第一工業製薬(4461)企業分析レポート
免責:本資料は提供データに基づく企業分析であり、投資助言を行うものではありません。数値は特記なき限り連結ベース、円建てです。
1. 企業情報
- 概要
- 1909年創業、京都本社のスペシャリティケミカルメーカー。界面活性剤、凝集剤、合成糊料など工業用薬剤に強み。健康機能食品・ライフサイエンス分野にも展開。
- 主要製品群:非イオン・アニオン・カチオン・両性の各種界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、セルロース/ビニル/アクリル系ポリマー、ポリエーテルポリオール、ウレタン材料、UV硬化樹脂、水系ポリウレタン、難燃剤、イオン液体、電池材料(正負極/セパレータ向け添加剤・接着剤・電解質など)、導電ペースト等。
- 2026年3月期より報告セグメントを4区分に再編(電子・情報/環境・エネルギー/ライフ・ウェルネス/コア・マテリアル)。
- 連結事業構成(参考:従来6区分、売上構成比(営業利益率))
- 界面活性剤 26%(8%)
- アメニティ 12%(8%)
- ウレタン 13%(-2%)
- 機能材料 37%(15%)
- 電子デバイス 11%(-1%)
- ライフサイエンス 1%(-169%)
- 海外売上比率:27%(2025/3期)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 凝集剤、合成糊料などの工業用薬剤で首位。界面活性剤と高機能材料に強みを持つスペシャリティ化学企業。
- 競争優位性
- 顧客の用途開発と一体化した提案型開発力(低誘電樹脂、水系ウレタン、電池向け水系複合接着剤など)。
- 長年の配合技術・界面制御技術の蓄積と用途多角化。
- 課題
- 電子部材・電池・建設等の景気感応度、原材料・為替変動の影響。
- 新規事業(ライフサイエンス等)の立ち上がり遅延リスクや投資回収タイミング。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方針
- 中期計画「SMART 2030」を前倒しで推進。重点領域での研究開発投資を強化し早期事業化を目指す。
- 重点分野(第1四半期短信より)
- 電子・情報:低誘電樹脂などの電子材料を伸長。
- 環境・エネルギー:電池向け負極水系複合接着剤などが大幅増。
- ライフ・ウェルネス:ショ糖脂肪酸エステル(食品・香粧品)を拡大。
- コア・マテリアル:トンネル用薬剤、難燃剤など堅調。
- 施策
- セグメント再編(6→4)による重点領域の可視化。
- 研究開発費の積極投下と設備投資。サステナ対応(石油化学フリー界面活性剤、水系ウレタン、PLA改質材等)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- B2Bの用途密着型スペシャリティ化学。顧客との共同開発・評価に基づく継続取引が中心でスイッチングコストが一定程度存在。
- 適応力
- 高機能・環境対応素材(低誘電・水系・難燃・電池材料)へのポートフォリオ転換が進展。
- 需要変動には影響を受けるが、用途の多様化と海外比率の活用でリスク分散。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の独自性
- 低誘電樹脂、水系ポリウレタン、イオン液体、電池用水系複合接着剤など、環境対応と機能性を両立した材料群。
- 収益牽引
- 電子・情報分野(低誘電樹脂中心)が1Qの利益の大半を牽引。
- 電池材料(負極用接着剤)が高成長だが、研究開発費増で1Qはわずかに赤字。
6. 株価の評価(バリュエーション比較)
- 前提
- 株価 5,730円、EPS(会社予想)386.39円、BPS(実績)4,067.17円
- 指標
- PER(予想):14.83倍(業界平均 20.4倍)
- PBR(実績):1.41倍(業界平均 1.1倍)
- 配当利回り(予想):2.09%(年120円、配当性向 約29.6%)
- EV/EBITDA(概算):約8.2倍
- 試算:時価総額 612億円、純有利子負債 約145億円(有利子負債 300億円 − 現預金 154億円)、EV 約758億円、LTM EBITDA 約92億円
- 参考比較(単純計算)
- 業界平均PER適用の参考株価:386.39円 × 20.4 ≈ 7,890円
- 業界平均PBR適用の参考株価:4,067円 × 1.1 ≈ 4,474円
