堺化学工業(4078)企業分析レポート
株価:2,920円(時価総額 496億円)/市場:東証プライム/業種:化学(スペシャリティケミカル)
1. 企業情報
- 概要:酸化チタン(TiO2)・酸化亜鉛(ZnO)など無機顔料を核に、電子材料(誘電体・圧電セラミックス)、触媒(脱硝・水素化等)、有機化学品、化粧品材料、医薬品(OTC風邪薬「改源」含む)、道路標示材まで展開する総合化学メーカー。
- 事業構成(売上構成比と概ねの収益性の目安):電子材料12%(営業利益率約15%)、化粧品材料3%(11%)、有機化学品8%(12%)、衛生材料7%(8%)、受託加工8%(9%)、酸化チタン・亜鉛製品他63%(9%)[カッコ内は会社開示表現に基づく参考値]
- 従業員:1,972人(平均年齢42.3歳、平均年収623万円)
- 本社:大阪府堺市堺区戎島町5-2
- 特徴:創業1918年。国内の酸化チタン大手。電子材料の強化を継続。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の酸化チタン主要プレイヤーの一角。電子材料(MLCC向け高純度誘電体粉末等)や無機材料(Ba/Sr化合物)、触媒、化粧品用微粒子ZnO/TiO2など、用途多角化でポートフォリオを拡大。
- 競争環境(例示):酸化チタンで国内専業他社・外資大手、電子材料で国内外の機能性粉末各社と競合。コモディティ色の強い顔料は原料・市況価格の影響を受けやすい一方、電子材料や化粧品・無機機能材は差別化余地が相対的に大きい。
- 市場シェア:正確な数値は非開示。国内では主要メーカーの一つに位置付けられる。
3. 経営戦略と重点分野
- 戦略の方向性:
- 成長領域の強化:電子材料(AI・5Gなど高周波・大容量用途でのMLCC等)や無機機能材、有機化学品の拡大。
- 価格適正化と収益性重視:原燃料・市況変動に対応した価格改定を継続。
- ポートフォリオの選択と集中:セグメントを11に再編し、成長領域と効率化検討領域を峻別。
- 資本政策:自己株式取得(25/1Qに50万株・132.2億円)実施、取得株は消却予定。
- 業績予想(会社計画の開示数値):
- 2026年3月期 通期:売上高8,600億円、営業利益65億円(会社公表値に変更なし)
- 2026年3月期 第2四半期累計:売上4,200億円、営業利益33億円
- 配当予想:年間130円(中間65円・期末65円)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:コモディティ(TiO2/ZnO等)とスペシャリティ(電子材料・無機機能材・触媒・医薬等)の組合せ。価格改定と製品ミックス改善で収益変動の平準化を志向。
- 需要動向への適応:AI・車載電装化等の構造需要に沿った電子材料拡大。一方、化粧品材料は地域需要(中国など)の変動感応度が高く、市況・為替の影響も受ける。
- リスクと対応:原材料・市況、為替、中国景気や関税動向など外部要因の影響。価格転嫁、コスト効率化、製品高度化での吸収が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・製品群:
- 電子材料:高純度誘電体粉末、圧電セラミックス、高輝度無機発光材料。MLCC向け需要の回復・高機能化が進展。
- 無機材料:硫酸バリウム、炭酸ストロンチウム等。開発品の寄与拡大。
- 触媒:脱硝触媒、還元ニッケル触媒、オゾン分解、ポリエステル重合触媒など。
- 化粧品材料:超微粒子ZnO/板状BaSO4(UVケア・ライフサイエンス用途)。
- 医薬:処方薬・OTC(「改源」)、原薬・中間体、健康食品。
- 直近の動向(25/1Q):電子材料は数量回復で増益。有機化学品も価格改定・受注前倒しで増益。化粧品材料は中国需要鈍化で苦戦。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在株価:2,920円
- 会社予想EPS:341.77円 → 予想PER約8.54倍
- 実績BPS:4,873.88円 → PBR約0.60倍
- 予想1株配当:130円 → 予想配当利回り約4.45%
- 配当性向:トレーリング48.4%(参考)、会社予想EPSベース試算で約38%
- EV/EBITDA(概算):EV約562億円(時価総額496億+有利子負債229億−現金164億)/EBITDA約98.7億円 ≒ 5.7倍
