1. 企業情報
株式会社ファンペップは、2013年10月11日に設立された、大阪大学発の研究開発型バイオベンチャーです。機能性ペプチドを用いた医薬品、機能性化粧品、医療機器の研究開発を主要事業としています。特に、患者の体内で特定の抗体の産生を誘導する「抗体誘導ペプチド」を用いた医薬品開発に注力しています。事業内容は「医薬品等の研究開発100%」とされており、現在は製薬会社との提携による将来の収益化を目指す段階にあります。
主な開発パイプラインとしては以下のものがあります。
* SR-0379: 皮膚潰瘍治療を目的とした機能性ペプチド。第III相臨床試験が進行中です。
* FPP003: 尋常性乾癬(オーストラリアにて第II相臨床試験)および強直性脊椎炎(日本にて医師主導の第IIa相臨床試験)を対象とした抗体誘導ペプチド。
* FPP004X: 花粉症などを対象とした抗体誘導ペプチド。第I相臨床試験を2025年3月に開始しており、塩野義製薬が全世界におけるオプション権を保有しています。
* FPP005: 尋常性乾癬を対象とした抗体誘導ペプチド。前臨床開発段階です。
* FPP006: コロナペプチドワクチン。
同社は東京証券取引所グロース市場に上場しており、医薬品セクターに属しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ファンペップは、機能性ペプチドや抗体誘導ペプチドといった特定の技術領域に特化した研究開発型バイオベンチャーです。医薬品業界全体で見ると、多くの大手製薬企業が存在する中で、ファンペップは大学発の基礎研究シーズを基盤とし、新薬創出の初期段階から臨床試験、そして製薬会社への導出(ライセンスアウト)を目指すビジネスモデルを採用しています。
新薬の研究開発は近年難易度が高まっているため、抗体医薬や遺伝子治療、細胞治療といった新しいモダリティ(治療法)の開発が進んでいます。ファンペップの「抗体誘導ペプチド」はこの新モダリティの一つとして位置づけられます。医薬品業界では、大学発ベンチャーが画期的なシーズを製薬会社へ橋渡しする役割が重要視されており、この点でファンペップは業界のトレンドに沿った活動をしていると言えます。
市場シェアに関する具体的な数値は提供されていませんが、現在開発段階にあるため、特定の製品で市場シェアを獲得している状況ではありません。競争優位性としては、機能性ペプチドおよび抗体誘導ペプチドに関する独自技術とパイプラインが挙げられます。課題としては、新薬開発に伴う技術的なリスク、長期にわたる開発期間、莫大な研究開発費、そして臨床試験の成功確率の不確実性が存在します。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、現在進行中の主要パイプラインであるFPP004X(花粉症)とSR-0379(皮膚潰瘍)の臨床試験に注力しています。これらの臨床試験の成功が、将来的な収益化の鍵を握ると考えられます。
中期経営計画の具体的な施策としては、以下の点が挙げられます。
* 既存パイプラインの開発加速: 特にFPP004Xは塩野義製薬とのオプション契約、SR-0379は塩野義製薬との共同開発を進めており、これらを効率的に進めることが重要です。
* 新規パイプラインの創出と拡大: 大学等との共同研究を通じて、片頭痛、アルツハイマー病、高血圧、脂質異常症、精神神経疾患など、幅広い疾患領域で新たな抗体誘導ペプチドの探索研究を進めています。AI創薬企業との連携も行っています。
* 製薬会社との提携強化: 自社開発から特定の段階で製薬会社にライセンスアウトし、契約一時金、マイルストーン支払い、将来のロイヤリティによって収益を獲得するモデルであるため、国内外の製薬会社とのアライアンスを継続的に強化することが重点戦略とされています。
これらの戦略を通じて、持続的な成長基盤の構築を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
ファンペップの事業モデルは、医薬品の研究開発段階にあるため、現状では収益をほとんど生み出していません。主な収益源は、開発中のパイプラインの臨床試験が進展し、製薬会社との提携契約が成立した際に得られる契約一時金、開発マイルストーン収入、および上市後のロイヤリティ収入に依存しています。
このモデルの持続可能性は、開発パイプラインの成功確率と、それに紐づく製薬会社との提携の成否に大きく左右されます。複数のパイプラインを抱え、異なるステージで開発を進めることでリスク分散を図っています。
市場ニーズの変化への適応力としては、広範な疾患領域での探索研究や、AI創薬など先端技術の活用により、将来の医療ニーズに対応可能な技術・製品を生み出す姿勢が見られます。しかし、新たな医薬品の開発には長期間と多額の資金が必要であり、資金調達能力も持続可能性を評価する上で重要な要素となります。過去の財務データからは研究開発費が増加傾向にあることが示されており、継続的な資金確保が経営課題の一つとなる可能性があります。直近では新株発行等による資金調達も行われています。
