20.1万株(前週比+0.9万)、売残0.97万株(前週比-1.1万)、信用倍率20.72倍。買い越しが続く構図。
- イベント:
- 直近決算発表:2025年8月上旬実施済。
- 権利関連:2025年9月29日(基準日翌営業日の予定)に配当前の権利落ち日。
- 株価影響要因:戦略分野の需要回復度合い、為替動向(特にベトナム子会社関連の為替差損)、原材料価格、通商・地政学リスクの変動。
11. 総評
- 事業面:自動車触媒向けでの強固な地位を持ちつつ、戦略分野(半導体・エネルギー・ヘルスケア)に注力。短期的には戦略分野の需要調整と為替差損で収益が圧迫。
- 財務面:自己資本比率・流動比率は健全。固定資産・減価償却負担や金利・為替の影響が利益を抑制。
- バリュエーション:PBRは業界平均を下回る一方、会社予想EPSに基づく予想PERは高位(実績PERは業界平均並み)。配当利回りは高めで、今期は利益水準に比して配当性向が上振れする見込み。
- 注目点:自動車触媒の数量動向(HV需要など)、戦略分野の回復・拡大、為替差損の収束、原材料価格と価格転嫁の進捗。通期会社予想は据え置きで不確実性を織り込む姿勢。
(注)本資料は公開データに基づく客観的な整理であり、投資勧誘・投資助言を目的とするものではありません。数値は会社公表値・提供データに依拠し、桁・期間差等により一部で乖離が生じる可能性があります。
企業情報
銘柄コード | 4082 |
企業名 | 第一稀元素化学工業 |
URL | http://www.dkkk.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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