- 参考:業界平均 PER 20.4倍、PBR 1.1倍(スペシャリティ化学平均)
7. テクニカル分析
- 52週レンジ:2,168円〜2,990円(現値は高値近辺)
- 移動平均:50日線2,839円、200日線2,663円の上方で推移
- 直近10日:2,890〜2,989円のレンジで高値圏もみ合い。出来高は3カ月平均7.1万株に対し直近10日平均5.6万株。
- 信用動向:信用買残9.62万株、倍率11.06倍(買い長)。短期の需給影響に留意。
8. 財務諸表分析
- 損益(百万円)
- 売上高:84,409(2025/3)/ 82,105(2024/3)/ 83,861(2023/3)
- 営業利益:6,094 / 2,943 / 4,407
- 親会社株主純利益:5,013 / -7,092 / 2,344(2024/3は特別損失等の影響)
- 収益性
- 粗利率:24.0%(2025/3)
- 営業利益率:7.2%(2025/3)
- 純利益率:5.9%(2025/3)
- 効率・安全性
- ROE:6.57%(実績)
- ROA:3.20%(LTM参考)
- 自己資本比率:63.5%(2025/3)
- 流動比率:約232%(2025/1Q)
- D/E(総):約29.6%(2025/1Q)
- キャッシュ・デリバラレッジ
- 現金等:約164億円、有利子負債:約229億円(2025/1Q)→ネット有利子負債約65億円
- 25年4-6月期(1Q):
- 売上2,013億円(前年同期比-7.9%)、営業利益190億円(+19.3%)、純利益128億円(-10.0%)
- 価格改定・ミックス改善で営業段階は増益。為替差損や税費で純利益は減少。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026年3月期 予想年間130円(中間65円・期末65円)。予想利回り約4.45%。
- 実績:2025年3月期 年間135円。
- 自己株式:2025年1Qに50万株(132.2億円)を取得、消却予定。期末自己株式数1,282,406株。
- 方針:安定配当をベースに、機動的な自己株取得を組み合わせる運用(会社開示ベース)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で+12.8%(ベータ0.05と低ボラティリティ)。足元は年初来高値圏での持ち合い。
- 需給:信用買いが積み上がり傾向(前週比+12,200株)。機関投資家保有比率約57%。
- 近時の株価ドライバー:
- 電子材料の数量回復(AI・MLCC関連)
- 価格改定の浸透度合いと原材料・市況(特に亜鉛・TiO2)
- 為替差損益の振れ、地域需要(中国化粧品関連)動向
- 自己株取得・消却など資本政策
- 予定イベント:
- 次回配当権利落ち:2025/9/29
- 決算発表:2025/8/5〜8/12レンジで実施済(次回予定は未記載)
11. 総評
- 収益面は、価格改定・製品ミックス改善と電子材料の数量回復により、2025年3月期で営業・純利益が回復。2026年3月期1Qも営業段階は増益を維持。
- コモディティ(TiO2/ZnO)とスペシャリティ(電子材料・無機機能材等)の併存により、外部環境の影響は受けつつも、製品高度化での平準化が進展。
- 財務は自己資本比率63.5%、流動比率232%と流動性に厚み。ネット有利子負債は限定的。
- バリュエーションは、予想PER約8.5倍、PBR約0.60倍、EV/EBITDA約5.7倍、配当利回り約4.45%。業界平均(PER 20.4倍、PBR 1.1倍)と比較した水準は上記の通り。
- 今後の着眼点は、電子材料の継続的な数量・単価動向、化粧品材料の地域需要回復、原材料・為替の影響度合い、ならびに自己株式の消却効果と業績ガイダンスの進捗。
(注)本資料は公開情報に基づく企業分析であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。数値は原則として提供データに依拠し、一部に概算・四捨五入を含みます。
企業情報
銘柄コード | 4078 |
企業名 | 堺化学工業 |
URL | http://www.sakai-chem.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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