5. 技術革新と主力製品
ファンペップは、機能性ペプチドおよび抗体誘導ペプチドという独自の技術を基盤としています。
* 機能性ペプチド: 特定の生理活性を持つ小さなタンパク質であり、医薬品や化粧品への応用が期待されています。特に皮膚潰瘍治療薬SR-0379がこの技術に基づいています。
* 抗体誘導ペプチド: 患者の体内で治療効果を持つ抗体の産生を誘導する新しいタイプの医薬品技術です。従来の抗体医薬のように外部から抗体を投与するのではなく、患者自身の免疫システムを活用するため、製造コスト削減や患者負担軽減の可能性を秘めています。FPP003、FPP004X、FPP005といった主力パイプラインがこの技術を用いています。
技術開発の動向としては、富士フイルム和光純薬との特殊ペプチド(環状ペプチド等)創薬研究や、AI創薬支援企業との連携を通じて、さらに多様なペプチド医薬品の創出を目指しています。
現在の収益を牽引している製品やサービスはほとんどありませんが、将来的な収益の柱として期待されるのは、以下のパイプラインおよびそのライセンス収入です。
* FPP004X(花粉症): 塩野義製薬との連携による早期開発が期待されます。
* SR-0379(皮膚潰瘍): 第III相臨床試験で良好なデータが得られた場合、承認・販売へと繋がり、継続的な収益に貢献する可能性があります。
6. 株価の評価
現在の株価は113.0円です。
PER(会社予想)およびEPS(会社予想)は、同社が現在、医薬品の研究開発段階にあり、まだ安定した利益が計上されていないため、「—」となっています。このため、PERを用いた収益に基づく株価評価は現時点では困難です。
一方で、PBR(実績)は1.86倍、BPS(実績)は60.60円です。現在の株価113.0円は、1株当たり純資産であるBPS60.60円の約1.86倍に取引されていることを示しています。これは、株価が企業が持つ純資産に対してどの程度の評価を受けているかを示す指標です。バイオベンチャーのような成長企業では、将来の成長期待からPBRが高くなる傾向が見られることがあります。
7. テクニカル分析
現在の株価113.0円は、以下の節目と比較して分析できます。
* 年初来高値:163円
* 年初来安値:85円
* 52週高値:177.00円
* 52週安値:85.00円
株価113.0円は、年初来および52週のレンジ(85円~177円)の中央よりやや安値寄りの水準にあります。
移動平均線を見ると、
* 50日移動平均:111.82円
* 200日移動平均:119.88円
現在の株価は50日移動平均線よりわずかに上に位置していますが、200日移動平均線を下回っています。これは中長期的な下降トレンドまたはレンジ相場を示唆している可能性があります。
直近10日間の株価推移(9月1日~9月12日)は112円~118円の範囲で推移しており、大きな方向感は見られませんが、わずかに下落傾向が見られます。出来高は331,200株と変動がありますが、安定した増加は見られません。
これらの情報から、現在の株価は安値圏からやや回復し、中長期的な抵抗線である200日移動平均線を下回る状況にあります。
8. 財務諸表分析
ファンペップの財務状態は、バイオベンチャー特有の研究開発段階にあることを反映しています。
損益計算書(年度別比較):
* 売上高(Total Revenue): 過去数年間、非常に低い水準で推移しており、直近12か月および2024年12月期では6,127千円(6百万円)と、ほぼ収益が発生していない状況です。連結決算短信の2025年中間期では0百万円(P/L上は52千円)と報告されています。
* 利益(Operating Income, Net Income): 継続的に営業損失、経常損失、そして当期純損失を計上しています。これは、医薬品の研究開発に多額の費用を要するためです。過去12か月では営業損失△901,757千円(約-9億円)、純損失△889,092千円(約-8.9億円)を計上しています。2025年中間期では、営業損失△909.94百万円、親会社株主に帰属する中間純損失△894.03百万円と、研究開発費の増加に伴い損失額も拡大傾向にあります。
* 研究開発費: 決算短信によると中間期で725.79百万円を計上しており、前年同期比で大幅に増加しています。これは、主要パイプラインの臨床試験が進行しているためと考えられます。
各種指標:
* ROE(実績): (連)-36.74%、Return on Equity(過去12か月)-60.78% と、大幅なマイナスを記録しています。これは赤字経営によるもので、株主資本を効率的に活用して利益を上げられていない状況を示しています。
* 自己資本比率(実績): (連)81.6% と非常に高い水準を維持しています。これは、多額の赤字がある一方で、新株発行による増資などで資本を増強しているためです。直近2025年3月には新株発行により資本金・資本剰余金がそれぞれ407,211千円増加しています。