- 注:実際の評価は成長性・収益変動・資本効率・事業ポートフォリオで変動。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 株価は50日移動平均(約5,061円)・200日移動平均(約3,653円)を上回り、上昇トレンド維持。
- 52週レンジ 2,107〜6,280円に対し現在値はレンジ上方域(約87%位置)。
- 直近の値動き
- 直近10営業日は5,450〜6,060円のレンジで推移、年初来高値6,280円手前で上値が重い局面。
- 出来高は10日平均約20.7万株と3カ月平均約9.6万株を上回り、参加者増加。
- 需給(信用)
- 信用倍率 0.36倍、売残 381千株(前週比+98.7千)、買残 136千株(前週比-69.4千)。
- 短期的には売り圧力が相対的に強い需給。動きが速くなる可能性に留意。
8. 財務諸表分析
- 成長と収益性(通期・LTM)
- 売上高:62,672(2022/3)→ 65,081(2023/3)→ 63,118(2024/3)→ 73,255(2025/3、+16.1%)/LTM 約74.8B
- 営業利益:4,627 → 1,188 → 2,079 → 5,352/LTM 営業利益率 9.05%
- 当期純利益:2,492 → -407 → 1,174 → 2,585/LTM 約2,960
- 粗利率:2024/3 21.2% → 2025/3 24.9%(改善)
- EBITDA:2025/3 8,677(EBITDAマージン約11.8%)
- 四半期(2026/3期1Q、前年同期比)
- 売上高 19,046(+8.6%)、営業利益 1,723(+62.8%)、純利益 984(+61.7%)
- 電子・情報の寄与大。環境・エネルギーは成長投資先行で赤字縮小。
- 効率性・資本
- ROE(実績):6.85%(改善余地)
- 自己資本比率:39.9%(期末)→ 41.3%(2026/3期1Q末)
- キャッシュ・財務安全性
- 現金等 154億円、有利子負債 300億円、ネットDE 約145億円
- 流動比率 2.13倍、D/E(簿価)68.31% と財務バッファは一定水準。
- 金利負担:利息費用 26億円、EBIT 545億円(LTM)で利払能力は十分(インタレストカバレッジ約21倍)。
- 投資
- 減価償却費 32億円規模、研究開発費増加。中計前倒しで投資フェーズ。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期 実績:年100円
- 2026/3期 会社予想:年120円(中間60・期末60)、予想利回り約2.09%
- 5年平均利回り 2.76%、配当性向 約29.6%
- 自己株式
- 自己株保有比率 10.37%。当1Qに自己株式の処分・売出し関連の取締役会決議あり(詳細は別資料)。
- イベント
- 権利落ち日(予定):2025/9/29
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落率 +91.4%。価格は移動平均線上に位置し、中長期上昇トレンド。
- 直近は5,500〜5,900円での持ち合い色。年初来高値6,280円が上値目安。
- 投資家関心
- 出来高増(10日平均>3カ月平均)、機関保有比率 41.33%、インサイダー 9.35%。
- 電子材料・電池材料の成長報告が関心材料。原材料・為替・地政学リスクは警戒要因。
11. 総評
- 電子・情報および電池材料が成長ドライバーとなり、収益性は改善基調。セグメント再編とR&D強化で重点領域の伸長が確認できる一方、投資先行による費用増や景気・原材料に対する感応度には留意が必要。
- バリュエーションは、予想PERで業界平均を下回る一方、PBRは上回る水準。配当は増配予定で、配当性向は30%弱。
- テクニカル面では上昇トレンド継続の中で直近は高値圏でのもみ合い。信用需給は売り長で短期の値動きに注意。
- 今後は、低誘電樹脂・電池用接着剤の増勢維持と、投資回収の進捗、原材料・為替の影響度合いが注目点。
参考データ
– 市場区分:東証プライム/業種:化学(素材・化学)
– 時価総額:約612億円、発行済株式数:10,684,321株、最低購入代金:約57.3万円
– 今後の予定:2025/7/28–8/1 決算発表(ウィンドウ)、2025/9/29 権利落ち日
企業情報
銘柄コード | 4461 |
企業名 | 第一工業製薬 |
URL | http://www.dks-web.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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