* 流動比率(直近四半期): 5.84 (584%) と高いですが、これは現金及び預金残高が2,326.07百万円と潤沢である一方、売上総利益がほとんどないため、収益性よりも手元資金の豊富さを示すものとして捉えられます。
* キャッシュフロー: Operating Cash Flow(過去12か月)は-1.31B(約-13.1億円)と、積極的な研究開発投資により営業活動によるキャッシュアウトが継続している状況を示しています。Total Cash(直近四半期)は2.33B(約23.3億円)を有しており、当面の事業活動に必要な資金は確保されていると見られます。
全体として、ファンペップの財務状況は、将来の成長に向けた先行投資段階にあり、現在は収益よりも研究開発への支出が先行している典型的なバイオベンチャーのフェーズにあります。
9. 株主還元と配当方針
ファンペップは、現在、研究開発投資の段階にあり、安定した利益が計上されていないため、株主還元策として配当は実施していません。
* 配当利回り(会社予想):0.00%
* 1株配当(会社予想):0.00円
* Payout Ratio:0.00%
今後についても、事業の特性上、得られた資金は研究開発および事業拡大に再投資される方針が継続される可能性が高いと考えられます。現時点では自社株買いなどの株主還元策に関する具体的な情報も提供されていません。
主要株主には、塩野義製薬(6.61%)やSBIグループ関連のファンド・証券会社(合計5.76%)など、医薬品開発やベンチャー投資に知見のある企業が名を連ねています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去12か月の株価は52週高値177.00円、52週安値85.00円の範囲で推移しており、現在の株価113.0円は安値圏からやや回復した水準です。
52週変動率は-25.17%と、市場全体(S&P 500 52-Week Change 3: 16.89%)と比較して下落傾向にあります。
直近10日間の株価推移は112円から118円の間で変動しており、明確な上昇または下降の勢いは見られません。出来高は変動がありますが、平均出来高(3ヶ月平均371.34千株、10日平均250.28千株)から判断すると、特段大きな取引量の変化は見当たりません。
信用買残は3,474,800株と、発行済株式数40,563,800株に対して一定の割合を占めています。信用売残は0株であり、信用倍率も0.00倍となっています。これは、今後の株価上昇に期待する買い方が多い可能性を示唆する一方、将来的な売り圧力となる可能性も考慮する必要があります。
投資家の関心は、主に開発中のパイプラインの進捗、特に臨床試験の結果(成功/失敗)や、製薬会社との提携(ライセンス契約)に関するニュースに集中すると考えられます。これらの情報が株価に大きな影響を与える主要な要因となるでしょう。β値は0.78であり、市場全体の変動と比較して株価の変動が小さい傾向が見られます。
11. 総評
ファンペップは、機能性ペプチドおよび抗体誘導ペプチドという独自技術に基づき、医薬品の研究開発を行う東京証券取引所グロース市場上場のバイオベンチャーです。大阪大学発のシーズを基盤とし、複数のパイプライン(SR-0379、FPP004X、FPP003など)の開発を進めています。
現在の事業モデルは、医薬品の研究開発に特化しており、売上高はほぼ発生していません。そのため、継続的に営業損失および純損失を計上しています。収益は将来の製薬会社との提携契約(契約一時金、マイルストーン、ロイヤリティ)に大きく依存しており、これが事業モデルの持続可能性を左右します。自己資本比率は高い水準を維持し、手元資金も比較的潤沢であることから、当面の研究開発資金は確保されていると見られますが、長期的な大規模開発には継続的な資金調達が重要となります。
株価は、現在のところ収益に基づく評価が困難であり、将来の成長期待が織り込まれているPBRは1.86倍となっています。テクニカル分析では、52週レンジの中盤よりやや安値寄りで推移しており、中長期的なトレンドは安定していません。投資家の関心は、臨床試験の進捗や提携に関するニュースに高く、これらの情報が株価に変動をもたらす主な要因となります。
総じて、ファンペップは高い技術潜在力を持つ研究開発型企業であり、将来の成長性への期待が株価に反映される段階にあります。一方で、医薬品開発に伴う不確実性や先行投資による赤字経営というリスクも内在しています。今後のパイプライン開発の成功と、製薬会社とのアライアンスの進展が、企業の価値向上に繋がる重要な要素であると考えられます。
企業情報
銘柄コード | 4881 |
企業名 | ファンペップ |
URL | https://www.funpep.co.jp |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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